アップサンプリングの論点整理(1)

何人もの方から貴重なコメントを頂きました。ありがとうございます。
おかげで、アップサンプリングをめぐる問題点が少しずつ整理されてきたように思います。
まずは、アップサンプリングすることに本質的なメリットがあるのか?という根本的な問題はひとまず脇によけておいて・・・なんでやねんっ!( ゚o゚)/(*_*)、まずは、アップサンプリングの3通りの方法について整理してみたいと思います。

3つの方法とは以下の通りです。

1.再生ソフトで、再生時にリアルタイムでアップサンプリングするもの
2.ソフトを使ってアップサンプリングしたファイルを生成する
3.いわゆるDDコンバーターをつないで、そこでアップサンプリングするもの

これはkkさんがコメントしていただいた内容が一番分かりやすかったです。

基本的には大きな違いはないだろうが、

DAC(機械)の場合は仕様で決まった限定された方法から選択する。
ソフトの場合にはプログラミングで幅広い方法が選択できる。または、無限に方法を広げて使用できる。

という点が決定的ではないか・・・ということです。

ただし、ソフト的に変換するとPCに負荷がかかり、結果として再生時に悪影響を及ぼすことは多くの方が指摘されています。
やはり物事はすべてトレードオフと言うことです。
そう言う、皆さんから頂いたコメントなども参考にしながら現時点での私の考えを整理すると以下のようになります。

1.再生ソフトで、再生時にリアルタイムでアップサンプリングするもの
もっとも手間がいらず、幅広いやり方でアップサンプリングのアルゴリズムを試せる楽しみはあるが、結果としてPCに大きな負荷をかけてしまい再生時のクオリティに問題が生ずる可能性があります。
ただし、そのマイナス点がPCのパワーが大幅に向上していく中でどの程度の損失なのかは実際に確かめてみる必要はあるでしょう。実用レベルとして、負荷のマイナスをパワーで帳消しにできるのならばこれほどうまい話はありません。

具体的に言うと、
私はcPlayでSRCの145dbという一番負荷のかかるモードを選んで、176KHzにアップサンプリングして聞いています。この「SRCの145db」というモードがどのくらい負荷がかかるかというと、「2Ghz以上のCore2 duoでないと動かない!」・・・と言うほど負荷がかかります。
この状態でのCPUの負荷は私の環境では10?15%程度になります。
これに対して、それほど負荷のかからない120dbのモードを選択して176KHzにアップサンプリングすると、CPUへの負荷は4?8%程度に収まります。
しかし、この両者を聞き比べてみると、たとえ負荷は大きくても145dbモードの方が好ましく思えます。
つまり、アップサンプリングのアルゴリズムと、それによるPCへの負荷も微妙なトレードオフの関係があると言うことらしいです。

なお、一部では、無駄なノイズを拾わないために、CPUもメモリも電源部も最小にした方がいいという意見もあります。個人的には、これと正反対の方向に進んでいるのですが、この事の是非も検討する必要があるのかもしれません。
ただし、この「最小派」の人はPCオーディオの常識とされている「バックグラウンド優先」よりも「プログラム優先」の方が音が良いという主張もされていたようなので、すでに時代遅れなのかもしれません。

3.いわゆるDDコンバーターをつないで、そこでアップサンプリングするもの
まずはお金がかかる。<(^ー^ι) それから、基本的には機械に組み込まれたワンチップでアップサンプリングしているので、そのチップのアルゴリズムが気に入らないと「ゴミ」にしかならない恐れがあります。私が目をつけているキット屋さんの「SV-192S」には「SRC4792」というチップが使われています。一部ではショボイという声もあり、本当に導入するときは検討が必要でしょうね。 ただし、アップサンプリングという負荷のかかる作業を外部に出せるので、PCには負荷のかからない状態で再生に専念できるのは大きなメリットだと言えます。 また、そのコンバーターがDSD変換できるときはかなりの可能性を期待できるのではないでしょうか。(現時点でソフト的にDSD変換が可能なのはVAIOにプリインストールされているDSD Direct Playerのみ) 遠藤さんより DSDの場合は完全に別物といった感じになります。定位、解像感はかなり良くなります。 176KHzの場合は、全体的に奥行きが広くなる感じです。 DSD変換より変化はあきらかに少ないです。 との報告もありました。 でも、DSD変換のできるコンバーターって数も少ないし安くないですよね。これもまた、トレードオフ。 2.ソフトを使ってアップサンプリングしたファイルを生成する
これは、ファイルをアップサンプリングするときにPCに負荷はかかりますが、できてしまったファイルを再生するときには何の問題もありません。また、アップサンプリングするためのアルゴリズムもいろいろ試すことができます。おまけに、ほとんどがフリーのソフトで対応できるのでお金もかかりません。

主なソフトとしては
WaveUpConverter、SSRC、VC64、FUSEあたりが有名なようで、それ以外にも高域補正が可能な「Upconv」というソフトもあるようです。
問題なのは、いちいちアップサンプリングしてファイルを生成するので、毎日毎日取っ替え引っ替えいろんな音楽を聞く人(たとえば、私)にとってはかなり面倒くさいし、何よりもアップサンプリングされた巨大なファイルをたくさん置いておくこともできない、という究極の問題点も存在します。
それに、アップサンプリングしたファイルを再生すると確かにCPUの負荷は1?2%程度に収まるのですが、リアルタイムにアップサンプリングして負荷が15%前後の状態と比較してはっきり分かる程のアドバンテージが感じられないのです。

ただし、他人様にとやかく言えるほど試行錯誤していません。こういうソフトは細かいパラメーターをいじることでかなり音質が変化するようです。あまり軽々な判断は慎みましょう。

それともう一つ、困った問題が、アップサンプリングしたファイルはうまくCUEファイルが作れないという困難にも直面しています。CUEファイルの作成は「RecursiveCueCreator」というJavaで書かれたソフトを使っているのですが、何故かアップサンプリングしたファイルは読み込んでくれないのです。
これもまた、今のシステム環境では何とか解決しないと「使えない方法」になってしまいます。

しかし、今までは全くのブラックボックスで、ユーザーはほとんど手出しができなかったデジタルの世界に、これほど介入ができると言うことに、PCオーディオの楽しみがあることは間違いありません。

次回は、少しばかり沈思黙考したあとに、アップサンプリングすることに本質的なメリットがあるのか?という根本的な問題について書いてみたいと思います。
<追記>
なんてことを書いたあとに、パソコンで 24bit 176.4khz/192khz の音楽を聴くというサイトを発見。今さら何を・・・3(-_^;)・・・と言われそうですが、参考になる記述がてんこ盛り、安易に資金を投下して(2)の方法をチョイスする前にやるべき事は山ほどありそうです。