少し間が開いてしまいましたが、しつこく都市伝説について考えていきたいと思います。
今回は、「可逆圧縮であっても圧縮ファイルは音が悪い」です。
この問題は、超底辺スタジオさんの方でも「可逆圧縮は音が悪い、の怪」として取り上げられています。また、掲示板の方でも「Flacのまま聞くと圧縮されたものを戻しながら聴くということで不利が出て来るのでしょうか。」という投げかけなどもされています。
結構気になると言えば気になる問題ですので、今回はこの問題についてじっくり考えてみたいと思います。
世間的に見ると、変わらないという意見と違いはあるという意見が拮抗しているように見えます。
まずは自分の耳で聞き比べ
まず、理屈から考えてみますと、可逆圧縮ファイルはデコードすることによって1ビットの狂いもなく元のファイルに復元されます。ですから、データ的には非圧縮ファイルを再生するのと何ら変わるところはないはずです。
しかし、そう言う理屈云々の前に、実際にこの耳で確認したいと思います。
ただし、再生する音源によって傾向が変わるかもしれませんので、何種類かの録音を聞き比べてみました。
(1)シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」 ブッシュ弦楽四重奏団 1936年録音(SP盤時代の名盤)
(2)バッハ:ゴルドベルグ変奏曲 グレン・グールド 1955年録音(モノラル録音時代の名盤)
(3)ワーグナー:ニーベルングの指輪~序夜「ラインの黄金」 ショルティ指揮 ウィーンフィル(ステレオ録音初期の名盤)
正直申し上げてかなり微妙です。
ワーグナーの「ラインの黄金」に関して言えばほとんどその差は感じ取れませんでした。しかし、36年録音のブッシュ弦楽四重奏団による「死と乙女」は少なからず違いがあることを否定しきれませんでした。55年録音のグールドのゴルドベルグ変奏曲はその中間で、もしもブラインドでテストされれば違いを聞き分ける自信はありませんが、これはFLAC、これはWAVEということで聞き比べると、思いこみもあるのかもしれませんが微妙に違いがあるように感じます。
では、その違いは何かと言えば、高域の抜けというか冴えのようなものです。FLACの方はどこか丸くなってしまうようで、音像が平板になってしまうような傾向があります。背景の透明度がほんの少しですが落ちるような気もします。
おそらく、こんな聴き方は邪道なのでしょうが、死と乙女の録音では至る所に「ザーッ、サーッ」という針音がバックから聞こえるですが、この針音がFLACとWAVEでははっきりと違います。ですから、これを手がかりにすればブラインドでも聞き分ける自信はあります。
グールドの録音も同様で、ピアノの響きだけを頼りにすればブラインドで聞き分ける自信はありませんが、バックグランド混じってくる雑音を頼りにすれば聞き分けられるかもしれません。
ラインの黄金はそう言う一昔前の録音と違って、実にきれいなセッション録音ですから、そう言う手がかりとなるような「雑音」がどこにもありません。
オケの響きや歌声だけを頼りに聞き比べてみれば、「違うと言えば違うような、同じと言えば同じような」と言うレベルを超えるものではありません。そして、「違うと言えば違うような、同じと言えば同じような」と言うレベルは「違いなし」と断じるべしと言うのがこの間の教訓ですから、違いは聞き取れないとすべきでしょう。
古い録音だと多少の違いは感じ取れるが、ステレオ初期の優秀録音だとほとんど違いが聞き取れなかったというのは意外な結果でしたが、己の耳を信ずればそう言うことになります。ですから、もしかしたらFLACのほうは透明度というか解像度というか、そう言うものが少し落ちているかもしれないという疑惑は残ります。
(4)ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調「田園」 ヨッフム指揮 1ロンドン交響楽団 1978年録音(アナログ録音全盛期の名盤)
(5)マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」 バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル 1987年録音(デジタル録音時代の名盤)
正直言って、このあたりの録音になると、さらに違いを指摘するのは難しくなります。それでも、ヨッフムの田園は違うと言えば違うような気もするのですが、バーンスタインの「復活」になるとほとんど同じような気がします。
もちろん、ブラインドで比較されれば、両者ともに聞き分ける自信は全くありません。
違いがあるとするとデコードに伴うパソコンへの負荷?
さて、この結果は実に意外でした。
おそらく、古い録音だと違いはほとんど分からないのだろうが、新しい録音だと可逆圧縮といえども苦しいだろうと予想していたのですが、少なくとも私の耳による聞き比べでは全く逆の結果が出てしまいました。
では、なぜそうなるのかと言うことなのですが、最も有力な原因はデコードに伴うパソコンへの負荷です。
ところが、これがまた、驚くような結果になったのです。
パソコンへの負荷はLinuxならば「top」コマンドで簡単に確認できます。以下がその結果です。
まずは、非圧縮のWAVEを再生したときです。
CPUへの負荷はおおむね1%前後です。
これに対して、FLACファイルを再生したときは、二つのグループに分かれました。
(1)シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」 ブッシュ弦楽四重奏団 1936年録音
(2)バッハ:ゴルドベルグ変奏曲 グレン・グールド 1955年録音
おおむね、3%~4%あたりになります。
(3)ワーグナー:ニーベルングの指輪~序夜「ラインの黄金」 ショルティ指揮 ウィーンフィル
(4)ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調「田園」 ヨッフム指揮 1ロンドン交響楽団 1978年録音
(5)マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」 バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル 1987年録音
こちらは、おおむね5%~6%あたりです。
なんと、私の耳による聞き比べでは違いが感じ取れた録音の方は負荷が低くて、違いが聞き取れなかった録音の方が負荷が高いのです。
最初は、いささか驚きましたが、落ち着いて考えてみると、モノラル録音よりはステレオ録音をデコードする方が負荷がかかると言うことなのでしょう。言われてみれば当然のことです。
しかしながら、この結果から見えてくるのは、デコードに伴うパソコンへの負荷が音質の劣化には結びつかないと言うことです。
もしも、そうであるならば、(3)~(5)の録音に違いが出てしかるべきなのに、少なくとも私の耳では結果は逆になっているからです。
また、パソコンの能力を考えれば、デコードという動作を挟むことでCPUへの負荷が70%とか80%にもなるというなら話は別かもしれませんが、たかだか5%~6%程度では音質に影響が出るとは考えにくいです。
実に困った結果
さて、この結果は個人的には実に困ったことになりました。何故ならば、私が日頃聴く音楽のかなりの部分が、そう言う古い時代の録音だからです。
SP盤やモノラル録音の演奏に関しては、何回聞き比べてみてもFLACよりはWAVEで聞いてみたいと思う結果になりました。実に不思議な話ですが、とりあえずは己の耳を信じればそのようになります。ただし、この現象を合理的に説明する理由も思いつきません。
嘘か本当かは知りませんが、当初の頃は可逆圧縮をうたっていても、上手く元に戻せない音楽のスタイルもあったように聞いています。しかし、昨今の可逆圧縮ファイルは、非圧縮(A)→可逆圧縮→デコード→非圧縮(B)と言う作業をしてみて、非圧縮(A)と非圧縮(B)をバイナリ比較してみれば完全に一致します。
念のために、上記で比較したファイルも同様にしてチェックしましたが、問題なくバイナリ一致します。
ただ、一つ気になるのは、FLACなどの可逆圧縮ファイルを再生するというのはどういう手順で行われているか、と言う点です。
最初にデコードして非圧縮のファイルに変換してからバッファに送り込んでいるのでしょうか。それとも、順次デコードしながらバッファに送り込んでいるのでしょうか。
前者であれば、なんの問題もないのですが、後者のやり方で再生しているとすると、果たして上手くデコードできているのかどうか少なからず疑問は残ります。
私の耳が古い録音での違いを無視できないと主張するのが間違っていないとすると、そのあたりのデコードと再生の関係に原因が潜んでいるのかもしれません。
どちらにしても、もう少し情報を仕入れて考えてみる必要がありそうです。
ただし、そのあたりのことがクリアになるまでは、精神衛生上のことも含めて、さらには外付けのハードディスクの大容量化と大幅な値下がりの現状をふまえると、当分は非圧縮のWAVEファイルで保存し再生する事にしたいと思います。
>非圧縮(A)→可逆圧縮→デコード→非圧縮(B)と言う作業をしてみて、非圧縮(A)と非圧縮(B)をバイナリ比較
は出来上がったファイル同士の比較でしょうが、DDCからのS/PDIF出力をWAV再生とFLAC再生でデジタルINから取り込んで、この2つを比較すると違いがあるかも知れませんね。
内心では、多分同じになるような気もしています。
何時も聞いている90年代以降の録音でもFLACは音が丸くなるような気がしますが、GMPC上へのTAG情報表示の便利さを捨ててまでWAVにする程の違いはないという感じで、余程のことがない限りFLACのままで聞いています。
>GMPC上へのTAG情報表示の便利さを捨ててまでWAVにする程の違いはないという感じで、余程のことがない限りFLACのままで聞いています。
おそらく、FLACを使ったときの一番のメリットはおっしゃるとおりに、タグ情報が表示されることでしょうね。
ただ、私の場合は、「Beethoven_sym3_1_Szell_57」というファイル名に必要な情報を詰め込んでいて、それに慣れてしまっているので、不自由は感じていません。
「Beethoven_sym3_1_Szell_57」は「ベートーベン:交響曲第3番 第1楽章 セル指揮 1957年録音」という情報を詰め込んでいます。
>何時も聞いている90年代以降の録音でもFLACは音が丸くなるような気がしますが
やはり丸くなるような気がしますか・・・。ただし、その差異はきわめて微妙ですよね。違うと言えば違うような、同じと言えば同じようなと言うレベルです。
でも、違いがあるとすれば、その原因はどこにあるのでしょうか?
実に不思議な話です。
>また、掲示板の方でも「Flacのまま聞くと圧縮されたものを戻しながら聴くということで不利が出て来るのでしょうか。」という投げかけなどもされています。
>違いがあるとするとデコードに伴うパソコンへの負荷?
との事ですが、Windows用の再生ソフトとして「StealthAudioPlayer(SAP)」というものがあります。
このソフトでFLACを再生した場合、
「WAVEにデコードしたファイルをカレントディレクトリに置く」→「そのファイルをRAM上に全て読み込む」→「再生する」
という手順となってます。
つまり実際の再生時の負荷は「WAVEファイルを直接再生した場合と同じ」と思われます。
SAPはWAVEファイルの再生にも対応しているので、FLACの再生とWAVEの再生の違いを「聴覚」でのチェックをしてみては如何でしょうか?
個人的には、実際にD/A変換するデータは「どちらも同じWAVE」なので「全く違いが無い」と判断しております。
仮に違いが実際にあった場合「可逆性」が否定されてしまいます。
また「負荷」が原因だとする可能性も、前述の通り一旦WAVEにデコードした「後に」再生しているので否定されるものと思われます。
ゴンザエモンです、こんにちは。
(当方は随分前から楽曲ファイルはすべてFLACにて統一管理していますので、以下その前提であることご承知置き下さい)
当方のつたない経験に基づくオーディオ的な感覚で云えば、何かが変われば音は変わります。良くなったのかどうか、またその違いが聴き分けられるかどうかは別にして。アナログ世界の感覚では、その差を繰り返し聴いて、耳を研ぎ澄ませて、少しづつ自分の求める良い音に近づいて行くプロセスが必然としてありました。従って、その極めて僅かなる差に少なくない金銭的投資をする場合もあります。
デジタルの時代に移行した初期のCDの時代、デジタルだから音は変わらない、という云い方もされましたが、それが間違いだったことについて、今では疑う人はいないと思います。音の差の大部分はアナログ世界での出来事だった訳ですが、本来自然音である音をデジタルの容器に置き換えようとしたところから、新たな葛藤が始まったのかもしれません。これがデジタル的にはSACD(DSD)の登場する理由でもあったと思います。
ただし、二つのカテゴリできちんと考える必要があります。信号を音として再生するオーディオの基本とも云えるアナログ部分とデジタル処理の領域です。アナログの世界は実に多様に音が変わります。一方でコンピュータ処理と相似であるデジタルの世界では入力データと出力データの関係に普遍(必ずしも不変を指しませんが)なるものが存在します。敢えてここで「データ」と表現したのは、可逆圧縮から戻された音楽データにはこの普遍性が当てはまります。CDに記録されているCDDA形式をPC上のファイルとするためにMS社で定められたデータ形式がWAVEです。ここでもPCMデータとWAVEデータの間の普遍性は保たれています。
当方はPCオーディオを始めた頃より、MP3という楽曲ファイルの音(の悪さ)に翻弄され、WAVEを楽曲として整理・管理することに疲れ果て、FLACに辿り着きました。FLAC形式の開発者にも同様の想いがあったのではないか、と勝手に解釈しています。また、APPLE社がALACをオープンソース化したことは企業としての戦略でしょうが、このままではFLACに押され、ALACが孤立する、という危機感も
その要因のひとつであると推量しています。
当方は、FLAC統一に至る過程で今後膨大なデータを管理する形式が本当に将来にわたりFLACで良いのか、自問し、疑問に思いつつ、相当量の聴き比べも結果として行いました。結論は「可逆圧縮においてデジタル領域での差は認められない」というものです。
可逆圧縮において、「結果としての再生音が丸くなる」というようなことを完全否定するものではありませんが、複数の曲をWAVとFLAC形式で作成し、ランダムに再生させて、いずれの形式であるか、ブラインドで判断してみた当方なりの結果です。
追記させて頂きます。
もし仮に「WAVEにデコードしつつ同時に再生する」時のPCへの「デコード時の負荷」が、
WAVEファイルを直接再生する時とFLACファイルを再生する時の「音の差」となって現れるのが事実だとしても、
前述のSAPのような手法を取れば良い訳で、
「FLACだから音が悪い」というのは見当違いだと思われます。
Phoeniciaさんが仰る様に、「DDCからのS/PDIF出力をWAV再生とFLAC再生でデジタルINから取り込んで、この2つを比較する」をSAPで試してみると良いかも知れません。
「再生時の負荷」にしても「再生時の出力をデジタルINで取り込んだものの比較」にしても「同じ」なら違いが出る筈が無い訳です。
端的に言うと、「FLACファイルを再生しているという意識」が「音が悪くなっている」と感じる要因だという訳です。
いや、音が変わった云々は自分基準の判断なので、仲々断定的に良い悪い変わった変わらないを決め付けることは出来ないだろうというのが私の立ち位置です。
最終的には各自が最良と思う状態で気分よく使えば良いのではないでしょうか。
私の場合は単純に、変わるなら何処かの物理量が変化しているに違いない、と原因を明確にしないと気が済まないと言う悪癖があります。
>私の場合は単純に、変わるなら何処かの物理量が変化しているに違いない、と原因を明確にしないと気が済まないと言う悪癖があります。
これは私も全く同感です。ただ、変わるはずがないだろうと思うのに、実際に聞き比べると微妙に違っているような気がするのが実に気持ちが悪いのです。
実はWindowsで再生していたときにCMP2を使っていました。このソフトも、FLACを再生するときは、最初にデコードしてからメモリに読み込んで再生するソフトでした。
ところが、この時も、思いこみかもしれませんが、WAVEとFLACでは微妙に音質が違うような気がしました。ですから、その時から精神衛生上の問題もあって私は一貫して「Wave派」でした。
しかし、そんな「差」なんて気のせいだよと主張する人々が「FLAC派」になるのも不思議ではありません。
それに何と言ってもFLACだとタグ情報が表示されるのは大きいですね。「私の場合はファイル名に必要な情報を詰め込んでいます」なんて書きましたが、それは聞くジャンルがクラシック音楽だから可能な話であって、これがポップスなんかが中心だとそんなことはやってられないでしょうね。
そう言うジャンルだと、タグ情報が表示されることのメリットは非常に大きいだろうなと思います。
やはり、流れとしては「Wave」→「FLAC」なのかもしれませんね。
>実はWindowsで再生していたときにCMP2を使っていました。このソフトも、FLACを再生するときは、最初にデコードしてからメモリに読み込んで再生するソフトでした。
CMP2で再生してみましたが、タスクマネージャを同時に開いた状態でメモリの使用状況を見てみても「再生しているファイルを事前に一括で読み込んでいる」かどうかを確認出来ませんでした。
(もっとも、CMPからcPlayにウインドウが切り替わった時点でタスクマネージャが「応答なし」状態になるので実際は分かりませんが…)
また、RAM上に再生するファイルを一括で読み込むにしてもSAPでそれを行っている時のような「HDDのアクセスランプの点滅」を確認出来ませんでした。
(一括で読み込んでいるにしては挙動が早すぎる、とも思います。)
タスクマネージャが「応答なし」になるのが私の環境だけなのかは分かりませんが、少し疑問を抱いてしまいます。
CMP2が間違いなく「再生前にWAVEにデコードした後にRAM上に読み込んでいる」としても、元となるファイルがWAVEかFLACかで「音が違う」と断定するには些か資料不足だと思われます。
一つだけ気がかりを・・・
ゴンザエモンさんも少しふれられていますが、「FLAC vs ALAC」の関係です。
ユーザーから言えば、形式が一つにまとまる方が便利なことは言うまでもありません。不可逆圧縮に関してはいろいろありましたが(今もいろいろありますが)、基本的にはMP3がスタンダードとして定着しました。
できれば、可逆圧縮の方も二つの規格が無用な覇権争いで混乱することだけは避けて欲しいですね。
ユング君さん、こんにちは
いつも絶え間ぬ音質への追求、感服しております。
議論華やかではありますが、この手の議論の本質的な論点も含むかと思われますので、日頃思うことを述べさせてください。
結論から申し上げると、精神衛生上の安心感を求めるなら
私は「取得した音源のフォーマットを無闇に変えない」ということです。
議論の的となっているflac⇔waveの音源比較ですが、私も聞き比べを実行いたしました。
メンバーは私の妻(大学でピアノを教えております)、友人の音楽エンジニア2名、そしてオーディオ仲間2名、いずれも私より優れた音感、耳を持っております。
テスト形式は、ただのブラインド比較ではなくABXによる、奏者も、どちらの音源を出しているのか解らない方法で、無作為再現により「どちらが音がいいか?」ではなく「違いを判別できるか?」を判定したのですが・・・結果、正解率は30%に満たぬものでした・・・
偶然の正解もあることを考慮に入れると、20%台の正解率は「判別不能」の領域に位置するようです。
ご自分の耳での聴き比べでも、「?ような気がする」というのでは
探求熱心なユング君さんの名折れではないか?と失礼ながら思っておりました。
ここのところを突き詰めてこそ、仮説も良きてくるし、立証しがいがあるのではないでしょうか。
私も研究者の端くれとして、仮説を立てることは多くありますが、仮説に基づく検証作業はそれを否定することから始まります。1000の仮設を立て、999否定し、その内1つでも立証できればこの上ない幸運だと思っております。
このようなことから「FLAC⇔WAVの聞き取れる音質差はない」と感じておりますが、一方データとして同じかといえばそうではありません。WAV⇔FLACへ、の変換過程で必ず演算が行われ、切捨てが生じることは周知のことです。
可逆ですので勿論変換してもビットパーフェクトではあるのですが
コンピュータの仕組みを知れば、ビット以下の量子化レベルでは必ず演算誤差が生じます。
これを聞き取ることは不可能なのですが、誤差が生じるのを見逃すのはそれこそ精神衛生上、良くないといえばよくありません。
ということで、個人で取得した音源はその時点でその人のマスター音源なのですから「、FLACからWAVに変換し、元のFLACを削除する」あるいはその逆、といったフォーマット変換だけは戒めております。
取得したオリジナルフォーマットは「マスター」として保存しておく・・・・といったことが私にとっての精神安定剤です。
yamaneさん、とても貴重なコメントありがとうございます。
とりわけ、ブラインド比較についての報告は非常に興味深く読ませていただきました。
確かにそうなのですが、あれからもいろいろ聞き比べをしていて、最終的には「違うと言えば違うような、同じと言えば同じようなと言うレベルは違いなしと断じるべし」という教訓を適用するのが一番妥当なような気がします。
報告いただいた、ブラインド比較の結果や、その他多くの人の視聴結果などを考えてみると、どうやら「違いなし」と断じて、「可逆圧縮といえども圧縮ファイルは音が悪い」というのは栄えある都市伝説と認定してもいいのかもしれません。
ただし、私の方は精神衛生上の問題もありますし、基本的にはCDをリッピングしたものが音源の大部分ですから、基本的にはWAVEメインで行きたいとは思っています。
最近こんな話を聞いて、また悩んでいます・・・。
それはプロの録音現場では「常識」らしいのですが、はじめてそれを読んだときは目が点になりました。
その目が点になった話とは、
「デジタルはコピーしても変わらないという暗黙の了解のような決まり事があります。データ上で見ると確かに違いはありませんが、音を比較してしまうとフレッシュさみたいなものが明らかに違うのです」
というのです。
ですから、プロの録音現場ではマスターとそれからコピーした(もちろんデジタルです)ものとでは世代が違うと言うことで、厳密に管理しているらしいのです。
もしも、これが録音現場の「常識」ならば、単にコピーするだけでも神経質になっているわけですから、たとえロスレスであってもエンコードしたりデコードしたりするのは「論外」と言うことになります。
ただ、そう言う現場においても、なぜにそう言うことがおこるのかは理論的には解明されていないようです。あくまでも、売り物としてのCDをリリースする現場での経験的な伝承として受け継がれている「常識」らしいです。
ネタ元は「マスタリング・エンジニアが教える音楽の聴き方と作り方」(小泉由香著)です。
小泉由香氏と言えば今や日本を代表するマスタリングエンジニアの一人ですから、これを安易に都市伝説と切って捨てる根性は私にはありません。
私には難しすぎてよく分からないのですが、yamameさんがふれておられた「量子化レベル」での誤差を突っ込んでみる価値はあるのかもしれません。
こんばんは
その本を読んだことはありませんし録音現場の事情にも疎いのですが、ソフトウェア、設計データ、等々、プロの世界では必ず世代管理を行なっているのではないでしょうか。
これはコピーして変化するかしないかが問題ではなく、コピーに失敗している可能性がゼロではないものを用いる訳にはいかないという事だと思います。
必ずマスターのタイムスタンプを確認の後、コピーを作り、コピーとマスターを比較して相違なければ使用すると言った使い方するように思います。
ソフトウェアだとマスターデータは暗号機能を用いたハッシュコードでその正当性を担保するしくみを取ったりしますね。勿論更に安全のために複数コピーを別メディアに保管しますが。
単なる思いつきですが、
FLACは可変ビットレートなので、ビットレートは再生時に常に変動しています。したがって、デコード時の負荷も一定ではなく、常に変動していると思われます。これが音の違いに影響しているのではないか?というのが思いついた内容です。
そして、ビットレートの変動が大きい場合、WAVとFLACの音の違いがより顕著にあらわれるのはないかと。したがって、曲によって、音の違いが顕著にあらわれるものとそうでないものがあっても不思議ではないのではと。
ちなみに私の環境(VoyageMPD(fit-pc2)-UDIF7-Luxman D-06)の環境では、
・FLAC level0
・FLAC uncompressed
・WAV
を聴き比べた場合、FLAC uncompressedとWAVの違いは聞き取れませんが、
FLAC level0とWAVの場合、微妙ですが、はっきり音の違いがわかります。
一言で言うと、FLAC level0はクオンタイズをかけたような音で、WAVのほうがのりの良さが感じられます。
最後にWAVのタグに関する参考情報ですが、dbpowerampでwav形式でリッピングした場合、WAVにもタグが埋め込まれます。
このWAVファイルはVoyageMPD+GPMCでは、FLACとほぼ同様にタグが認識されます。
なので、タグ情報がないという理由でにWAVではなく、FLACでリッピングしている場合、dbpowerampを試してみる価値はあると思います。
やまさん、貴重なコメントありがとうございます。
>FLACは可変ビットレートなので、ビットレートは再生時に常に変動しています。したがって、デコード時の負荷も一定ではなく、常に変動していると思われます。これが音の違いに影響しているのではないか?というのが思いついた内容です。
やはり、私たちは「FLAC」というファイルの仕組みをもう少し知る必要があるようですね。ネット上をあれこれ調べ回っているのですが、あまり詳しく解説しているサイトは見あたらないですね。
ただ、一つだけ分かったことは、FLACはリアルタイムでデコードしてリニアPCMに戻しつつ再生する仕組みになっていることです。そして、FLACは元データの構造に従って圧縮率が変化しますから、ビットレートは常に変化します。(やまさんが言われているように可変ビットレートだと言うことです)
やまさんが言われているように、このビットレートの変動を小さくする形でエンコードするのか、それとも最大幅にとってできる限り圧縮率をあげるようにエンコードするのかで音質の変化が聞き分けられるのならば、「ビットレートの変動」が犯人なのかもしれません。
つまりは、デコードに対してどれだけの負荷が平均的にかかっているのかではなくて、ビットレートの変動に伴ってどれだけ負荷が揺れ動くのかが問題なのかもしれません。
これは少しばかり突っ込んで考えてみる価値がありそうです。
それから、ついでながら、
>ちなみに私の環境(VoyageMPD(fit-pc2)-UDIF7-Luxman D-06)の環境では、
・FLAC level0
・FLAC uncompressed
・WAV
を聴き比べた場合、FLAC uncompressedとWAVの違いは聞き取れませんが、
FLAC level0とWAVの場合、微妙ですが、はっきり音の違いがわかります。
「FLAC uncompressed」はその名の通り全くの非圧縮ですから、違いが出たらおかしいです。ビットレートもWAVEと全く同じ1411Kbpsですね。
個人的には、このタイプのファイルの存在理由がいまいちよく理解できません。(^^;
可変ビットレートだろうが何だろうが、
「WAVEにデコードしつつ再生する」という手法ではなく
「WAVEへのデコードを完了した後再生する」という手法ならば
差は出ない筈では?
FLACにエンコードする前のWAVEと完全一致するのですから。
やまさん、こんにちは。
> WAVのタグに関する参考情報ですが、dbpowerampでwav形式でリッピングした場合、WAVにもタグが埋め込まれます。
上記の情報ありがとうございました。
本件につき早速トライしてみましたが、「GMPCの表示にて日本語が化ける」という状況で、あれこれ試してみましたが、正しく表示させることはできませんでした。
この場をお借りして申し訳ないのですが、対応法をご存知であればご教授いただければ幸甚です。
なお、試した環境、内容は以下の通りです。
・楽曲ファイルはNASに置き、FSTABにて「iocharset=utf8]を指定している(FLACファイルのタグの日本語は問題なく表示されます)
・GMPC以外のクライアントソフト(Ario)でも文字化け
・NASに移す前に、タグ編集(Super Tag Editor)でタグ内容の文字コード編集を試してみましたが改善されず(編集が正しく行われているか自信なしですが)
>「FLAC uncompressed」はその名の通り全くの非圧縮ですから、違いが出たらおかしいです。ビットレートもWAVEと全く同じ1411Kbpsですね。
個人的には、このタイプのファイルの存在理由がいまいちよく理解できません。(^^;
waveと同じ音質ならtag付きwaveになりますね。便利かも。
HDDのコピーについてですが、HDDにはブロック単位で記録されていて、1ファイルでもHDD上では飛び飛びに記録される可能性もあります。。同じファイルでもその飛び飛び加減は同じではなく、再生時(読み取り時)にヘッドの動きが異なると考えられます。
ヘッドの動作は結構な電力の変化をもたらしますからそれがノイズとなってDAC以降に影響するのではと考えられます。
これは、コピーを重ねる毎に音が変化する事の説明にはなりますが、コピーをする毎に音が悪くなるという説明にはなりません。
録音現場の事をしらないので、これは憶測でしかないのですが、マスターより2世代目以降が音質的に劣るのであれば、マスターを作るソフトは連続するブロックに音楽データを記録するような特殊な書き込みをしているのかもしれません。
ファイルを連続したブロックに割り当て直すプログラムがあれば検証できるのですが、そういったプログラムはないんですかね? もっとも、検証するにはコピーしたファイルの違いを検出できる能力も必要になりますが。
HDDのフォーマットでも音が異なる事を主張する人がいますが、このあたりが関係するのかもしれません。
書いてからきがついたんですけど、ファイルを一度メモリに取り込んでから再生した場合でもマスターと2世代目とで音質に差があるんですかね?だとしたら不可解ですね。
ゴンザエモンさん、こんばんは。
私がよく聞く音楽がクラシックのため、日本語のアルバムの確認
をしていませんでしたので、私の環境でも確かめてみました。
#NASに置き、FSTABにて「iocharset=utf8]を指定しているのは同じです
やはり、FLACでは文字化けしないが、WAVファイルでは文字化けして
しまいました。
中途半端な情報を流し、お手数をおかけしてて申し訳ございませんでした。
WAVの文字化けを考えると、日本語のアルバムについては、FLAC uncompressed
のほうが有効かもしれません。
やまさん、
わざわざのご回答大変ありがとうございました。やはり文字化けしてしまいますか。
当方のPC環境固有の問題である可能性と合わせて、引き続きあれこれ試してみましたが、現在のところ文字化け解消には辿り着いておりません。せっかくなのでWAVファイルにTAG情報を埋め込む仕掛けなどをいろいろと収集しております。
WAVファイルにTAG情報を埋め込むやり方は複数あるらしく、まだ標準が確立されてはいないようです。合わせて、Windows環境とLinux環境における標準文字コードの差の問題がありますので、ちょっとハードルが高いのかもしれませんね。
それでも、dbpowerampとmpdというメジャーソフトウエアで既にシングルバイトコードにおいては実現できているのですから、ダブルバイトコードの対応も何か策があるかもしれません。
FLAC派で日本語環境を必要とする人は、FLAC uncompressedにてリッピングしておくことが、今後の全方位対応(?)のためにも賢明なのかもしれませんね。過去にフォーマットの問題で何回かリッピングのやり直しを余儀なくされましたが、現状はデータ量も膨大になってきましたので、もう取り込み直しは難しい状況ですので。
こんにちは。
foobar2000の新規コンポーネントが出たようです。
RAM-Disk
http://www.foobar2000.org/components/view/foo_ramdisk
まだ1.0という事もあり使い勝手の面で難が有りますがWindowsで再生システムを組む方には良い機能だと思います。