アルミホイルから電磁波吸収材に変更

この一ヶ月ほど、電磁波ノイズをシールドするために「Voyage MPD Starter Kit」をアルミホイルぐるぐる巻きで使用してきました。懸念材料としては静電気の影響と熱暴走があったのですが、この一ヶ月ほど様子を見ているとまあ大丈夫なようです。
音質的には低域方向の改善が顕著で、はっきりと対策の効果があると判断しました。しかし、寄せられたコメントやメールを読ませていただくと、ほとんど違いが分からなかった方もおられるようです。

おそらく、この手の「対策」というのはシステム全体の有り様によって効果のほどは変わってくるのだろうと思います。
効果が感じられないという方は、システム全体がきわめて良好にシールドされているので、「アルミホイルのぐるぐる巻き」程度の対策は不要なレベルにまで達しているのだろうと思われます。
または、その正反対です。(^^;

どちらにしても、個人的には「効果あり」と判断しましたので、このラインは進めていこうかと考えた次第です。
そうなると、問題は見栄えです。
「アルミホイルぐるぐる巻き」は写真で公開するのも恥ずかしいほどですから、同様の効果が期待できてもう少し見栄えのよい対策を考えなければと思ってきました。

アルミホイルに換えて使用したもの

そうなると、アルミホイルの代わりに使えそうなものは何か?と言うことになります。
あれこれ探した結果、使い勝手や価格面も考えてあわせると、オヤイデ電気の電磁波吸収材「MWAシリーズ」なるものを使ってみることにしました。
電磁波吸収材「MWAシリーズ」とは、「センダスト合金(SENDUST)」なるものを使った製品で、「GHz帯域のノイズ成分を効果的に吸収し、ジュール熱に変換させノイズを制御し、不要な電磁界共振を抑制する。」ものらしいです。詳しいことはあまり分からないのですが、とりあえずはアルミホイルよりはシールドする力があるようですし、「充分な引っぱり強度と伸張性、フレキシブルな作業性のよさを兼ね備えたシート/テープに仕上げました。」と言うことなので加工もしやすそうです。
価格的にも5000円前後ですから、失敗しても「我慢」できる範囲です。

と言うことで、早速に注文してみました。
製品は「テープ」と「シート」の2種類があるようなのですが、「Voyage MPD Starter Kit」を隙間なく覆うには「テープ」の方がいいだろうと判断して、「MWA-010 T」なる製品を選びました。


ノイズキャンセリング電磁波吸収材 MWA-010T

作業はいたって簡単で、テープを適切な長さにカットして、丹念に「Voyage MPD Starter Kit」に巻き付けていくだけです。手先がそれほど器用ではない私でも、30分もあればUSBやLAN端子等は残して、それ以外の部分は隙間なく貼り付けることができました。

これが仕上がった状態です。

これならば、写真で公開しても恥ずかしくないレベルです。結構精悍な面構えに変わったような気がします。
テープは5メートルもありますので、「Voyage MPD Starter Kit」の全面に貼り付けても、まだ半分程度余っています。

ですから、残ったテープで、USBケーブルもぐるぐる巻きにしました。
特に、「ケーブル部から外部に放出されるノイズの多くはコネクタ部からです。」というコメントもいただいていますので、コネクタ部には念入りに貼り付けてみました。

その効果のほどは

メーカーのページによると、貼り付けてから2~3日で金属的な強度が一番強くなると書いていましたので、効果のほどはもう少したってから判断した方がいいのかもしれません。
しかし、貼り付けが完了した段階で「音出し」をしてみた感触としては、改善の効果は「アルミホイルぐるぐる巻き」と同じ方向性を持っていることは確認できました。貼り付けたばかりの状態でも、低域方向の改善は明らかで、パイプオルガンの地を這うような響きがお腹にずっしりと響いてきます。シールドをしていなかったときは、こういう低域の締まりがなくて、どこか「ボワーン」とした響きだったので、こういう「音」が聞けるだけで満足度は120%です。

何曲か続けて聞いてみたのですが、この低域方向の改善効果は明らかに「アルミホイルぐるぐる巻き」を上回ります。
ただ、少し気になったのは、聴感的に「音圧」が少し下がったような気がするのと、音の輪郭がこれもまた少し細くなったような気がすることです。
よって、今までよりは少しプリアンプのボリュームを上げて聞くとちょうどいい感じになりました。

ただし、この手の「対策」はファーストインプレッションだけでは最終的な判断は下せません。
おそらくは、1~2ヶ月ほど聞き続けて、「何となく最近は面白くないな!」と思い始めたら、きっと「×」です。
でも、「×」だとしても我慢できる範囲の投資ですから、やってみる価値はあるのではないかと思います。

<追記>

「少し気になったのは、聴感的に「音圧」が少し下がったような気がするのと、音の輪郭がこれもまた少し細くなったような気がすることです。」と書いたのですが、やはりあれこれ聞いているとかなり「気になる」レベルです。
とりわけ、ヴァイオリンの独奏などを聞いていると、明らかに音が細身に過ぎて「楽しめません」に近いレベルです。

ということで、この間の対策の経緯を振り返ってみると、どうやらUSBケーブルまで電磁波吸収材でシールドしたのが結果としては足を引っ張っているような気がしてきました。
そこで、いささか勿体ない気もしたのですが、USBケーブルに貼り付けた電磁波吸収材を全て剥がしてみました。剥がすのは貼り付けるよりも何倍も労力がかかって大変だったのですが、結果は想像したとおり「良好」でした。
ただし、コネクタ部だけは貼り付けてシールドしておいた方が、これまた結果は良好でした。

こうなると、これもまた都市伝説に近づくようで気が引けるのですが、何でもかんでもシールドすればいいと言うわけではないようです。「ケーブルのシールドはPCのボディーと一体化しないと意味が有りません。」というコメント欄でいただいた指摘あたりが影響しているのかもしれません。
とは言え、私には他者を納得させるだけの「理屈」付けはできません。あくまでも聴感的にそう判断したまでです。

ただし、この状態での音はかなり満足ができるレベルのものです。音が細身になる傾向はかなり改善できた上に、低域方向のしまり具合もきわめて良好です。
「Voyage MPD Starter Kit」のようなシンプル構成のPCは周辺のちょっとした変更にもきわめて敏感に反応するようです。
そうなると、どこかのメーカーがオーディオグレードのケースと電源にこの一枚基盤を組み込んだかっこいい機器をリリースしてくれないかな・・・等と思ってしまいます。


6 comments for “アルミホイルから電磁波吸収材に変更

  1. Phoenicia
    2011年11月5日 at 1:20 PM

    綺麗な仕上がりですね。

    後出しジャンケンになって非常に申し訳ないんですが。。。

    Alixはボードと筐体間のアースがボードをホールドしている4点での点接触なので、別途ボードのアースラインに線をハンダ付けして出し、一端を筐体にしっかりとネジ締めしたほうが良いと思います。

    後は筐体を他の機器に接触させてしまわないように注意でしょうか。

    筐体間には電位差があるので接触させるのは好ましくありません。

  2. Phoenicia
    2011年11月5日 at 9:11 PM

    先の書き込みは非常に正確性を欠いていました。

    罪滅ぼしを含め現在ケースを加工中。

  3. Phoenicia
    2011年11月5日 at 10:25 PM

    ケース加工終了しました。

    前の投稿で間違っていたのは、先ず「ボードをホールドしている4点での点接触」のくだり、
    ケースは表面、切り口、ビス穴を含め全て表面処理されているようで導通がありません。ケースとボードを導通させる可能性があるのはDSUBコネクタのネジのみです。ここも基本的には導通しないと考えた方が無難です。

    そこで前後蓋のケース側全面と円錐状に抉ってあるビス穴をヤスリで表面を削り落としました。更にケース本体の切り口も同様に表面を削りました。ヤスリでなくてもサンドペーパーでも良いと思います。
    次にDSUBコネクタと蓋との間に菊ワッシャを噛ませてビス止めし、最後に前後蓋を締め付けました。
    以上の作業でボードのアースはケースのどの場所ともしっかり導通が取れました。

    電位の不安定な金属版などはノイズを受けたり出したりのアンテナになりますが、アースと接続されたことで、これでほぼ大丈夫だと思います。

    出てくる音は、全体にノイズレベルが下がったような。プラシボです。

    もし試される方は、削り屑を完全に取り除いてから組み立て下さい。そうしないとAlixを壊してしまう可能性があります。

  4. 2011年11月7日 at 9:14 PM

    ケースのアース加工、やってみました。
    効果抜群ですね。
    静かになり、細かな音がよく聞こえ、高域がグンと伸びてきます。
    低域の動きもはっきりします。
    これだけの効果なら、やらない手はないです。
    ただし、表面塗装を落とす時、思ったより多くの削りくずがでるので、指摘のようによく落とすことが大切です。
    私は、ケースを水洗いして、ドライヤーで水分を落として組み立てました。

  5. 中井康二
    2012年6月24日 at 11:18 AM

    最初にこの記事を見たときに、思わず笑ってしまいました。最後はアンプをテープで巻いてしまうのでは?家の中はエジプトのミイラの館のようになるのでは?「馬鹿じゃないか?」と思いました。しかし、ここがオーディオ狂いの悲しいところ、「馬鹿じゃないか?」という言葉が心の中で反芻しながら、「否、やったこともないのにやってみても良いのでは?」という心が大きくなってきます。
    いろいろと新しい発想をお届けいただきありがとうございます。

  6. yung
    2012年6月24日 at 9:42 PM

    >最初にこの記事を見たときに、思わず笑ってしまいました。最後はアンプをテープで巻いてしまうのでは?家の中はエジプトのミイラの館のようになるのでは?

    全くその通り、でも、やってしまうのがオーディオマニアの性なんでしょうね。
    でも、シンさんヴァージョンの「Voyage MPD」とぐるぐる巻きの私ヴァージョンの「Voyage MPD」を聞き比べてみると、明らかに低域のしまりが違うんですね。地を這うような軽くてしまった低域が聞けるのは私のヴァージョンの方なんです。
    「Voyage MPD」のチューニングに関してはシンさんの方が極限まで絞り込んでいますから、本当はかなうはずはないので不思議な結果です。

    やはり、電磁波吸収材のぐるぐる巻きが聞いているのかなと一応は自己満足はしています。
    ただし、その「音」が好きになれない人もいるとは思いますので、最後は自分の感性でしょうね。

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