CD規格って不十分なの?(4)~アナログは20kHzを超えるのか?(2)

パンドラの箱??

アナログ再生に関わる内容を取り上げる時点で覚悟はしていたのですが、いやはや、思っていた以上の「パンドラの箱」ですね。
私が書いた文章を注意深く読んでいただければおわかりだと思うのですが、一言も「アナログはデジタルに劣る」などと言うことは書いていないのですが、部分的な字面(アナログ時代の録音が20kHzを超える領域を拾えていない、とか、LPレコードのダイナミックレンジは60dB程度しかない)だけを見て、「すわ一大事」と反応された方も多かったようです。

確かに、自分が愛してやまない世界にけちをつけられていると思えば不快に感じるでしょうし、ましてや、それで飯を食っている人ならば不快を超えて死活問題ともなるでしょう。しかし、愛する対象ならば「あばたもえくぼ」ではなくて、「あばたはあばた」と認識してこそ愛は深まると思うのですがいかがなものでしょうか。

私がここで検証したかったのは「アナログ再生が実現している世界をCD規格のデジタル再生は実現可能なのか」と言う命題です。ですから、タイトルも「CD規格って不十分なの?」としたのです。

率直に言って、遅かれ早かれアナログ再生は滅びます。
最大の理由はコストです。

まともな再生を実現しようと思えば、少なくともカートリッジ20万円、フォノアンプ50万円、ターンテープル100万円というのでは、新しいユーザーが参入してきて事業が安定して継続できるとは到底考えられないのです。逆から見れば、この常識はずれの価格設定でなければまともな製品が作れないという現実に、この世界の先行きのなさがあらわれています。
たとえば、ヤマハのGT-2000のような製品と同等の製品が10万円を少し超えるような価格で提供されれば多少なりとも未来はあるのでしょうが、そのようなことは永遠に不可能となったのです。

gt-2000

しかし、そう言う状況の中でもアナログ再生の美学を追究されている方が存在して、そう言う方々は実に素晴らしい音の世界を実現されていることは十分に承知しています。
そして、そう言う音を聞かされると「転び伴天連」の悲哀がよみがえってきたりもしたのですが(^^;、いや、これはデジタルの世界でも実現可能だ!と決意を新たにしてきたものです。

転び伴天連(注釈)

「私は長い間アナログな人でした。アキュフェーズのプリアンプを長い間後生大事に使っていたのは、そのフォノアンプが捨てきれなかったからです。でも、それが壊れてしまったとき、買い直す気にはなれませんでした。理由は簡単で、何かの間違いではないかというような価格になっていたからです。
それで、仕方なしにデジタルな人になったのですが、長い間転び伴天連のような気分でした。(^^;それくらい、私たちの世代は刷り込みが強かったのです。

転び伴天連(注釈終わり)

そして、PCオーディオの時代がやってきて、その試行錯誤の中で「Voyage MPD」あたりからアナログ再生に負けない世界がCD規格のデジタルでも実現可能だと思えるようになってきたのです。
そう言えば、新しい提案が出てくるたびに「これこそ最強!」なんて言ってきたので、「お前はドラゴンボールか!」と言われたものですが、それは、当面の目標としてこのアナログ再生の世界があったからです。その、当面の目標に対して少しでも近づいた提案が出れば真っ先に試してみて前進が確認ができればこのサイトで取り上げて推薦してきた次第です。

そんなわけで、現在の私の「最強」は「APU.1D4+lightMPD(64bit)」です。(^^vドウダ、マイッタカ・・・。

ここにいたって、まともなアナログ再生に伍していけるレベルに到達できたような気がします。(すべがメモリ領域で動作するのは大きい!!)

そこで、一つの区切りとして自分の中で「アナログ再生が実現している世界をCD規格のデジタル再生は実現可能なのか」と言う命題を検証してみようと思い立った次第なのです。ですから、以下の文章もアナログ再生の悪口を言っているのではなくて、あくまでも「あばたはあばた」だと言っているだけで、そのかわいい子を貶しているわけではありませんので誤解のないように。
逆に、「あばたはあばた」だと言う指摘に対して、「いや、それはえくぼ!」だと言い張るのはあまり建設的だと思わないのですが、いかがなものでしょうか。

カートリッジで溝をひっかいて20kHz以上の帯域がまともに再生できるのか?

とにかく、CD規格は20kHz以上が再生できないから欠陥品だ!みたいなことを言われてきたので、当然のことながら、「カートリッジで溝をひっかいて20kHz以上の帯域がまともに再生できるのか?」と言うことは検証してみる必要があります。
しかし、最初から15kHzを超えるような音楽情報は入っていない可能性が高いという「悲しい録音現場の事情」を考えると、今さらこんな検証は不要にも思われるのですが、とりあえずそう言う録音現場での話は脇に置いておいて、LPレコードというアナログメディアがどの程度の周波数領域まで再生可能なのかをさぐってみるのは無意味ではないでしょう・・・と、力みかえったあたりでネット上の情報をさぐってみると、ごく普通に「そんなことはできないんだよ!」という記述があふれていて、ガクッときました。(^^;
そんな中からいくつか紹介します。

まずは、コピペ大学生御用達のWikipediaでレコードの項目をさぐってみると、こんな風に書いています。

<コピペ開始>
“レコードの優位性”説

近年、アナログレコードは原理的にはコンパクトディスクで欠落する20kHz以上の周波数帯域を損なわない特徴があるとされ再注目されている。
しかし実際に「レコードは高周波が記録されている・再生できる」かどうかには疑問がある。再生用のカートリッジは30kHz以上も再生可能と謳っている製品も珍しくないが、再生に使われるRIAAイコライザーは20kHzを20Hzの超低音域に比べ約40dB低減するため、カッティング時に逆の特性で持ち上げてあるとはいえ再生音の高周波成分は少なく、理論的な特性はCDと大きく違わないはずであるが、現実には音質などは異なる。
レコード再生では高調波=歪みがデジタルに比べて非常に多く、微弱な電流を増幅するために増幅率の大きいアンプを使用するので、トランジスタ、FET、ICといった増幅素子から発生する雑音や機械的振動による雑音の影響も大きくなる。20kHz程度、好条件でも24kHz程度より高い周波数が原理的に含まれないデジタル録音のレコード盤と同音源によるCDとの周波数分布を比べてみると、レコードの再生音には再生系統で発生する歪みやアンプノイズが多く含まれていることが判明する。実は「レコードの高周波成分」は原音に入っているものではなく再生時に付け加えられたもの、とみなすこともできる。

<コピペ終わり・・・楽ちんです^^;>

レコードを再生した音をスペアナ分析をすれば20kHzを超える領域もスムーズに減衰しながらも含まれているように見えるのですが、それは「原音に入っているものではなく再生時に付け加えられたもの」と見るのが妥当なようなのです。とはいえ、Wikipediaには嘘も多いので、これだけでは納得できない人も多いでしょう。
そこで、技術派オーディオファン御用達の「オーディオの科学」」からの記述も紹介しておきます。

<引用開始>

LPレコード

LPレコードの愛好者が増えているそうである。原音に忠実であるかどうかを基準にするとCDやSACDには太刀打ち出来ないだろうが、それはそれなりの良さがあるだろうし、いいと思うが、ここでは高域再生の問題についてのみ考えてみる。
よくCDは22kHzが上限なのに対しLPの場合は上限が無くさらに高域まで録音されているという主張を聞くことがある。はたして本当であろうか?

まず、20kHzの音がLP盤上ではどれほどの波長の波として記録されているかを考えてみる。LPの直径は30cm 回転数は33.3回/分。今中心から13cm程の所をトレースしているとすると、20kHzに対応する波長は約20um(20/1000 mm)となる。それに対して、LP壁面と接触している針の曲率半径は25.4umと言うことなので、ほぼ同じくらいとなり何とかトレース可能な値であり、それ以上でも急に減衰することはないかもしれない。
また、本当に必要な13kHzくらいならまだ余裕がありそうで、先の主張を裏付けることになる。

しかし、これは理想的に作られたLPを最初にトレースした場合には当てはまるとしても、このような微小な凹凸は針のトレースによる強い圧力により(針圧が1g以下でも接触面にかかる圧力はかなり高い)すぐ滑され何度かかけている内にその情報が失われ、その代わりに材質の不均質性や付着した微小塵の影響で溝面に凹凸が出来、いわゆるスクラッチノイズが増えていく。

となると、スピーカーの高域再生能力の強化はやはりノイズをより強調することになる。特に、スクラッチノイズは回路で発生するノイズなどに比べ強烈なのでLPの再生にはやはりクラシカルなスピーカーシステムを使うのが正解ではなかろうか?
ただし、ハイパーソニック効果を考えれば、20kHz 以上の信号の存在はその大部分がノイズであってもCDより『よい音』と感じられる可能性は否定できない。

<引用終わり>

正直言って、「LPの直径は30cm 回転数は33.3回/分。今中心から13cm程の所をトレースしているとすると、20kHzに対応する波長は約20um(20/1000 mm)となる。」とか「LP壁面と接触している針の曲率半径は25.4umと言うことなので」というあたりは、どういう計算式で導き出されたのかは、調べてみたがよく分からなかった。
このあたり、詳しい人、フォローしてくれると嬉しいです。
ただ、高い周波数になると刻まれている「ギザギザ」が小さくなるので、その小さい「ギザギザ」をカートリッジがホントに正確にトレースできているのか?と言う話なんだと思います。

ただし、いくら何でも「ギザギザ」では表現がファジーに過ぎますので、もう少し詳しく解釈します。

レコード盤に刻まれた溝(ギザギザ)をカートリッジの先端についたダイヤモンドなどのチップが引っ掻くことでカンチレバーが振動します。このカンチレバーの振動をファラデーの法則に従って電気信号に変換し、その信号を様々な手段で増幅して最終的にスピーカーも振動板を動かして音楽を再生しているのがアナログ再生の世界です。
この機械的な仕組み故に、正確にトレースできる限界は20kHz近辺で、さらにその限界あたりではスクラッチノイズの方が圧倒的に多くて、おそらくは15kHzを超えたあたりからはほとんど雑音だけを聞いているような状態だと主張しているのです。

さらに言えば、カートリッジの先端についているチップに少しでもゴミなどが付着すると、高域特性はいとも簡単に10kHzあたりまで低下します。つまりは、そのゴミがギザギザを正確にトレースすることを妨害するのです。レコードの溝に付着したほこりやゴミはチップが接触する一瞬だけですが、チップについたゴミは信号が刻み込まれた溝と接触し続けるので始末が悪いのです。
しかし、現実問題として、レコードのA面からB面にひっくり返すたびに毎回カートリッジの掃除をする人は稀です。

そして、これはアナログな人なら常識ですが、レコードの外周と内周では高域特性が大きく変化します。外周で20kHzあたりまで再生可能だとしても内周部分では15kHzあたりが限界になってしまいます。

また、あまりふれられていないのですが、レコードの原料である塩化ビニルの劣化の問題も無視しがたいでしょう。
塩化ビニルは言うまでもなく熱劣化します。60度を超えるような環境は論外ですが、日本の真夏のような高温多湿の環境で何十年も保存されていれば劣化しない方が不思議です。

劣化してくると何が問題になるのかというと弾性率や密度が変化するので、結果として伝播速度が低下するのです。固体内の音波の伝播速度は弾性率と密度、およびポアソン比の関係で決まってくるそうです。塩化ビニルの場合は熱劣化によって伝播速度は次第に落ちていきます。
そして、波長=伝播速度÷周波数ですから、伝播速度の落ち込みによって同じ周波数を実現しようと思えば波長は短くなります。しかし、レコードに刻み込まれたギザギザは年月を経ても変わることはありません。
つまり、伝播速度が変化すればレコードの溝に刻み込まれた信号が当初想定された周波数とはずれてくることが想像されるのです。ですから、一部では初期盤が法外な価格で取引されるアナログ盤の世界ですが、本当に初期の音質が確保されているのかは一度疑ってみる価値はあるかと思います。
ただし、この劣化と伝播速度、および波長の関係は私の全くの勘違いの可能性はあります。

やはり、これは私の全くの勘違い、スカタンでした。教えていただいたbenetianfishさん、ありがとうございました。

しかし、ここからが最も言いたいことなのですが、忘れていけないのは「20kHz 以上の信号の存在はその大部分がノイズであってもCDより『よい音』と感じられる可能性は否定できない。」という一文です。

実は、ネット上の情報を探っているうちにとても面白い一文に出会ったのです。(随分前に面白いと思ってテキストだけコピーしていたのですが、どうしても出所を再発見することができませんでした。)

ユーザーの方から教えていただきました。「聞こえない音に耳をすまし,聞きたくない音に耳を傾ける」でした。感謝!!

「従来のLPレコードなどアナログ録音による物理的な再生上限周波数は20kHz未満であるが、一部のオーディオファンの中には,CDにはない音が聞こえるという人がいる。これはアナログ機器特有の理由、つまりLPレコードを例にとると、回転のむらによる音のゆらぎ、溝にできた傷あるいはつまった埃による音の変化などが感性に訴えている部分があるように思える。
これに対して,ディジタル方式は記録された情報を完全に再生してしまうため,暖かみにかける音などと言われるのではないだろか。」

「あばたはあばた」と認識しながら(従来のLPレコードなどアナログ録音による物理的な再生上限周波数は20kHz未満である・回転のむらによる音のゆらぎ・溝にできた傷あるいはつまった埃による音の変化)、しかし、その「あばた」にこそ魅力があるのだという主張です。「あばたをえくぼ」と言い張るのは見苦しいのですが、「あばたにはあばたにはしかない魅力がある」と主張するのは実に男前です。

そして、これに続く一文には大いに教えられました。

「日本のもの作りに警鐘が鳴らされている。先のLPレコードでも,オーディオファンを納得させるためには、録音技術は勿論、レコード材料の品質確保、カッティング時の機器のメンテナンスや操作、輸送時の変形防止など全ての過程に高度な職人芸が要求されていた。どこか一部でも手抜きがあれば品質が保証されないのがアナログの世界だったのである。
ところがCDにおいては多少の傷があって情報の欠落が生じても補償回路の働きにより聞いた感じでは音質に差が現れない場合が多い。
これでは生産者・消費者双方のメディアの扱いが多少ぞんざいになっても仕方ないように思われる」

おそらく、アナログとデジタルにおける最大の違いは「再生にかける熱意と思いの深さ」なんだと思います。

「どこか一部でも手抜きがあれば品質が保証されない」アナログの世界
それに対して
「多少の傷があっても・・・音質に差が現れない」デジタルの世界

それゆえに、扱いが「ぞんざいになって」しまったのがデジタルの世界なのです。

アナログな人が時には己の人生をかけるほどの思いで再生に取り組んでいるのと比べれば、デジタルな人の大部分はあまりにもぞんざい、且つチープに過ぎるのが現状です。

「16bit 44.1kHz」というCD規格の器は音楽メディアとしては不十分だとさんざん言われてきました。しかし、ここまで縷々述べてきたように、その器はアナログ再生が実現してきた世界を包摂するに十分すぎるほどのクオリティを持っています。ですから、然るべき情熱を注げば、「至高のアナログ再生(^^;」に肩を並べられるような世界を十分に作り上げることができるのです。
ただし、その世界はノイズも込みで作り上げるアナログな世界とは全く別物にはなるはずです。
「肩を並べる」と言ってもそれはアナログとニアイコールの世界を目指すことではないのですが、それは書き始めると長い話になるので、機会が改めてふれてみたいと思います。

しかしながら、ここまで書いてきても、おそらく次のような主張は残ります。

「確かに、アナログな世界は再生できる周波数レンジにおいてもダイナミックレンジにおいてもCD規格の枠内にとどまることは納得できた。しかし、デジタルにはアナログには存在しなかったいくつかの欠点があるだろう。」

確かにその通り、デジタルにはアナログにはなかったいくつかの欠点が存在します。
特に問題となるのが「量子化ノイズ」と「折り返し歪み」です。

と言うことで、次回はこの二つの問題に絞って考えてみたいと思います。

15件のコメント

  1. お世話になっています。

    20kHz の波長の件ですが、毎分33.3回転ということは、1秒間では、0.555回転することになります(33.333/60)。もし針がレコードの中心から13cm (例として)の所にあったとしたら、この針は1秒間に2π×13cm×0.555 = 約45cm 移動することになります(半径から円周を求め、1周分ではなく0.555周分ほしいので、×0.555)。20kHz は1秒間に20,000個の波があると同じ意味なので、45cm(450mm)に20,000個の波を刻むとなると、1つあたりの長さ、つまり波長は 450mm/20,000 = 0.022mm = 約22μm となります。この波長は、当然レコードの端のほうが長くなり(半径が長いので)、中心に近づくほど短くなります。

    針の曲率半径の方は、記事を書いた人が顕微鏡で見て計られたんでしょうか...または、25.4μm で規格化されているのかもしれませんね(蓄音機初期の時代の技術的限界とかで)。

    1. 追記です。

      針先の大きさはやはり何かしら規格化されていたと思われます(「レコード針先 幅」でググって、最初のヒット(pdf)、ただしこのリンク先の情報源は不明です)。

      なお、塩化ビニルの劣化ですが、伝播速度の変化はあまり関係ないのではないのでしょうか(振動するのは針先のほうなので)。回転数が33.3回/秒と決まっているので、レコードに刻まれている波の数が変わらない限り、材質の変化そのもので周波数が変わることは無いと思います。それよりも、劣化による変形(表面の細かな情報のロス)、又は劣化によって変形しやすくなる事の方が問題だと思いますが、いかがでしょう。

      1. 詳細な説明ありがとうございます。感謝です。
        それから、塩化ビニルの劣化についてもご指摘ありがとうございます。波長の話と合わせて実に納得できました。
        実は、工業プラントのケーブルの劣化を調べる時に停電させるわけにはいかないので、20kHz以上の音波を流して、その伝播速度の変化で判断するという技術があるので、その連想から思いついたのですが、全く持ってスカタンでしたね。
        本文の方も追記訂正しておきます。

    1. 皆さん凄いですね。(^^;
      私はどうしても探し当てられなかったのに、あっという間に探してくださって感謝しています。
      なるほど、日大工学部の先生の文章だったんですね。

      ありがとうございました。

  2. ユングさん、Fujiです。

    >アナログ再生に関わる内容を取り上げる時点で覚悟はしていたのですが、いやはや、思っていた以上の「パンドラの箱」ですね。

    「パンドラの箱」でいいんじゃないでしょうか。本来、今迄さんざんデジタルは音が悪い、と言い続けて来た人達に文句を言われる筋合いはないと思いますし、ユングさんはじめ多くの方々の努力によりPCオーディオ再生(mpd)は、かなりのレベルに到達したと言えると思います。しかしながら、デジタルは音が悪い、と言い続けて来た人達はアナログレコード以外には目もくれず、デジタルの音を少しでも良くしようという努力を一切して来なかった訳ですから、もちろん趣味の世界ですからどの様なスタンスを取ろうと個人の自由ですが、少なくとも音源はアナログレコードだけではありませんし、オーディオ界全体の発展と言う事を念頭に置けば、デジタルオーディオを無視し続ける事はオーディオ界にとって大きなマイナスですし、発展にもつながらないと思うのですが。

  3. レコード針の曲率半径についてです。

    日本コロンビアが発売した「ノンディストーション・カッティング」と銘打ったレコードが有ります。
    これは、針先の形状に起因する歪みをあらかじめ補正してカッティングを行うという代物です。
    (私の所持している一枚は1971年の発売です)この中に同梱されている紙に、以下のように記述されています。

    「ノンディストーション・カッティング」のレコードをかける場合、
    現在世界的な規格に決まりつつある、針先半径15-18ミクロン(0.6-0.7ミル)り再生針
    (例えば DENON DL-103やDL-107の16.5ミクロン等がある)で再生する時に、その効果は最も著しいものであるが、
    楕円針や他の半径の針でも、その効果は十分なことが証明されている。

    現在私が使用しています Audiotechnica AT-OC9/III の場合、カタログやホームページに
    針先形状:ラインコンタクト針(先端曲率半径 40×7μm) と記載されています。
    なお、1ミルとは1インチの1/1000の事で 25.4μm(ミクロン)に相当します。
    現在でも販売している、シュアーのSP用カートリッジぱ2.5ミルの丸針、プロ用(DJ用)カートリッジは0.7ミルの丸針、
    HiFi用は0.2×0.7ミルの楕円針となっています。(シュアーのホームページに記載されています)
    ここから先は、出典不明の記憶ですが、SPレコードの時代の針先は2.5ミル程度であり、45回転や33回転が
    できてから1ミル程度となり、ステレオの時代になって丸針は0.65ミル程度となったように思います。
    楕円針の進行方向の曲率半径は0.2-0.4ミル程度が標準的な数値のように思います。

    つまり、25.4μm(1ミル)と言う曲率半径の数字は40年以上前に既に時代遅れになっていた数値です。
    こんな数値でもっともらしい計算をされても(yungさんじゃなく、引用元の人ですよ)説得力が有りません。
    そもそも、CD4レコードなんて存在して、30-50kHzがトレース出来なければ成り立たない方式だった訳ですから
    20kHzに対して25.4μmの曲率半径を持ち出している時点でこの人の議論は変だと思います。
    又、同じ理由で「20kHz以上は大部分がノイズだ」も、気は確かかと訊かざるを得ません。

    ちなみに、私は現在手持ちのLPレコードのデジタルデータ化を進めています。同じ演奏のLPとCD(両方市販)で、
    LPの方が生の雰囲気をより強く感じられる以上、今以上に劣化させずに保存するには仕方ないと思います。
    では、私はアナログ派かデジタル派かどちらに分類されるのでしょうね。

    yungさんの今回の記事の主題の16bit44.1kHzについては今日は意見を差し控えさせていただきます。

  4. ユングさん、おっしゃるとおりこれからデジタルなしのオーディオは考えられません。
    しかしレコードの魅力には大きいものがあります。一番は音楽ソースです。自分が知らない無尽蔵とも思われる名演、準名演があることに驚くばかりです。2番目は全てとは言いませんがレコードには努力次第でいい音にできる余地が大きいです。私は同じものを見つけたらCDをレコードに置き換えています。
    全てのレコードは録音してデジタルファイルとして保存しています。録音することの副産物は良く聴くことでして、録音時と確認時とで両面全て二回聴きます。SPレコードまでは残念ながら届かないので、LPレコードが主です。ここで苦労するのは時間とお金がかかることです。カートリッジ、ターンテーブルは仕方がないとして、トーンアームとフォノイコライザーは自作しました。最初はファイルに保存すればそれで完了と思っていたのが、何と言っても、ここでほぼ音質が決まってしまうので、ちょっと良くなるたびに録音のやり直しをするという循環にも陥りましたが、やっと1000枚になりました。
    ちなみに、ADコンバータはRMEのFireFace400でして、最近はLinuxのドライバー対応が進み、ミキサー画面はWindows, MACと変わらず使い勝手が良くなり、Linuxの録音ソフトと連携し、再生にも使っています。

  5. 「LP壁面と接触している針の曲率半径は25.4umと言うことなので」などの記述が有りますが、

    針先は球状で半径をmil単位で規格化されてるため、単純に25.4マイクロ・メータ(1mil)と書かれていると思います。
    即ち、モノラルの再生用針は先端の半径が1mil(1/1000インチ),ステレオの場合は0.65milと言われていました。
    ちなみに、モノラルの溝幅は50マイクロ・メータで、ステレオはこの値の付近を変化します。

  6. ユングさん、いやはや、難しい話になりましたね~

    benetianfishが指摘されたことですが、塩化ビニルの伝播速度はレコード盤自体の
    固有振動の問題、つまりレコード針の振動とレコード盤が共振しないかどうかと
    いう場合は考える必要はありますが、それ以外の場合は関係ないと思います。
    温度での材料の密度変化は基本ない筈です。もし温度が関係するとしたら
    温度が高くなることにより弾性係数が小さくなり材料の粘性が大きくなるため
    材料のダンピングが大きくなりレコード針の追従性が悪くなると思います。
    (かなりの高音ですね^^;)
    しかし通常の使用状態での熱劣化は考え難いです。劣化し易い温度は
    材料のガラス転移点付近ですから。(Tgは80℃くらいです)
    それより紫外線劣化の方が影響が大きいと思います。
    一応私の専門に近い内容なので、多分間違いないとは思いますが・・・
    おかしい点あれば指摘くださいね~

    あっ、話をややこしくしてスミマセン・・・

  7. 話がだいぶそれてきた様に感じます

    yungさんの言いたい事は、メディアしてのCDとレコードを比較するのではなく、デジタルオーディオファイルの再生において「CDフォーマット(16bit、44.1kHz)では不十分なのか?」を、「アナログレコードの物理特性と比較」して理論的に検証するということなのではないでしょうか?

    確かに、それなりに整備された環境でアナログレコードを再生すると、何故かデジタルオーディオとは異なる「良い音」がするのは事実だと思います
    ただこれは、音源の録音技術とレコードのプレス技術と再生機器の開発が、同じ時代の中でシンクロしていた(当時の最新技術の結集であった)ことの成果ではないでしょうか
    今、JAZZの愛好家がオリジナル盤を漁ったり、クラシックの愛好家が輸入盤を求めるのは、エンジニアの力という視点もありますが、より新鮮な音源からプレスされたメディアがやはり音質が良いと言うのも一因ではないでしょうか

    もう一つ、CDの音質に対する刷り込みの中には、初期のデジタルレコーディングの音の悪さに対する驚き(落胆)もあるのではないでしょうか?
    DENONからPCM録音のレコードが出て、その音の悪さに仰け反りましたし、DGの初期のデジタル録音も褒められたもんじゃありませんでした
    そんな印象から、CDは発売前から「音が良いわけがない」と考えましたし、実際、発売されたCDの音質は皆さんご指摘の様にひどい物でした
    まあ、当時のCDと言えば、音楽メディアとしての蓄積もないまま、音の良くないデジタルマスターか劣化したマスターテープをデジタル化して作られたものですから、仕方が無いと思います

    振り返って、CDの再生にはやはり限界を感じていましたが、yungさんのアドバイスなどを参考に、我が家で構築した総額10万円程度のデジタルオーディオファイル再生系(APU1c〜UDA2〜頒布基盤による自作DAC)からは、CDからリッピングした16bit、44.1kHzのWAVでも我が駄耳で聴く限り十分満足のいく音に思えます

    私は「半転び伴天連」ですので、デジタルオーディオファイル再生のコスパの高さと簡便さはやはりアナログレコードとは比較にならないなあと思いつつ、毎日せっせとアナログレコードをDSDに録音しています

  8. ユングさん、お世話になります、Fujiです。長文で申し訳ありませんが、
    「アナログは20KHzを超えるのか、」に付いて私なりにまとめてみました。

    まず、1960年代のLPレコードですが、録音用マイクロホンの周波数特性がコンデンサマイクロホンの場合で20Hz-20KHz、ダイナミックマイクロホンの場合は30Hz-16KHz位。あの音質に定評のあるノイマンのカッティグマシーン用ヘッドSX-68の周波数特性が40Hz-16KHz±1db(±3dbとしても30Hz-18KHz位ではと思います。)となっていますので、おそらくこの年代のLPレコードには20KHz以上の音は録音されて無いと思います。では1970年代以降はどうかと言いますと、カッティグマシーンの性能は向上し20KHz以上のカッティングが可能になり、カッティングスピードを遅くすれば4チャンネルステレオに含まれる音声信号と、キャリア(30KHz)と、その占有帯域幅を含め20Hz-50KHz位までは記録可能になった様です。これらの事を考えるとLPレコードと言う器自体は相当大きく、96KHz/16bit相当位と言う事になるのでしょうか。但し、LPレコードで50KHz迄を再生すると言っても、4チャンネル用のカートリッジが必要ですし、20KHz-50KHzの帯域はリアチャンネル用の音声信号でFM変調された信号ですから、発信器で人工的に作られた正弦波であり、その形態は音声信号ではありません。従って、メインの音声信号はやはりマイクロホンの制約と、キャリアの占有帯域幅の下限が20KHzとされていますので、メインの音声信号に20KHz以上の音は記録する事は出来なかったと見るのが妥当と思われます。(おそらくメインの音声信号はキャリアの占有帯域幅の下限を考慮し、フィルターを使って20KHz以上はカットしていたのではと推察しています。)又、通常の2チャンネルLPレコードもマイクロホンの制約で20KHz以上の音は入っていないと見るべきだと思います。仮に入っていたとしても「20KHz以上は大部分がノイズだ」というのも、あながち嘘だとは言えないと思います。但し、1982年に三研マイクロホン株式会社よりCU-41と言う20Hz-30KHz迄収録可能なマイクロホンが発売されています。さらに2004年には同じく三研のCO-100Kと言う20Hz-100KHz迄収録可能なマイクロホンが発売されています。従ってこれらの年代以降、これらのマイクロホンを使用したマスターで作成されたLPレコードには20KHz以上の音が入っている可能性があると言う事になると思います。おそらくこれらの年代には海外製マイクロホンも広帯域のモデルが発売されていたと思われます。ただこれらのマイクロホンが実際にいつ頃から、どの位の頻度で録音現場で使用される様になったかは私には分かりませんが。以上の様な事から、少なくとも広帯域のマイクロホンが開発される以前のLPレコードには20KHz以上の音は入っていないと見るべきだと思います。この事は当時のマスターから作成された、SACDやハイレゾ音源にも言える事で20KHz以上は入っていないはずです。従って、広帯域マイクロホンを用いた録音以外は、その制約によって20KHz以上の音声信号は録音出来ず、これらのマスターを使って作成されたLPレコード、SACD、ハイレゾ音源等に、20KHz以上の音声信号は入っていないと言う事になります。

    ユングさん、ご意見等ございましたらお聞かせ下さい。

  9. 詳細なデータ提供ありがとうございます。
    しかしながら、ふれないでおこうと思っていたのですが、Fujiさんから情報もいただいたので一言、アナログ派の人が昔懐かしい「4チャンネルステレオ」を持ち出してきたのには驚きました。
    そのような方は、今も4チャンネルステレオだけで音楽をお聴きになっているんでしょうか?・・・まさかね(^^v
    一般的には全く無意味な話だと思います。

    さらに2004年には同じく三研のCO-100Kと言う20Hz-100KHz迄収録可能なマイクロホンが発売されています。

    これらのマイクは録音用というよりは測定用のマイクですね。おそらく、こんなマイクを使って録音をするようなエンジニアはいないと思います。
    現在のトレンドは20kHzまでの音声信号を正確に録音することです。録音現場にいる人々ははっきりと、「ハイレゾのメリットは20kHzまでの音をより正確に拾うことにある」と答えています。

    これを「FIDELIXの中川氏」風に表現するとこうなるでしょうね。
    「念のため何人かのエンジニアに事実関係を確認したら、現実に録音活動を行っている人にとっては普通に知っていることだというコメントでした。ではなぜ発表しないのかをたずねたら、業界としては得することが無いからとの回答でした。」

    まあ、これは冗談ですが(^^;、ハイレゾには20kHzを超える領域まで録音されていることを売りにするなら(売りにしているんですが・・・)、再生する側にとっても、その領域の「音(?)」をいかに正確に再生するかが重要な課題となります。しかし、ハイレゾの肝が「20kHzまでの音声信号が正確に録音されている」ことだとすれば、再生する側の課題意識は全く変わってきます。
    正解が後者で売り文句が前者だとするならば、それは致命的なミズリードです。

    高い金を出してSACDを買ってきたものの、その音がCD規格の音よりも悪くてがっかりという話をよく聞きます。おそらく、SACDにおいても、CD規格離陸時と同じような勘違いと誤解がおこっているのかもしれません。

    CDが駄目だからSACD(ハイレゾ)の規格で何とかしよう!と言うスタンスならば、おそらくSACD(ハイレゾ)も上手く鳴らないと思います。
    そうではなくて、「16bit 44.1kHz」のCD規格の音が十分魅力的になる再生環境を実現してこそSACD(ハイレゾ)も真価を発揮するはずです。
    大切なのはまずは20kHzまでの帯域をしっかりと鳴らし切ることです。

  10. 私が「今の時分までアナログレコードを聴き続けているのか」ですが、
    その理由は、好みの音であるのと同時に趣味性からです。
    ADプレイヤーは、本体とカートリッジと針とレコードを上手く使いこなす
    事が全てです。レコードを拭いて、針先のゴミを払って、レコード盤に
    針先を乗せる・・・この工程が堪らないのだと思います。
    音質的に言えば、CDもDVDも音だけ聞くとちんぷです。生地で例えれ
    ば、ストッキングと一般的な靴下の様です。前者はデジタルで後者が
    アナログです。アナログの良さはノイズすら存在感を醸し出すの(厚さ)
    です。デジタルは、存在感がない(薄い)のです。
    アナログレコードの傷も不快ですが、でも、それも聴いている証なのです。
    テープは高周波を含み原音とは・・・。
    デジタルは、サンプリング量とDAD、ADA、の間で音が変わる・・・。
    雑音をとるか、原音をとるか、装飾音(デジタル)をとるか・・・。
    私は、存在感のアナログをとります。

    あと、ランニングコストをふまえるとアナログレコードが一番いい。
    聴けなくなる(デジタルはエラーが出ると全曲聴けない場合が有る)のも
    好きななれない理由の一つです。

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