NASの重要性は予想はしていたのですが、ここまで音が激変するとは思っていませんでした。
導入したのは「Synology DiskStation DS212j NAS サーバー」です。
今回、「Synology」のNASを導入する前は、eSATA接続の外付けHDを以下のようにして、擬似的に「NAS化」して使用していました。
これは、どう考えてもよろしくないことは分かっていたのですが、それでも「Voyage MPD」にUSB接続のHDを直接接続するよりは音質的には有利でした。そこで、NASを選ぶ方向性が定まるまでの一時しのぎとしてこの方式を採用していました。
なぜによろしくないのかと言えば、ノイズ的に何の対策もされていないクライアントPCの中をくぐってくるからです。
ここで、また誤解を招くといけないので申し添えておきますが、このノイズ源の中をくぐってきたからと言って音楽ファイルのデータが化けるわけではありません。それは、既に都市伝説の「LANケーブルで音が変わる」の項で簡単にまとめておきました。
問題は、そう言うノイズ源がネットワークを通してオーディオ機器と電気的に繋がっていることで、最終的にはアナログ段までそう言うノイズが音楽データと一緒に持ち込まれてしまうことに存在します。
おそらく、そうなんだろう・・・と思っています。
ですから、システムのあちこちから混ざり込むであろうノイズに対して徹底的に対策を施していくことがPCオーディオの音質改善の「肝」なんだろうと言うことです。
ですから、外付けのHDを擬似的なNASとして使うことは、たとえてみれば、細心の注意を持ってリッピングした音楽データを泥水の中をくぐらせてから送り出すようなものなのです。
ですから、きちんと対策がされたNASを使えば音質面で大幅な効果が期待されるだろうとは思っていました。そして、その対策の肝が電磁波対策、つまりはクラスBのEMI規格をクリアしているかどうかにあることが重要だと見極めがついたことで、安心して「Synology」のNASを導入することになったわけです。
おそらく、そのあたりの対策がきちんとなされていないNASは、クライアントPCに外付けのHDを接続して擬似的にNASとして使っているのと大差がないと思われます。そして、NASこそは再生システム全体の最上流部に当たるわけですから、ここが泥水で汚れていたのでは、いかに下流で「浄水」しても限界がありますし、そもそも虚しいだけです。
では、「Synology」のNASを導入することによって音はどう変わったのでしょうか。
最も分かりやすい例を一つだけあげておきます。
昨年の「ステレオ誌」1月号(だったでしょうか?)にオーディオチェック用のCDが付録としてつきました。
この中に、分解能のチェックとしてマーラーの6番が収録されていて、そこでハープのアルペッジョが聞き取れれば、あなたのシステムはかなり優秀ですと記されていました。
ところが、このハープの響きが、名だたるオーディオマニアのシステムでもなかなか聞き取れなかったようで、「本当に入っているのか?」と言うことで話題になったそうです。
ですから、翌月号でステレオ誌のリファレンスシステムでチェックをして、間違いなくハープの響きが入っていることを確認して、その旨が報告されていたりしました。そして、たとえハープの響きが聞き取れなくてもがっかりすることなく(^^;、オケ全体の楽器がバランスよく鳴っているかどうかをチェックして欲しいというアドバイスがなされていました。
当然のことですが、ユング君のぼんくらシステムではハープの「ハ」の字も聞き取れません。40?50秒あたりにハープのアルペッジョが2回聞き取れるらしいのですが、そんなのどこで響いているのよ?と言う感じでした。
しかし、まあ、悔しいと言えば悔しいですね。
ステレオ誌のリファレンスシステムと比べれば、金額的には「0」が一つくらい違うわけですから、仕方がないと言えば仕方がないのですが、それでも、あれこれ対策をするたびにこのトラックはチェックをしていました。
そして、LANアイソレーター「RLI-1」を導入したり、、HUBやルーターをクラスBの規格を取得したものに変えたり、LANケーブルを全てカテゴリ7に変えたり・・・と言う細かい対策を積み上げていく中で、何となく「聞こえるような気がする」というレベルにまでは達していました。
ところが、「Synology」のNASを導入することによって、このハープの響きがはっきりと聞き取れるレベルにまで一気に引きあがってしまったのです。不思議なもので、これが一度はっきりと聞き取れてみると、なぜにこれが聞こえないのかが不思議なほどにはっきりと聞き取れます。
ただし、いわゆるPCオーディオの世界にはよくある、解像度は飛躍的に上がったが音質に金属的な堅さがつきまとうというようなことは微塵もありません。それどころか、音色はますます軽さと柔らかさを増して、何とも言えないゾリッとした生成りの感触が増しています。
アナログ段は全て一昔も二昔も前の古い機器なのですから、まさに恐るべし「Voyage MPD」と言えそうです。
そして、「Voyage MPD」というのは、然るべき対策を施していけば、いくらでも伸びしろのあるシステムだと言うことをあらためて感じることができました。
さらに、もう一つ大きな改善が実感できたのが、定位の改善です。
もちろん、今までもビシッと定位は決まっていたと思ったのですが、今回の改善結果をふまえてみると、今まではいかにも甘かったと言わざるを得ません。
とりわけ、ポップス関係の録音では口元が大きくなっていたので、「録音が悪いなぁ!」とほざいていたのですが、NASの導入で口元がキュッと締まって、悪いのは録音ではなくて己の再生ステムだと言うことが分かりました。
おかげで、みゆき姉御の歌声はますますリアルに生々しくなっています。
ただ、問題点としては、低域に関してはサブウーファーを左右に1台ずつ足しているので対応できているのですが(といっても、60Hzでカットしてますし、ボリュームも9時の位置ですから、サブウーファー自体の音はほとんど聞こえません)、高域がボチボチ本体(ソナスファベールのエレクタ・アマトール)だけではしんどくなってきているように感じてきました。
もしかしたら、スーパートゥイーターの導入も考えた方がいい時期にきたのかもしれません。
何度も繰り返しますが、きちんとしたNASを使うことはPCオーディオにおいては必須条件です。
そして、現行では、PCの世界における汎用機を使うしか選択肢がないのでいくつもの不満は残りますが、それでも、きちんとした基準で選べば大幅な音質改善が期待できます。
今後、オーディオ用途として充分に考慮されたNASが登場してくるようになれば、さらなる高みが期待できるのではないかと思われます。
ただし、「Synology」にしても「QNAP」にしても、買ってきてポンとなげばすぐに使えるというような製品ではありません。
導入する上ではいささか敷居が高いですし、使いこなしに関してもいくつか注意が必要なようです。
次回は、そのあたりの「導入」から「使いこなし」のあたりについて自分なりの経験を報告したいと思います。
お久しぶりです。
私もNASを導入しようと思ってやってみましたが、
やはり、難物。うまくいきません。
NASはQNAP TS-119 です。
付属ソフトを使ってセットアップ。
fstabに「//192.168.0.x/Music /music cifs username=hoge,password=hoge,uid=mpd,file_mode=0644,dir_mode=0755,iocharset=utf8 0 0」を私の環境に合わせて追記したのですが、
以前のUSBフォルダが現れるだけ。
fstabの追記ですが、fstabの画面に現れた文字の次の行に追記すればいいのですね?
NASのセットアップではフォーマットがex3とex4のみ。
そこでex4でフォーマットしたのですが、これ問題ありませんか?
コントロールPCはLinuxなので読めると思うのですが。
asoyajiさんのサイトを見ると、ntfsでと書いてありますので、不安です。
何な問題点が思いあたるようでしたら教えてください。
よろしくお願いします。
江川さん
下記asoyajiさんのサイトに同様の例がありました。
http://www.yung.jp/bony/?p=1865&cpage=1#comment-1161
cifsの代わりにsmbfsを使ったら上手くマウントできたようです。
>私もNASを導入しようと思ってやってみましたが、やはり、難物。うまくいきません。
なるほど、やはり敷居が高いようですね。いわゆる、ネットワーク関連の基本的な知識があれば、問題があっても「理屈」に沿って問題が切り分けられるのですが、そうでないとどこから手をつけていいのか分からないので途方に暮れますよね。
>fstabの追記ですが、fstabの画面に現れた文字の次の行に追記すればいいのですね?
どこに追記してもいいのですが、一般的には最終行の次に追記するのが一般的ですね。
これでマウントできているかどうかなのですが、「/etc/mtab」に現在マウントしているスライスが記載さるはずですので、のぞいてみてはいかがでしょうか。
# less /etc/mtab
//192.168.0.x/classic/ /music cifs rw,mand,relatime,unc=\192.168.0.xclassic,username=hoge,uid=105,forceuid,gid=0,noforcegid,addr=192.168.0.x,posixpaths,serverino,acl,rsize=16384,wsize=57344,actimeo=1 0 0
みたいな記述があればマウントされているはずです。
記述がなければ、きっとfstabへの記述が間違っているのではないかと思います。
>ex4でフォーマットしたのですが、これ問題ありませんか?
「Synology」は基本的に「ex4」でマウントされているので、私も「ex4」で運用しています。何の問題もないと思います。
Windowsからでも、Linuxからでも問題なく読み書きができています。
ユングさん Phoeniciaさん
コメント、有り難うございました。
NAS、つながりました。
一番の原因は、Voyageのマウントポイントを作成
root@voyage:~# mkdir /music
そして
fstabのマウントを手動で実行(NASの楽曲が /music にマウントされる)
root@voyage:~# mount -a
をやっていなかったことにありました。
そして、fstabの編集は最終行に
さらに
cifsではなくてsmbfsとしました。
以上のことでつながりました。
ネットワークオンチの私には、無理だと思っていたのですが・・・。
みなさんのおかげが前提ですが、なんとかなるものですね。
USB-HDに戻す時は
root@voyage:~# umount -a
でいいのでしょうか?
IPアドレスの固定化も今後必要になるかもしれません。
しばらく様子をみてから考えます。
また、よろしくお願いします。
USB HD(FAT32など)は自動マウントされますので何もする必要はありません。
>fstabのマウントを手動で実行(NASの楽曲が /music にマウントされる)
root@voyage:~# mount -a
をやっていなかったことにありました。
おかしいですね・・・(^^;
fstabに記述すると、起動時に自動的にマウントされるはずなんですが。
fstabに追記する→記述が正しいかどうか確かめるために「mount -a」を実行→無事にマウントされた
ならば・・・今後は起動するときに自動的にマウントされますから「mount -a」は不要です。
またヘマをしてリンクを間違えてしまっていたようです。
asoyajiさんのサイトで本件に関連すると思われるのは、jun,30,2011のコメントです。
http://asoyaji.blogspot.com/2011/04/voyagempdhdd.html
ユング様
ご無沙汰しております。
昨年の4月に書き込みさせて頂いた者です。
その後も、続々と興味ある話題を提供して頂き、拝読させてもらっています。
NASの話題になりましたね!これは私も興味がありましたので参考になります。
皆様はマウント方法など技術的話題ですが、私はちょっと別の観点からコメント
させて頂きます。それは昨年のステレオ誌の1月号の部分の話です。
実は私もこれ、まったく聴き取れませんでした・・・
しばらくは忘れていたのですが、この話題の内容を読み、もう一度今度はモニター用
ヘッドホンまで引っ張り出して聴いたのですが、さっぱりです・・
自分はアマオケに所属していて楽器演奏もする上、マーラーも好きなのでスコアを
引っ張り出して、再度確認してみて、やっとあ?このあたりかと目星がつきました。
不思議なもので楽譜を見ると、聞こえていない音が聞こえるようになるのが、
また人間の耳のすごいところでしょうか・・・
ここでなんですが、演奏者する立場や指揮者からの指示で言われるのは音を
混ぜることの重要性についてなのです。オーディオの立場からすると、各楽器の
音色を聴き分けられれば解像度が高いと言われるわけですが、演奏者の立場から
するとそう聴こえてほしくない箇所もあったりするわけなんですね・・・
このチェックCDは色々な音源やチェック項目があり、重宝していますが、このマーラーの
トラックだけは聴き分けるのも難関で、演奏する立場と聴く立場の違いで
葛藤もしてます。
ユング様はクラッシックも良く聴かれることと思いますので、こんなことは当たり前
のことと理解されておられると思いますが、自分なりに思うところがありましたので
コメントさせて頂きました。駄文すみません。
今後も貴重な話題の提供を期待させて頂きます。
>演奏者する立場や指揮者からの指示で言われるのは音を混ぜることの重要性についてなのです。オーディオの立場からすると、各楽器の音色を聴き分けられれば解像度が高いと言われるわけですが、演奏者の立場からするとそう聴こえてほしくない箇所もあったりするわけなんですね・・・
根本的には「録音」という行為をどのようにとらえるかなのだと思います。
録音を実演の代替物としてとらえるのか、それとも実演とは立ち位置の異なる全く別の芸術的行為ととらえるのか、それによって随分変わってくると思います。
そして、このテーマは実に持って古くて新しい問題ですね。
この大きな課題を、ここでコチョコチョと書いても誤解を招くだけですから、一度、じっくりと文章を練ってみたいと思います。
ユング様はじめまして。
私のような前世紀型オーディオファイルとしては、接続は最短で直結が
ベストであると刷り込まれてしまっています。
大変素朴な質問で恐縮ですが、USB外付HDDをvoyage MPDキットに
接続すれば、クライアントPCのノイズの中を通らないと思うのです。
かない丸氏のサイトでは、LANを使うとジッター上有利という解説
がありました。
私は、ワードクロックジェネレーターのクロックをDACに入れている
ので、外付HDD直結でもいいのかな、と思っています。
実験すればいいのですが、NASが手元にないのでお尋ねします。
外付HDD直結に比べてNASはどのような点で有利とお考えですか?
また、当初、クライアントPCにHDDを接続して、ファイル共有を
行う方法をとった理由など、教えていただけたら幸いです。
>大変素朴な質問で恐縮ですが、USB外付HDDをvoyage MPDキットに接続すれば、クライアントPCのノイズの中を通らないと思うのです。
なぜかは分からないのですが、USB外付HDDは音がよくないのです。我が家にはそれこそゴロゴロという感じで「USB外付HDD」が転がっているのですが、そのどれを使っても音はよくありません。
おそらくは、データと電源が一本のケーブルを通して流れていくという仕様がよくないのでしょうね。外付けのHDDと言えども一種のPCですから、そこからの電源が音楽データと一緒に流れていく・・・というのは、たとえてみれば、同じ配管の中を音楽データという「清水」と電源という「泥水」を一緒に流すようなイメージでしょうか。
>当初、クライアントPCにHDDを接続して、ファイル共有を行う方法をとった理由など、教えていただけたら幸いです。
http://www.yung.jp/bony/?page_id=1180
あたりを参考にしてください。
NASがつながったので、今、それで聴いています。
外付HDDよりいい感じです。
音がよりきれいになって、低音が気持ちよく出て動きがよく分かる、そんな感じです。
(設定に苦労してしたから、よくなったと思い込んでいるのかもしれませんが・・・。)
ただし、NASも電源が大切です。
最初、こんなものかとがっかりしたのですが、試しにとNASの電源を変えてみました。
NASはQNAP TS-119を使用していますが、その電源アダプターに直流の140Vを流し込みました。激変です!
安定化電源でDC12Vを入れても同様です。
いずれも自作の電源装置のため事故の心配が有りますので、いちいち電源をON OFF させています。起動、終了ともにかなり時間がかかり面倒ですが、音がいいのでがまんです。
LANケーブルは昔、AirMacEXpressのために買ったProCable製ベルデンです。
カチンカチンの取り回しの悪いものです。
しかし、音はいいです。
以上、電源、ケーブルに左右されるのでなんともいえませんが、私は今、NASの音、気に入っています。
waterさん
>接続は最短で直結がベストであると刷り込まれてしまっています。
はい、私もです(笑)。
私の場合、voyageMPDでも、ネットワーク上のファイルを再生するよりローカルの方が好みです。NASは買っていませんので、クロスケーブルで直接続したPC上の共有フォルダーで試しただけですが・・。voyageMPDを載せるPCもAlixではなく、Pentium500やPentium75を載せた普通のPCです。
Alixの場合、USBコントローラーチップが一つだけなのでUSB-DACとUSB-HDDの同時差しが良くない、と言う人もいるのですが、Alixを持っていないので検証してみたことはありません (^^;;
>外付HDD直結に比べてNASはどのような点で有利とお考えですか?
ネットワークオーディオプレーヤーメーカーの謳い文句は、再生環境にスピンドルモーターがないので機械的な振動やモーターのノイズがないこと、です。こういうものの常として、欠点には言及しません(笑)。個人的には、やはり、系が長くなること、仕組みが複雑になること、は、好む方向ではありません。最近は、MPDを使うより直に再生したりしています (^^ヾ
ま、実際に試して、各人で好きなようにやれば良いだけのこと、だと思います(笑)。
なお、かないまる氏のその説には同意できかねるのですが、あのページ自体もかなり急いで書かれてろくに添削もしていないとご本人さんがおっしゃっていましたので、必ずしもかないまる氏の考えていることを正確に書いたものではなさそうです。参考にはしても、話半分程度が良いかと。他の部分を質問したら、全然違う回答が返ってきましたので・・(笑)。
Juubeeさん
>>外付HDD直結に比べてNASはどのような点で有利とお考えですか?
ネットワークオーディオプレーヤーメーカーの謳い文句は、再生環境にスピンドルモーターがないので機械的な振動やモーターのノイズがないこと、です。こういうものの常として、欠点には言及しません(笑)。
ここ2か月ほどLAN周りを徹底的に弄ってみましたが、結果としてネットワークオーディオというものに大きな疑問を抱くようになりました。最大の問題は、ネットワークに接続することで、ルーターを介して他のすべての電子機器と接続される結果となり、とんでもない複雑なグラウンドループとノイズ成分がオーティオの系にも持ち込まれてしまうことにあると考えます。そのためにアイソレーションが必須となるのですが、この現実の前には高級LANケーブルなど何の役にも立たないどころか、シールドがかえって音質の阻害要因ともなりかねません。
これを解決するために、アイソレーターを自作したり、無線LANを使ってみたりしましたが、根本的な解決にはならず、はては光メディアコンバーターまで導入することになってしまいました。顛末は時間があれば書きますが、結果としてメディアコンバーターでアイソレーションがほぼ完璧になってことで音質は向上したのですが、これってメディアコンバーターが素晴らしいわけでも何でもなくて、これまでいかに劣化した音を聴いていたのかというだけのことですね。ネットワークに接続することで明らかに向上するのは利便性だけであり、音質的にはむしろデメリットのほうが多いということにはっきりと気づきました。
リッピングの問題までトータルで考えると、果たしてAlixがベストの選択なのかも疑問です。内蔵HDDの振動が問題というのであれば、SATAのままでもケースの外に出してやれば済むことですから。これに良質の電源を用意してやれば、NASよりもいい結果が出そうな気がしてきました。以前使用していたATOMマシンに戻そうかと真剣に検討しています。
かないまる氏の説は、LANを経由させることで音が良くなると理解しては当の本人としても本意ではないでしょうね。劣化したものを多少回復させることができるかもしれないくらいに考えておくべきでしょう。あくまでも重要なのは前半部分であって、以前Music TO GO というサイトでAudirvana の開発者による「Beyond bit-perfect」という論文が翻訳されて紹介されましたが、ここのFigure 1 などは、まさにかないまる氏が言っていることそのものですね。これが理解できれば、PC(ネットワーク)オーディオでよく言われる疑問など、疑問でも何でもなくなるのですが。
PCオーディオがブームになったことで、オーディオの世界でも「コンピュータに詳しい(つもり)」の人たちが一大勢力になったことで、デジタル草創期に見られたようなデータ至上主義とでもいうべき「天動説」が復活してしまった観もあります。
別のトピックでかないまる氏が
「一般にこの考え方が全く普及していないのが、デジタルオーディオの音質に対する理解を遅らせています。とくにPC業界の人にこの傾向が大きいですが、オーディオに携わるひとですらこの事を理解しないばかりか、話を聞いてくれようともしない人が多いのが現状です。」
と嘆いているページがあるのですが、これこそが氏の本意であろうと思います。
みなさんとは違う方向性かもしれませんが、わたくしは将来ネットワークプレーヤーを導入するという前提でNASを先行導入しました。ところが、未だに納得のいくwaveファイルをNASに格納することができないため、次のステップへ行けていない状態です。
上の書き込みでも触れている「LANを経由すると改善する」件は、わたくしも読んだので実践しましたが、あくまで「癖が取れる」効果しか感じられませんでした。当該ページも、よく読むと「癖が消える」というニュアンスで書かれているので、そういう意味では間違っていないですが。
実際は、NASというか、ネットワーク上に見えるストレージに、どのようなコンディションでデータが格納されているかが重要なのかもしれません。検証するのは難しいと思いますが。
>実際は、NASというか、ネットワーク上に見えるストレージに、どのようなコンディションでデータが格納されているかが重要なのかもしれません。検証するのは難しいと思いますが。
ものすごく重要だと思います。リッピングドライブからいかに綺麗な波形でHDDに記録して、それをいかに綺麗なまま伝送するかということですが、それをネットワーク越しに行なうのがいいのかというと、ローカルでシンプルに処理したほうがいいのではないか、という気がします。
何を言っているのかよくわからんという人もいるかも知れないので、話をまとめると、まず、例のかないまるページでは、コピーすると音が悪くなることの理由について、デジタルデータの実体はアナログ波形であって、もともとアナログなのだからコピーすれば劣化するのは当たり前であるということを具体的に説明しています。
これが理解できなければ話が先に進みませんが、こういったデジタルオーディオの事実がなかなか一般には理解されないということを、かないまる氏は他のページで嘆いています。わからない人は、私の書き込みに反論するよりも、Beyond bit-perfect あたりでも読んで勉強してみてください。これを理解しているかどうかで、デジタルオーディオに対する理解の度合いはまったく違ってきます。
問題なのは、後半の部分でその劣化した(波形の崩れた)データを回復させる方法として、LANを通すことで回復させることができると言っています。LANの場合はデータが一度パケットでばらばらにされた後で、受け手がそれを再構築しますから、その過程で崩れた波形がもう一度綺麗な形になることが期待できるからです。さらに自宅ではリッピング直後よりもNASに一度落としたデータのほうが音がいいとまで言っています。
Juubeeさんが問題にされているのもこの部分だと思うのですが、これは、コピーを繰り返すことで音質が劣化するという文脈を引き継いて、いささか先走りしすぎたような印象もあります。LANを経由させることで音質が「回復する」ということはあり得ると思うのですが、さらに音質が「向上」するかどうかは実際のリッピングやネットワークの環境に依存する部分が大きく、データを再構築するという余計なプロセスが増えることを考えると、一般論として言い切ってしまうのはさすがにどうかなという気がします。
結局のところデジタルオーディオで重要なのは、デジタル波形をいかに理想に近い綺麗な状態で終段まで持っていくかということであるということで、そうであるならば、なおさらその処理の最初のところでLAN転送という余計な処理を入れて、さらにハブなどを経由させるとことに疑問が湧いてきます。ローカルでシンプルにSCSIを使ってCPUの負荷を減らしてやるのが理想ではないかと思うのですが、ここまでくると私の知識と理解を超えた領域になってしまいます。
さらに、LANには別の大きな問題があることにも気づきました。LANケーブルをAlixに接続した瞬間に、電気的に見るとルーターにつながっているすべての機器とグラウンドが繋がり、それぞれの機器の電源を経由して複雑なグラウンドループが形成されます。これでは、LANケーブルを経由していくらでもノイズは入ってくるわけで、Alixの側でいくらノイズ対策をやっても無意味です。
アイソレーショントランスなどを使っても高周波ノイズには根本的な解決にはならず、結局光メディアコンバーターで完全な絶縁を実現することでやっと満足のいく結果が得られました。デジタルにおけるアイソレーションについては、FIDELIXの中川さんが、同社のHPの「技術情報」→「デジタル信号におけるアイソレーションの重要性」でわかりやすく解説されています。
実際にやってみてわかったことは、いかにLANを経由するノイズが音質に悪影響を与えているかということで、光メディアコンバーターなど大層なものを導入するくらいなら、最初からローカルでシンプルにやればいいのではないかと。音質面から見た場合、ネットワークオーディオというのは、決して理想的な方法ではないということに気づきました。
結論ですが、PCオーディオの場合環境がそれぞれ大きく異なるので、何がベストであるかというのは一概に言えるものではないと思います。Alixを使っていると、USB経由では音質がよくないため、ストレージは事実上NASに限定されてしまうのですが、Alixを使っていなければNASが音質面でベストの選択であるかどうかは大いに疑問です。
ユングさんのケースは、擬似NASの状況が本物のNASの導入によって大きく改善されたと理解すべきであって、NASが他の方法に比較して優位であることの証明にはならないことに留意すべきでしょう。まして、ローカルで運用している人がかないまるページなどを表面的に理解して音質向上だけを目的にNASを導入すると、必ずしも期待した結果にはならないかもしれません。
ただ、利便性その他を考えればネットワークオーディオが今後の主流となることは間違いないことなので、ネットワークを前提としてノウハウを考えていくのが一番現実的とはいえるでしょう。
現在検討している運用方法ですが、
・マスタはローカルのデータ保存用HDD(これは既に実施中)
・ネットワーク用として、NASにマスタデータのコピーを保存
・バックアップ用は別の外付けHDDがあるが、NASにその用途も持たせたい
で、現在は外付け機器のためにUSB2.0、IEEE1394、SCSIの各インターフェースカードを持たせている構成なので、NASの運用が軌道に乗れば、これらのいくつかを外してよりシンプルなPC構成での運用もできるかな、と目論んでいるところです。
まずは、本所の「改善例」において、どのような使いこなし方をされたのか、レポートの続きが楽しみです。
>…最初からローカルでシンプルにやればいいのではないかと。音質面から見た場合、ネットワークオーディオというのは、決して理想的な方法ではないということに気づきました。
と書きましたが、本当にローカルで処理することに優位性があるのかどうか、Alixを捨てる前によく調べてみました。
その結果、どうやら一般論としては
内蔵HDD ≦ USB外付HDD < LAN接続のNAS
の図式が成り立つことがわかりました。
なぜこうなるのかというと、そもそもリッピング直後のデータが理想的な状態であるかというと、そんなことはなく、HDDに書き込まれたリッピング直後のデータ自体がすでにドライブやPC内部のノイズや書き込み処理によって汚れているわけで、内蔵ドライブからの再生だとその汚れたデータからのスタートになるのに対して、LANを経由すればパケット転送の結果その汚れがいったんリセットされてゼロからのスタートになるため、音質的に有利ということです。パケット転送を利用することで、リッピング時の劣化を解消することができます。だから、かないまる氏の「私の自宅では、リッピング直後より一度NASに溜めた後の方が音質はよくなります。」というのは不思議でもなんでもないということになります。
もちろん、実際の環境ではLAN接続によるノイズの増加などが考えられますが、だからこそその対策が肝ということになります。内蔵ディスクか外付けディスクかというよりデータの転送方法が重要なのであって、内蔵であればシンプルでLANを経由するから複雑になるというものでもないですね。
この問題は、リッピングの重要性にも絡んできて、つまり、LANを経由するのであればリッピングに神経質になる必要はないということにもなりますから、PCオーディオで重要なポイントとなります。少なくとも、シンプル(に見える)という理由でローカルに拘ることにはあまり意味はなさそうです。
LANを通してデータを受け取った側のメモリ上に書き込まれたデータは汚れてないのですか?
パケットによって一旦解体されてもそこでの影響は考えられないのでしょうか?
また汚れが有るとしてリッピング直後のHDD内のデータにある汚れと比較してどちらが大きいのでしょうか
>LANを通してデータを受け取った側のメモリ上に書き込まれたデータは汚れてないのですか?
内蔵HDDのデータは、CDドライブから読み込まれ、HDDに書き込まれた段階ですでにジッタが含まれてます。LAN上のNASのデータもその点では同じですが、内蔵HDDの場合はそのデータをそのままメモリに読み込んで処理を開始するのに対して、LAN接続(パケット転送)の場合は新たなクロックで一からデータを構築するため、CDドライブによる読み取り起因するジッタも含めて送出側のジッタの影響を排除できる分「原理的」に有利であるということです。
>また汚れが有るとしてリッピング直後のHDD内のデータにある汚れと比較してどちらが大きいのでしょうか
これは実際の個別環境に依存する問題です。だからLANのノイズ対策が重要になるということです。LANのノイズやグラウンドループの状況次第では、LAN経由のほうが結果として音が悪いということも当然あり得るでしょう。
実際にどちらの音がいいかはそれぞれの環境で試してみるしかありませんが、どうせ対策をとって音質を追求していくのなら、最初から有利な転送方法を選択したほうが賢明であると考えます。
追加ですが、LAN経由のほうが音が悪い場合を考えると、LANからのノイズやグラウンドループの影響で、データがメインメモリ上に展開されてからDACで最終的なアナログ信号に変換されるまでの過程で、内蔵HDDの場合よりも最終的なジッタが増大してしまうといったケースが考えられます。
しかし、メインメモリが受け取るデータの状態だけを単純に比較するなら、LAN経由のほうが有利なはずです。
ninoさん
宗旨替えをしたんですね(笑)。
ま、それは別にかまわないのですが・・。
ただ、結論や理論ばかり並べても、どんなことをやってどう感じたかすこしぐらいは書いていただかないと、読む側からすれば、判断する材料が何もないんですよね。
場所柄、あまり多くの文章を書けないとご判断されたのかもしれませんけれど。
Juubeeさん
ここはあくまでもユングさんのブログであって、そのコメントの範疇を逸脱しないことを最優先しています。テーマがテーマだけに、思いつくままに書いていくと文字数もすぐに膨れ上がるので、送信ボタンを押す前に文章を大幅に削ることもよくあります。その結果わかりにくくなってしまうのは、あくまでもコメントですから仕方ないと考えています。
具体的な内容について書けないことはないですが、その前に管理人さんの意見も聞いてみないと、いきなり数千文字の文章を書き込むわけにはいかないですね。
ユングさん、こんばんは。
ずいぶん前にNASの音質向上について
質問させていただいた者です。
我が家は無線LAN親機を使っていて、この親機にはUSB端子があり、
そこに外付けHDDを接続すると簡易NASとして使えることを思い出し、
実験してみました。
結果としては、細かい音や残響がよりはっきり
聞こえるようになり音像の位置や空間感がしっかり再現されるように
なりました。音は余計な附帯音が減少したのか、すっきりした感じです。
無線の運用でも効果が感じられます。
特段、ノイズ対策などをしていない場合には、
大いに試す価値があると思います。
LANケーブルを購入し、音楽データの供給だけは、有線LANで行うこととし
しばらく、この簡易LANで運用してみようと思っています。
PCオーディオは、機器の構成など人によって実に多様であり、
周辺機器もオーディオ機器より一桁二桁安価なので、
アレコレ考えるより試してみることが大切なようです。
貴重な情報をありがとうございました。