気楽に遊んでみよう(3)~「DEQ2496」を使用しても本当に音質は劣化しないのか?

音が出ない(^^;

早速にシステムに「DEQ2496」をつないで「音だし」をしてみました。つなぐのは、前回も述べたように「DDC」と「DAC」の間です。

DEQ2496

「hiFace Evo」のデジタル出力を「DEQ2496」のデジタル入力に繋ぎ、さらの「DEQ2496」のデジタル出力を「D-07X」のデジタル入力につなぎます。

DEQ2496_Back_1

この状態で「DEQ2496」を間に挟んでも本当に音質の劣化が気にならないのかをチョックしてみたかったのです。

ところが、音が出ません。
アリャリャ・・・!!?と言う感じで、バイパススイッチをオンにしてみたのですが、それでも音は出ません。
困った!!こんなところから躓くとは・・・と言う感じです。

やはり、「DEQ2496」は適当に弄っているうちに使えるような代物ではないようです。そこで、慌てて本体に付属していた「クイックスタート」を見てみたのですが、これが驚くことに何の役にも立ちません。
そこで、メーカーのサイトからマニュアルをダウンロードしてきて全てプリントアウトし、熟読するところから再スタートすることにしました。

「DEQ2496」の入出力を設定する

なるほどね、入出力もきちんとユーザーの側で設定しないといけないのですね。
これが「DEQ2496」のフロント側です。

DEQ2496_Front_1

なんだかたくさんのスイッチとつまみがついています。「DEQ2496」の入出力は「I/O」ボタンを使います。
こんな画面が液晶画面に表示されます。

I_O_1

初期設定では、「MAIN IN」が選択されています。デフォルトはアナログ入力なんですね。(^^;
これでは、音が出るはずがないので、おおきなつまみを回して「DIG IN XLR」を選択します。選択されると白黒が反転します。
これで無事に音楽が再生されます。

「Noise Shaper」をオフにする

それから、ネット情報によると、もう一つ忘れていけないのが、「Noise Shaper」をオフにしておくこと・・・らしいです。
「Noise Shaper」は同じ画面の2ページ目にありますから、左上の「page」ボタンを押すと順番にページが変わっていきます。
ちなみに、右側に9つのボタンが並んでいるのですが、それぞれに2ページから4ページの設定画面があります。この右側の9種類のボタンと「page」ボタンを組み合わせて目的の設定画面にたどり着くだけで一仕事です。

はい、これが「I/O」ボタンの2ページの設定画面です。

I_O_2

初期設定では「Noise Shaper」はオンになっているのですが、これは音質的には絶対にオフにしておくべき・・・らしいです。上の画面は「Noise Shaper」がオフになっている状態です。
情報元は最初に紹介した「♪♪団塊未満おじさんのオーディオ・ラブレター♪♪」の「Noise Shaperは絶対にONにしてはいけない!!」です。
私も、これを何度かオン・オフにして聞き比べてみましたが、明らかにオンの状態では音が埃っぽくなります。ただし、このあたりはお使いのDACの性能で変わってくることは考えられます。最終的には自分の耳で判断してください。
なお、同ページでは「右上のDITHERもOFFの状態」の方がいいとの報告でしたが、それに関しては私の耳では確たる差は認識できませんでした。ただし、そのあたりもエソテリックのDACに任せた方が精神衛生的に良さそうなので、私もとりあえずはオフにしています。

「DEQ2496」有り・無しで聞き比べてみる

この状態で聞き慣れた音楽を何曲か聴いてみます。
ただし、聞き比べるときには「DEQ2496」の全ての機能はバイパスにした状態で比べないといけません。
これも、下の「Bypass」ボタンで設定します。

DEQ2496_Front_bypass

もちろん、この「Bypass」ボタンを長押しするとBypassモードになるのですが、これもネット上の情報を調べてみると、この長押しによる方法ではいくつかの機能がオフにならないようなので、以下の画面のように「Bypass」画面を表示させて、それからつまみを使って全てオフにしたほうが厳密度が上がるようです。オフになった機能は「×」マークがつきます。聞き比べるときは、当然のことながら全てに「×」マークをつけます。

BYPASS_1

結果ですが、私の耳では「DDC-DAC」直結の状態と、「DEQ2496」を挟んだ状態とでは音質の違いはほとんど聞き取れませんでした。
正直なところ、2万円程度の機器ですから、多少の差があっても仕方がないと思っていたのですが、直結状態と「DEQ2496」有りの状態の間にはほとんど差はないと断じても言いようです。
ブラインドで聞き比べをさせられれば、私には違いをき極める自信は全くありません。

イコライジングすれば、さすがに音質は劣化するでしょう。

「♪♪団塊未満おじさんのオーディオ・ラブレター♪♪」に従って、次はイコライジングを施した状態で音質がどのように変化するのかを確認してみました。
さすがに周波数を弄れば2万円程度の機器なのですから馬脚をあらわすだろうという魂胆なのです。

DEQ2496_Front_geq

まずは、イコライジングの操作が間にはいることで音質が変化するかどうかを見るために、「GEQ」ボタンをおして、その設定画面で完全にフラットな状態にしてから出力します。

GEQ

この状態で、先ほどの「Bypass」画面で「GEQ」機能をオン・オフにして聞き比べてみます。切り替えは瞬時に行われますし、プチッと言うようなポップ音も一切しません。極めてスムーズにオン・オフが切り替わるので、切り替わった感じがしないほどに音質は全く変化しません。
これはいささか驚きです。

しかし、これはまあ、フラットな状態だからだろうと思い、同じ「GEQ」画面で周波数を弄ってみました。たとえば、こんな感じです。

GEQ_1

プリアンプのトーンコントロールのような雰囲気で、低域と高域をだら下がりにしてみました。
驚くことに、弄った部分だけがキチンと変化しているだけで、それによって音が変に歪みっぽくなったり、SN比が低下して埃ぽくなったりはしません。私が長年愛用してきたアキュフェーズのプリアンプ「C-200V」に付属しているトーンコントロールよりも優れているかもしれません。
正直言って、驚くばかりの性能です。

この時点で、もしかしたら「少し遊んでみよう」ではなくて、もしかしたらメインシステムの中で「なくてはならない」存在としてどっかり腰を据えるのではないかという予感がしてきました。

それにしても、これで2万円程度という事になると、民生用オーディオ機器のあの異常な「値付け」はどこから来るのだろうかという疑問がわき起こってきます。好意的に考えれば、プロ用の音響機器と比べると民生用のオーディオ機器が「いかに売れていないか」「いかに数が出ないか」の証明でしょうし、悪意にとれば、かなりの部分は「詐欺的商法」ではないのかと疑ってしまいます。

この性能を見せつけられると、「♪♪団塊未満おじさんのオーディオ・ラブレター♪♪」でも述べているように、安心してイコライジング操作に突入できます。
次回はいよいよ、イコライジング操作のスタートとも言うべき「AUTO EQ(自動補正)」について報告します。

<追記>
こういう風にしてまとめてみると、実にスムーズに私が「DEQ2496」を使いこなしているかのような雰囲気がします。読み直してみて、自分でも驚くばかりですが(^^;、文章にしてしまうとそうなるんでしょうね。
しかし、実際は「訳が分からん!!」「一体全体、この機械はどうなっているんだ!!」「ふざけるな!!」などと数え切れないほどの悪罵を投げつけ、何度も読んだはずのマニュアルを再度一から読み直し、まさに七転八倒の極みでここまでたどり着いたのです。
それにしても、このベリンガーの商品の「不親切さ」には驚くばかりで、マニュアルに書いてあることが最初は全く理解できないのです。そして、あれこれ弄っていて、何とか使い勝手が分かりかけてきてから読み直すと書いてあることが少しずつ理解できるという代物です。
このあたりの雰囲気は、昔のスキーの教則本に似ています。あの教則本は、不思議なことに、滑れるようになってから読み直すと書いてあることが良く理解できるのですが、滑れないときは何度読み直してみても中味が理解できなかったものです。

考えてみると、民生用の機器というのは買ってきてポンと置くだけで音が出るのが必須条件ですが、プロ用の機器というのは「分かるやつだけ使えればいい」というスタンスでも成り立つという違いがあるのですね。
「DEQ2496」のマニュアルは20ページ程度ですが、もしも民生用の機器として世に出すならばページ数は少なくともこの10倍程度にはなるでしょうね。そのあたりの「いらぬ手間」が省けることで2万程度の価格を実現しているのでしょう。
そう言う意味では、Linuxを核にしたPCオーディオと雰囲気がよく似ていると言えそうです。

あまちゃんに登場する花巻 珠子さんみたいに「わかるやつだけわかればいい」という世界なんですね。