PCオーディオの王道とも言うべき「Fireface 400」を導入したのですが、いくつかの不満と懸念はありました。
不満は、「聴き専」の人間にとっては一生使わないであろう機能に多大なコストがかけられていることです。その辺の機能も出来れば少しずつ使いこなせるよう にしたいとは思うのですが、それでも「なくても困らない」部分に多大なコストが投入されているのは不満と言えば不満です。
懸念は、「USB3.0」が離陸しようという時期を目前にして、接続が「Fireface」ってどうよ?と言うことです。この手の機器は転送スピードが命 なだけに、「USB3.0」が主流となってくると、インターフェースの主流もそっちに流れていくだろう事は容易に想像できます。もしかしたら、1?2年で 時代遅れになる懸念は払拭できません。
しかし、ネット上の口コミや技術仕様などをじっくり検討すると、現時点では10万円台のインターフェースとして「Fireface 400」をベストと判断しました。もちろん、お金に糸目をつけないのならば、「Prism Sound」の「Orpheus」なんてのもありますが、
円高差益還元で衝撃特価「558,000円」では、論外です。
さて、そう言う不安と懸念はあるものの、「Fireface 400」がPCオーディオの王道であることは間違いありません。機器が届くと早速にパソコンにつないで必要な設定をすませ、早速に音出しをしてみました。
その時の感想を一言で言えば「・・・????」に尽きます。
要するに、あまりよろしくなかったのです。もっと、有り体に言えば、今まで使っていた「E-MU ( イーミュー ) /0404 USB」の方に軍配が上がります。あまりのことに、どこかで設定を間違っているのではないか?と思い、あちこちと調べてみましたが、どこにも問題はないよ うです。
しかし、ここで、「BENCHMARK」の「DAC1」を導入したときのことを思い出しました。このDAコンバーターも機器が届いてつないだときはあまり よろしくなかったのですが、1週間ほど使っている内に見違えるほどに音が変わったのでした。「Fireface 400」も同じように、ある程度通電しないと真価が発揮できないのかもしれないと思うことにしました。
そして、2日、3日と過ぎていくうちに、はっきりと分かるほどに音の分解能があがっていきました。(ホッとしたよ??)
3日目ぐらいで、はっきりと「E-MU ( イーミュー ) /0404 USB」よりはよくなってきました。(ヨカッタ、ヨカッタ^^v)
本当に、デジタルもアナログと同じほどに奇々怪々の世界です。
ただし、音の傾向は両者ともに同じです。
ともに、カミソリのように切れ味の鋭い音を出すのですが、「Fireface 400」はカミソリと言うよりは切れ味抜群の鉞のような「凄味」があります。
1週間ほど電源を入れっぱなしにしておいた時点では、なるほど世間の人がこのインターフェースを褒めるはずだと納得できるレベルまできました。
「Fireface 400」は音楽を再生するだけでなく、その音楽が演奏されていた「場」を再現する力を持っています。つまり、音楽の「音」だけでなく、それを演奏している「人間の気配」みたいなものまで描き出してくれます。
じつは、「E-MU」もそう言う気配が漂うときもあって、PCオーディオの世界とは凄いものだ!とのめり込んでいったのですが、そのあたりの能力になると「Fireface 400」は間違いなく一級品です。
でも、「Fireface 400」を導入してあらためて実感したのは「E-MU ( イーミュー ) /0404 USB」のコストパフォーマンスの高さです。実売価格2,3000円でこの音質は申し分なしです。おそらく、分解能の高い精緻な音作りを目指すなら、これ を上回るインターフェースはそうないと思います。「Fireface 400」を使い込んで、じっくりと聞き比べてようやく軍配が上がるほどの性能は持っています。
実は、「E-MU ( イーミュー ) /0404 USB」を使う前は、ONKYOのインターフェースを使っていたのですが、その時は到着した「E-MU」をつなぐと全く次元の異なる音がしたのです。です から、今回も「Fireface 400」をつないだときには「E-MU」とは次元の違う音が出ることを期待していたのですが、「E-MU」と「Fireface 400」の間にはその様な差はありませんでした。価格差を考えると「E-MU」のコストパフォーマンスの高さは驚異的です。しかし、そのわずかな差を実現 するためには何倍もの投資が必要なのがオーディオの世界であることも事実です。
でも、ソナスファベールの「エレクタアマトール」をこんな風にならしている人ってほとんどいないだろうな。普通は、マッキンみたいなアンプで骨太に鳴らす のが普通だと思うのですが、このスピーカー、凄いと思うのは、こういう風に分解能を高める方に鳴らしても余裕で追随することです。エンクロージャーを寄せ 木細工で作っているだけでなくて、使っているスピーカーユニットの性能が凄く高いことをうかがわせますね。
それから、使いこなしですが、「BENCHMARK」の「DAC1」にしても「Fireface 400」にしても、本来はラックにねじでガッチリと固定して使うことを前提にしているようです。ですから、ホームユースでラックなどに置くだけの時は、あ る程度上から重しをのせて抑え込んでやる必要があるようです。今は適当なものがないので、大きさが合う重そうな本を上から載せていますが、それがあるのと ないのとでははっきりと音が違います。
最初は無駄な買い物をしたかと焦ったのですが、やれやれです。