「VortexBox」~リッピングサーバー化計画

「VortexBox」をインストールして使い勝手を確かめていたときに感じたことは二つでした。

一つは言うまでもなく、極めて簡単にミュージックサーバーが自前で構築できると言うこと。

これは既に多くの人がふれているので今さら繰り返すまでもないことです。確かに、Atom機やCeleron機だと最新の「2.0」ヴァージョンが上手くインストールできず、さらには「1.10」から「2.0」へのアップグレードに関してもいろいろな困難が伴なうのですが、Pentium 4以降ならば何の問題もないようです。

試しに、Pentium 4搭載の古いWindowsXP機に「VortexBox2.0」をアドバンスモードでインストールしたのですが、何の問題もなくデュアルブート機にする事ができました。一部では、「VortexBox」をWindows機にデュアルブートでインストールするのは難しいという報告もあるのですが、アドバンスモードを選択してインストールすれば簡単にデュアルブート化は可能です。
もちろん、「2.0」ヴァージョンの「VortexBox」もすんなりとインストールできます。
また、この状態で使い勝手を確かめてみて分かったのですが、クライアント機からの操作も極めて良好で、さくさくと動きます。

これがAtom機などにインストールした「VortexBox」だと反応が鈍くていらいらさせられたのですが、Pentium 4くらいの性能があればそう言うイライラ感はほとんど感じません。と言うことは、一部では「古いPCの有効活用」という謳い文句で「VortexBox」が推奨されてるのですが、私の見るところではそうではなくて、そこそこに新しいPCを使った方が快適に使えるように思いますし、そう言う環境を想定して作られたシステムではないかと思われます。

つまり、PCはできる限りシンプルでCPUも低能力なものの方が「音がよい」と言う路線で突き進んだ一つの到達が「Voyage MPD」だとすれば、、それとはいささか異なった思想で構築されたのが「VortexBox」らしいのです。
「VortexBox」は、「Voyage MPD」のように、全てを犠牲にしてでも音質を優先するという「思想」ではなくて、何よりも「音質」と「ユーザーフレンドリー」のバランスを上手く取っていこうという「思想」に基づいているように見えます。ですから、音質優先のためにギリギリまでの低能力のCPUを使った環境で動作させられて、その結果としてあれこれの不都合を指摘されたのでは、開発側としてはいたって不本意だと言わざるを得ないのでしょう。

話がいささか横道にそれました。
二つめに感じたことは、

「これはもしかしたら強力なリッピングサーバーになるのではないか」と言うことでした。

これは、すでにコメント欄でfripfripさんがふれておられることで、やはり考えつくとは誰でも同じだなと思った次第です。
「VortexBox」の「ユーザーフレンドリー」の筆頭が「構築しやすさ」であるとすれば、二番目にくるのがおそらくは「オートリッパー」でしょう。
なにしろ、CDをセットしさえすれば、後はネット上からタグ情報を拾ってきて、それをもとに、アルバム単位でディレクトリを作りファイル名を付けて自動的にリッピングしてくれるというのですから、ものぐさな人間にとってはこれほどまでに「ユーザーフレンドリー」な事はありません。
そして、その時に閃いたのが、こういうシステムです。

再生は、やはり「音質優先」で「Voyage MPD」を選びます。しかし、リッピングは全面的に「VortexBox」に任せて、リッピングしたファイルは「NAS」に収納してしまうと言うシステムです。未聴のCD(世界最高峰の山チョモランマになぞらえて、ミチョランマと呼ぶ人もいます)が山のようにそびえている人にとってはとても魅力的なシステムではないでしょうか・・・って、それはあんたのことでしょう。(+_+)\アイタタタ

リッピングサーバー化

さて、「VortexBox」をリッピングサーバー化しようと思うと、クリアすべき問題点が二つあります。それは、デフォルトの設定では、

  1. リッピングしたファイルは内蔵のHDに保存される
  2. リッピングしたファイルは「flac」もしくは「mp3」にエンコードされて保存される

ことになっています。
これは、いささか困ります。
リッピングしたファイルは非圧縮の「Wave」でないと困りますし、保存先も「NAS」でないと「リッピングサーバー」とは言えません。

そこで、デフォルトから設定を変更しないといけないのですが、おなじみの設定画面のどこを探してもリッピング関係の設定を変更する画面が見つかりません。私の探し方が悪いのかもしれませんが、こういう時の悪いくせで(^^;、そんな探し物で手間を取るくらいなら設定ファイルを書き換えてしまえと言うことになってしまいます。

調べてみると、リッピング関係の設定は全て「/etc/ripit/config」と言うファイルに記述されています。

結構、たくさんのことが記述されているファイルなのですが、今回の設定変更に必要なのは以下の二点だけのようです。

# output: Path for audio files. If not set, $HOME will be used.
# Default: not set

output=/storage/music/

これはリッピングしたファイルをどのディレクトリに出力するかを決める記述です。
ですから、「/music」というディレクトリを新たに使って、それを「NAS」にマウントした上で

output=/music/

と変更します。

次に、「flac」などにエンコードされては困りますので(困らない人はここはパスをしても可)、

#####
#
# Encoding options
#

# encode: Encode the wavs.
# Possible values: 0 – off, 1 – on
# Default: on

encode=1

と言う記述を

encode=0

と変更します。

これで、実際にリッピングさせてみると、「/music」という新しいディレクトリの中に「wav」と「flac」というディレクトリが生成されています。一瞬、何のこっっちゃ?・・・と思ったのですが、、リッピングされたファイルは「wav」の中にアルバム単位で保存されていて、「flac」の方にはアルバム単位のディレクトリは生成されるのですがファイルは保存されていません。
どちらにしても、これからは非圧縮のwaveファイルの状態で保存するなどと言うのは「アホウの極み」と言うことなのでしょう。(とは言え、私はこれからも非圧縮にこだわり続けるでしょう。)

と言うことで、具体的書きますと次のような操作になります。

  1. NASにリッピングしたファイルを保存するディレクトリを作成する。(例:「music」)
  2. 「VortexBox」にNASに作成した「music」をマウントするためのディレクトリを作成する(例:「/music」)
  3. 「/etc/fstab」にNASをマウントするための記述を追記する
  4.     

  5. 「/etc/ripit/config」を上の記述に従って編集する

#mkdir /music
#vi /etc/fstab

//192.168.x.xx/music /music cifs username=hogehoge,password=xxxxxxxx,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0

と追記して、

#mount -a

としておきましょう。
言うまでもないことですが、usernameで指定するユーザーはNASの「//192.168.x.xx/music」に対して読み書き権限がなければなければいけません。

この状態で、「VortexBox」にCDをセットすれば自動的にリッピングが始まって、リッピングされたファイルはNASに収納されます。
ちなみに、「/etc/ripit/config」には、次のような記述もあります。

#####
#
# Ripping options.
#

# ripper: select CD ripper
# 0 – dagrab
# 1 – cdparanoia
# 2 – cdda2wav
# 3 – tosha
# 4 – cdd
# Default: cdparanoia

ripper=1

「VortexBox」には5種類のリッピングソフトがインストールされているみたいで、デフォルトでは「cdparanoia」が使われることになっているようです。調べてみると、この「cdparanoia」というのが最も高音質なリッパーと言うことになっているようなので、一般的にはこのままでいいと思います。

実際にリッピングしてみる

「VortexBox」の設定画面は一般的には「http://vortexbox/」でアクセスができます。
次のようなおなじみの画面が開きます。

リッピングの様子は「CD/DVD Ripper」をクリックすると確認することができます。

ログという形でリッピングの様子が表示されていきます。

しかし、別にこんな画面で確認をしなくても、CDをセットすれば自動的にリッピングが始まって、リッピングが終了すればCDドライブのトレイが自動的に開いてCDが取り出されます。

最後に

ところが、最後に、困ったことに「VortexBox」は起動時に「/etc/fstab」を上手く読み込んでくれないときがあるようで、自動的にNASがマウントされません。
そこで、煩わしいですが、一手間が必要なようです。

#vi /usr/local/sbin/network_up.sh

として、

mount -a

を追記しておきます。
つまり、起動時に「/etc/fstab」を読み込むように明示しておく必要があるようなのです。

いささか困った話ではあるのですが、それでもトータルで見れば実にもって素晴らしい「ユーザーフレンドリー」な仕様です。
さらに、リッピングされたファイルの音質に関しても一切の不満を感じることはありません。

「WindowsXP+外付けPremium 2+dBpoweramp CD Ripper」というメインのリッピングシステムの音と聞き比べてみても、全く遜色はありません。
実に素晴らしいです。


7 comments for “「VortexBox」~リッピングサーバー化計画

  1. 田中@長崎
    2012年7月23日 at 1:00 PM

    いつもお世話になります。リッピングサーバ計画私も実施したいと思います。
    リッピングしたファイルをNASのserverフォルダ(というかドライブXとして認識されています)の中のmusicフォルダに保存したく思います。

    すでにこのserver(X:)はVBの/musicにマウントしており,NASのデータをVBは読み込むまではできています。

    そこで,server(X:)の中にmusicフォルダを作り,/etc/ripit/configを

    output=/server/music/
    とし/usr/local/sbin/network_up.shにmount -aも追記して,再起動しました。
    そして,CDをリッピングしたところ,やはりVBをインストールしているパソコンの
    HDにしか保存されないのです。

    /etc/fstabも
    //192.168.x.xx/server/music /music cifs username=hogehoge,password=xxxxxxxx,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0
    と替えています。

    いつも助けてもらうばっかりですみませんが,よろしくご教示ください。

  2. さもん@長崎
    2012年7月23日 at 9:23 PM

    YUNGさんいつもお世話になってます。

    さて,VortexBoxリッピングサーバー化計画いいですね。
    さっそく挑戦しました。

    私はNASのserverというフォルダに音楽ファイルを保存しています。このフォルダはフォルダというよりも,ドライブ(X:)として認識されています。この中にmusicというフォルダを作って,そこにリッピングしたファイルを保存したいと思ってます。

    このserverドライブはVBでは/musicという名前ですでにマウントしていますので,
    NASのSERVERの下にMUSICフォルダを作って,

    次に /etc/fstabの

    //192.168.x.xx/server/music cifs username=hogehoge,password=xxxxxxxx,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0


    //192.168.x.xx/server/music /music cifs username=hogehoge,password=xxxxxxxx,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0
    と書き換えて保存しました。

    /etc/ripit/configをoutput=/server/music/に書き換え保存。mount -aを/usr/local/sbin/network_up.shに追記し,再起動。

    CDリッピングを終えて,NASを確認しても保存されていません。まだVBのHDDに保存されているようです。たぶんマウントするところが間違っていると思うのですが,わかりません。どうぞご教示ください。

  3. yung
    2012年7月24日 at 8:50 PM

    >/etc/ripit/configをoutput=/server/music/に書き換え保存。

    おそらく、

    output=/music

    が正解のような気がします。

  4. さもん@長崎
    2012年7月24日 at 9:34 PM

    うまく行き始めました。ありがとうございます。

  5. さもん@長崎
    2012年7月25日 at 9:56 AM

    またまたご教示を。

    ノートパソコンの付属CDデバイスでのリッピングが成功していますが,
    外付けのPLXTOR Premium2からリッピングしたいと思います。

    VBサーバーとなったのーとPCのUSBへPremium2を接続すると,認識はしているのですが,オートリッパーは相変わらずノートPC付属の機器でしか動きません。

    /etc/ripit/configの

    # Ripping device & path.
    #

    # cddevice: Define ripping device if other than /dev/sr0.
    # Default: /dev/sr0

    cddevice=/dev/sr0
    このあたりを書き換えるのかと思いますが,わかりません。
    どうぞよろしくお願いします。

    • さもん@長崎
      2012年7月25日 at 10:17 AM

      自己レスです。
      REBOOTしたらリッピングデバイスがPLXTORになりました。
      賢いです。

  6. yung
    2012年7月25日 at 9:08 PM

    >自己レスです。
    REBOOTしたらリッピングデバイスがPLXTORになりました。
    賢いです。

    貴重な報告ありがとうございます。
    私も外付けのPremium2を1台所有しているので、試してみたいと思います。

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