入り口部分をそれなりに煮詰めてきて音の方向性もそれなりに定まってきたので、もう一度スピーカーのセッティングを見直してみることにしました。
しかし、スピーカーのセッティングは難しいのです。おそらく、これは絶対!!と言う方法は存在しないと思います。理由は簡単、スピーカーが設置されている部屋の音響特性が千差万別だからです。
あれこれのサイトに「これこそは!」という方法が紹介されていますが、それが自分のシステムにとってベストとは絶対に言い切れません。基本は、あくまでもカット&トライで詰めていくしかありません。
ただし、いくら「カット&トライ」だからといって、何の方向性もなく試行錯誤していたのでは永遠に着地点を定めることはできませんから、ある程度の指針は必要です。
そこで、今回試してみたのは「1:1:1の法則」と言われるやり方です。
これは、部屋を下図のように縦横に3分割してスピーカー(S)とリスニングポジション(L)を設定するという方法です。
もしも、専用のリスニングルームが十分に広ければ間違いなくこの方法がベストに近いと思われます。
しかし、残念ながら私のリスニングルームは短辺が2.7M、長辺が3.6M程度ですから、このセッティングを用いるのはいささか狭すぎます。また、リビングルームのように他の用途と兼用の部屋では絶対に不可能なセッティングです。
しかし、一度はこのやり方でどんな鳴り方をするのかを体験するのは意味があります。喩えてみれば、まるででっかいイヤホンで聴いているようなリアルな雰囲気なのですが、イヤホンのように頭の中に音像が定位することはなく、間違いなく目の前にリアルな世界が展開されます。しかし、あまりにもミニチュアの世界であり、音の広がりに欠けます。縦、横それぞれに倍ほどの広さがあればいいのですが、残念です。
ですから、これを基本としながら、「現実」とある程度折り合いをつけていきます。
残したいのは、スピーカーとスピーカーの間にガッチリと浮かび上がる音像であって、つけ加えたいのは音場の広がりです。
音場を広げるためには、スピーカーの間隔を広げるしかありません。しかし、間隔を広げると真ん中の音像が薄くなります。経験上、この真ん中の音像が薄くなると、小ぎれいに鳴ることはあっては、実演が持つ力強さや迫力を感じ取ることは難しいようです。いわゆる「中抜け」という状態です。
ですから、側面の壁から影響を受けない限界までスピーカーの間隔を少しずつ開けていき、さらに、そこから思い切ってスピーカーを内振りにします。こう言うときに役に立つのは録音のいいヴォーカルのCDです。最近は、平原綾香の「ノクターン」を使うことが多くなってきました。
ただし、このやり方だといわゆる「スイートスポット」が非常に狭くなります。リスニングポジションがその「スイートスポット」から少しでもずれると音場も音像も歪みます。これもまた、いささか寛いで音楽を聞くには不便ですが、求道者のように「良い音」を追い求めた五味康輔などはリスナーに向かって「頭を動かすな!」と怒鳴ったそうです。
私は、「良い音」はほしいとは思いますが、そこまで神経質になるのは嫌なので、あまり極端に内振りにするのは嫌いです。
間隔を広げれば大きく内振りにしなければならないのでスイートスポットが狭くなります。スイートスポットを広くしようとするとあまり内振りにできないので、間隔はそれほど広げることができません。
結局この世の基本は「トレードオフ」です。
この両者の折り合うところを探すしかないと言うことです。
そんなこんなで、ほぼこのあたりがベターだろうと言うところにテープを貼って目印をつけて、さらに別の指針に基づくセッティングも今回は試してみました。
それについては次回に続くです。