音楽再生に特化した「OS」
いくつかのブログで「Voyage MPD」なる音楽再生に特化した「OS」が紹介されていたので、のぞいてみました。
オーディオファイルのためのOS、Voyage MPD (Linux)
「Voyage MPD」は以下のサイトから入手可能です。
「Voyage MPD」
まず、はじめに思ったことは「ついに登場したか」という思いです。
「最強の再生ソフトcMP2」を紹介したときに、最後に次のように述べました。
「おそらく、ここまで来ると、あと残っているのは、音楽再生に特化したOSを作ることだけだと思います。そして、最近の加速するPCオーディオの世界を見ていると、遠くないうちに新しいOSの提案も出てくるのではないかと思います。
ホントに楽しみです。」
まさに、PCオーディオを巡る世界はドッグイヤーです。少し脇見をしているとあっという間に取り残されてしまいます。
今回も「MPD」という仕組みを理解するのに少なからぬ時間を費やしてしまいました。
「MPD」って何ですか?
「MPD」とは「Music Player Daemon」の頭文字を取ったもので、簡単に言えばLinuxの上で動く音楽再生用のプログラムのことです。「なーんだ、Linuxベースで動く新しい再生ソフトのことか」と思われる方がおられるかもしれませんが、それがちょっとばかり違うのです。
まず、この「MPD」はグラフィカルなインターフェイスをもっていないどころか、コマンドベースの「CUI」による操作も受け付けません。つまり、これ単体では「何も出来ない」のです。
ですから、「MPD」を動かすためには、外部から命令を伝える「MPDクライアント」なる存在が必要となるのです。そして、音楽を再生しようと思えば、その命令は全て「MPDクライアント」から行うことになるのです。
つまり、「MPDクライアント」→(命令)→「MPD」→「音楽再生」となるのです。
たかが音楽を再生するだけで、何と面倒くさいことをするんだ!と思われたなら、それはまだまだ修行が足りない!!
「おおっ、なるほど!!」と膝をたたいた人は、もうPCオーディオの世界に首まで使っているはず。(^^v
そうなんです、音楽を再生しようとしたときにどうしても避けられない「重たい操作」、たとえば曲名を表示したり、再生・ストップなどの操作ボタンを表示させたりという操作は全てクライアント側で行い、肝心の音楽再生に関わる操作はデーモンの側で行うという「思想」なのです。
もちろん、この二つの操作を一台のPCのなかで行うことも可能ですが、それはPCオーディオ派にとっては何の意味もありません。
当然のことながら、クライアントとデーモンは別々のPCにインストールします。
このとき、クライアント側のPCは仕事用で使っている普通のPCであっても何の問題もありません。なぜなら、クライアント側は「音楽を再生」するのではなくて「音楽を再生しろと命令」するだけだからです。
それに対して、デーモン側は極端に言えば「MPD」だけが動く状態になってればいいのです。
まあ、このあたりの詳しい説明はこちらを参考にされた方がいいかもしれません。私ごときの駄文を読むよりははるかに理解が進むかと思います。
ネットワーク経由で音楽を再生するMusic Player Daemon
そこで、今回の「Voyage MPD」なる提案なのですが、一言で言ってしまえば「MPDだけが動く状態」のPCを簡単に提供しますよ!と言うことなのです。
「Voyage」というのはLinuxのディストリビューションの一つなのですが、もともとはファイヤーウォールやルーターなどの構築に適したきわめて軽量なOSでした。その軽さたるや、インストール用のファイルがわずか40Mb程度と言うことでも納得できます。
「Voyage MPD」はこの「Voyage」を核として、ここに「MPD」を使って音楽再生するためのパッケージをひとまとめにしたものです。
おそらく、理屈だけを考えれば、今日考え得る最良の再生環境が手に入るはずです。
しかし、試しにいろいろやってみたのですが、なかなかに敷居が高いというのが実感です。現時点では、私のスキル不足もあるのですが、「音が出る」ところまでは至っていません。(^^;
当面は「Vine5」の方に「MPD」をインストールして「MPDクライアント」から音楽再生をさせたいと思っているのですが、これもまた現時点では上手くいっていません。
ただし、面白そうな課題ではあるので、試行錯誤のジタバタは逐次報告していきたいと思います。
一銭もかけずに楽しめる・・・これぞPCオーディオの醍醐味ではないでしょうか。
なんとも遠い目をしてしまいそうな話題ですが、
しかしPCオーディオの究極の形であることは想像が何とか付きます。
対極のハイエンドオーディオがとことん金をかけるのに対して、
こちらは金をかけずに知恵を絞る(手間暇かける)といったところでしょうか?
でも私がこれに手を出すには、もっと修行が必要でしょう。
Linuxを勉強し直さなくては...
>対極のハイエンドオーディオがとことん金をかけるのに対して、
>こちらは金をかけずに知恵を絞る(手間暇かける)といったところでしょうか?
全くその通りだと思います。近日発売された「PCオーディオfan3」をざっと目を通してみると、この世界にも「ハイエンド」の魔の手が伸びてきそうな雰囲気です。
負けるもんか!の気概で頑張っていきたいものです。
さて、とりあえず「Vine5」の方に「MPD」をインストールして「MPDクライアント」から音楽再生させるところまでは成功しました。
ただし、音質的なメリットはあまり感じることが出来ませんでした。
普通に「Vine5」の上で音楽再生ソフトを使って再生するのと大きな差は感じられませんでした。
やはり、「Voyage」のような超軽量OSの上で動かしてこそ意味があるのかもしれません。
とはいえ、「MPD」の設定ファイルの編集の仕方などは参考になるかもしれませんので、近いうちに報告したいと思います。(ネット上に転がっている情報は嘘ばかりでした^^;)
>ただし、音質的なメリットはあまり感じることが出来ませんでした。
昨日からずっと「MPD」で音楽を聴いています。上記感想は初期設定にいささか問題点があったようで、現時点の感想としては「とんでもない可能性」を感じるといえそうです。
解像度が高くて音色が柔らかいという、何とも理想的な状態が実現できそうな雰囲気です。
現在は「Vine MPD」でやれるところまでやってみたいと思います。
yungさん
ぜひ戦況報告をお願いします。
ここのところ、自宅でいろんな用途で使っているPCで
オーディオ環境を整えてきましたが、やはり汎用PC(用途の面で)では
限界を感じています。いずれ安くても専用のPCでと考えていますが、
その時はぜひVine+MPDあるいはVoyage+MPDに挑戦したいと
思いますので、よろしくお願いします。
面白そうな情報ありがとうございます。
音楽専用軽量Linuxというのは、もしかしたらPCオーディオの究極のスタイルかもしれないと当方も考えております。
何となく、LINNのDSとか、新しく出るYAMAHAのネットワークプレーヤー(こういう名称が正しいのかどうかわかりませんが)に通じるものがありますし。これらの機器も内部は組み込み専用にチューニングしたLinuxかもしれません。まとまった時間が取れそうなときにチャレンジしてみようかと思います。
なお、当方が興味を持ちましたのは、同時に紹介されているMPodというリモコン用のソフトウエアです。当方はcPLAYとWINAMPを使い分けているのですが、WINAMPを使う場合は、iPod Touchをリモコン代わりにしており、(RemoteXというソフトです。http://itunes.apple.com/jp/app/remotex-all-in-1/id326763379?mt=8 )あまりに楽チンなので重宝しています。
音楽再生専用にチューニングしたPCと、iPodやiPad等のデバイスによる無線LAN経由でのPCのリモートコントロール、ますます面白い世界になりつつあると感じています。