過ぎたるは及ばざるがごとし・・・かな?

すっかり更新が滞ってしまいました。「次回は、その「スッタモンダ」からの教訓(って、いうほどのことではないですが・・・)について報告したいと思います。」と書きながら、3週間近くほったらかしになっています。

理由は「管理人ブログ」の方に書いたような次第です。とりあえず懸案は夏の休暇に先送り・・・と決めましたので、サイト更新の方も通常の状態に戻したいと思います。

さて、その「スッタモンダ」からの教訓なんですが、一言でいえば「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということです。

たとえばレイテンシーの問題です。
これはバッファを小さくしていけばいくほどレイテンシーは小さくなります。理論的にはレイテンシーは小さければ小さいほど音質的には有利と言うことになっています。
しかし、実際にやってみるとわかることですが、ある値を超えて小さくしていくとシステム的に不安定になってきて、決して音質的に有利とは言い難くなります。しかし、世間では「小さいレイテンシー=高音質」という公式を無批判に信じ込んで、限界までバッファを小さくしている人が多いようです。

もう少し具体的に話してみましょう。
Fireface400はバッファのサイズを最小で48に設定できて、この状態でレイテンシーは限りなく0に近くなるそうです。
いわゆる「ゼロレイテンシー」と言われる状態になるので理論的にはこれがベストとなるはずです。しかし、自分の耳を信じるならば、この状態は決して音質的には好ましくありません。どこかつま先だったような不安定な感じが否めない音になります。
ですから、私の場合は、己の耳を信じて現在はバッファサイズを「256」に設定しています。

ただし、誤解のないように言い添えておくと、いつでも「256」という設定がベストだと言っているわけではありません。おそらくは、PCの性能やチューニングの程度、さらには使用している再生ソフトなどによってベストの設定は変わってくるんだろうと思います。
重要なことは、「小さいレイテンシー=高音質」という公式を頭から信じ込んで無批判に設定するのではなく、あくまでも「小さいレイテンシー=高音質」という方向性は踏まえながら、それでもベストなポジションは己の耳と感性を信じて絞り込んでいくことが重要だと言うことです。
このレイテンシーの問題は最近はよく知られるようになってきました。

そして、今回の「スッタモンダ」において教えられたのは、PCのチューニングにおいてもこれと同じ事が言えそうだと言うことなのです。
PCのチューニングにおいては、基本的に「チューニングしてPCの負荷を小さくする=高音質」という公式が前提となっていました。もちろん、この方向性は基本的には正しいとは思いますが、それでも、「過ぎたるは及ばざるがごとし」になる可能性がゼロではないことに気づかされたのです。

たとえば、チューニングに特化して徹底的にPCを絞り上げていくと、間違いなく音は変化します。
そして、これはケーブルなどのアクセサリなどを変更したようなときにも言えることなのですが、この変化がプラスの変化なのかマイナスの変化なのか、それを変更した時点でシビアに見極めるのはかなり難しいのです。

たとえば、アクセサリ地獄というのは以下のような構図で引き起こされます。

ケーブルを変える→音が変化する(やったね!!)→電源も変える→音が変化する(やったね!!)→さらにケーブルを変える→またまた音は変化する(やったーー!!)→ところが、知人に音を聞いてもらうと、「前の方がよかったね、どうしたの?」などと言われて顔面真っ青・・・よくあることです。

これは、とにかくアクセサリ類の変更によってもたらされる「音の変化」に目を奪われて、その善悪の判断とトータルとしての音の判断を見失ってしまった事が原因です。
オーディのシステムというのは、どこをいじっても音は変化します。ですから、大枚をはたいてケーブルを購入したようなときはその音の変化をプラスだと信じたいという人情が働きます。そんな人情に販売店のセールストークが呪文のように覆い被さって真っ当な判断基準を狂わせていくのです。

それと比べれば、PCのチューニングは1円もかかっていないので「可愛い」と言えば「可愛い」のですが、それでも、

チューニングする→音が変化する(やったね!!)→さらにチューニングする→音が変化する(やったね!!)→徹底的にチューニングする→またまた音は変化する(やったーー!!)

と言う過程の中でおなじミステイクを引き起こす可能性は間違いなく潜んでいます。

どうやらPCのチューニングにおいても、ある一線を越えるとシステムそのものを不安定にしてしまって音質を損なってしまうようなのです。
では、どの辺で止めればいいのか?と言うことですが、これは実に難しい。
おそらくは、PC全体の仕様や性能によって大きく変わってくるのではないかと思われます。

ただ、個人的な感想としては、「レジストリエディタを使ってレジストリを編集」あたりまでは問題なくやっておいた方がいいと思うのですが、それ以降の「Autorunsで自動起動するプログラムを止める 」や「不必要なデバイスを無効にする」あたりは微妙です。
確かに、システムの負荷を下げることは間違いありませんが、同時にシステム全体にある種の不安定さをもたらすことも否定しきれないからです。
「BIOSを編集する」に関しては私自身もそれほど実行しているわけではないので何とも言えませんが、これも同様にシステムの不安定化をもたらす可能性があります。

ですから、大切なことはチューニングによって引き起こされた音の変化をしっかり判断する耳が必要だと言うことです。

でも、これって考えてみれば当たり前のことです。
大切なのはあくまでも己の感性であり、さらに大事なのはその感性を磨き上げていくことです。

と言うことで、現在は「Autorunsで自動起動するプログラムを止める 」と「不必要なデバイスを無効にする」は実施していません。なぜなら、その方がベターだと私の耳が判断したからです。
とは言え、これを頭から信じてご自分のシステムにも同様の対策を実行するのはおやめください。
最終的にあなたのシステムのベストチューニングを決めるのは、あくまでもあなたの耳なんですから