年末に注文していた専用強化電源の「EVO SUPPLY」とクロックジェネレーターの「EVO-CLOCK」がようやくにして届きました。
ところが、「hiFace Evo」と「EVO-CLOCK」を接続するBNC端子の同軸ケーブルが必要なことをうっかりしていて(^^;、慌てて追加注文しました。よって、今のところは、強化電源である「EVO SUPPLY」の効果だけをじっくりと検証中です。
しかし、考えようによってはそれぞれの「効き具合」をじっくり確かめられるのでよかったのかもしれません。
なかなか優れものの「EVO SUPPLY」
これは、必ずしも「hiFace Evo」専用の強化電源ではなく、その他の9V電源で動作するM2TECH社の機器にも使えるようです。ということは、クロックジェネレーターの「EVO-CLOCK」にもこの強化電源から供給できるそうなのですが、そうなるとまたまた専用の電源ケーブルを手配しなければいけません。何とも、上手い具合にお金を使わせる仕組みが出来上がっています。(^^;
しかしながら、これはなかなかによくできた電源だと思います。
M2TECH社に成り代わってその仕組みを説明すると次のようになっています。
まず、この電源は基本的にはバッテリ駆動(Li-イオンバッテリ)で動かせる仕組みになっています。ただし、バッテリ駆動に関わる「面倒くささ」を実に上手い具合にクリアしています。
それは、外部電源から駆動するモードとバッテリで駆動するモードが実にスムーズに切り替わることです。
つまり、純粋な「バッテリ駆動」と「外部電源+バッテリ駆動」が選択できるのです。
前者のバッテリ駆動はその名の通り、完全に外部電源からは遮断されてバッテリのみによる駆動となります。音質的にはこれが最も有利です。
まだ、確認したわけではないのですが、3時間でフル充電ができて、その状態から「hiFace Evo」を7時間駆動できるとメーカー側はうたっています。
これだけ聞くと、「なるほど3時間の充電で7時間も動作するんだから大したもんだ」と思うかもしれません。
「7時間が近くなってきたら忘れずに充電すればいいんだ」と思うかもしれません。
しかしながら、人間というのはそれほどこまめでもなければ、それほど注意深くもありません。
もちろん、チャージ・インジケーターで残量は目視で確認できるのですが、それでもそこまで細やかに残量をチェックするような奴はいません。
おそらくバッテリ駆動の一番の面倒くささは、そう言うチェックを怠っていて、突然バッテリが切れて音楽再生が停止してしまうことです。そして、バッテリがフル充電するまで数時間は音楽を聴くことができなくなると言うことです。
これは、実際に遭遇してみれば分かることですが、結構腹立たしいものです。いや、我慢しがたいほどの欠陥です。
例えば、今までメインで使っていた「UDIF7」も電池で駆動させていたのですが、これもまた1週間も使っていれば電池は切れます。ただし、もう1セットの電池を用意しているので交換さえすればすぐに音楽を聴くことはできました。
それでもいい気分で音楽を聴いているときにこの電池の交換作業は結構腹立たしいものがありました。
それが、充電するまで数時間もかかるとあっては、現実問題としては「使えない」となってしまいます。
確かに、音質最優先で使い勝手は犠牲にしてもいいという「オーディオ・ピューリタニズム」も否定はしません。しかし、私の場合は「音楽を聴く」事が目的なので、そのあたりは適度なところでバランスをとりたいと思っています。
そして、この「EVO SUPPLY」が優れていると思ったのは、基本は「バッテリ駆動」で動作させながら、もしもチェックを怠っていてバッテリが切れてしまっても、スイッチ一つで「外部電源+バッテリ駆動」に切り替えが可能なところです。
この「外部電源+バッテリ駆動」というのは、バッテリに充電しながら、接続した機器は外部電源で動作させるというモードです。確かに、音質的には純粋なバッテリ駆動と比べれば不利ですが、実際に聞いてみた感じでは、よほど神経質な聴き方をしない限りはそれほど大きな差は感じません。それよりは、スイッチ一つで、そのまま音楽を聴き続けることができるということの方がはるかに大切です。
このあたりが「オーディオ・ピューリタニズム」に徹した自作派とは根本的に異なるところです。
「EVO SUPPLY」の音質改善効果
これはもう、聞いてみればすぐに分かります。
少し前になりますが、集中的に「PCオーディオの都市伝説」なるものを取り上げたことがあります。その第一回目として取り上げたのが「PCオーディオの都市伝説(1)~「PCの電源で音が変わる」でした。
今となっては、デジタルといえども電源で音が変わるというのは「常識」に属する問題ですが、その頃は結構議論を呼びました。
その最大の問題点は「デジタル処理してデジタル信号出しする機器で音が変わってしまってはオカルトの世界です。」に尽きます。さらに言えば、内部的に「DC-DCコンバータで動作しているだから、前段の電源が何であれ内部的にはみんな同じになるはずだ」と言うことになります。
しかしながら、これはやってみれば分かるとおり、あてがう電源によって面白いほどに音質は変化します。
これは、理屈をどういわれても、経験として変わるものは変わるのですからどうしようもありません。まあ中には、そう言う外部要因で音が変わるのはシステムが未熟なせいだと喝破される剛の方もいます。その方のシステムは、どんな電源で駆動しようが、どんなDACをつなごうが音は微塵も変化しないそうです。
ただし、その素晴らしいシステムが具体的ににどのようなものなのかは披露さしていただけないので、それ以上は検証の仕様はありません。
ですから、やはりデジタル機器といえども、つながれる電源のクオリティによって音質はかなり大きく変化します。そして、一般的には「バッテリー→シリーズレギュレータ→スイッチング電源」の順で音は悪くなります。
「EVO SUPPLY」はこのうち、バッテリーとシリーズレギュレータによる音の違いを体験できるのですが、たしかにバッテリ駆動の優位さは感じ取ることはできます。
今までメインで使っていた「UDIF7」と比べると、「hiFace Evo」は基本的に図太い音がします。言葉をかえれば、「UDIF7」は非常に繊細で細やかな音が持ち味です。そして、その繊細さのかなりの部分は「電池駆動」という形態によってもたらされているのだろうと思います。
正直に言うと、「hiFace Evo」を付属のスイッチング電源で動かしているときは、それぞれ一長一短だなと思っていました。「hiFace Evo」のパワフルなところも魅力なのですが、いささかがさつな面も否定できなかったからです。
しかし、「EVO SUPPLY」を導入することで、そのがさつなところが見事なまでに消えてなくなりました。
欠点は高温部のある種のきつさでした。そして、逆に電池駆動による「UDIF7」の描き出す高音域は実に繊細極まる描写力を持っていました。
ところが、「EVO SUPPLY」を導入することで、ある種の強さを持ったままでうるささが消えました。電池駆動による「UDIF7」の繊細さは別の世界ですがまあこれはこれでいいかなと思えるレベルにはなっています。
しかしながら、それ以外の部分では圧倒的に「EVO SUPPLY」+「hiFace Evo」のコンビの方が魅力的です。
どっしりとした低声部の上に実にバランスよくピラミッド型の響きが立ち現れます。そして、何よりもパワフルです。さらに、バックグラウンドの静けさも「EVO SUPPLY」を導入することで電池駆動による「UDIF7」を上回ったかもしれません。
なるほど、これを聞くと「hiFace Evo」に「EVO SUPPLY」は必須だなと納得がいきます。
そして、さらに、ここへクロックジェネレーターの「EVO-CLOCK」を追加するという楽しみも残っています。
追加注文したケーブルが届くのが楽しみです。