「クロックジェネレーター」なるものを使うのは初めてなので、どういう効果があるのか楽しみにしていました。
ところが、接続用のケーブルは別途用意しないといけないことに途中で気がついて、慌てて注文したものの、これがまた入荷まで随分と時間がかかってしまいました。結果として、年末に注文したものの、全て手元に届いたのは1月の中旬過ぎでした。
注文したケーブルはオヤイデの「AS-808B(コネクタータイプBNC)」です。世の中にはもっと高価なケーブルもあるのですが、本体が5万円程度なので、バランスとしてはこの3000円程度のケーブルで様子を見ましょう・・・というところです。ただし、実際に接続してみると「カチッ!」と言う音がして実にしっかりと接続できるのでいい感じです。
さて、その音質改善効果は?
まだ使い始めてから数日なので断定的なことは言えません。聞くところによると、クロックジェネレーターというのは電源を入れっぱなしにしておいて、最低でも一週間程度は「暖めて」おかないと本領が発揮されないという「噂」もあります。確かに、初めてつないだときと、それから3日ほどたった今日とでは確かに雰囲気が随分と変わってきていますから、おそらくこの「噂」は本当のようです。
実は初めてつないだときは「ヘェッ?」と思いました。
確かに音の出方は少し変わったように思うのですが、率直に言えば「微妙~!」というところです。正直言って、これくらいの「変化」ならば5万円も投資して「クロックジェネレーター」を追加する意味はないなぁ・・・と思いました。世間では、5万円どころか30万円とか100万円を超えるような「クロックジェネレーター」もありますので、そう言う機器を導入してこんな雰囲気だったら、おそらく胃の奥がズーンと痛くなるだろうな(^^;・・・と思ったりもしました。(まあ、あたしには関係のない話ではありますが)
ただし、2日たち、3日たちするうちに少しずつ変化が起こってきました。それは確かです。
今日あたりになると、「オー、なるほど、これなら5万円の値打ちは充分にあるなぁ!」などと一人悦に入っています。
結論から言えば、音質面での改善効果はほとんどありません。音の艶がのってくるとか、ふくよかさが増すとか、高域の伸びがよくなるとか・・・、そう言う方面での改善効果はありません。
それでは何が変わったのかと言えば、「世界」が変わったというのが一番ピッタリの表現かもしれません。
もう少し具体的に表現すれば、演奏しているプレーヤーは変わらないのですが、今までよりは響きのいいホールで演奏しているような雰囲気になるのです。オーディオ的に言えば音場が改善されると言うことになるのでしょうが、何とも言えない一種独特な世界が立ち現れます。
グレゴリア聖歌などを聞くと、歌声が教会の残響を伴って「スーッ」と消えていく様などは実に生々しいのです。その、スーッと消えていく様子は「クロックジェネレーター」がないシステムでは聞くことのできなかった世界です。つまりは、今まではどこかのコンサートホールで演奏しているようにしか聞こえなかったのが、初めて教会で演奏しているように聞こえるのです。かと言って、それは残響のエコーを負荷したようなサラウンドの世界とも明らかに違います。
サラウンドの世界はヤマハのシステムを入れてそれなりにやり尽くした経験があるので分かるのですが、あれはどこかに不安定さがつきまといます。音が盛大に鳴り響いているときはいいのですが、弱音部になると音がヘタレます。弱音部が延々と続く繊細な世界の描写はあまり得意ではありませんでした。
ところが、この「クロックジェネレーター」を導入したシステムの一番の魅力は弱音部の表現の見事さにあるような気がするのです。例えば、ピアノ録音の一つの頂点といわれる、バイロン・ジャニスによる「展覧会の絵(1961年録音)」などを聞くと、その繊細極まる弱音部の表現が実に見事です。そして、その事はオーケストラ演奏においても同様です。
「弱音部がきちんと表現されてこそクラシック音楽の魅力は引き立つよね。」などと、実にもって当たり前のことを確認したりしています。
そして、最後にもう一つつけ加えれば、音楽はより立体的に表現されてきたような気もします。楽器のセパレーションがよくなって、それほど注意を払わなくても内声部のビオラやセカンド・ヴァイオリンの刻みがはっきりと確認できたりして、音楽の持つテクスチャがはっきりと感じ取れます。
『最低でも一週間程度は「暖めて」おかないと本領が発揮されない』という噂が本当ならば、まだ化ける可能性もあります。
なるほど、これならば、5万円ずつ投資して「EVO SUPPLY」と「EVO-CLOCK」を追加するのは充分に意味のあることだ確認できました。
最後に、「EVO-CLOCK」のスペックを紹介しておきます。
まず、クロック出力端子は二つあって、一つはワードクロック、もう一つはマスタークロックとなっています。ワードクロックは他の機器にも利用できる汎用のものですが、マスタークロックは「hiFace Evo」専用となっています。当然のことながら、音質的に有利なのはマスタークロックです。
なお、ワードクロックはスーパークロックというのにも対応しているそうなのですが、「hiFace Evo」を使っている人はマスタークロックしか使わないでしょうからあまり関係ないと思います。
なお、マスタークロックは「22.5792MHz」と「24.576MHz」の2つの出力を選ぶのですが、前者が「44.1KHz、88.2KHz、176.4KHz」の音源に対応し、後者は「48KHz、96KHz、192KHz」の音源に対応しています。基本的に「44.1kHz/16bit」の音源しか聞かない人なので、常に「22.5792MHz」の周波数を選んでいます。
<1月26日追記>
そんなわけで・・・現時点のメインシステムの構成はこんな風になっています。(^^;
まずます、訳が分からないほどに複雑になってしまっています。