昨日は、さりげなく「側面の壁から影響を受けない限界までスピーカーの間隔を少しずつ開けていき」・・・などと書いたのですが、実はスピーカーの間隔を広げて壁に近づけると、色々と困ったことがおこってきます。
「1:1:1の法則」を適用すると、スピーカーからの直接音だけが耳に到着するので、壁からの反射音はほとんど無視することができます。ところが、そこから間隔を開けていくとどうしても壁からの反射音が耳に到着せざるを得なくなります。そんな時に困るのがいわゆる「フラッターエコー」と呼ばれるものです。
これは部屋の中で手を叩いてみるとすぐに分かるのですが、「パーン!!」という音の後に「ビーーン」というような嫌な残響が残ります。これがフラッターエコーで、部屋に平行面があると、その間を反射音が行ったり来たるする内に特定の周波数が増幅されて嫌な「ビーーン」というエコーが発生します。ですから、理想的なリスニングルームは「五角形」と言われるのですが、それを実現できる人はほんの一握りでしょう。また、実際にその様なリスニングルームを作られた方の話などを聞いてみると、それはそれで難しい問題があるようです。
私のリスニングルームは幸いなことに天井は傾斜しているので、上下の平行面は無視できます。(これが平行だと床に絨毯などを敷いて何とかごまかすのが一般的です。)しかし、前後の平行面だけはいかんともしがたく、下手にスピーカーの間隔を開けていくと嫌なフラッターエコーが発生します。
これが多用途で使われる部屋だと色んな家具が入っているので、それらが反射音を吸収したり拡散したりして意外なほどフラッターエコーが起こりません。しかし、再生機器しかおいていない専用のリスニングルームだと、見事なまでのフラッターエコーが発生するのは皮肉としか言いようがありません。
そこで、一般的にはスピーカーの対向面にCDラックを置いたり、スピーカーの背面に吸音材を置いたりします。
しかし、世間には、これをセッティングで回避しようという提案があります。
やり方は簡単で下図のように10度程度の傾きをつけてスピーカーをセッティングするという方法です。
この角度があまり小さいと効き目が薄いようですが、見た目で角度を測るのは大変なので、三角関数を思い出して計算してみます。
tan10°=0.17633ですから、スピーカーの間隔が120?だと、
120×0.17633=21.1596
・・・と、言うことで、約21センチメートルほど前に出すとオフセット角が10°になります。
これで、正三角形を作ってその頂点にリスニングポイントを持ってきて、スピーカーをやや内振りにします。どの程度内振りにするかはこれまたカット&トライです。
ただし、このやり方だと、なかなかセンターに音像がかっちりと定位させるのが難しいです。
このやり方の提案者はレザー光線なんかを使って距離を?単位であわせろといっていますが、凧糸を使っても同じようなことができるのではないかと思っています。現在は、そこまで詰めていませんが確かにフラッターエコーは完璧に押さえ込めます。
ただ、最初にもいったように、部屋の音響特性は千差万別です。これが絶対という方法はありませんから、色々トライしてみて自分の部屋にあったセッティングを見つける努力もまたオーディオの楽しみの一つです。
毎度貴重な音源をダウンロードさせていただいて感謝しています。
レーザーを使ったセッチングは別に高いものを買わなくても、百均の鏡とレーザーポインターがあれば簡単にできます。鏡をスピーカーに貼り付けて、リスニングポイントにレーザーポインターを置いて、スピーカーの間隔の1.5倍だったかのところに何か置いてそこにレーザー光が集中するようにスピーカーの角度をセットするだけです。当然レザーの光が行って返ってくるので、スピーカーの角度はミリ単位の精度で簡単に調整できますし、調整が終わった音は、ヘッドホーンで聞くような臨場感のある音で、スピーカーに頭を突っ込んだ感じがします。