ボトルネックその2?「音楽ファイルをハードディスクから読み出すとき」

ボトルネックその1?「CDからデジタルデータを読み出すとき」を無事にクリアすると、次は「そのファイルをいかにしてHDから読み出すか?」と言う関門が立ちはだかります。
これに関しては、「内蔵のHDよりも外付けのHDにファイルを置いた方が音が良い」と言うことが言われるようになり、さらには、「外付けのHDとPCをどのように結べばよいのか?」と言う課題があれこれ論議されました。
私なりの結論としてはUSB接続は×、FireWire接続は△、そして、eSATA接続がベターと言うことになりました。しかし、その後、メモリを大量に積み込んで、OSから認識できない(32ビットでは3Gbまでしか認識しない)余剰分をRAMDisk化して、そこにファイルを置いて読み出すのがベストだと言うことに気づきました。

つまり、HDはファイルの置き場所として割り切り、再生するときはファイルをメモリの上に置くという考え方です。
これに関しては、以前、このように書きました。

「さて、肝腎の音質ですが・・・これは、「驚嘆した」と言うしかありません。まさに激変しました。・・・実は、この数日ケンプによるベートーベンのピアノソナタ(古い方の全集)を集中的に聞いています。力ずくになることなく、堅苦しくなることもなく、さらに絶対に重くなることもなく、実に伸びやかで気持ちのいいベートーベンなので、あらためて50年代のケンプはいいなあと聞き惚れていました。
ただ、録音の大部分は51年に行われていて、ほんの数曲だけが53年と56年に行われています。
ご存知のように、録音にテープが利用されるのは52?53年からで、同じモノラル録音でもこれ以前と以後ではクオリティに大きな差があります。このケンプの録音は残念ながらそれ以前のものなので、これが後1?2年ずれていれば鬼に金棒なのにな・・・と、無い物ねだりを感じていました。
ところが、音楽ファイルも再生ソフトもRamDiskに置いた「All RamDisk(?)」状態で聞いた音は、信じがたいほどの透明感と深々とした響きで、そんな不満を軽く吹き飛ばしてしまいました。
これはいったいどうしたことなのか?と「?」と43個ぐらいはつきそうなほどの激変ぶりなのですが、結局は16ビット、44.1Khzの容れ物の中にこれだけの「音」が潜んでいると言うことなのでしょう。そして、通常私たちはその「音」の全てを引き出し得ていないと言うことなのでしょう。
おそらく、この「All RamDisk(?)」状態でケンプの録音を聞けば、60年代のケンプってこんなにも上手かったけ?と勘違いするはずです。(^^v」

まさに、絶賛をしております。

ただ、とっても邪魔くさいのです。
音楽を聞くたびにHDからRAMDiskにファイルをコピーして、再生ソフトからそれを読み込むという手続きは、日常的に繰り返すにはあまりにも面倒なので、結局はよほど気合いを入れて聞きたい時にしか使わないようになりました。
できることなら、最初にHDからメモリにファイルを全て読み込んでから再生してくれるようなソフトがあればいいのにな・・・等と思っていました。
まあ、それでも、外付けのHDとPCをeSATA接続で結んで再生するというベターな選択でも十分に納得の音質なので、「まあこれで良し」と言うことで日を過ごしていました。

ところが、この世界は日進月歩のようで、ふと気がつくと様々なソフトが世に現れているではないですか。やはり、「怠惰」は罪です。常にアンテナは張り巡らしておかないといけません。

かなりにぶいユング君のアンテナですが、そこに引っかかってきたのが「cMP2 = cMP + cPlay」です。
このソフトは普通の再生ソフトとは少したたずまいが違っていて、「cMP2 = cMP + cPlay」という名前の通り、「cMP」と「cPlay」という二つのソフトからできています。本来は自作のPCトランスポートを作る際の基本ソフトとなることを目的としたものらしいのですが、「cPlay」は単体で再生用のソフトとして動きます。
ですから、私たちが使うのは当面は「cPlay」のみとなります。(ついでながら、「cMP」をダウンロードしようとするとウイルス検知が働きます。サイト内には誤検知で問題はないと書いてありますが、詳細は分かりません。当然のことですが、それを押し切って落としてきてインストールしようとするとまたまたウイルス検知が働きます。ですから、「cMP」の方は当面は様子見が正解でしょう。)

取りあえず、以下のサイトから「cPlay」を落としてきます。(gnuライセンスの元に無料で配布されています)
http://sourceforge.net/projects/cplay/files/

インストールして起動すると以下のような味も素っ気もない画面が起ち上がります。

基本的な仕様は以下の通りです。

  • 扱える音楽ファイル:WAVとFlacのみ
  • 扱えるリストファイル:CUE形式
  • オーディオ出力:ASIOのみ
  • 対応しているOS:XP、Vista、Windows 7(64ビットシステム上で動作するらしい)
  • CPU:最低でもPentium 4(dual coreを推奨)
  • メモリ:最小で160Mb必要(フルに機能を使うには1GB必要)

CPUがdual coreで、メモリにはできれば1Gb、さらにはASIOに対応したインターフェイスが推奨なのでいささか敷居は高いと言わざるをえませんが、本気でPCオーディオに取り組もうとしている人にはさほどでもないでしょう。
また、WAVとFlacにしか対応していないのも不便と言えば不便ですが、これもまたPCオーディオ派にとってはWAV一本で充分ですから、これもさほど困ったことにはならないでしょう。
ただ困るのは、音楽ファイルを直接読み込むときは一つしか選択できず、連続して再生したいときはCUE形式のプレイリストを用意しないといけないのが一番のネックと言えるでしょう。これについては、あらためて詳述したいと思います。

次に、「cPlay」の設定画面を見てみましょう。

上記の画像は仕事用のPCのものなので、つないでいるインターフェイスはオンキョーはSE-U55GXというASIO未対応のものです。そう言うときでもASIO4ALLを組み込めばきちんと動きます。
後はアップサンプリングして聞きたいときの設定ぐらいですから、それほど難しいことはないと思います。アップサンプリングをしないのならASIOドライバーを選択して、後はデフォルトで問題はないと思います。

音楽を再生するときは、音楽ファイルかリストファイルを選びます。
先ほどの設定画面で「Autoplay」にチェックが入っていれば、自動的にファイルをメモリに読み込んで再生が始まります。ただし、音楽ファイルを読み込むときは一つしか読み込めませんので、実用的にはどうしてもリストファイルを作成する必要があります。
リストファイルを作成すると、こんな感じになります。

ビックリするくらいフォントが大きいのですが、これは私が老眼なのでそれに合わせたわけではなく、デフォルトでこうなっています。実は、この部分が本来はPCトランスポートに組み込んだときの液晶画面の表示用に使われるので、このフォントがデフォルトらしいのです。
ただし、近年老眼が進んでいるユング君にとってはありがたいデザインです。

さて、音質ですが、これはもう「素晴らしい」の一言に尽きます。そして、ファイルをRAMDiskに読み込んでFrieve Audioから再生したときよりもはっきりと分かるほど向上しています。
これは、ただ単にメモリに読み込んでから再生すると言うだけでなく、ジッターの低減などに色々な工夫が施されているようです。
正直言ってこのソフトを使って再生される音を聞けば、もうこれで充分、これ以上何を求めるのか!と思えるほどのレベルにまできているような気がします。
これで、私のシステム再生ソフトはFrieve AudioからcPlayに政権交代することになりました。

ただ、問題は、このソフトは基本的にCUE形式のファイルリストをベースに動くようになっている点です。ですから、このソフトを使うときは「CPlayListEditor」みたいなものが絶対必要です。
と言うことで、今回も長くなってきましたので、この件については次回に報告したいと思います。