最近、何人もの方からPCオーディオへの疑義(と、言えるのかな?)をお寄せいただいています。
まとめてみると、基本的には以下の2点です。
- リンのDSシステムをPCオーディオと同列に扱って欲しくない。
- PCオーディオは所詮はハイエンドシステムには及ばないのではないか。
リンのDSシステム
言うまでもないと思いますが、これがリンのDSシステムです。
<LINN KLIMAX DS/K>
【商品説明】
「ネットワーク上を流れてくる(ストリーミング)データを音源とするLINNのフラッグシップ・ソースコンポーネントKLIMAX DS。リッピングしたCDデータをNASからストリーミングして、最高級CDプレーヤーを超えるクオリティーで再生するだけでなく、インターネットからダウンロードしたデータを最高音質で再生する新しいミュージック・ボックス。CDの規格を遥かに超える24bitスタジオマスタークオリティーの音源を、ご自宅でじっくりと楽しむこと。192kHz/24bitの再生にまで対応したKLIMAX DSは、音楽再生の未来に新しい扉を開きます。また、使い勝手も従来のディスクプレイヤーでは叶えることのできない、柔軟性に満ちた実に楽しいもの。 未体験の音質が実現するもの。それは、驚くばかりのリアリティーと聞き手を解きほぐしてくれる自然さなのです。」
【商品説明終わり】
標準価格 ¥2,940,000・・・ちなみに、29万4千円ではありませんのでご注意ください。(^^;
「リンのDSシステム(以下、DSシステム)をPCオーディオと同列に扱って欲しくない」なのですが、これとほぼ同じような内容のメールを何通もいただきました。おそらくはDSシステムを扱っているショップの方かユーザーの方からのメールだと思われます。
しかし、「DSシステムをPCオーディオの範疇にいれてくれるな」と書かれているだけなので、どういう「観点」から同列に扱って欲しくないのかは判断しかねました。
そこで、メールをいただいた方々の意図とは外れたものになるかもしれませんが、(1)技術面(2)使い勝手(3)価格とステータスという三つの側面から考えてみました。
(1)技術面
まず技術的な面からいえば、DSシステムは純然たるPCオーディオのシステムです。彼らはネットワークオーディオというネーミングを使っていますが、その基本的な仕組みはPCを使った音楽再生以外の何物でもありません。
リンのシステムでは音源はパッケージメディアではなく音楽ファイルを使用します。そして、その音楽ファイルはネットワーク上のファイルサーバーであるNASに格納されます。ですから、それを再生するにはPC上で動作する音楽再生ソフトが必要です。
ただし、この再生に関わる部分はブラックボックス化されていますから、ユーザーはそこでPCが起動して再生ソフトが動作しているということは全く意識しないかもしれません。しかし、DSシステムといえども、そこではPCが起動して再生ソフトが音楽再生を行っています。
ですから、技術面だけを取り上げればDSシステムはPCオーディオと全く同列のものです。
それどころか、DSシステムの最大の意義は、PCオーディオという新しい音楽再生の提案において、どこまでの高音質再生が可能かを現実の形として提示したところにこそあります。DSシステムが示したこの到達点こそが、その後のPCオーディオにおける様々なチャレンジを呼び覚ましたのです。
おそらく、DSシステムなくして「Voyage MPD」などの開発はなかったはずです。
DSシステムは純然たるPCオーディオのシステムであり、同時にPCオーディオにおける一つの到達点を示しています。ですから、上記のメールが技術面において同列に扱って欲しくないという内容ならば、私は二重の意味で承服しかねます。
(2)使い勝手
「Voyage MPD」を核とした最先端のPCオーディオのシステムを構築することを考えれば、DSシステムははるかに容易にシステムを組むことができます。その意味で、あまりにもマニアックなPCオーディオと同列に論じられたくないという思いが上記のようなメールになったのかもしれません。
しかし、DSシステムは、通常のオーディオ機器で構成されたシステム(これを「レガシーオーディオ」と名づけられた方がいました。言い得て妙なので、私も今後はこのネーミングを使わせていただきます。)と比べると、決して使い勝手のいいシステムではありません。
例えば、CDプレーヤならば、結線さえ間違わなければ簡単に音は出ます。しかし、DSシステムは、かなり改善されてきたとは言え、ポンと置いて結線しただけでは音は出ません。
ですから、レガシーオーディオの側からいえば、おそらくDSシステムもあちら側(PCオーディオ)の世界に見えるはずです。
この両者(「こちら=レガシー」と「あちら=PC」)を分かつラインは「機器の操作がユーザーのスキルに依存するかしないか」です。レガシーオーディオの側からいえば、DSの側から認識するNASと認識しないNASがある・・・などという辺りからして、すでに「ユーザーのスキルに依存する」あちら側の世界に見えるはずです。
ですから、PCオーディオのシステム構築の煩わしさや技術的障壁の高さを根拠に一線を画そうというのは、レガシーの世界からは「五十歩百歩」「目くそ鼻くそを笑う」と映るはずです。
ですから、この点においても、程度の差こそあれ両者は同じ穴の狢です。
(3)価格とステータス
これは違います。(^^;
あんな安物の世界と一緒にしてくれるなと言われれば、それは認めます。
ステレオサウンド誌などでよく言われる、「デザインの素晴らしさ」や「所有する喜び」なんぞは、私たちが遊んでいるPCオーディオの世界には全くありません。
ですから、そう言う観点から同列に論じられたくないと主張されるならば、それは全くその通りだと思います。
ただし、そういう事に重きを見いだされる方々にとっては、このようなサイトが発信する戯言なんぞは何の役にも立たないはずです。お互いの人生においても、交差するところはただの一点もないと思います。
ですので、私ごときの戯言が不快に思われることもあるかと思いますが、大きな心を持って無視されて、放念されることをお願い申し上げます。
しかし、最後に誤解のないように申し添えておきますが、私はDSシステムはPCオーディオの世界に遊ぶものにとって、到達すべき頂の一つを示すものとして尊敬の念は抱いています。不満があるのはその価格設定だけです。
PCオーディオとハイエンドオーディオ
次に「PCオーディオは所詮はハイエンドシステムには及ばないのではないか」というご意見に対してですが、これは結論から言えば全く持って承服しかねます。
例えば、DSシステムの音は間違いなくハイエンドオーディオの世界です。そうでなければ、300万円近い価格設定が受け入れられるはずがありません。その技術的背景も純然たるPCによる音楽再生です。
ですから、この一事だけを持ってしても、「PCオーディオは所詮はハイエンドシステムには及ばない」などとは絶対に言えないはずです。
しかし、いただいたメールの中には、この二つを合わせ技にしたものもありました。
「PCオーディオは所詮はハイエンドシステムには及ばないのではないか」→「DSシステムをPCオーディオと同列に扱って欲しくない」という論理展開です。
私はDSシステムは純然たるPCオーディオのシステムだと思っていますので、DSシステムの優秀さがそのままPCオーディオの可能性の高さを示すものだと思っています。しかし、上のような論理展開をされる方にとっては、それでは全く納得できないと思いますので、もう少しこの問題を取り扱ってみたいと思います。
CDプレーヤーもまた基本的にはPCだという現実
私は先にオーディオの世界を「こちら=レガシー」と「あちら=PC」に分けましたが、厳密に言うとこの二分法はあまり正しくありません。
何故ならば、再生ソフトがデジタルであるならば、レガシーであろうがPCであろうが、再生するためにはそのバックグランドではPCが動作する必要があります。
つまり、レガシーの世界の住人であると思われているCDプレーヤーも、その内実はPCそのものだからです。
この事を意外に思う方もおられるかもしれませんが、CDプレーヤのケースを開けて中をのぞいてみれば、専用のチップにCPUやメモリ、コントローラーなどが搭載されていることに気づきます。ディスク読み出しのためのドライブもまた品質の差はあってもPCと何ら変わるところはありませんし、SPDIF出力のためのインターフェイスやDA変換を行う部分なども同様です。
ですから、この両者の違いはレガシーかPCかではなくて、専用のチップで構成されて外からは手出しはできないブラックボックスになっているか、汎用の部品で構成されていて、ユーザーがいかようにも料理できるシステムになっているかの違いです。そして、言うまでもないことですが、組み込み用途に開発された専用のチップと汎用品を比べてみれば、その性能は圧倒的に汎用品の方が優れています。
確かに、専用のチップを使ったCDプレーヤーであれば、その音質についてはメーカー側が責任を持って一定のレベルを保障してくれています。それに対して、PCオーディオの側は未だに解明されていない部分が多くて、音質面については自己責任で詰めていくことが必要です。場合によっては、とんでもない状態で鳴っていることもありますし、ある条件下ではハイエンドの機器と肩を並べるような音を演出してくれることもあります。
つまりは、未だに発展途上であり、至る所に不十分さを内包していますが、しかし、そのような現状の不十分さを持って「所詮はハイエンドシステムには及ばない」という切り捨て方には、論理的に承服することはできません。
最新のデジタル録音は全てPCで行われている
さらに言えば、デジタル録音が主流になって以降は、録音現場の主役はいち早くPCに切り替わっています。PCで録音したものをPCで再生して、ハイエンド機器に及ばないというのは、どう考えても論理的に矛盾します。
と言うことは、「PCオーディオは所詮はハイエンドシステムには及ばない」と言うことを言い切るためには、次の二つのことを認める必要があります。
- デジタル録音の再生では、個人の努力ではメーカーの開発力を上回ることは絶対に不可能である
- ハイエンドの音というのは、テープを使ってアナログ録音したものをアナログ再生したときにのみ使用すべきである
(1)を認めるならば、PCオーディオなどと言う無駄な努力を今すぐやめて、おとなしくメーカーの既製品を使い続けろ言うことになります。
(2)を主張するならば、聞ける音楽はほとんどなくなります。
両者ともに、私は全く持って承服しかねます。
もしくは、それを持ってハイエンドというのならば、実に持ってハイエンドというのはつまらない世界です。
と言うことで、今回はいささか棘のある物言いになってしまいました。
不快に思われた方がおられましたら率直にお詫び申し上げますが、私はこれからもPCオーディオの世界で遊んでいきたいと思っております。
初めまして。 ずっと ROM させていただいていました。
PCオーディオへの嫌疑という題名にだまされて、最初青くなっていました。
しかし全文を読ませていただき、おっしゃるとおりだと思いました。
私自身も、PCオーディオについて最初は懐疑的でした。 PCはアナログにとって、ノイズ源の固まりのようなものですし。
Voyage MPD Starter Kit の音を聞くまで、サブシステムがせいやっとでしたから。
しかし、1万円ちょっとのシステムに電源を自作し、基板に手を入れてパスコンの追加などなどを行っていくことで、あれよあれよと音質が向上していきました。
現在では、メインシステムで、なくてはならない存在になってしまいました。
その上、つい先日レコーディングスタジオにて仕事をしたのですが、まさにおっしゃるとおり。PCはなくてはならないものでした。
今後の記事も楽しみにしています。
>PCオーディオへの嫌疑という題名にだまされて、最初青くなっていました。
別に題名で驚かそうというつもりはなかったのですが、適当なタイトルが思いつかなかったので、あんな風になってしまいました。(^^;
お騒がせしました。
>つい先日レコーディングスタジオにて仕事をしたのですが、まさにおっしゃるとおり。PCはなくてはならないものでした。
ハイエンドの世界の人たちは、何故かこの根本的な部分にふれようとしませんね。
そして、もしかしたら彼らは最後はアナログという塔に立てこもるのかもしれません。もしそうならば、それはそれで実に見上げた徹底ぶりだと思います。そこまで徹するのならば、私は率直にリスペクトします。
「リンのDSシステムをPCオーディオと同列に扱って欲しくない。」
そんなことをわざわざこのサイトの管理人さんに行ってくる人がいるとは驚き(笑)。
先日コメントで、「現時点でPCオーディオの音質はハイエンドオーディオには及ばない」と書き込みましたが、あれは他人のコメントを受けて流れの中で書いただけで、実は自分にとってそんなことはどうでもいいことです。なぜなら、もうレガシーオーディオに戻るつもりはまったくないので、音質を比較すること自体に興味がありません。
私にとってPCオーディオとの出会いによって何が変わったかといえば、音楽を聴くスタイルそのものが変わりました。今まではまともに音楽を聴けなかった状況や環境でも、高品位の音質で音楽を聴くことができるようになったこと、音楽がよりパーソナルなものになったこと、これが最大の魅力です。
音質面がまったく考慮されていないコンピュータやネットワークといういわば汎用品をオーディオ用途に使用することで多少の不利があったとしても、コンピュータとネットワークを導入することで得られる利便性、拡張性、柔軟性、パーソナリゼーション、コストパフォーマンス(IT業界で好んで使われる語群ですね)の面でのメリットのほうがはるかに大きいと考えています。
音質もVoyageMPDの登場や近い将来一般化するであろうDSDのネイティブ再生で、きちんと対策をとっていけばかなりのレベルにまで高められることがわかった今、PC(ネットワーク)オーディオ以外の形態でオーディオをやる意味は、個人的にはとくに見いだせません。後はPCオーディオの枠組みの中で音質を追求していくだけです。
高齢の某有名評論家は、「PCオーディオなどオーディオではない」とのたまわっているようですが(笑)、先日書店でステレオサウンドを見かけたら、巻末の広告索引の広告主の数の減少は悲惨ですね。後何年もつのだろうかと、そっちのほうが心配です。
こんばんは。
「PCオーディオ実験室」の看板を下ろしてしまうのか(!?)と、ちょっと心配いたしました。
言葉の定義はいろいろとあると思いますが、
PCオーディオ:
デジタルトランスポート部分を汎用PC、あるいはシングルボードコンピュータをベースとして、再生ソフトウエアやリモコンソフトウエアを選択し、自分流に作り上げる。言わば、DIY。
ネットワークオーディオ:
デジタルトランスポートしてメーカー製品を使用する。言わば既製品。
という前提としてメント致しますが、「技術の原理」(PCでハンドリング可能な楽曲のファイル形式をSPDI/Fに変換する)は全く同じで、何ら差がないことはほとんどの人が理解しているものと思います。
メーカー製品といっても多くの場合は汎用デバイスを組み合わせて使用しており、シングルボードコンピュータのスタイルとはほとんど一緒です。ただし、パーソナルコンピュータの場合は、多様な目的に対応できることが前提なので、音楽再生に利点とならないような機器内部の環境も存在していますが。
デジタルの領域(DACに入れるまで)はシンプルな様ですが、やはり奥が深いと思います。(アナログに比較すれば、良い点も多いのですが) DAC以降が同じ装置と設定であってもデジタルトランスポート部分の差異(含む使いこなし)によって、出てくる音は千差万別です。
一方で、キーデバイスの部分は限られたメーカーが生産しているものでもあり、詰め込まれたテクノロジーに比すればチップの価格も高いものではありません。「ハイエンドシステム」というものの定義は定かではありませんが、その中には「価格が高い」という意識もおそらく含まれていると思います。しかしながら、革命児とも言えるQA550に代表されるように、このデジタル領域では音質に対しても価格破壊が着々と進行しています。iPadやiPodなど汎用製品でありながら、音楽再生においても今後期待できそうな可能性が広がっています。
「良い音が金で買える」と思っている方は、「ハイエンド製品?」を購入すればよろしいかもしれませんが、当方はそうは思っていません。先端を走り、それでも廉価なデバイスの音を聴き、高額な(?)製品の音も聴き比べ、その中から取捨選択して、自分に取っての「最高の音」を作って行きたいと考えています。(多少は金額的なバイアスも存在することは素直に認めますが)また、DIY的な要素があることは趣味としての楽しみのひとつでもありますし。
いずれにしても、PCオーディオあるいはネットワークオーディオ(どちらも同じようなものと思いますが)がもたらした、音楽再生の利便性、汎用性は画期的なものと思います。そして、この非常なるメリットはいろいろな方々の熱意や実験、創意工夫によって成り立って来たと思います。確かに一昔前のパソコンで再生する音楽は、とてもオーディオとは言えませんでしたが、いまは堂々と「PCオーディオ」となりました。
これからも、いろいろな新しいチャレンジがPCベースでどんどん行われるでしょうし、それを追いかけるメーカー製品も出てくると思います。あるいはメーカー製品として、あっと驚くような凄いものが出てくるかもしれません。いずれにしてもオーディオである限りは出てくる音が全てです。PCオーディオだからと言って、既製品に音で負けることも無くなりました。これは凄いことだと思っています。
初めて投稿させていただきます.熱い!熱い議論を見て,黙っていられなくなりました.私はiMacとFire Face UCをつないでいるだけのPCオーディオ初心者ですが,それでもCDPはほとんど回さなくなりました.
CDからリッピングした音源でも,アップサンプリングして聴くと質感が優れていますし,ハイレゾ音源は言うまでもありません.恥ずかしながらDSは聴いたことがありませんが,どうせ店頭での試聴では真価はわからないでしょうし,購入する気も金もありませんので,一生縁がないものと思っています.
PCオーディオに凝ろうが,ハイエンドに突っ走ろうが,世間の人から見たら同じ穴のムジナ,ただの時代遅れのオーディオマニアです.
先輩にヴィンテージオーディオマニアがいて,2度ほど家にお邪魔したことがありますが,EMTのプレヤーはワウフラだらけ,ショップ御主人特製の管球式アンプからはブーンとハムが出ていて,自慢のシーメンスの50年代のスピーカーは,確かにフルトヴェングラーの古いレコードをかけると粗が目立たず聴きやすいのですが,最新録音を聴いても古いレコードのように聴こえてしまう情けなさでした.骨董品としての価値は認めますが,音楽を聴くためのオーディオとしては受容できませんでした.
先輩は「太くていい音がする」と悦に入っていますが,やはり別の世界だと思います.この先輩は高齢のこともあり,何を勧めても興味を示してはくれませんが,
それでも普段はiMacにBOSEのスピーカーをつないで聴いているようです.こんなマニアでも,PCオーディオの利便性だけは認めているわけです.Macは音楽向けに作ってあるため,あまりいじらなくても音質は良好です.Windows派の方も一度試聴されるといいと思います.
>先日書店でステレオサウンドを見かけたら、巻末の広告索引の広告主の数の減少は悲惨ですね。後何年もつのだろうかと、そっちのほうが心配です。
私個人としてはこれが一番心配です。
エソテリックのDACを導入してみて、やはり長年のレガシーオーディオで培ってきた「音作り」のうまさは大したものだとあらためて感心させられました。そう言う部分の継承が、途絶えてしまうというのは非常に危機感を覚えます。
PCオーディオと言っても、基本的にはトランスポートの部分まで、もう少し広げてもDA変換の部分までです。アンプ以降の世界はレガシーもPCも全く同じなのですから、そう言う部分で魅力のある製品がとぎれてしまうと、それは一大事です。
>PCオーディオに凝ろうが,ハイエンドに突っ走ろうが,世間の人から見たら同じ穴のムジナ,ただの時代遅れのオーディオマニアです.
やっぱりそうなんでしょうね。職場の若い連中に聞いてみても、みんなMP3プレーヤーにイヤホンがああれば充分だと言います。音源もYouTubeから落としてきたものが大部分だといいます。
このままでは、10年後くらいには、レガシーっだろうがPCだろうが、みんな「ヴィンテージオーディオマニア」かもしれません。
考えたくもない未来ですが・・・。
>このままでは、10年後くらいには、レガシーっだろうがPCだろうが、みんな「ヴィンテージオーディオマニア」かもしれません。
真の意味でのマニアックな世界ですね。
言葉は悪いですが、女子供が入ってきたら妖しい趣味の世界は何れ終わる運命にあるようです。
その後、またマニアの世界に戻るのか、そのまま廃れるのかは解りません。
出来ればマニアだけの世界になったとしても長持ちして欲しいと思っています。
PCオーディオがハイエンドシステムと比較してどうのこうのという議論は、先に書いたとおり個人的にはどうでもいい話なのですが、技術的な観点では、実に興味深い話があるので、そのまま引用します。
以下引用
追加のご質問1)
これで行くと例えばHDDにリッピングすると、結果としてデジタルのデータとしての処理にならざるを得ないのでノイズの処理がうまければよっぽど音が良いとか?
お答え1)
ピンポ~ン。
追加のご質問2)
LANでパケットに分割してデータを送れば、何をどうあがいても送出側のクロックの揺らぎなんて関係もしようがありませんね。だから音が良い?
お答え2)
ピンポン・ピンポン・ピンポン・ピンポ~ン。
オーディオでは「フロー制御」という言葉がキーワードになります。「苦労して実現するもの」です。でもPCのデータ伝送では、あ・た・り・ま・え 。
この点に関しては、オーディオとPCはお互いを知らなすぎます。
まずオーディオマニアはPCのことを勉強していないケースが多いと思います。工学的知識を背景に趣味としてオーディオを楽しむことができる方は、固定観念に縛られず隣接する工学の常識をオーディオに活かして行くことをもっと考えるべきです。たとえばPS3が音がいいというのは今では多くの人が知っています。でもPS3の音の良さは、オーディオの設計常識ではなく、PCの設計常識が作り出したものです。。
引用終わり
これは、またまた「かないまる」ページからの引用なのですが、PCにはノイズが多いとか音質が配慮されていないという不利な面があるのは確かなのですが、一方でCDプレーヤーなどにはない技術的なメリットもある(具体的にはLANのパケット転送やUSBのアイソクロナス転送、フロー制御など)ため、ノイズ面などの対策が完璧であれば、音質面でも従来の方式を超えられる可能性はあるということです。
これについては、実際に自分でLAN周りの電源やアイソレーション対策を徹底させた結果、LANを経由させることで音も向上する(パケット転送によってジッタが一旦リセットされる)という具体的な結果も得られました。
再生方式にはアナログディスクも含めればいろいろあって、それぞれに長所や短所があるわけで、それぞれのメリットを活かす方向で工夫すればいいだけのことではないでしょうか。
yungさん、こんにちは。
私のブログで近く「ESOTERIC P-2S+D-3」と「Mac Book(プロじゃぁないですよ)+Musical Fidelity TRI-VISTA21 or D-3」を比較して、超ハイエンドの方には納得できないと思いますが、個人的な比較を報告するつもりです。
PC Audioを経験すればするほど「DACの大切さ」を痛感しています。
反面、CDトランスポートをPCで肩代わりさせることの狙いは「どれだけ正確なデジタルデーターをDACに送ってあげるか」につきると考えています。
その「正確なデーターを送る」意味でハードウエアとソフトウエアの進歩は両輪であって欲しいのですが、専用機のトランスポートでは、古い機器では、ファームウエアアップもままならず(もちろんソフトウエアのバージョンアップも出来ませんし)、PCにはそこに可能性がある「ソフトとハードが両輪でアップデートできる」ことに尽きるのではないかと考えてます。
私のブログに書き込んで下さる方で音楽産業に従事されている方がいらっしゃい
まして(ご自身はハイエンドオーディオ使いで感性も判断も素晴らしい方です)その方があまりPC Audioに乗り気でないのは、仕事でPC Audioを駆使されていて「自宅くらいPCから開放されたい」お気持ちだからなか?と感じています。
確かに、その環境ならPCから開放されたくてPC Audioにも前向きにならない気持ちは分ります。
私の評価軸に「みため」「ガジェット感」がありますが、そこを比較するとPC Audioはまだ少しかなと思います(入手可能な金額の範囲で頑張って欲しいところです)。
PCトランスポートを軸としオーディオ用DACとつないだシステムから出てくる音色は、P-2S+D-3との比較でも同等だと感じています。
ただ、工夫がいるのは確かです…でもそこが面白いところなんですけどね(笑)
「PCなんて、あんな安ぽい、ノイズの塊からいい音がでる訳がない」と言う先入観を捨てて一度試して欲しいですね…私自身も「再生媒体は回転体であるべきだ!」とかたくなに固定観念にとらわれていた人間ですから(除くHDDですかね(笑))
それほどPCは身近なはずですから^^;
>やっぱりそうなんでしょうね。職場の若い連中に聞いてみても、みんなMP3プレーヤーにイヤホンがああれば充分だと言います。音源もYouTubeから落としてきたものが大部分だといいます。
私には職場の若い連中というものに接する機会はないのですが、それが世の中の現実なんですね。勉強になりました(笑)
オーディオ製品も工業製品であって、工業製品として大切なことは安価で使いやすく高品質であること。この条件が揃っていないと世の中には受け入れられません。音質のためには何でも許されるとばかりに過剰な方向に走ってしまうと、衰退の道しか残されていませんね。というより時間の問題か。。。
もっともPCオーディオの部分に関していうなら、汎用品しか使っていないのであまり困りませんが、本当に衰退してしまったら、入り口から出口まで全部自作するしかないか。。。これもまた趣味の原点ですね。
後は絶対になくならないプロ用機材(コストパフォーマンス抜群)にでも期待しましょう。
自分の書いた文章の「(3)価格とステータス」をあらためて読み直してみると、「デザインの素晴らしさ」や「所有する喜び」を全く否定してるように受け取れますね(^^;
これはイカンです。
私は、オーディオという趣味においては、デザインや所有する喜びというのはかなり大きなウェイトを占めていると思います。そう言う意味も含めて書いたつもりだったのですが、読み直してみると、全くそういう風には受け取れない文章になっていますね。
これは項をあらためて、誤解を招かないように書き足す必要がありそうです。
> おそらく、DSシステムなくして「Voyage MPD」などの開発はなかったはずです。
MPDのデビューの方がLINN-DSより確か3,4年前です。その製品化であるSqueezeBoxもLINN-DSの前だと思います。LINNはこれらの動きに追従したのだと思いますが、ビジネス/ライセンス戦略上、Linuxではなく、Rtemsという組み込み用OSで作っています。組み込みOSであるVoyageLinuxがMPDを入れてVoyageMPDとパッケージ化したのは、おそらくLINN-DSの後だと思われます。
>MPDのデビューの方がLINN-DSより確か3,4年前です。
本当ですね(^^;
こんな事は更新履歴を見れば簡単に確認できることなのに、思いこみとは怖いですね。調べてみると、MPDの初めての登場は「ver 0.5.0-0.5.2」のようですが、日付がありません。しかし、次のヴァージョンアップである「ver 0.6.0 」については(2003/5/25)とクレジットされていますね。
LINNからDSシリーズが発表されたのは2007年の冬頃だったと記憶していますから、確かにMPDの方が4年は早いです。
>その製品化であるSqueezeBoxもLINN-DSの前だと思います。
「SqueezeBox」なるものは全く知りませんでした。調べてみたら、
http://www.nagi-p.com/squeezebox/
みたいなものらしいですね。
いわゆる「お手軽PCオーディオ」のラインの製品で、本格的なオーディオマニアが関心を持つようなシステムではないですね。
こういう流れをもう一度正確に振り返ってみると、
(1)音楽再生において「操作系」と「再生系」を分けるという発想の源流はMPDにある。
(2)その発想が、本格的なオーディオマニアをも納得させるだけの可能性を秘めていることに気づき、それを具体化したのはLINNの功績
だといえそうです。
では、どちらの功績が大きかったのだと聞かれれば、個人的にはLINNに軍配を上げたい気持ちが私にはあります。
これは書き始めるとコメント欄には相応しくない長さになりそうなので、個人的な結論だけを記すにとどめます。
tomaさん、貴重な情報ありがとうございます。
>>その製品化であるSqueezeBoxもLINN-DSの前だと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
mpdとSqueezeBoxはまったく別な物です。
SqueezeBoxはui controler + player + SqueezeBoxServer の3つのコンポーネントからなります。
SqueezeboxServerはコンテンツの管理・配信を行うサーバーで、基本的にはこれは自分でインストール
する必要があります。(現在は殆どのnasでオプションとして用意されています)。
一方mpdは player と SqueezeboxServerを一体化することにより、導入しやすくしたシステムだと言えます。
> いわゆる「お手軽PCオーディオ」のラインの製品で、本格的なオーディオマニアが関心を持つようなシステムではないですね
Squeezeboxの上位機種としてtranspoterという製品があり、いちおうオーディオマニアもターゲットにしていたようです。
実は、mpdを使う前にsqueezeboxを使っていました。squeezeboxのデジタル出力をbenchmark dac-1につないでいましたが
結構いい音がしていました。
いまはSqueezebox touchという上位機種があり、これはusb経由でdacまたはddcへ出力することができます。
Squeezebox touch と lindeman 24/96 をusbアイソレータを介してでてくる音は、無改造の(alix + xmos) より好みでした。
Squeezebox(touchも同じ) の内部は
CPU arm
OS Linux(kernelはrt kernel)
Player soft lua言語で作成されているが
alsaの制御は別プロセス(fifo プライオリティ)
電源 ACアダプター
となっています。
Voyage mpd はSqueezeboxの影響を相当受けていると思います。
ちなみに、mpdにrt_optを作ったのもsqueezeboxでやっていたのが動機になっています。
Squeezebox touchのalsaのバージョンが古いためuac1.0でもアシンクロナスには対応していません。
phasetechのddcをつなぐとパッチというノイズが発生します。この為、Squeezebox touchをやめmpdを選択しました。
このノイズさえなければSqueezebox touch + Phasetechの音はなかなかの物でした。
ちょっと長くなりましたが、
>(1)音楽再生において「操作系」と「再生系」を分けるという発想の源流はMPDにある
源流はmpdではなく間違いなくSqueezeboxだと思います。
Linnの製品はmpdより、Squeezeboxに近いです。近いと言うよりシステム構成的にはsqueezeboxそのものです。
Linnがすごいのはハードとともにコンテンツも提供したことですね。
Squeezeboxは現在はLogitechに買収されLogitechの製品ですが、日本では販売しないそうです。
オーディオに求める音にはそれぞれが嗜好するジャンルにあった音があって、その結果として望ましいシステムがPCオーディオなのか、それともレガシー・オーディオか、という違いがあるのではないでしょうか。
アコースティックなジャズやクラッシックであれば、音量よりは録音したままの音を求めます。私のスタンスもこれに依拠します。その場合、グライコやプリアンプの利用は、周波数分割と再結合を行うことで音質劣化の原因となります。また、時間軸もずれます。スピーカーについて言えば、シングルスピーカーが最も好ましい姿で、周波数帯によって複数のスピーカーを駆使するのも音質劣化の原因となります。ここでの話題からはそれますが、タイムドメインの考え方がこれに相当します。
一方、エレクトリック楽器が入った音楽や大会場を前提とするような音楽の場合は、低音を強調するためにバスレフスピーカーの利用が必要です。そのためには、原音に忠実というよりは周波数分割を行って少々音質劣化があってもよいから音量を大きくする(臨場感)ということが求められます。このような音楽を志向するのであれば、前段をPCオーディオにして、最終段をレガシー・オーディオにしても良いのではないでしょうか。
<LINN KLIMAX DS/K>ですか…
1曲ごとのデータをメモリに取り込んで、正確なクロックでDACで変換して、アナログデータを出すだけでこんな値段になるとは思えません。需要と供給の関係で台数はそれほど売れないと思いますので、外枠の加工賃だけでも結構な値段にはなりそうですね。私には高級化粧品の世界と同じにしか見えません。
PCオーディオも毎度おなじみのオーディオ屋のステマで煽っているだけですからね。過去何十年の捏造ブームと変わりはありません。
鳴らす人の力量が全てです。ある種のフォーマットに乗り換えればすべて解決というのはハイファイオーディオではなくゼネラルオーディオの話でしょう。そのあたりの切り分けが出来ないユーザーがいるから話がややこしくなるわけです。
>鳴らす人の力量が全てです。ある種のフォーマットに乗り換えればすべて解決というのはハイファイオーディオではなくゼネラルオーディオの話でしょう。
それはもう、全くその通り!!
PCオーディオというのは基本的には「入り口」だけの話、問題はその後にも山積みしています。
私もそう言う山積みの課題に日々取り組んで悪戦苦闘しいてますが、それはもうこのサイトの内容とは全く別の話です。
このサイトの内容は、あくまでも「入り口」限定の話だと思ってください。それ故に、時にはかみ合わない話になることも多いのは仕方がないのかもしれません。