過ぎたるは・・・

PCオーディオ関連のサイトは「Googleリーダー」に登録してこまめにチェックしています。その中で、かなり面白い情報を発信されているのがこちらのサイトです。

西出晃のブログ

「オーディオトランスポート OJI Special DPATSeven 64 (DPAT-764-LA)」なるものを販売されているようなので、いわゆる「趣味」でやっておられる方ではありません。当然のことながら、ご自分が提供されている製品がベストだというスタンスなので(ベストだと思っていない製品を販売していたら、その方が問題!!)その部分は考慮する必要はありますが、実に面白いです。

バイナリ一致やクロックの問題など、まさに「今が旬」の話題もかなり専門的なレベルで情報を発信されていますので、一度は訪れてみる価値はあるでしょう。ただし、私のぼんくら頭では余りよく理解できない部分も多いのがいささか困りものではありますが・・・。

ただ、そんなぼんくら頭でも「なるほど!」と思ったのがこちらのページです。

PCオーディオの高音質化のアプローチ方法

内容をかいつまんで紹介しますと、・・・

「コンピュータオーディオを行って ある程度たつと行き着く点がファンレスコンピュータだと思います。」
・・・はいはい、その通り、・・・でも、高くつくのね、ファンレスコンピュータって!!

「理想を求め行き着いたファンレス。
期待に胸をふくらませて音を出した・・・でも なんだか余り変わらない とか 逆に何か濁った音、モワモワした音なんて感じた人もいるかもしれません。」
・・・ええ、逆に悪くなる事ってあるの?・・・と言うことで、詳しく読んでいきますと、どうやら「ヒートパイプ」などで放熱するだけでは十分に内部の温度を下げられないというのです。

つまり、パソコンの発熱源というのはCPUだけでなく、それ以外にも様々な部分から発熱しているので「ヒートパイプ」だけで効果的な冷却効果は期待できないというのです。そして、結果としてパソコン内部の温度が上がってしまって、パソコンそのものの動作を悪くしてしまうと言うのです。

「ファンレスコンピュータの内部を 赤外線温度計で測ってみますと、ファンがある物よりもかなり温度が上昇しています。チップセットやFETなどかなり温度が上昇していていますし、空気の温度も上がりますから コンデンサーなどもドンドン悪環境の中にさらされています。ドンドン理想的な動作から外れていくのです。」
・・・なるほどね。ファンレスにすればいいってものじゃないんですね。

「最近では 静音ブームで、ドンドン熱がたまる方向です。まあ 販売するメーカーに取っては壊れやすくなりますし(10度上がると寿命は半分の物も多いようです)売れますから良いのですが、オーディオをまじめに行う人にとっては問題ですよね。なにしろまともに動作しないようでは音質も期待できません。」

・・・そして、こういう思い切った発言もされています。

「コンピュータオーディオを行っててノートパソコンで行っている方も多いと思いますが、音質改善の限界を感じたら是非デスクトップ型を試して見てください。実はノートパソコンは 熱の排出がきちんと行われていないので 平均的に冷やされず 高温の部品がかなり存在します。温度が上がるとCPUファンが強烈に回り、他の部品の熱も引きますが、オーディオ的には、温度が一定でないので問題だと思います。」

世間では、バッテリ駆動できるノートパソコンの方がオーディオ的に有利だという意見が多いだけに、なかなか面白い見解です。

ただし、私個人の実感としてはかなり納得できます。私も、「ノートパソコンの方がオーディオ的に有利だ」という見解を聞いて試してみたことがあるのですが、結果は芳しくありませんでした。理由はよく分からなかったのですが、音楽を聴いて楽しめないものを使い続ける理由もないので、すぐにもとのデスクトップPCにもどしました。

そこで、結局何が面白かったのかというと、少し前にパソコンのチューニングで述べたように、「過ぎたるは及ばざるがごとし」というのは、すべての面に当てはまるのだと言うことが納得できたことです。

  • ノイズ軽減のための一つの行き着く先が「ファンレスコンピュータ」なのに、結果としては内部の温度を下げきれずにPCの動作が不安定になり様々な問題を引き起こすこともある。
  • パソコンのチューニングも動作を軽くしていけばいくほどいいだろうと言うことで、どんどんいろんなプロセスを止めていくと、結果として全体の動作が不安定になって音質的にはマイナスになることもある。
  • インターフェイスのバッファは小さくすれば小さくするほどいいと言うが、あるポイントを過ぎると逆に動作が不安定になって音質的にはマイナスになる。
  • ・・・などなどです。

    理論というのは大切なもので、「何をすれば音がよくなるのか」の方向性を与えてくれます。しかし、それを盲進して突き進むだけだと、今度は全体のバランスを崩してマイナスになってしまうポイントがあります。
    つまり、どの程度まで突き進むのかという最終的な判断は自分の耳を信じて決めるしかないと言うことです。
    そして、これはすべての分野に当てはめることのできる教訓でしょう。

    「ケーブルを替えれば!!」「電源を替えれば!!」「アンプを替えれば!!」「クロックを追加すれば!!」などなど、妄想と欲望がつきないのがこの世界です。しかし、「○○をすれば絶対に音がよくなる」などと言う対策や製品は「絶対にない」と言うことだけは真実のようです。
    おそらく、もっとも大切なことは「バランス」であって、その「バランス」を最終的に確定してくれるのは己の「感性」しかないと言うことです。

    そう言えば、「音は人なり!!」と喝破された方がおられました。
    昔は「何を大仰な!!」と思ったものですが、年を経ると納得のいく言葉ではあります。

    ついでながら、西出氏は「ファンレスPCをもっと高音質に!」するためには、ファンをつけろといっています。
    面白い!!