面白そうなので、こんなものを買ってみました。
バーンインCDとは何かと言えば、新しい機器を導入したときにそのエージングを早めるための信号を収録したCDです。それ以外にも、この手のCDには「お約束」とも言うべき様々なチェック音源が収録されています。
まあ、安くはないCDですが、手元に一枚程度はあった方がいいだろうと言うことで「お買い上げ」となりました。
収録されているトラックは以下の通りです。
テスト用トラック
1:チャンネル確認とチャンネル・バランス 0:30
2:正相の音声 0:11
3:逆相の音声 0:25
4:ハンドクラップのトラック 0:59
5:315Hzテストトーン 1:15
6:キース・ジョンソン氏による音場空間解説 4:19
7:デマグネタイジング(消磁)スイープ 0:57
8:低域周波数デマグネタイジング・フェード 1:00
9:バーンイン・トーン(エージング) 15:00
音楽トラック
10:モノラル・正相 1:53
11:モノラル・逆の相対位相 1:53
12:ステレオ・逆の絶対位相 1:53
13:ステレオ・正しい絶対位相「ストーミー・ウェザー」全曲 6:40
14:「シャイニー・ストッキングス」 5:23
15:モートン・グールド作曲「デリヴェイションズ」より「“ラグ”ムーブメント」 2:19
16:レオシュ・ヤナーチェク作曲「シンフォニエッタ」より「クイーンズ・モナスタリー(王妃の僧院)」 5:01
17:フランツ・ビーブル作曲「アヴェ・マリア」 5:55
18:ヤロミール・ワインベルガー「笛吹きのシュワンダ」より「ポルカとフーガ」 7:49
並行輸入したCDは日本語の解説がありません。この手のCDは使い方を誤ると機器を破損することもありますので、少し高くついても日本語解説のついた正規品を購入した方が賢いかもしれません。もっとも、英語の解説でも何の不自由もないという語学力がある方にはいらぬお節介ですが・・・。
さて、このCDを購入した一番の理由はトラックの7・8に収録された「デマグネタイジング(消磁)」を使いたかったらです。
解説によると、オーディオ機器というものは長い間に余計な磁気を帯びてしまうとの事で、この7・8のトラックは、それを再生するだけでその音楽信号が流れる全ての機器を「消磁」してくれるというのです。
特にスピーカーのLCネットワークはオーディオシステムのなかで最も帯磁しているので、その効果は絶大だというのです。
40Hzから19kHzまでの周波赦を同じ振幅でスイープする何の変哲もない音声信号を流すだけで、なぜに「消磁」が出来るのかは理解できませんでしたが、試しにやってみると、確かに再生音はかなりすっきりします。
その効果はかなり大きいと言えます。
ところがです・・・。
そのすっきりした状態で音楽を再生すると、なぜか肝心の音楽の方がいまいち面白く聞こえないのです。
どうやら、私は混じりけのない蒸留水のような音よりは、そこに幾ばくかの「えぐ味」みたいなものが混じり込んだ音の方が好みなのだと言うことに、改めて気づかされました。
ただし、何かで読んだ記憶があるのですが、多くの被験者にいろいろな音楽を聴いてもらってどれが好きだったかを答えてもらうと、かなりの割合で歪みのある信号が混ざり込んだ音楽の方が好きだと答える人がいるらしいです。
ですから、決して私だけが「変わり者」ではないと慰めております。
しかし、私のシステムはそういう「えぐ味」も込みにした状態でセッティングを詰めていた向きもあるようなの、改めてスピーカーのセッティングをする必要が出てきました。
そこで、役に立ったのがトラック5の「315Hzテストトーン」です。
これに関しては、このCDを購入したキット屋さんのサイトに詳しい解説が載っています。
ポイントだけ抜粋させていただくと以下のような効用があるそうです。
「何の変哲もないサイン波です。ではそのまま立ち上がったり屈んだりしてみて下さい。・・・たった数十センチ自分が動いただけで帯域バランス,音場の拡がり方が別物のように変わるのを体験することが出来るでしょう。・・・
言い換えればそれだけ私たちは「部屋の音」に支配されているという訳であります。・・・今までここだ!と思っていた場所が必ずしもオーディオ的に最良でないかもしれない・・・という事を知る事が出来るかもしれません。」
部屋の定在波を無くすことは限りなく不可能に近いことです。ですから、スピーカーのセッティングとリスニングポジションの追い込みで、もっとも定在波の影響を受けにくい状態に追い込む必要があります。
これはオーディオマニアにとっては「お約束」みたいな儀式です。
そして、その儀式の強力なお助けとなってくれるのがこの「315Hzテストトーン」なのです。
実際に体験してみると、面白いほど音の聞こえ方が変化します。
もしも、これを再生してあまり変化が感じられないとしたら「極めて理想的なリスニングルームか、定在波だらけで音響エネルギーの粗密すら判別できないかのいずれか」だそうです。
まあ一般的に「極めて理想的なリスニングルーム」というのは考えにくいので、一般的には「どうしようもない」状態と判断した方が正解なのでしょう。
それ以外にも、「チャンネル確認とチャンネル・バランス 」や「正相と逆相」のチェックなどの基本的なトラックも入っていますし、このCDの作成者であるロジャー・スコッフの優秀録音も収録されています。
今までは自分の耳だけを頼りにいろんな音楽を再生してセッティングを詰めていたので、なるほどこういうCDがあれば便利なものだと、今さらながらに感心させられた次第です。