アナログ時代の趣味性が復権するPCオーディオ(8)~電源対策、振動対策、そしてとりあえずのまとめ

最近はPCオーディオとはあまり関係のない部分に力を注入しています。しかし、最近になってあれこれと新しい動きが出てきたようですので、冬眠状態から抜け出さないといけません。
ということで、ネタ切れの中で今までの動きを「懐古」していたこのコーナーもさっさとまとめをして、次の流れに乗ってきたいと思います。

リッピング・再生ソフト・PCのハード構成、そしてケーブルの問題などを振り返ってきたわけですが、残るところは電源の問題と振動対策です。
これもまた、一昔前ならばデジタルの世界でそんな対策をしたから音が変わる・・・と言えば「オカルト」と言われたものです。しかし、経験則から言えば、明らかに音は変わります。

電源対策

ひと言で言えば、アナログで効くことはデジタルでも効くようです。

デジタル機器は電源としてスイッチング電源を使うことが多いのですが、これを良質のアナログ電源に変更すれば音質は大幅に改善します。一部では、瞬間的な供給量という点ではスイッチング電源の方が有効だという声もあるようなのですが、聴感的にはどう聞いてもアナログ電源の方に分があります。
ですから、私の場合は、現状ではほとんど全てをアナログ電源に変更しています。

NAS(Synology):エルサウンド 「アナログ電源DC POWER SUPPLY 12V5A」

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Cubox:エルサウンド 「汎用アナログ電源DC5V 4A」

DC5V 4A

hiFace Evo:hiFace Evo 専用電源 「Evo Supply」(生産終了)

EVO-SUPPLY5

スイッチング電源を使用する場合と比べると洒落にならないくらいお金がかかりますが、しかし、音質的にはそれに見合うくらいの改善が期待できます。
さらに、困るのは、こういうアナログ電源の電源ケーブルを変更すると、これまた音質が変わることです。
そして、こういう流れからして当然のことなのですが、DACの電源ケーブルを変えれば、これまたはっきりと分かるほどに音質が向上するのです。

たとえば、「audio-technica パワーケーブル AT-PC1000/2.0」くらいでもはっきりと音が変わります。
こんな感じだと、DACにもそれなりの電源をあてがってやればかなり音は変わるだろうと思うのですが、さすがにそんな泥沼までははまりこんでいません。(^^;

実に困った話ですが、疑いもなく、アナログで効くことはデジタルでも効いちゃいます。

振動対策

これもまた、アナログで効くことはデジタルでも効きます。疑いもなく。
やはり、デジタルであろうとアナログであろうと、振動対策は必須です。

かといって、馬鹿高いインシュレーターやボードを買い込むには「躊躇い」がありますので、個人的には手ごろな価格の「サンシャイン」の製品をメインで使っています。

NAS(Synology):コーリアンボード・・・これは意外と効きます。
Cubox:サンシャイン 超薄型ボード & マグネシウムインシュレーター
hiFace Evo・Evo Supply・Evo Clock:サンシャイン 超薄型ボード & マグネシウムインシュレーター

さらに、上から鉛で重しをしています。

TGメタル FP-02(1枚 2.5㎏)

ただし、鉛はそのままでは特有の響きが付加される感じがしますので、両面に「オトナシート」を貼り、さらに帆布でぐるぐる巻きにしています。
個人的には、これで鉛の重さだけが生きて、固有の響きはかなり取れているように感じています。

とりあえずのまとめ

ひと言で言えば、手をかければかけるほど音質は向上すると言うことです。

リッピングの仕方、再生ソフトの選択、再生用PCのハード構成をどう組むのか、そしてケーブル選択の問題に電源・振動対策等々、手をかける部分が山ほど存在するのがPCオーディオの楽しみであり、鬱陶しさです。
そして、こういう部分で「手をかける」ことが鬱陶しいと思う人がいたとしても、それは至極当然のことであって、それを持ってとやかく言うつもりはありません。私はこういうサイトを運営してきた経験から、一般的なオーディ愛好家の中ではPC絡みの「鬱陶しさ」にはなれている部類にはいると思いますが、それでも時にはホントに「鬱陶しい」と思うことがあります。

しかし、そう言う「鬱陶しさ」こそが趣味性の原点です。
アナログ時代のオーディオもまた随分と鬱陶しい代物でした。お金もかかるし手間もかかりました。そして、今もそう言う部分に趣味性を見いだして手間もお金も惜しまずに頑張っている人もたくさんいます。
そう言う「鬱陶しい」分野がオーディオの世界にまた一つ現れたことをうれしく思っています。

ですから、PCオーディオの黎明期に「簡単手間いらずに高音質が実現できる」という売り言葉は間違っていたと言わざるを得ません。
私の経験に即して言えば、PCオーディオというのはとんでもなく手間がかかりますしお金もかかります。

それは、現状の私のシステムを見てもらえれば一目瞭然です。

Main_IN

笑っちゃうほど複雑なシステムになってしまいました(^^;
一つ一つはたいしたことはないのですが(一番高いのがESOTERICのD-07X)、トータルでは随分とお金もかかっています。
普通ならば、これはCDプレーヤー一台でまかなえるのですから、馬鹿と言えばこれほど馬鹿なシステムはありません。しかし、現時点では、昔ながらのCDプレーヤーに戻る気は全くありません。

理由はいろいろあるのですが、一番差し障りのないのが「弄れるところがほとんどないので面白くない」という趣味性に起因させる答えです。
しかし、本音は別のところにあります。それは今の時点ではちょっと怖くてオープンにはできません。
ただ、年末から年始にかけて、あちこちのショップやオーディオフェアに足繁く通って100万円以上のCDプレーヤーをたくさん聞かせてもらって、その漠然たる思いが少しずつ確信に変わりつつあります。もう少し整理できた時点で文章にしたいと思います。

新しい動き

最近になって、注目に値する動きが出てきました。
それは、再生用PCのハードに関わる動きです。

一つは「Cubox」の開発元である「SolidRun」からようやくにして「CuBox-i4Pro」がリリースされたことです。私のところにも2月の初め頃に一台目がおくられてきました。どうやら、予約した順番で順次発送しているようです。

CuBox-i4Pro

見た目はレガシーな「Cubox」ほとんど変わりません。
しかし、「CuBox-i4Pro」はこの小さな筐体に「4 @ 1 GHz」のCPUと「2GByte DDR3」のメモリを積んでいるという超強力マシンです。どうも、再生用のPCはハード構成はシンプルでもCPUやメモリは余裕があるほど音質的にはメリットがあるようなので注目していたPCでした。

しかし、残念ながら「CuBox-i4Pro」はみみず工房さんが配布してくれているイメージファイルでは起動しません。
また、「SolidRun」が配布してくれているDebianなどのイメージファイルでも上手くネットワークに接続できません。私だけかと思うと、「CuBox-i リンクアップはしているのに」という記事を見つけて私だけではないことが分かりました。

もう少し時間がかかるようです。しかし、注目です。

もう一つは、「Voyage MPD」で一世を風靡したAlixの次期ヴァージョンが開発版としてリリースされたことです。

apu1a1

  • CPU: AMD G series T40N or T40E APU, 1 GHz dual core (Bobcat core) with 64 bit support, 32K data + 32K instruction + 512KB L2 cache per core
  • DRAM:2 GB DDR3-1066 DRAM

と言うことなので、これもまた「CuBox-i4Pro」に肩を並べるほどの強力マシンに生まれ変わっています。
開発版として少数が市場に出ただけみたいなので今は入手困難になっているようですが、安定版がでればこれもまた入手して試してみたい構成です。

ボチボチ冬眠から醒めないといけません。