以前にも少しばかり紹介しましたが、ONKYOの「ND-S1」の評判がすこぶるよいようです。
確かに、fireface400を常用しているものにとっては不満な点は多々ありますが、価格を考えると信じがたいほどのクオリティを持っています。
今日もこの記事を書こうと、Googleで検索をかけていると面白い記事に出会いました。
「オンキヨーのiPod/PCトランスポート「ND-S1」を試す」
試作器を持ち込んでのレポートなのですが、びっくりしたのが最後の件です。
「最も気になる点は、この製品が“幾らになるのか”だろう。作りや質感、手にした重量からイメージすると「iTransport」の62,790円よりも低価格になる事を期待したいが、機能面ではPC接続も可能で「ND-S1」の方が上回っている部分もある。 」とした上で、このように希望が述べられています。
「同社のPC周辺機器ブランドWAVIOのUSBオーディオインターフェイス「SE-U55SX」が実売15,000円?20,000円程度であることを考えると、3万円台を切る29,800円や、25,000円程度を期待したいところだ。 」と結んでいます。
もちろん結果は誰もがご存知のように、実売価格が15000円程度で販売されたわけです。おそらくは、ONKYOにとっては「戦略的価格」だったと思います。
さらに、有り難いのは、この低価格を実現するために「手を抜いた」部分がはっきりしていて、その手抜き部分がユーザーがその気になれば簡単に補強できるようになっていることです。
ONKYOがこの戦略的価格を実現するために、分かっていながら手を抜いたのは二点です。
1.振動対策
2.電源
振動対策に関しては、プラスチック製の筐体を見ればその必要性は簡単に分かります。もしも、振動対策を施したアルミ削りだしの筐体にこの電子部品を積み込めば、おそらくは0が一つ多い15万円という価格がついても不思議ではないはずです。
しかし、それでは誰も買わないのです。
ONKYOの技術陣はこれをオーディオ機器としてとらえた場合は振動対策が必要なことは分かっていながら、あえて低価格を実現するために切り捨てています。
ですから、これを「オーディオ機器」として使うときは、ユーザーの側で何らかの振動対策が絶対に必要です。
おそらくは、適当なインシュレーターをはかせて、上から鉛かなんかで押さえ込むくらいは絶対に必要でしょう。個人的にはタオックのインシュレーターを3点支持ではかせて、上から10?の鉛のインゴットを布でくるんで押さえています。これだけで、音質はかなり改善されます。
次に電源対策です。fireface400も同様ですが、どうもこの手の機器の電源はかなりお粗末です。fireface400の付属電源もかなりお粗末ですが、ND-S1の電源も負けず劣らずお粗末です。ただし、ND-S1の場合は、その価格を考えると仕方がないかなと思ってしまいます。
ですから、やれるものなら電源も別のものを用意してやると、大幅な音質向上が期待できます。ただ、振動対策ほど手軽にできないのが悩みの種です。
市販品で適当なものはありませんし、かといって下手な自作品では本体そのものを破損してしまう危険性があります。
fireface400に関してはGoogle先生に教えてもらって手軽なグレードアップを実現したのですが、ND-S1に関してはそのようなお手軽な方法もないなと思っていたところ、とある方から「エルサウンド」というメーカーのことを教えていただきました。
その小さなメーカーが「ND-S1用アナログ電源」を販売しているというのです。
価格は13000円、電源コードが1000円という事で、何のことはない、本体価格とほぼ同じになってしまうのですが、見れば見るほど面白そうな製品です。
ということで、早速に注文をしてこの2週間ほど使ってみました。
さて、効果のほどですが、これはfireface400に簡単な電源対策を施したときと方向性は基本的に同じです。
「音が深いところから鳴る感じ」です。今までは表面でシャカシャカ鳴っていたのが、重心がどっしりと落ち着いて中身がミッシリと詰まっているような雰囲気です。
ただ、電源ケーブルと込みで14000円も投資したのだから、これくらいの改善は当然という気もします。それにプラス、自作品と違って安心して使えるという「安心料」も込みだと考えれば、まあ適切な価格設定という気はします。
これならば、fireface400の方も「汎用アナログ電源DC12V 2.5A(16000円)」と言うのに変えてみてもいいかもしれません。
それから、当然のことながら、出口であるスピーカーにそれなりのクオリティがなければ、この改善は実感できないでしょう。PC付属のスピーカーを使っているような環境ならば、全く不要な対策です。