大阪ハイエンドオーディオショーの印象など(2)

今月の7日(金)~9日(日)、心斎橋のハートンホテルで行われた大阪ハイエンドオーディオショーの印象についての続編です。

前回は、Audio Machina「Pure NSE」の凄い音に度肝を抜かれた話をしました。正直言って、あの音は凄かったです。
デモではCH Precision (CH プレシジョン)やViolaのとんでもないアンプで鳴らしていたのでそれも割り引かないといけないと思っていたのですが、聞くところによるとカチンコチンの密閉型スピーカーであるにもかかわらずアンプをあまり選ばないという話でした。
ほんかいな?・・・と思ったのですが、ウーファーは内蔵してあるアンプで駆動するアクティブ型という話を聞いてなるほどと納得した話です。

ただし、あのデザインだけはいただけません。
もちろん、あの形が音質に直結はしているのでしょうが、それでもオーディオルームは実験室ではないのですからもう少し何とかならないのでしょうか。聞くところによると、このAudio Machinaという会社は社長とその弟子が二人でやっているブランドらしいので、そんなところまでは手が回らないと言うことなのでしょうか。残念な話です。

と言うことで、Audio Machinaのデモを最後まで聞いて、音に関してはすっかり感心して席を立とうと思ったのですが、その次にビビッド・オーディオの(おそらくは)最新の小型版「G4 GIYA」が登場したので、またまた改めて座り直しました。

ビビッド・オーディオ「G4 GIYA」

G4

これも、システム一新の有力候補として端っこの方にノミネートされていたからです。
ただし、聞く順番が悪かったようです。何故ならば、Audio Machina「Pure NSE」のとんでもない音を聞いた後では、おそらくはどんなスピーカーを聞いても物足りなく思うからです。
最初の音が出たとたんに思ったことは「普通!!」の一言です。
もちろん悪くない音ですから、ペアで100万円~150万円程度ならば十分に選択肢には入ると思うのですが、ペアで300万円では論外です。これに、300万円を払うくらいなら400万円を出してAudio Machina「Pure NSE」を買いますね。(買わないけれどね・・^^;)

と言うことで、「G4 GIYA」は1曲だけ聴いてそそくさと席を立ちました。それと、実際に見てみて、やはりあのデザインは好きになれません。
ソナスに続いて、「GIYA」シリーズも選択肢から消えました。

アキュフェーズとラックスのブースは日本的?

次に向かったのは、とりあえずと言うことでアキュフェーズとラックスのブースに立ち寄りました。
そして、驚いたのが、両方ともデモ用のスピーカーとしてアッコルドを使っていたことです。

Accordo

Accordo

前回も少し触れたのですが、これはほれぼれするような「美音」です。
そして、Audio Machina「Pure NSE」の強烈な音のイメージを払拭するには十分な力を持っていました。
ついでながら、アキュフェーズのブースではデモ用としてエラックのスピーカーも用意していました。できれば、そちらも聞きたかったのですが、残念ながらメインは「Accordo」を使ってのデモだったようなので聞くことはできませんでした。
それにしても、アキュフェーズと「Accordo」の組み合わせは非常に相性がいいようで、あの小さなスピーカーからは想像もできないような柔らかくてふくよかな世界を展開していました。

ただし、機器についての解説などは一切なしで、ただただ音楽を流しているだけでした。
そして、ブースのあちこちではメーカーの人間とユーザーが話し込んでいるので、試聴会というよりは商談会という方がぴったりな雰囲気でした。さすがに、日本のオーディオ界におけるアキュフェーズの強さが窺われる光景でした。

それに対して、廊下を挟んだ反対側のラックスのブースではアナログプレーヤー(PD-171A)と復刻版の古いアンプ(L-305)の組み合わせで「Accordo」を鳴らしていました。その組み合わせは、こういうハイエンドオーディオショーでは非常にリーズナブルに思える組み合わせなのですが、それはそれは素晴らしいアナログ的美音の世界を垣間見せていました。

LUXMAN「PD-171A」

PD-171A

LUXMAN「L-305」

L-305

こちらは、アキュフェーズとはうって変わってアナログ再生の魅力について熱心に解説がされていました。そして、改めてこの二つのブースを回って「日本的美音」ということについて認識を新たにさせられました。
確かに悪い世界ではありませんし、あのAudio Machina「Pure NSE」のような「出しっぱなし」の世界とは真逆にあることを再確認できました。

しかし、この世界に耽溺してしまうのは、今の時点では心を鬼にして「拒否」しましょう。
言葉をかえれば、オーディオの世界で新しい音楽体験をするためには、こういう「美音」の世界は認めつつも、そこからさらに前に進まないといけないのです。(次回に続く)