キット屋オリジナル/Y-08 (ペア)キットを作ってみました。

SA/F80AMG専用バックロードSPキットのリファレンスとして生を受けた「Y-08」。それはY本さんというお客さまの持ち込んだ自作SPを初めて聴いた時の驚愕から始まりました。

引用元: キット屋オリジナル/Y-08 (ペア)キット/真空管オーディオ ザ・キット屋

y08

夏休みの「お楽しみ」として注文していたキットが到着しました。凄く人気があるようで入荷するのが8月末だと言われていたのですが、20日に宅配便が届きました。組み立て難易度が星4つでしたし、組み立てマニュアルを読んだときも全く具体的なイメージが浮かばないのでかなり心配だったのですが、無事に組み上がりました。(^^v

なお、キット屋さんとしては組み立てには「電動ドライバ使用を推奨」と書いているのですが、私はドライバ一本で組み立てました。確かに、最後は指にマメが出来ちゃいましたが、電動ドライバを使用しないと組み立てに「困難」を感じるという事はありませんでした。

バックロードの構造はかなり複雑で、それを完成させるためには140カ所程度ネジを締めないといけません。(^^;

初めは、バックロードの音道を二つのユニットで作る構造になっているので、カット材を組み合わせてこの二つのユニットを汲み上げます。手間がかかるのはこの部分だけです。カットされた材料を木工用ボンドで接着して、それがしっかりと乾燥したのを確認してからネジで締めて仕上げます。しかし、最初は少しばかりあわてすぎて、ボンドが完全に乾いていないのにネジで締めあげて失敗しました。完全にボンドで接続していない状態でネジで締めこんでいくとカット材が離れてきて、それを強引に締め上げていくとカット材が微妙にずれてしまいます。このキットのカット材は0.1?の精度で精密にカットされているので、これではいけません。あわてず、余裕を持って作業に臨むのが大切なようです。

私の場合は、ボンドで接着すると、Yahooでおもむろに将棋の対局をして、一勝負つくとネジで締め上げ、またボンドで接着するとまた一勝負!という案配で作業をしていきました。将棋の方は早ければ10分程度、長くても20分ほどでケリがつきますので、「乾き待ち」にはちょうどいい時間でした。

なお、ボンドを使うときは接着面に満遍なく延ばすために波形のヘラがあるととても便利でした・・・と言うか、必須のように思います。ホームセンターなどでは150円程度で売っていますから、必ず一つは買っておくと良いようです。

この二つのユニットが完成すると、それを側板に固定していきます。ネジを締めていて指にマメが出来ちゃうのはこの工程です。側面一つで30カ所締めますので、スピーカー一本で60カ所、2本で120カ所締めないといけません。作業としての困難さは全くありませんが、ひたすら根性で締め上げていきます。(そう言う意味では手元に電動ドリルがあるならとても便利です)

最後に、ターミナルとスピーカーユニットを取り付けてケーブルを半田付けをすればお終いです。なお、ユニットは「DIY AUDIO」の「SA/F80AMG」が推奨されています。たった8cmのフルレンジですが、最近注目の優れものらしいです。

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さて、その鳴りっぷりですが、これはもう「素晴らしい」の一語に尽きます。セッティングに関してはかなりシビアだと言うことなので、最初の音出しはメインシステムの「エレクタ・アマトール」と入れ替えて鳴らしてみました。

確かに、スピーカーが消えます。天満敦子のヴァイオリンが空間に鮮やかに浮かび上がりますし、何よりもオルガンの地を這うような低音がしっかりと再現します。これはちょっと驚きです。たった8?のフルレンジからどうしてこんな低音が再現されるのかにわかに信じがたい思いですが、それがバックロードホーンの持ち味なのでしょう。

次にボーカルのチェックで平原綾香や元ちとせを聞いてみました。これも、ボーカルがはっきりと空間に浮かび上がります。高音域の抜けも申し分なくさわやかな歌声が楽しめます。

最後に、オケはどうかと思い、セル&クリーブランドでロッシーニの序曲やモルダウなどを聞いてみました。低域がしっかりと出ているので実にバランス良くなります。さすがに、「これはしんどいやろう!」ということでブルックナーの4番の冒頭部分を再生してみました。しかし、驚くなかれ、実に朗々と歌い出します。バックロードホーンの弱点と言われる「音量を上げたときの崩れ」もほとんどありません。実は、この「Y?08」の最大のウリがこの音量を上げたときの崩れがないことなのですが、それを実感させられる鳴りっぷりです。

もしも、これをブラインドで聞かされれば、まさか「8?のフルレンジ」が鳴っていると言い当てることが出来る人はいないでしょう。最近はお店に行って試聴させてもらうことが全くないのですが、一昔前の話をすれば、間違いなく1本10万程度の国産スピーカーの性能をはるかに上回っています。

「まいったなあ!」と思いつつ再度「エレクタ・アマトール」を繋ぎ直して聞いてみました。幸いなことに(^^;、やはり、「エレクタ・アマトール」はY?08」以上に素晴らしくて、正直ホッとしました。Y?08」は一本あたりに換算すると2万円しませんから、一本30万円以上もしたエレクタ・アマトールと差があって当然なのですが、その「当然」のことが「当然」でない現実が昨今の「高級オーディオ機器」の世界には存在します。何故ならば、昨今の「高級オーディオ機器」は変な「癖」を付加してそれをウリにしてとてつもない「価格」設定をしている場合もあるので、その「癖」が愛せる人でなければ、とんでもない「不幸」を招いたりするからです。その意味では、「エレクタ・アマトール」は価格相応の真っ当な製品であることを再確認できてホッとした次第なのです。

「何が違うのか?」と言われれば、音の色気みたいなものに差があります。「Y?08」は非常に綺麗になりますが、「エレクタ・アマトール」と比べると線が細くて蒸留水のような素っ気なさを感じます。それに対して、「エレクタ・アマトール」の方は音に艶と色があります。今の私が再生システムに求めるのは、演奏する人の気魄と凄味を再現することです。そう言うものを求めると、Y?08」はいささか小綺麗に鳴りすぎるようです。

ただし、鳴りっぷりと言う点では遜色がないのには驚かされました。その意味では、ミニ・コンポなどを使っている人がこのスピーカーに乗り換えればその凄さに「愕然」とするはずです。そう言う人にとっては、「これでもう十分だ!」と思えるほどの「魅力」をもっています。

さて、これをどこに使うかなのですが、あれこれ思案した結果、寝室のサブシステムに導入することにしました。このサブシステムは、出窓に置いているので、スピーカーのセッティングに関しては何の工夫も出来ない環境なのですが、まあ、いいでしょう。(^^;このサブシステムには20年以上前に買った古いスピーカーを使っていて、いいかげん世代交代させようと思っていたのでいい機会です。

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今日は、朝からスピーカーを交替させて鳴らしてみました。セッティングに関しては全くお粗末なのですが、これでも、綺麗に歌います。アンプもヤマハのAV用のアンプなのでそれほどよろしくないのですが、それでも十分に気持ちよくなります。アンプに関しても、それほど贅沢は言わないスピーカーのようです。

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スピーカーユニットもこみで4万円足らずですから、この「魅力」から考えればただみたいなものです。実に良くできたスピーカーです。

お勧め度は間違いなく星5つです!!!