可逆圧縮ファイルの音質に関する話題に対して、実に多くのコメントをいただきありがとうございます。このあたりで、とりあえずの中間まとめをさせていただきたいと思います。
聴感的に音質の差異はあるのか?
おそらく100の理屈よりもこれが一番大事かと思います。
そう言えば、この世の中にCDプレーヤーが登場したときに、多くの技術者は「これでオーディオ機器による音の差は消えてなくなる」と豪語したものです。しかし、そう言うデジタル不変の理屈をくつがえしたのは多くのユーザーによる「聴感」でした。だって、明らかにCDプレーヤーの音はアナログに比べると劣りましたし、さらにCDプレーヤーによっても音の差ははっきりと指摘できましたから。
オーディオというのは最終的には「理屈」ではなくて「音」ですから、いくら「データ的には一致」すると言われても聴感的に差異が聞き取れるならば、聴感を疑うのではなくて理屈を疑うのが筋です。
と言うことで、その聴感上の差異なのですが、結論は「微妙」と言わざるを得ません。
私個人としても、何となく違いが指摘できる音源と、全く指摘できない音源があります。そして、違いが指摘できると言っても、その「違い」は非常に微妙な「差」でしかありません。
この事に関しては、「yamameさん」より貴重なコメントをいただきました。
「議論の的となっているflac⇔waveの音源比較ですが、私も聞き比べを実行いたしました。
メンバーは私の妻(大学でピアノを教えております)、友人の音楽エンジニア2名、そしてオーディオ仲間2名、いずれも私より優れた音感、耳を持っております。
テスト形式は、ただのブラインド比較ではなくABXによる、奏者も、どちらの音源を出しているのか解らない方法で、無作為再現により「どちらが音がいいか?」ではなく「違いを判別できるか?」を判定したのですが・・・結果、正解率は30%に満たぬものでした・・・
偶然の正解もあることを考慮に入れると、20%台の正解率は「判別不能」の領域に位置するようです。」
ただ、失礼ながら、この聞き比べに使用した再生システムのクオリティが分かりません。今回のような聞き比べは、再生システムを相当程度に追い込んだ状態でないと判別は難しいのではないかと思います。例えば、普通のWindows PCに簡単なデスクトップの再生システムをつないだ状態では、ほとんど違いは分からないのだろうと思います。
ただ、「yamameさん」の聞き比べは、文面から拝察する限りはかなりのクオリティの再生ステムでテストされたことはうかがわれます。
その意味では、ゴンザエモンさんからいただいたコメントは再生システムもはっきり分かりますので、
「FLAC統一に至る過程で今後膨大なデータを管理する形式が本当に将来にわたりFLACで良いのか、自問し、疑問に思いつつ、相当量の聴き比べも結果として行いました。結論は「可逆圧縮においてデジタル領域での差は認められない」というものです。
可逆圧縮において、「結果としての再生音が丸くなる」というようなことを完全否定するものではありませんが、複数の曲をWAVとFLAC形式で作成し、ランダムに再生させて、いずれの形式であるか、ブラインドで判断してみた当方なりの結果です。」
という結論は重いものがあります。
「Mozartを心地良く聴くためにオーディオの道を尋ね歩いています」というキャッチフレーズからも分かるように、音楽を聴くために再生ステムを追い込んでおられる様子がよく分かります。
しかし、その反面、「やまさん」のように
「FLAC level0とWAVの場合、微妙ですが、はっきり音の違いがわかります。一言で言うと、FLAC level0はクオンタイズをかけたような音で、WAVのほうがのりの良さが感じられます。」
と言うように、違いを指摘される方も少なくありません。
ゴンザエモンさんも、「結果としての再生音が丸くなるというようなことを完全否定するものではありません」とも述べておられますので、結果としてはきわめて微妙だと言わざるを得ないと思います。
再生ソフトの仕様について
ただ、こういう議論をしていて気になったのは、肝心のFLACを再生するソフトが全く不問にされていることでした。これは、非圧縮のWAVEでも再生ソフトが変われば音質は大きく変化します。ですから、本当はこういう聞き比べは再生ソフトを明示した上で行わないといけないのではないかと思いました。(このサイトだと大部分がVoyage MPDだと思われますが・・・)
ただ、一部のソフトでは、再生の仕様が全く異なるものがあることをこのやりとりを通して教えていただきました。
それが、「StealthAudioPlayer(SAP)」というソフトです。
「このソフトでFLACを再生した場合、
「WAVEにデコードしたファイルをカレントディレクトリに置く」→「そのファイルをRAM上に全て読み込む」→「再生する」
という手順となってます。」
このソフトは一昔前に試してみたことがあるのですが、その後随分と仕様が変わったみたいです。
一般的にFLACファイルはメモリの方に少しずつ読み込んで、そこから順次デコードしながらデータを送り出すというのが一般的なソフトの仕様です。その意味では、このソフトはかなり「異色」の存在のようです。
これ以外にも、メモリに読み込んでから再生するソフト(cPlayなど)はありますが、そう言うソフトの場合でも、「FLACファイルをRAM上に全て読み込む」→「順次デコードしながら再生する」という仕様が一般的です。
「StealthAudioPlayer(SAP)」の「iniファイル(設定ファイル)」を見ると、
[Converters]
ape=java -jar Codecsjmacdistributablesjmac.jar d %1 temp.wav
flac=Codecsflac.exe -d -f -o temp.wav %1
mp4=Codecsffmpegbinffmpeg.exe -i %1 temp.wav
m4a=Codecsalac_decoder.exe -f temp.wav %1
mp3=Codecssoxsox.exe %1 temp.wav
aiff=Codecssoxsox.exe %1 temp.wav
aif=Codecssoxsox.exe %1 temp.wav
aac=Codecsffmpegbinffmpeg.exe -i %1 temp.wav
wv=Codecssoxsox.exe %1 temp.wav
となっています。
これを見る限りは、どのようなファイル形式であってもwavにいったんデコードしてからメモリに読み込んでいるように見えます。
実際、試しにこのソフトでFLACファイルを再生してみると、「StealthAudioPlayer(SAP)」をインストールしているディレクトリに「temp.wav」というファイルが生成されるのが分かります。
このソフトを使う限りは、「*.flac」=「temp.wav」ですから、音質的な差異は絶対にないといえます。
しかし、これ以外の一般的な再生ソフト(MPDも含めて)では、FLACはリアルタイムでデコードしてリニアPCMに戻しつつ再生する仕組みになっています。ですから、このような再生の仕様の違いは結果として音質面に大きな影響を与えるのではないかと思われます。
ですから、音質の差異に関する論議はそのような再生ソフトの仕様を前提にしないと話がこんがらがってしまいます。
おそらく、FLACファイルの再生に関しては「StealthAudioPlayer(SAP)」のような仕様が最も望ましいと思われます。でき得れば、このような仕様がその他の再生ソフトにも広がっていくことを期待したいと思います。
しかし、当然のことですが、再生ソフトのクオリティはこのような一部の仕様だけで優劣が決まるものではありません。ですから、この「StealthAudioPlayer(SAP)」と言うソフトが最も素晴らしいソフトだと言うつもりは全くありません。
しかしながら、少なくともWindows PCをメインにして、なおかつFLACをメインにライブラリに構築したい人ならば一押しの再生ソフトだと言うことは間違いありません。
もしも違いが出るとしたらその理由はどこにあるのか?
このように見てくると、少しずつ問題のありかが見えてきたように思います。
もう一度繰り返しますが、一般的な再生ソフトではFLACはリアルタイムでデコードしてリニアPCMに戻しつつ再生する仕組みになっています。
おそらくは、聴感上の「微妙」な違いがあるとしたら、その理由は「リアルタイムでデコードしてリニアPCMに戻しつつ再生する」というあたりに存在するのではないかと思われます。
そこで、いただいたコメントが「やまさん」からのものでした。
「単なる思いつきですが、
FLACは可変ビットレートなので、ビットレートは再生時に常に変動しています。したがって、デコード時の負荷も一定ではなく、常に変動していると思われます。これが音の違いに影響しているのではないか?というのが思いついた内容です。」
このビットレートの変動は「Gnome Music Player Client(GMPC)」で再生させれば簡単に確認できます。
ビットレートは「Format」のところに表示されるのですが、この場合だと500~800の範囲でかなり激しく変動しています。
この事はゴンザエモンさんの「何かが変われば音は変わります。」という言葉に示されているように、それがいかにデジタルの領域であっても、このような変動がアナログ部に対して何らかの影響を与えるのではないだろうかという「仮説」は立てられるのではないかと思います。
そして、これもまた直感的な域を出ませんが、このビットレートが最初からかなり低い音源(古いモノラル録音など)の場合は、何となく違いが指摘できるような気がします。それから、ビットレートが大きく変動する音源も、思いこみがあるのかもしれませんが何となく音が丸くなるような雰囲気は否定できません。
実は、このサイトのFLACデータベースで公開しているFLACファイルは少しでもファイルサイズを小さくするために最大限に圧縮をかけています。もしかしたら、これは音質的にはかなり不利なのかもしれません。
ただし、何度も繰り返しますが、かなりの再生システムで聞き比べてみてもその違いは聞き分けられるか否かの境界線上です。普通に音楽を楽しむというレベルならば基本的には無視しても差し支えない範囲であることは間違いありません。
とりあえずのまとめ
いつもいつも、結局は「とりあえずのまとめ」の域を出ないので申し訳ないのですが、それは未だにデジタルの世界は奥が深いと言うことなのでしょう。
- Windows PCがメインの人ならば、安心してFLACでライブラリを構築して「StealthAudioPlayer(SAP)」で再生しましょう。
- Linuxがメインの人ならば、道は二つです。
- タグ情報が使えなくてもそれほど不便は感じないと言う人は非圧縮のWAVEファイルでライブラリを構築しましょう。
- タグ情報が使えないと不便で困るという人は、このあたりでFLACに乗り換えた方がいいかもしれません。
WAVEかFLACかという選択肢は、かつてはそのファイルサイズが大きなポイントだったのですが、HDの大容量化と低価格化が一気に進んだおかげで、その問題は本質的な問題ではなくなってきました。
おそらく、WAVEかFLACかという選択肢の今日的課題は「タグ情報」が使えるか否かに移ってきています。そして、このタグ情報をめぐる課題に関しても今回多くのコメントを寄せていただきました。
私も全く知らなかった貴重な情報も多かったので、次回はそのあたりをまとめてみたいと思います。
そして、このタグ情報の取り扱いをめぐる動きによっては、「FLAC vs WAVE」にも動きが出るかもしれません。
個人的には、WAVEで日本語のタグ情報が使えるようになれば、問題なくWAVEでライブラリを構築したいと思います。
こんばんは。
圧縮の復元処理に伴うCPUの負荷変動に何らかの鍵があるかも、という説はかなり深みにはまってしまうテーマではないでしょうか。(それもまた楽しみの一つとも云えるのですが)
CPU負荷の変動は当然ながら電源状態に影響を与えると思えますし、それによりデジタル出力となる信号の送り出しに何らかの「ゆらぎ(ジッター?)」を発生させている可能性は確かにあるのかもしれません。このゆらぎがジッターの発生だとすれば、原理的には皆無にはできませんが、比較のための計測は可能だと思います。ただし、当方はこの領域は素人なのであくまでも推量の域を出ませんので、詳しい方のご意見を待ちたいと思います。
振り返って、当方の再生環境ですが、FLACであれ、WAVであれmpd.confの指定により
24bit/96KHzへのアップサンプリング処理を行わせています。(その後は、XMOS USB Audio 2.0にてS/PDIFへ変換し、さらにデジタルイコライザを経由してからDACに入る、という少し長い信号パスになっています)CPUの負荷変動による変化の要素があるとすれば、おそらくは圧縮の復元処理そのものよりもアップサンプリング、ビット数拡大の処理の方が負荷がかなり高いと思いますので、当方のPC環境ではFLACでもWAVでもそれなりの負荷が発生してしまっていることになります。この為、純粋に考えればCPU負荷の差から生じるFLACとWAVの聴き分けが出来る環境になっていないことになりそうです。(現実にそういう状況なのかもしれませんが)
従って、この観点に絞って、もう少し比較試聴してみる必要があるかもしれません。ただし、当方の現在の環境ではデジタルイコライザを24bit/96KHzで通過させる方が好ましいため、アップサンプリングをせずに44.1KHzで送り出すことは常用環境にはなり難い状況ですが。
すみません、ちょっと書き忘れたので追加します。
当方のPC環境はちょっと古い型のAMDの2.8GHzデュアルコアCPUです。なお、TOPコマンドにて、Voyage MPDにて再生中のCPU負荷を確認いたしましたが、FLAC、WAVともアップサンプリングさせているせいなのか4%台のCPU使用率で、ほとんど変動が無くほぼ一定していました。
ゴンザエモンさん、フォローありがとうございます。
やはり可逆圧縮をめぐる音質の問題は、リアルタイムでデコードしながら再生するソフトの場合はかなり微妙な問題を含んでいるようです。
おそらく、MPDにも「StealthAudioPlayer(SAP)」のようにデコードしてからメモリに読み込んで再生するという「仕様」が組み込まれれば安心してWAVEからFLACへ移行できそうな気がします。ただし、そうなると「ALIX.3D2」のような一枚基盤だとメモリが足りなくて上手く動作しなくなる可能性がありますので、そのたらいは痛し痒しでしょうね。
有名な「かないまる」のオーディオ・ビジュアルQ&Aの最新記事に、「楽曲をコピーするたびに音質が変わるのはなぜですか。」という質問に対して、とても興味深い解説がなされています。FLAC と WAV の音質の違いを扱ったものではありませんが、この解説の中にもヒントとなるものがたくさん含まれています。PCオーディオファン必読の記事ですね、これは。
オーディオ・ビジュアルQ&Aの最新記事を読んで見ました。
個々の事象については正しいことも書かれているようですが、全体を通すと???ばかりで理解できませんでしした。
仮にファイルをコピー或いは移動(WAVファイルを別のHDDにWAVファイルのままコピー或いは移動等)する度に音質が変わるとすればバックアップ等は(音質の維持と言う観点に於いて)出来なくなりますが、その点皆さんはどうお考えですか?
或いは同じHDD内でのコピー或いは移動でも音質が変わるとすればどうするおつもりなのでしょうか?
正直な所を申しますと私には
「オーディオの分野に不変性或いは完全性的なモノを求めていながら同時にそれが達成されそうになると否定しようとする」
ようにしか見えないのです。
>「オーディオの分野に不変性或いは完全性的なモノを求めていながら同時にそれが達成されそうになると否定しようとする」
どうもデジタルオーディオというものを概念だけで理解して、実際に再生が行われる場合の問題を理解されていないような気がします。
データがデジタルでまったく同じものであっても、その処理はアナログ回路上でアナログ的な手段で行われます。
実際のオーディオ再生では、厳密な意味で
データ=再生音
とはなりません。
例えば、デジタル再生につきもののジッターはアナログ量そのものであり、これを完全になくすことは不可能であるとされています。したがって、同一データを再生してもそのプロセスに違いがあれば、ジッターなどに影響が出てて再生音に違いが出るということが、実際には起こります。
デジタル再生であっても、実際に我々が聴く音はアナログ的な要素に大きく影響を受けるのが現実であり、FLACとWAVの違いも、実際に耳で聴いて違いを検知できるかどうかを無視して厳密な意味で考えると、再生のプロセスが異なる以上再生音も異なるはずであると考えるのが妥当ではないかと思います。
コピー元とコピ先データの音質も同様で、だからこそプロの現場では、小泉氏の著書にあるように厳密な世代管理を行うのが当然とされているのだと思います。
FLACとWAVについては、実際に我々が音楽を聴く場合は、何かが変われば必ず音も変わるであろうことを踏まえたうえで、
聴覚上違いを感じないから無視する
違いを感じるからWAVにこだわる
違いがあってもタグ情報のメリットを優先する
容量を優先する
など、再生環境によって人それぞれの対応になるのが当然の結果と思います。
「オーディオの分野に不変性或いは完全性的なモノ」は理想ではあっても、現実にはあり得ないことであり、静的なデータではなく、音楽という動的な対象をデジタルで処理する場合の限界だと考えています。
再生のプロセスの違いで最終的に出てくる音に違いはあれど、
大元であるソース(=データ)の段階での違いや差は無いでしょう。
ストレージに保存されているデジタルデータの最小単位はバイナリであって
それより細かい「浮動的な要素」は無いものと思われます。
あくまでそのソース(=データ)をオーディオ的処理を通す時の差によって最終的な音の差が生まれるのであって、
「処理前のデータ」自体は同一と考えます。
>コピー元とコピ先データの音質も同様で、だからこそプロの現場では、小泉氏の著書にあるように厳密な世代管理を行うのが当然とされているのだと思います。
これは何か裏付けがあって行われている慣習ではなくて、
単に儀式的なモノだと考えます。
「聴覚」だけの判断ではどうやっても「裏付け」足りえません。
>「オーディオの分野に不変性或いは完全性的なモノ」は理想ではあっても、現実にはあり得ないこと
この点については同意します。
仮に再生する為の機材や再生ソフト等の環境が同一で、唯一の違いが
再生する音源が「CD→WAVE」のWAVEと「WAVE→FLAC→WAVE」のWAVEという部分の場合(或いはあるHDD内のAというディレクトリからBというディレクトリにWAVE→WAVEでコピーした場合)
でも音は違うと主張するのであれば、その事を聴覚だけではなくて論理的に或いは明文化された根拠を示してするべきであって、
聴覚のみを音が違う事の裏付けとして主張するのであれば、それは都市伝説として扱われるべきです。
そしてこのコラムに於いては「論理的に違いを示されなければ『無いもの』とする」のが主目的であった筈です。
再生処理(デコード等)の違いによる音の差は否定しません。
再生する前にWAVEにデコードしてその後にRAMに読み込みそして再生するという仕様であるSAPに於いては元となる音源がWAVEであってもFLACであっても音は同一だと言う訳です。
デジタルはアナログ量をある閾値で比較して上なら1下なら0としたものに過ぎないという説明から、何となく「デジタルでもアナログ的に値が変わるのかも」と想像してしまうと大きな間違いを犯します。
この延長線上に、USBケーブルによって音が変わるとかという世界がある様に思います。ケーブル販売屋さんが良く使うレトリックですね。
デジタル信号やデジタルデータはあくまでデジタルの世界で論ずるべきではないでしょうか。
どう考えても、コピーやディレクトリの移動でデータが変わることはありえないことだと考えています。
>これは何か裏付けがあって行われている慣習ではなくて、単に儀式的なモノだと考えます。
そうでしょうか? 詳しくは小泉氏本人に確認してみなければわかりませんが。聞いてみたところで、おそらくは当の本人も理論的根拠などはきっと説明できないでしょうけど。
しかし、趣味ではなく、コストやあらゆる制約のなかで長年仕事をしているプロたちが、単に儀式的なものとしてそんな面倒なことを実行するでしょうか?
「デジタルはコピーしても変わらないという暗黙の了解のような決まり事があります。データ上で見ると確かに違いはありませんが、音を比較してしまうとフレッシュさみたいなものが明らかに違うのです」
とその道の「職人」が明言していることを、自分の頭で考えて理論的根拠が理解出来ないないからといって、一蹴する気には到底なりません。
オーディオに限らず、どの分野でも理論で説明できないことなどいくらでもあるわけで、たとえ理論的根拠が不明であっても、長年の経験に基づく知見であればそれは一応尊重すべきであると私は考えています。
コピー前後のデータの違いも、実際に音の違いを感じる人がいる以上、バイナリ以外の何らかの要素が違っているのではないか? と疑問を持つことから、本当の理解が深まっていくのではないでしょうか。
仮に同じデータのコピーでも音が違うのが事実だとしても、
最終的に音が出るまでの過程は全て物理現象なのですから
「違う音に聴こえたんだ」という主張だけではなくて客観的な事実として明示する事が出来る筈ですし、また明示しなければなりません。
それも無しに「違いがある」という事を肯定しろと言われても無理があります。これは「職人」に言われても同様です。
また、オーディオの世界に於いて、大袈裟な表現ではありますが
「現代の科学技術をもってして解明出来ない領域がある」
という事自体が疑問なのです。
>自分の頭で考えて理論的根拠が理解出来ないないからといって
そもそも、「職人」はその「理論的根拠」を示していません。
あくまで「そう感じる」と言っているのみです。
果たして二重盲検法の上でも聴き分けられるのか?とも思うのです。
そして、くどいですが「論理的に違いを示されなければ『無いもの』とする」と私は考えているのです。
「職人」の意見そのものを軽視するつもりは毛頭ありませんが、
その意見を裏付ける客観的事実が無い限りは到底受け入れられません。
誤解のないように申し上げておきますが、今の段階で私はコピー前後のデータで必ず音が変わると主張しているわけではありません。
そんな話をつい最近知って驚いたというのが本当のところで、これから自分の環境で実際に試してみようと考えているところです。ここで根拠を示せと言われたら困りますが、異なる可能性は十分ありうるとも感じています。
>「論理的に違いを示されなければ『無いもの』とする」と私は考えているのです。
>その意見を裏付ける客観的事実が無い限りは到底受け入れられません。
そんなに力まなくてもいいのでは(笑)。
>そんなに力まなくてもいいのでは(笑)。
そう書かざるを得ない程、現代文明を支える情報技術に対する謂れ無き偏見のように思います。
とあるレコードレーベルは作品をプレス工場に納品する場合
「LANネットワークを介したデジタルファイル納品より一旦Rに焼いたディスクで納品したほうが音が良い」
と明言しているそうです。
「LANを通っている間に音質が劣化する」と言うのです。
データ伝送時のジッタの事を指しているのかとも思いましたが、再生時の事ではないようなので
単なる「ファイルコピー」の話だったのです。
一方で同一HDD内でのファイルコピーでも音が違うと明言する人も居るのに、
それよりもファイルコピー時に阻害要因がありそうなコピー方法の方が
「音質的に優位」というのは如何なのでしょう?
勿論2つの意見は同一人物のものではありませんが、
音楽の製作現場でこのような「技術的・科学的裏付けのなされていない慣習」が横行していると考えると、
正直言って頭を抱えたくなります。
そしてこの方はおそらく、納品に使うモノをUSBメモリなど半導体メディアに切り換えたとしても、
今度は「USBメモリによっても音が違う」と主張するでしょう。
あくまで憶測ですが。
彼らは確かに「音楽製作のプロ」ではありますが、「情報技術のプロ」ではありません。
彼らの「音が違うと感じた」という意見を「大本営発表」的なモノとして受け入れる一部ユーザーの存在にも戸惑います。
兎に角、「技術的・科学的・論理的裏付けの無い主張」は「都市伝説」として切って捨てるべきだと考えます。
ソニーの技術者であるかないまる氏が自身のHPで、このようなことを書いていたのをよく覚えています。
「理論的に説明できないことは絶対に認めないと言って会社を去っていった人もいるが、そういう人は技術者としては大成しなかった」
また「大本営発表」ですか…。
「違うと主張するのであれば根拠を示せ」というだけの話に一体何の疑問を抱いているのでしょうか?
少し皆さん熱くなってきているようですので、このあたりで少しクールダウンしましょう。
おそらく、この問題はオーディオだけに限らず、昨今の科学とオカルト(超能力)などをめぐるより幅広い問題を背景に持っているのではないかと思います。
例えば、「あなたは超能力を信じますか?」と言う質問に対して、半数を超える人が「信じる」というような状況が今の社会には存在します。
その背景には、「無知」もあるかとは思いますが、それよりは「近代科学」に対する不信が幅広く横たわっています。そして、そのような「不信」を生み出す一つの要因として、「科学」だけではどうしようもない今の社会の閉塞状況があるのだろうと思います。
しかし、そのような閉塞状況から生み出される「反科学的」なオカルトがどのような恐ろしい事態を引き起こすのかと言うことは、たとえばオウム真理教をめぐる一連の出来事で、私たちはいやと言うほど見せつけられたはずです。
しかし、その反面において、「科学的にはあり得ない」という木で鼻をくくったような対応が、科学の進歩に大きな障害になったと言うことも率直に認めなければなりません。それは、地動説をめぐる宇宙モデルの話など、いくらでも例を挙げることができるはずです。
ですから、私たちに必要なのは、まずはオカルトにだまされない「知性」と「精神」がまずは必要でしょう。
私が、この都市伝説を取り上げたのは、昨今のPCオーディオの世界にもこのオカルト勢力が侵入を試みつつあるという事実を何とかしたいと思ったからです。どう考えても理屈に合わないような商品をとんでもない価格設定で堂々と売り出す業者が雨後の筍のように現れてきています。
特に酷いのはケーブルの世界ですが、こういう輩には徹底的に批判を加える必要があると思います。
しかし、その反面において、デジタルの世界というのは、私たちが最初に想像したよりは割り切れた世界ではないのかもしれないという思いが広がりつつあるのも事実です。
それは、CDの規格を決めたときの「人間の耳は2万ヘルツでしか聞こえない」という前提がいかに誤ったものだったかという事からもうかがわれます。これだって、最初は「蝙蝠じゃあるまいし」などとさんざん批判されたものです。しかし、今やハイレゾ音源の優位性を否定すれば逆に批判の対象になってしまいます。
どうやら、人間の「感覚」というのは、単純に数値で表現しきれるほどに単純でもなければ鈍くもないようなのです。それは、よく言われる「女のカン」だけの話ではないのです。(あれは、実に恐ろしい・・・^^;)
ですから、人間の聴覚は馬鹿にしたものではないという思いがあります。
ですから、人間の聴覚で違いが否定しきれないときには、とりあえずは「現在の理論では説明できないけれど、もしかしたら今後の展開で明らかになるかもしれない」と言うくらいの度量でサスペンデッドにしておいてもいいのではにないかと思います。
そして、そう言うときに、その聴覚が「勘違い」であれば、きっと時間の流れの中で淘汰されていくのではないかと思います。
逆に、淘汰されなければ、それは今一度本腰を入れて「何故」かを探る価値があると言うことになるのではないでしょうか。
『単にHD間でコピーしただけでも音質が劣化するので、プロの世界では厳密に世代管理している』という話は、最初読んだときは目が点になりました。しかし、そう言うプロの耳では音質の違いが指摘できるというのであれば、それはそれでサスペンデッドにしておけばいいと思います。
そして、時間の経過とともにそう言うことが消えていくならオカルトでしょうが、依然として継続されるならば、一度は腰を据えて探ってみる価値はあると思います。ただし、ハードディスクレコーディングの歴史はPCオーディオの歴史などよりははるかに長いですから、やはりたんなる「儀式」と切って捨てるには躊躇いはあります。
ただし、「何度コピーしても音質が劣化しません」なんて言う商品が出たら、それは切って捨てるべきでしょう。サスペンデッドの間は、その問題に関わる「改善商品」はオカルトとして排除するというスタンスは必要かと思います。
ですから、
(1)明らかに理屈に合わないインチキ商品に関しては徹底的に批判しましょう。
しかし、
(2)人間の聴感上、違いが感じ取れる(感じ取れる人が一定数いる)が理論的には説明しきれないことに関してはサスペンデッドにしておきましょう。
そして、
(3)現時点では「分からない部分がある」という度量を持ちましょう。
ただし、
(4)その事に関する「改善を訴える商品」に関しては排除しましょう。
くらいのスタンスで望みたいと個人的には思っています。
それから、最後に管理人としての思いですが、できれば『通りすがり』というようなハンドルネームは避けていただければ有り難いと思います。
皆さん、ネット上できちんと存在が特定される人格性を持ったハンドルネームで論議に参加していただいています。Facebook等にも代表されるように、これからのネット社会では匿名性のもとで交わされる情報には価値を認めない方向で進んでいくかと思われます。
もちろん、日本の風土の元では実名でやりとりするにはハードルが高いと思われますが、できればネット上での一つの人格に結びつけられるハンドルネームで情報を発信していただけると幸いかと思います。
ユングさん
非常にリーズナブルな見解だと思います。
仕事なら何処かで線を引いて深みには嵌らないようにするのですが、趣味だとどうしても自己規制が掛けられず暴走してしまいがちな点を反省することしきりです。
以下のようなことを想像しました。みそは、マスター音源を製作する過程で、不安定動作が起こったときは、聴感で判断して、やり直しが行なえる、ということです。
1 HDDへの録音に、安定動作と不安定動作があるとする。不安定動作でも静的データにはまったく問題はない。
2 録音が安定動作で行なわれた場合は、再生音からのりや気持ちが伝わってくるとする。逆に不安定動作の場合は、伝わってこないとする。
3 不安定動作の場合、のりや気持ちが伝わってこないので、再録音することになる。安定動作で録音ができるまでやり直すことになる。
4 そのようにして録音しミックスしてマスター音源が完成する。各トラックが安定動作なので、ミックスも安定動作し、完成したマスター音源も安定動作で保存されるとする。
5 ファイルのコピーにも、安定動作と不安定動作があるとする。不安定動作でも静的データにはまったく問題はない。
6 マスター音源をコピーすると、場合によって、不安定動作のコピーになる。不安定動作のコピーからは、のりや気持ちが伝わってこない。
7 結論として、コピーの世代間に音質の劣化がある、となる。
議論を始めるには先ず
「安定動作と不安定動作の違いに於ける『静的でない』データでの違い」と
「のりや気持ち」の正体を明らかにしてからだと思われます。
このスレのテーマは「可逆圧縮ファイル」だったのに、いつのまにかコピーの話にすりかわってしまいましたね。その責任をとって自分なりの結論をまとめてみます。
最初に「コピーすれば音が変わる」と聞いたときには、それが事実ならPCオーディオなんてやってられない、とも思いましたが、冷静に考えて見れば実際にALIXでも使用するコンパクトフラッシュ(CF)によって音は変わってしまうんですね。手元にあるメーカーの異なる2種類のCFを同じ条件で使用してみると、明らかに一つのほうが高音質でもう一つはノイズっぽい音がします。こんな経験はオーディオいじりにどっぷりはまっている人にとっては、おそらくよくあることだと思います。
であればひょっとすると、と考えて、これは頭であれこれ考えるよりもまずは実際に検証してみよう。1回程度のコピーでは違いはほとんどわからないだろうから、数百回コピーを繰り返したデータで比較してみよう、と昨日の夜あらためて例の「かないまる」ページをじっくり読み返してみると、こういうことではないか、と自分なりに理解できました。
「デジタルデータであろうと完璧なコピーは不可能であって、コピーしたら(波形が)変わってしまう。波形が変わっても読み取られるデジタルデータに変わりなないが、そこに時間的なずれが生じる。だから、再生音質がその影響を受ける。ただし、書き込みの方法によってはそれを後からほぼ完全に修復することも可能である。」
デジタルデータがメディアに書き込まれるときに実際の書き込まれるのは、完璧なデジタルデータではなく、実は0と1を模した単なるアナログ波形(おそらくオシロスコープで見られるような波形)であって、その波形をコピーすると、コピー機で文書をコピーするのと同様、さまざまな外乱要因によって波形を完全に同じ形でコピーすることは不可能である。その程度はPCシステムの性能に依存する。しかし、その波形を読み込むときは、しきい値によって0と1に還元されるので、文字や数字などの時間的要素を持たない静的なデータであれば、(異常な波形でないかぎり)どんな波形であっても「結果として」完璧な同一データとして再現される。だから「デジタルだからコピーしてもデータは不変(劣化しない)」が成立する。
ところが、音楽データの場合は記録された波形を読み込むときに、波形に崩れがあると、0と1が切り替わるときのタイミングに微妙なずれが生じてしまう。したがって、静的にみるとまったく同一の0と1のデジタルデータが再現されていながら、それを動的に再現するときの時間的なずれが音の違い(劣化)となって現れる。
しかし、LANや外部WANを通すと、新たなクロックでデータが書き込まれるため、波形の崩れが(完璧ではなくても)修復される。
かないまる氏が言っていることは以上のようなことではないかと、自分なりに理解しました。
結局のところ、デジタルの本質は「擬似アナログ」であって、そう理解すると、これまでも自分の経験としてデジタルでは電源が重要であるとか、ノイズ対策が肝であるというのを実感してきましたが、合点がいきます。リッピング用ドライブのクロック交換は、効果があるという話は知っていましたが、今までは意味が無いのではないかと躊躇っていました。やはりこれも重要なポイントであるということですね。リッピングデータから汚れていたのでは話しになりませんから。
以上、素人の理解なのでまったくの誤解かもしれません。詳しい知識をお持ちの人がいたらぜひ本当のところを教えてもらいたいですね。
みなさんはあの内容をどう理解されましたか。
デジタルデータのコピーについて「同じデジタルデータでも文字や映像などの目で見るモノだけ完全性が成り立って、音声だけはその限りではない」
という事の根拠が今もって疑問です。
そもそも、音声データのコピーは「バイナリのコピー」であって「波形のコピー」ではありません。
nino on さん
まとめはすでにユングさんがなさっていると思うので、気にすることはないと思います。そろそろお終いにしましょうよ。
スルーレートさんが要求するのは識者による裏づけとなる計測結果でしょうから、ここでは元々無茶というものでしょう。せいぜい我々にできるは、試聴ぐらいしかありません。
アナログとデジタルの理解は私も同様に考えています。ただ、HDDからHDDへのコピーにしても、途中の各フェーズにクロックがないわけではなく、その都度修復は行われていると思います(個人的には、LANの修復機能が高いとは思いませんが・・ 笑)。
>コンパクトフラッシュ(CF)によって音は変わってしまうんですね。
安っぽいメディアはなんだかノイズっぽいことが多いですね。
メディアの再生音を正確に評価することは、実際にはとても難しい、と思っています。大抵のメディアには、読取部分の他に電源部分やコントロール部分があり、純粋に読取部分の音を評価できないからです。同じ機種であっても個体が異なれば同じ音とは限りませんし、厳密には記録位置が異なればセルや磁性体の状態も異なるでしょうし、読み取り動作が同じとも限りません。なので、なるべく大雑把に考えるようにしています。プロじゃありませんのでね (^^;;
HDD間のコピーに関しては、かないまる氏と同様?に、あるような気がするけど、あまり気になる範囲じゃないみたいだから、気にしない、ことにしています。リッピングにあまり気を使っていないのも同様の理由です。
最終的に再生に使われる媒体に興味があります。再生側に比べれば、取り込み側の問題は小さい、と思うんですね。
スルーレート さん
結論は出ていないと思うのでご不満かと思いますが、いちおう、ジッターの違いがDACで発現する、と考えています。あるDACチップのクロックジッターとダイナミックレンジの表を挙げておきます。P5です。
http://www.zaikostore.com/zaikostore/jsp/pdf/productData/PCM1744U.pdf#search=%27clock%20jitter%20db%20dac%27
>音声データのコピーは「バイナリのコピー」であって「波形のコピー」ではありません
ごもっともです。
でも、各フェーズで、コピー元のジッターがコピー先のクロックを揺する、とは考えられませんでしょうか?
私に言えるのはこの程度です。たぶん反論もおありになるでしょう。私も不案内ですので、スルーレートさんとこの先お相手するは難しいと思いますので、ご勘弁下さい (^^;;
いづれはどなたかが解明して下さることを願っています。が、私の寿命が尽きるほうが先かな(笑)。
コピー元のジッターがコピー先のクロックを揺すっても記録されるバイナリ値は変わりません。
その程度の外乱でバイナリ値が変わるなら記録デバイスの信頼性という点で失格です。ハードディスクも固体メモリデバイスもそんな点はクリアしているからこそ広く使われている訳でして。
どうしても変わるに違いないという結論ありきで色々原因に出来そうなものを探しても虚しいだけのように思いますよ。
変わって聞こえるなら自分にとってそれは真実ですし、他に同意を求める必要もないでしょう。
ユングさん、
この件これを最後にROMに徹することにします。
重ねて失礼しました。
>そもそも、音声データのコピーは「バイナリのコピー」であって「波形のコピー」ではありません。
「波形」のコピーといっているのは、「音声波形」のコピーのことではありません。ここでいう「波形」とはバイナリデータが実際にHDDなどに記録される形態のことであって、「バイナリデータ」の実体のことです。
バイナリデータの完璧なコピーが現実の環境では不可能であるため、結果としてスイッチング(0→1)のタイミングのずれが生じてしまうということがキーポイントで、それがわかればすんなり理解できると思うのですが…。
音声はバイナリデータとそのタイミングの両方が完璧で始めて完全に再生されますから、データだけが同じであっても、データの読み取り時にスイッチングのタイミングがずれてしまうため、同じ音にはならない、ということです。
いずれにしても、かないまる氏自身が「そんなに気にする必要はない/気にしていない」と言っているとおり、それこそ数百回コピーを繰り返さないかぎり、現実には気にするほどの差は出ないと思います。
しかし、この問題についてじっくり考えたことで(誤解していなければ)、自分の中ではデジタルの高音質化のポイントが非常に明確になりました。早速暇を見つけて作業開始です。まずはALIX基板とPremiumU2の改造ですね。傍から見ると「音楽を聴きたいんだか機械を弄りたいんだかよくわからん」ような人間なもので(笑)。
>コピー元のジッターがコピー先のクロックを揺すっても記録されるバイナリ値は変わりません。
当然です。そうでなければデジタル技術そのものが成立しません。しかし、バイナリの一致はタイミングの一致までも保証するものではありません。したがって、音質の一致も保証されません。
HDD間コピーの話だったのでこういうことになりましたが、同じように、デジタル的には同じだけど再生音が異なる事例は、よく耳にされていると思います。
・CD再生とファイル再生(いわゆるPCオーディオ)
・普通のPCとvoyageMPD
などなど。
ま、取り込み側と再生側では事情が違うという方もいらっしゃるでしょうけど・・。
コピーで音が変わる、って可能性は否定しません。が、ソニーのエンジニアと名乗る方が、どうしてあのような噴飯ものの理由付けをするのか理解できないですね。
もしかして、紙のコピー(コピーした紙を使ってコピー・・と繰り返すと画質が低下する)と区別がついていないのかとも思われます。
HDD->HDDであれLAN->HDDであれ、少し分解すれば HDD/LAN -> メモリ –(プロトコルに従って転送)–> HDD なので、双方にジッターの違いなどは出ません。
むちゃくちゃな理由付けは、デジタルオーディやPCオーディオの発展の害になると思います。
ユングさん、皆さん。はじめまして、Quienと申します。
HDDからHDDへのコピーで音質が変わるか?ということですが、
コピー元とコピー先のHDDのスペックが変われば
再生時の音質が変化する要因になると考えています。
扱っているデータはデジタルなので変化しませんが、
HDDが異なると消費電力に差は出ます。
主要HDDメーカーのHPを見ていただければわかるのですが、
同一メーカーのHDDでも回転数やプラッタの枚数等の
スペックが変われば消費電力に違いが出ます。
カタログスペックで数ワット程度の差になりますが、
消費電力が変わるのでオーディオシステム全体への
電気的な負荷や、アナログ系の電源にも多少の違いが
生まれるのではないかと考えられます。
つまり、デジタルデータは変化しないけれども、
周りのハードウェアが変化することで消費電力が変化して
最終的に出力される音が変化するのではないでしょうか。
私はこれが同じデジタルデータを再生しているのに
出力される音が違う原因の一つだと考えています。
>もしかして、紙のコピー(コピーした紙を使ってコピー・・と繰り返すと画質が低下する)と区別がついていないのかとも思われます。
いや、紙に書かれた文字をなぞってコピーするようなことが実際には行われていると考えます。デバイスの動作レベルで現実的に考えれば、それ以外にデータをコピーする方法はありませんから。
かないまる氏の記述を理解するポイントは、
「デジタル記録の本体は実はアナログ波形であることを理解すれば、現象が理解できると思います。」
というところにつきると思います。逆にいうとここのところが理解できなければ、理解するのは困難だと思います。
我々一般のユーザーにとって、デジタルというと即「0と1」という単純な概念で考えがちですが、それはあくまで理論の世界の話であって、実際に機器の中で動作しているデバイスレベルで考えると、そんなに単純なものではありません。その最大の理由は、デジタル回路を構成しているデバイスが実はすべてアナログ部品であって、本来はアナログ動作しかできない、というところにあります。
USBケーブルの細い銅線の中を実際に0と1が流れていると思っている人はまさかいないと思うのですが、デジタルデータの実体はよく知られているとおり、0と1を不連続な低電圧と高電圧の切り替えで表したものです。そのため、アナログ素子に無理やり0と1を瞬時に切り替えるデジタル動作(実際には電圧の切り替え)をやらせるわけですが、アナログ素子の限界で電圧レベルが瞬時には切り替わらず、ある程度の時間をかけて連続的な電圧の切り替えが行っているのが実状です。したがって、現実のデジタル波形は理想的な矩形とは程遠い、正弦波をぐにゃぐにゃにたたきつぶしたようなアナログ波形になって、それがアナログ処理によって書き込まれ、読み取られているのが実状です。つまり、デジタル回路の実体は機器内部のデバイスレベルで見ると実はアナログ回路であって、アナログ動作が行われているにすぎないということです。
それであっても、外的な諸要因が設計時に想定された一定の範囲に収まっている限り、デジタルの仕組みで不完全なアナログ波形からでも完全な0と1が再現されるため、当たり前のことですが、普通にPCを使っている限りユーザーがそのような問題を意識させられることはありません。ところがオーディオとなると、電源を変えたら音が変わるとかケーブルを変えたら音が変わるとかいったことを我々は当たり前のように経験しています。
なぜ、オーディオの分野でこのようなことが起こりうるのか、それは、音楽再生特有の問題として、(1)何よりも音楽再生が時間的要素を伴うものであり、(2)再生の過程で微小な差異がアンプによって大きく増幅され、(3)人間の聴覚が極めて鋭敏であること、などが絡んでいると個人的には考えています。もしデジタル回路がデジタル部品で構成され、波形が理想的な矩形で、完璧なデジタル処理が機器の内部で実現されているなら、30年前に信じられていたように、デジタルではやはり何をやっても絶対音は変わらないはずです。
コピーによって音が変わることの要因について、かないまる氏が具体的に解説していますが、その詳細についてあれこれ論じるほどの知識を私は持ち合わせていません。しかし、デジタルの現実がアナログ回路上でアナログ処理によって成立していることを理解すれば、荒唐無稽な内容であるとは思いません。
小難しい理論は別にして素人ユーザーの立場から単純に考えても、「ケーブルで音が変わる」、「電源で音が変わる」、「メディアによって音が変わる」、「コピーしても絶対に音は変わらない」というほうがむしろ矛盾しているように思うのですが
>音楽再生特有の問題として、(1)何よりも音楽再生が時間的要素を伴うものであり、(2)再生の過程で微小な差異がアンプによって大きく増幅され、(3)人間の聴覚が極めて鋭敏であること、などが絡んでいると個人的には考えています。
この事は、「再生時ではない」ファイルのコピー・移動には関連しませんよね。
まさか「ファイルのコピー・移動」という過程が「再生」の過程と同様だと仰るのでしょうか?
>そのため、アナログ素子に無理やり0と1を瞬時に切り替えるデジタル動作(実際には電圧の切り替え)をやらせるわけですが、アナログ素子の限界で電圧レベルが瞬時には切り替わらず、ある程度の時間をかけて連続的な電圧の切り替えが行っているのが実状です。
「ファイルのコピー・移動」に於いて「ジッター」は発生し得ません。
>「ファイルのコピー・移動」に於いて「ジッター」は発生し得ません。
そうなんですね。
デジタルデータを現実の「音」に再生する過程では、それこそいろいろな要素が介入するので、「デジタルだから音が変わらない」というのはあり得ないだろうなと思っていました。
しかし、私がこの話を読んで目が点になったというのは、「デジタル to デジタル」という過程を経るだけで「音」が変化するというのは、どう考えても「あり得ない」と思ったからです。
しかし、現実問題としてプロの録音現場では長年の習慣として「世代管理」がなされていて、そして、そう言うプロの連中が音の差異を「無視できない」と感じているならば、それもまた「理論的にはあり得ない」と言うことで切って捨てるのには躊躇いがありました。
ですから、以前述べたようなスタンスでサスペンデッドにしておこうと思った次第です。
ただ、個人的には「あり得ないだろう」という思いは95%程度です。(^^;
HDの品質の差異についても言及されていますが、それならば同じHDの間でコピーすれば問題は解消するように思います。
とは言え、我らは「全てを知り尽くしている」わけではないので、この辺りでサスペンデッドにしてはいかがでしょうか。
とは言え、ここに至るまで多くの知見が交換されたことは非情に重要なことだったと思います。
改めて、感謝申し上げたいと思います。
どうも、かないまる氏の書いてる内容をよく読んで理解したうえでの反論とは思えないんですよね。私も字数が増えるのを気にしながら書いているので、ずいぶんと端折って書いているのですが…
相手にデジタルの基本的な知識が欠落しているという前提で、文章の枝葉末節を捉えて反論してもあまり意味はないと思うのですが。
DD変換によって音が劣化するのはもう誰でも知っていることかと思ったら、そうではないんですね。
この問題はいずれは時間が解決してくれることでしょう。
長々と失礼しました。
ユングさん
取りまとめ、お疲れ様でした。
いちおう念のためですが、
再生側のことは外して、音声データの準備側だけのことで言いますと、
通常、バイナリは変わらないわけですから
・リッピングドライブによって音は変わるのか?
・リッピングソフトによって音は変わるのか?
というお題も、これと同類ということになりますね。