年末の大掃除をしていると隅っこから図書カードが出てきました。確認してみると「未使用」のようです。
何ともラッキーな話だと思い、近くの本屋さんに言って久しぶりにオーディオ関係の雑誌を買ってきました。(Audio Accessory)
パラパラッとめくっていると、LAN/USBアイソレーターなる商品が結構出回っていることに気づきました。その中で、「Acoutic Revive」なるメーカーの「RLI-1」と「RUI-1」がグランプリを獲得しているらしいです。
「Acoutic Revive」というメーカーはどこかで聞いたことがあるなと思って記憶をたどってみると、「PCオーディオの都市伝説(3)~「USBケーブルで音が変わる(2)」で取り上げたことを思い出しました。
このメーカーのUSBケーブルは「素材競争」ではなくて、いち早くUSBケーブルの「電源問題」に取り組んだもので、一応理屈には合っていると納得した商品でした。
そのメーカーの出した「アイソレーター(絶縁装置のことです)」と言うことなので、これは少しはチェックしてみる価値があるかと思いました。
まずは理屈から
まずは、メーカーのサイトからその理屈をチェックしてみます。
LAN アイソレーター「RKI-1」
「ネットワークオーディオではNASやハブ、ネットワークプレーヤーなど、それぞれの機器が発生するノイズがLANケーブルを通して行き交い、著しく音質を劣化させています。更にはインターネット回線を通じて外来ノイズも混入し、オーディオのクオリティを落としているのです。」
USBアイソレータ「RUI-1」
PCオーディオにおいて音質劣化をさせる最大の原因はPCから発生する膨大なノイズです。PCノイズはPCの電源からだけでなく、USBケーブルの信号ラインと電源ラインを通じてオーディオ機器に流れ込んでしまっています。
これはともに納得できるものです。
以前にもふれたように、「伝導ノイズ(電源線や信号線、プリント基板の回路パターンなどを通じて信号と一緒に伝わるノイズのこと)」を適切に遮断すれば音質の改善が期待できることは明らかです。と言うか、この問題が本質的に改善しないとPCオーディオの世界が次の地平を切り開くことは不可能だと言えます。
では、どのようにして伝導ノイズを絶縁しているのかというと
RLI-1は「アイソレーショントランスとコモンモードノイズ用チョークコイルを組み合わせて」カットしているというのです。
RUI-1は「医療機器の誤動作防止用に開発されたアナログデバイス社製ICをUSB信号ラインに、USB電源ラインにはアナログデバイス純正よりも更にノイズ除去効果の高いICを独自に採用し、PCノイズをUSB信号ライン、電源ライン共にナノレベルまで低減」しているらしいです。
なるほど、なんとなく(^^;、理屈にはあっているような気がします。
アナログデバイス社製ICというのは、どのような仕組みなのかは分かりませんが、医療用のアイソレーターはノイズカットに大きな効果があることは確認されています。ただし、これをオーディオに使うと「音がやせる」と言うことが指摘されていて、その点が痛し痒しだったのですが、この「RUI-1」はその問題を解決していると言うことです。
チョークコイルとはコアに巻線をほどこした電子部品のことです。この巻線に電流が流れるとコアに磁束が発生し、急激な電流変化に対しては電流を阻止するブレーキのような役割を果たすそうな・・・。結果として、信号電流はスムーズに流すがコモンモードノイズは大幅にチョーク(窒息)する働きがあるようです。
このコモンモードノイズは大きなループを描いて周辺の機器には影響を与えるのでしっかりとした対策が必要です。
ただし、この辺り、技術的に説明しきる能力はないので(??;、「信号とノイズを選り分けるコモンモードフィルタの離れ業」あたりをご覧ください。「伝導ノイズ」には、その伝わり方で「ディファレンシャルモード」と「コモンモード」の2つのタイプがあることや、それぞれのノイズに対する基本的な対策などが紹介されています。
次にアイソレーショントランスなのですが、これは、電源対策としてよく用いられるもので、高価なものでは何十万円もするようなものもありますね。これは普通のトランスとは違って、1次、2次が絶縁されていることで電源を介して侵入するノイズをカットする働きがあるようです。
うーん?
電源を介して侵入するノイズをカットするって、USBケーブルだったら分かるけれど、LANケーブルだったら関係ないような気がするぞ・・・。
それとも、信号データに重なって混ざり込んでくる「ディファレンシャルモード」のノイズに対しても有効なのでしょうか?
理屈的にはよく分からない部分もあるのですが、基本的にはそれほど「怪しい」代物ではないようです。
ネット上の感想、並びに評価は?
雑誌(Audio Accessory)では絶賛されていたのですが、ネット上での評判はどうでしょうか、少しばかり探ってみました。
「RLI-1」に関しては・・・
RLI-1 導入! | Phile-webコミュニティ
「だいたいイーサネットの通信線のノイズがデータの中身に影響するとは思えないとの心の声を聞きながら、やっぱり買っちゃうんですよね・・。
えいやっと、2ヶ購入し、NAS-ハブ間のハブ側と、ハブ-DS間のDS側に付けてみました。
出てきた音は・・・、今のところ「まあこんなもんかな」って感じです。
効いていいるといえば効いています。」
劇空間 徒然模様
「私の場合この一つをNASであるLinkStation LS-V2.0TL側に一つ接続し もう一つをLINN MAJIK DSと接続しているルーター側に接続した。つまりデジタル信号の出口側に装着してノイズを取り除く。
装着したとたん音が変わったのは確認したが 音が良くなった という印象はその時は無かった。エージングが完了した今 実感出来るのは 音の密度の増大による解像感の向上と やはりノイズレスな無音状態時の 静けさ の向上だろうと思う。」
まあ、結構微妙・・・というところですね。(^^;
「RUI-1に関しては・・・
バカボンのパパ
「ルビジウムクロック同様、何を差し置いても買えのレベルである。こいつなくしてPCオーディオ評価するべからず。」
というようなものもあるのですが、残念ながら実際に使われている方は少ないようで、情報がきわめて少ないです。
この原因として、いささかお値段が高めということもあるのでしょうが、それよりも
「RUI-1はUSB2.0採用機器には対応しておりませんのでご注意下さい。USB2.0にはUSB2.0対応ICが開発され次第、バージョンUPに対応する予定です。」というのが最大のネックになっているのでしょう。
USB2.0に対応していないと「24bit/96khz」どまりということになりますし、何よりも「USB2.0にはUSB2.0対応ICが開発され次第、バージョンUPに対応する予定」と書かれると、対応してから試してみようと思うのが人情です。
と言うことで、取りあえずは、「RLI-1」を導入してみて、その効果のほどを確認してから次のステップをどうするか考えてみようかと思います。
現物が手元に届き次第、効果のほどは報告したいと思います。