久しぶりに高い買い物をしました。
DAコンバーターのESOTERICの「D-07X」です。
候補の機種をノミネート
昨今のDAコンバーターの流れを見てみると、ザクッと二分できそうな雰囲気です。
- PCオーディオの系譜から発展してきたUSB-DAC
- CDトランスポートの相方としてのDAC
当然のことながら、後者のDACはPCとは直接接続できないので、PCオーディオに組み込むためには「DDコンバーター」が必要なとなります。しかし、PCオーディオの勢力が増大していく中ではいかにも「不便」なので、最近のDACにはどちらの系譜であってもUSBの接続端子を装備する機種が増えてきています。
そのため、この二つの系譜はパッと見ただけでは区別がつけにくくなっていますが、基本的なポリシーにおいては大きな違いがあるように思います。
まずは、生まれも育ちもUSB-DACとして育ってきたグループは、基本的には「入力部分」での優秀性を競っているように見受けられます。曰く、「24bit 196KHz対応」とか「32bit 384KHz対応」とか、「アシンクロナスモード対応」とか「大幅ジッター低減」とかです。いわゆる「レガシーオーディオ派」にとっては今ひとつピントこないであろう数値や用語が「売り文句」として並んでいます。
それに対して、後者のグループはレガシーオーディオの世界で育ってきたDACであり、「出力部分」を重視しているように見えます。出力部分とは言うまでもなくアナログ段のことです。基本的には「S/PDIF」規格で入力されたデジタル信号を良質なアナログ信号に変換する事に力が傾注されています。前者とは異なって、「PCオーディオ派」の心をくすぐるような魅力的な「数値」や「売り文句」には乏しいのが特徴です。
一般的に言って、入力部分の数値や仕様はチップの性能に依存します。
チップは基本的にはパソコンのパーツなどと同じようなものですから、回路を工夫し集積度を上げれば性能は向上します。また、そのようなチップは一定のロット数に基づいて大量生産されますから、性能が大幅に向上してもそれほどコストが上昇することはありません。
それに対して、アナログ段というのは基本的には物量がものを言います。筐体の構造から始まって電源部なども含めて、どうしてもコストがかさんでしまいます。そのために、アナログ段を入念に作り込んで少しでも良質なアナログ信号を取り出そうとするとどうしても製品価格が上昇します。
結果として、低価格帯には前者のDACが、高価格帯に後者のDACがラインナップされる事になります。かなり乱暴な図式化ではありますが、だいたいの雰囲気は上手くあらせているかと思います。
しかしながら、この1~2年のPCオーディオの発展の中で、後者のレガシーオーディオの中で育ってきたDACが少しずつ前者に歩み寄ってきているような雰囲気が感じ取れます。
今まではUSB接続端子がついていても、とにかく「形だけでもPCと接続できればいいんでしょう!」と言う「おまけ」みたいな感覚でした。しかし、次第に「PCオーディオにも真面目に対応しよう」と言う雰囲気に変わりつつあります。
そうなってみると、長年のレガシーオーディオの中で培ってきた後者のDAC群のアナログ段の優秀さは非常に魅力的です。
今回、DAコンバーターの強化を決断したのはそのような「見切り」があったからです。
ですから、今回はPCオーディオの流れの中で育ってきた生粋の「USB-DAC」ではなく、真面目にPCオーディオに対応してきたレガシーオーディオ派のDACにターゲットを絞ることにしました。「PCオーディオfan」の「USB DACカタログ」なども参考にしながら、候補としては以下の4つをノミネートしました。
<ラックスマン DA-200>
<エソテリック D-07X>
<フェーズメーション HD-7A 192>
「フェーズメーション」というブランドは私の中ではPCオーディオのメーカーだと思っていたのですが(^^;(それだけ「HD-7A」のインパクトは大きかった)、調べてみるとハイエンド機器のメーカーとしてそれなりの地歩を占めているメーカーだそうです。ラックスマンとエソテリックに関しては今さら何も付けくわえる必要はありません。
「DA-200」と「D-07X」は、レガシーオーディオの雄とも言うべきブランドが、ついに真面目にPCオーディオに対応してきた事が確信できたDACです。
特に、エソテリックの「D-07X」は「D-07」のマイナーチェンジのように見えますが、内実は全くの別物と言ってもいいような機種になっているようで、エソテリックのPCオーディオへの対応の本気度が伺える製品となっています。
これ以外にも外国製品も少しは気になりますので、
<ノーススターデザイン USB dac32>
辺りも候補に追加して、某月某日、大阪の日本橋をあちこち歩き回って試聴してきました。
日本橋をあちこち聞いて回りました。
今回用意した資金は300K円。いわゆる「地方豪族的オーディオマニア」とは一線を画す決意をしているので、しっかりと上限を区切って「お買い物」にでかけました。
なお、「300K円」の根拠は、昨年末にパワーアンプが壊れたので用意した資金(メーカーに修理不可能と言われる)が「修理可能(AMP修理センター)」になったおかげで浮いた分です。それと、ハイエンド路線の批判をしているモノにとって、DACに出せる金額はこのあたりが上限だろうという思いもありました。
さて、久しぶりに日本橋に出かけてお店を回ったのですが、オーディオ業界は寂しい限りですね。私がオーディオをはじめた数十年前は一番の花形でしたから、メーカーのショールームなどもあって聞きたい機器はいつでも聞くことができました。しかし、今回は試聴するのにも苦労しました。
なお(おきまりの約束事です^^;)、以下に述べるお店の感想はあくまでも私個人の感想の域を出るものではありません。決して一般的な評価となるようなものではありませんので、その点はご承知おきください。
<ヤマダ電機>
日本橋の隣にドーンと登場して、当初はオーディオ売り場に「日本有数の品揃え」と看板が掛かっていました。しかし、今回久しぶりに足を運んでみるとその看板も撤去されていて、品揃えは普及価格帯のモノが中心になっていました。そう言えばここの店員は「PCなんてノイズだらけですから音楽なんか聞けませんよ」などとアホウみたいな事も言っていたので、PCオーディオへの対応度は今も非常に低いようです。
全く持って無駄足になりました。
<ジョーシン1番館>
ここは家電量販店としてはしっかりとしたオーディオ売り場を維持している数少ないお店です。家電量販店と言うことで敷居も低いのでよく足を運びます。また、小さいながらも「PCオーディオ」のコーナーも設置されています。
しかし、残念ながら、店員さんのPCオーディオに対する知識は充分とは言えず、あれこれ質問しても意味不明な答えが返ってくるだけです。
さらに、一言苦言を呈するならば、一見の客に対する対応が非常に悪いです。
このお店は定期的に試聴会を開いていて、おそらくは利益率の高い高級機器はそのような試聴会に参加するお客しか買わないのでしょう。私などは、そんな試聴会に参加する暇はないので、お店からすれば「一見」の客としかうつりません。
しかし、一見であっても「買う気満々」で訪ねている客もいることを肝に銘ずるべきでしょう。
結果的には聞きたい機器をまともに試聴することもできませんでした。日本橋の中で今も頑張ってオーディオの灯を守っているお店だけに残念な話です。
<河口無線>
水曜は定休日と言うことで閉まっていました。調べてみると木曜日も定休日のようです。
相変わらずの「殿様商売」です。♪~( ̄ε ̄;
<シマムセン>
河口無線は閉まっていても隣のシマムセンは開いていました。
3階まであがると、ガランとしていてお客は誰もいません。店員さんが暇そうに雑談していたので、試聴をお願いしました。
しかし、CDトランスポートからの音を聞かせてもらった次にPCからの音もお願いすると、何と・・・音が出ません。(>△<:)
でも、嬉しかったのは、決して面倒くさがらずに必死で対応してくれたことです。そして、奮闘10分にして、USBケーブルが外れていることに気がついて(o”_”o)えっ!・・・無事に音出しが可能になりました。
まあ、この辺りに、老舗オーディオショップのPCオーディオに対する困惑ぶりがうかがえるように思いました。
しかし、品揃えは非常に良くて、ここで「DA-200」「HD-7A 192」「USB dac32」の3機種が試聴できました。「D-07X」は発売されて間もないので試聴機が入るのは4月になるとのことでした。スピーカーも何機種か指定してじっくりと聞かせてもらいました。
まず最初に聞いたノーススターデザインの「USB dac32」は非常に硬質でクリアな音色で、ベンチマークの「DAC1」と全く同傾向の音だと思いました。そして、この両者の価格差を考えると、ベンチマークの「DAC1」の優秀さをあらためて感じさせられました。
よって、買い換える意味がほとんど感じられないので、この時点で、「USB dac32」は私の中では脱落しました。
次にラックスマンの「DA-200」です。
これは明らかにベンチマークの「DAC1」とは傾向が違います。基本的には暖色系の音で雰囲気は非常に良いです。しかし、音の透明感に関してはいまいち不満を感じます。よく言われる「音数」もそれほど多くはありません。
そして、この音を聞いているうちに、私がそれほど大きな不満も感じないで長年ベンチマークの「DAC1」を使い続けてきた「理由」にあらためて気づかされました。どうやら私にとって、「DAC1」が描き出す透明感のある音の世界というのは絶対に譲れない一線のようなのです。
よって、これも残念ながら、「DAC1」に代わって導入する意味は感じられませんでした。
最後に聞いたのが、フェーズメーションの「HD-7A 192」です。
どうやら、私の性分はおいしいモノは最後に残しておくタイプのようです。しかしながら、期待を持って聞いたのに最初の音が出てきたときは拍子抜けしてしまいました。一言で言えば「あまりにも当たり前の音」で、これといった特徴が全く感じられなかったからです。
しかし、じっくり聞いていくと、音の透明感や音数は決して「DAC1」に劣っていません。録音された音がほとんどデフォルメされずに実に素直な形で出力されている雰囲気です。おそらく、自己主張は控えめだけれども素性はとってもいいのだろうなと納得した次第です。
ところが、ここで「馴染み」と思われるお客さんから電話がかかってきました。電話でのやりとりを聞くともなく聞いていると、どうやらお買い上げになったエソテリックのCDプレーヤーの音が出なくなったとの事のようです。
おかげで私の相手をしてくれていた店員さんはそちらにかかりきりになり、おまけに電話の方は5分たっても10分たっても終わりそうにありません。店員さんは電話をしながらも、私の方に申し訳なさそうな目線は送ってくれるのですが、暇そうにしているもう一人の店員さんはそんなことには「我関せず」でデスクで何か書き物をしているばかりです。
この辺りの店員さんの「役割分担」というのは実に不思議なのですが、書き物をしている店員さんは技術面に関する対応は職務外のようです。まるで、数十年前の中国のお店みたいです。
そこで、個人的にはもう一つの本命だと思っていたエソテリックの「D-07X」の試聴もできないし、電話も終わる気配もないし、もう一人の店員さんが対応してくれる素振りもないので、「ありがとうございました」と言ってお店を後にしました。電話の対応をしていた店員さんは「申し訳ありません」という目線は送ってくれましたが、書き物をしていた店員さんは黙々と何かを書き続けていました。実に不思議なお店だとは思いましたが、基本的には親切さは感じたので、次に何か大きな買い物をするときは訪ねてみようとは思いました。
<逸品館>
ここは店主の灰汁が強くて毀誉褒貶の激しいお店です。しかし、品揃えは確かなので最後に取っておきました。
こういう個人店主のお店は日本橋には他にもいくつかあります。そんなお店の中では「逸品館」は一番敷居が低いので入りやすいです。具体的には名前は挙げませんが、お店に入っていくといかにも「馴染み」と思われるお客と店員が車座になって話をしていて、そんなところへノコノコ入っていくとジロッと一瞥を投げかけられてこの上もなく居心地の悪い思いにさせられるお店もあります。
そんなところと比べると、はるかに敷居が低くて入りやすいです。
さて、嬉しかったのは、ここには発売間もないエソテリックの「D-07X」が鎮座していて試聴できたことです。さらには、シマムセンで聞かせてもらった「HD-7A 192」もじっくりと聞くことができました。
ただ困ったのは、試聴環境が劣悪なことでした。その劣悪さは具体的に書くのも憚られるほどの劣悪さなのですが(アンプとスピーカーがティアックの「UD-H01」+「S-300NEO」)、幸いなことにシマムセンで「HD-7A 192」をアキュフェーズのアンプとソナスのスピーカで聞くことができていたので、その音を基準に頭の中で補正しながら聞くことにしました。
まずは、エソテリックの「D-07X」をじっくりと聞かせてもらいました。音の傾向は、上にも下にもしっかりとよく伸びたエソテリックらしい音でした。しかし、私の中にあるこのブランドの音と比べると中音域の暖かさが意外でした。これは実にいい雰囲気です。
次に、この状態で「HD-7A 192」を聞いたのですが、正直に言うと試聴環境の劣悪さもあって実にもって当たり前の「つまらぬ音」でした。しかし、幸いにしてシマムセンでそれなりの環境下で聞かせてもらっていたので、あの「HD-7A 192」の音がこんな風にしか鳴らないのならば「D-07X」はかなりいいのではないかと想像はできました。
そこで、次にPCからではなくCDトランスポートからの音も聞かせてもらいました。シマムセンではアキュフェーズのトランスポートだったのですが、逸品館ではベルトドライブの「TL-3N」がつながれていました。
シマムセンでもジョーシンでも同じだったのですが、PCからの再生はどこもかしこも判で押したようにWindowsPCのノートパソコンにfoobarという構成でした。お店としては再生ソフトにiTunesやWMPではなくfoobarを使っていると言うことでそれなりの配慮はしているという「お印」にしているようですが、PCからの再生環境としては極めて劣悪だと言わざるを得ません。
今回、試聴させてもらって分かったことは、DACの素性を少しでも感じ取るためにはPCオーディオの環境で使う予定でもCDトランスポートからの再生音を基準にしたほうが良いと言うことでした。
さて、そのCDトランスポートからの音ですが、予想したようにPCからの再生音とは一線を画すほどに透明感も厚みも増した音を聞かせてくれました。そして、この音を聞きながら、「どんなに頑張ってもPCからの再生音はCDプレーヤーからの再生音にはかなわない」という人の気持ちがよく分かりました。
さて、最終結論ですが、明らかに私の好みはエソテリックの「D-07X」でした。
ベンチマークの「DAC1」がもっていた透明感は絶対に譲れない一線だったのですが、その譲れない一線を軽々とクリアしていました。もちろん、フェーズメーションの「HD-7A 192」も優れた素性は感じ取れましたが、こちらはより穏やかな音色であり、私の好みは「D-07X」でした。
また、「D-07X」は「DAC1」が持っていなかった中音域の厚みや暖かさみたいなものも持っていたので、「DAC1」に代えてメインのシステムに招き入れる価値は充分に感じ取れました。
さらに、ネットで調べた最低価格が「299K円」だったのに、逸品館では「250K円」でした。
これは全く予想もしていなかった価格だったので、即決で「お買いあげ」になった次第です。
お店をまわって感じたあれこれ
日本橋のオーディオ関連のお店をこれだけしっかりとまわったのは久しぶりでした。そして、自分の目と耳でその現状を確かめることで、いくつか感じることがありましたので、それを報告して今回のまとめにしたいと思います。
(1)PCオーディオに対応し切れていないお店の現状
1~2年前と比べれば、何とか対応しようという必死の努力は感じ取れます。
しかし、ドッグイヤーという言葉でさえ追いつけないような現在のPCオーディオの流れには全く対応し切れていません。「Voyage MPD」を導入しろとまでは言いませんが、せめて再生専用のPCくらいは用意して、それなりの再生ソフトはインストールしておくべきでしょう。
PCオーディオこそはじり貧のオーディオ業界の中で数少ない伸びしろのある分野なのですから、何時までも逃げ腰ではなくて店員さんもしっかりと勉強してもらいたいモノです。
(2)ハイエンド路線の隘路
高級オーディオ機器を扱っているお店というのは、何時行ってもほとんどお客さんはいないし店員さんも実に暇そうです。そして、不思議なのは、暇そうなのに、入ってくる客には実に無愛想です。
普通に考えれば、これで潰れないのが不思議なのですが、これまた不思議なことに何十年も立派に店舗を構えています。
今回久しぶりにそう言うお店に足を運んで分かったのは、そうやってふらりとお店に入ってくるような客は、基本的に「買ってくれない」のです。店員はそう言う事実を知り尽くしているので、無駄な営業努力はしないのです。
それでは、誰も買ってくれない商品を陳列していて何故にお店が潰れないのかと言えば、それは、次々と下取りとグレードアップを繰り返す一部の客を囲い込むことでお店もメーカーも成り立っているのです。そして、そう言うお客はお店にとっては「馴染み」ですし、そう言うお客は基本的にはお店が定期的に開催する「試聴会」などの折りに来店するのです。日頃は無愛想な店員さんが必死の営業努力をするのは、そのような試聴会の時なのです。
しかし、そう言う客の大部分が50~60代の男性ですから、あと10年もすればほとんどが市場から消えてなくなるはずです。既にカウントダウンが始まっているのにもかかわらず、新しい顧客の開拓に何の努力もしないというのでは、この業界には本当に未来はないと言わざるを得ません。
そして、ハイエンド路線というのは、最も必要であり最も困難である新しい市場の開拓という仕事から目をそむけ、逃げ続けて、目の前の利益確保というその場しのぎを続けてきた末路の姿だと言うことを強く感じました。
そんなわけで、次回はいよいよ、エソテリックの「D-07X」のファーストインプレッションを報告します。
後半のオーディオ販売店に対しての思い、同感なのですが、ミドルクラスのオーディオを中心に扱う店を開こうかなと思って友人に相談した所、iPodで済ませてしまう層とハイエンドの層の2つしかないから、ミドルクラスのものを扱っても売れないんじゃないか?ということでした。
そもそもオーディオに興味を持っている人が少ない上に、中流階級が減少しているのでどうにもならないのかもしれないです。
販売店ではなくオーディオ機器メーカーはミドルクラスの製品に魅力的な商品を生み出しているんですけど、興味がある人は少ないように思います。
車にすら興味を示さない若者に対してどうアピールしていいのかもわからないのでオーディオの未来は明るくないと思ってます。
私が最近注目しているのは「キット屋」さんです。
直販主体でやっているから可能だという話もありますが、それでも50万円までのミドルクラスの製品を主体に開発と販売を行って、そこそこの売り上げを上げているようです。
キット屋はサンバレーという会社の一部門なのですが、この会社の概要を見ると年間売り上げが43.4億円で、オーディオはその中で5.5%を占めています。単純にかけ算をすれば、2.4億円です。
http://www.sunvalley-e.co.jp/hp/jouhou/gaiyou/gaiyou.html
その額は大手のメーカーと比べれば微々たるモノでしょうが、一個人が性根を据えてやればここまでできるという見本のようなモノですから、やりようによっては可能性はいくらでもあることを示していると思います。
大切なことは、「今やらないと終わりだ」という根性を据えた人間がこの業界に何人いるかという事だと思います。
D-07X 導入おめでとうございます。
正直、うらやましいなぁと思いました。うらやましさというのは、直接試聴して選べるという点です。5カ所もあるんですから。加えて、マイナーな機種を試聴できるところが2カ所もあるなんてことは、私の場合はありません。
私は地方都市仙台(東北地方で一番大きな都市)に在住しています。試聴したくても置いてあるお店がありません。そんな私にできることは、出張の折に、自分が興味を持っているブランドを試聴させてもらえるショップ巡りをしておき、そのショップが出す情報に耳を傾けておくことです。地元のショップで試聴できる機種との比較を想像して購入するしかありません。
私の場合は、先月に、soulnote sd2.0b を手に入れました。未試聴で購入しましたが、大変うまくいった次第です。soulnote の場合はメーカーから試聴に借りることができるのですが、視聴前に購入してしまいました。というのも、他の候補を試聴できたからではありますが。
(1)PCオーディオに対応し切れていないお店の現状
(2)ハイエンド路線の隘路
のどちらにも同意します。
私が知っているお店は、 voyage mpd = linux =避けて通る です。 あるお店ではPC-Audio = Linnです。でも、その LINN で、MP3 をかけられた日には、どう反応して良いやら。
私の場合、昨年の秋に、Home Theater 用に導入した Marantz UD-9004 (ユニバーサルプレーヤー)での CD 音質の良さにびっくりして、Pure Audio システムとの融合をはかりました。おかげで、10数年ぶりに、CD プレーヤー、DAC、パワーアンプなどを次々と更新しました。この更新のなかで、PC-AUDIO の世界を知り、voyage mpd starter kit, UDIF7 を知り、久しぶりにハンダごてを暖めることになりました。
これらの経過の中で、アクセサリの重要さを初めて知りました。私はアンプ設計ができる程度の知識はあるので、電線病などのアクセサリ病にはかかっていませんでした。
しかし、Yung 様が提示してくださった、都市伝説ではない違い(CAT7、電源の重要さなど)は理解できますし、20年前と異なり、スイッチングレギュレータが身の回りにあふれている状況では、電源を通したノイズ結合の恐ろしさにも気がつくことができました。もちろん、私はお金がないので、マルツ電器とお友達になっただけですが。
そのような中で、パソコン用にもDACや自作アンプをあてがいました。最近は、高品質音源のダウンロードに手を出しています。
長くなってすみません。
言いたかったのは、現在の商売が、Yung 様がおっしゃる「(2)ハイエンド路線の隘路 」のことです。よく言われることですが、Hardが先か、Softが先かのことです。ゴールデンウィークを利用して、ハイレゾ音源を20アルバムほど購入しました。
確かに、CD と比較して楽器の音は鮮烈で、すばらしい録音もあります。しかしながら、1/3ほどは、CD と比較してもひどい録音です。24bit/176MHz なのに、CD以下なのには音質にはあきれました。ちなみに、日本の(斜陽ぎみの)オーディオ会社です。ハイレゾ録音の「合い言葉」で満足してもらえるのかもしれません。
そういう私も、50歳台に足を突っ込んだところです。私にとっては、オーディオ機器は、あくまで道具であり手段です。これぞというコンサートに足を運んでは、あまりの下手さ加減に、自宅のCD で口直しをしています。地元で心から感激したコンサートは、エリーアメリンクの引退公演(もう20年ぐらい前?)かなぁ。
アマチュアのコンサートは批評を加えませんが、プロのコンサートは別です。それで観客を満足させるのが仕事ですから。アマチュアでも間違わないようなミスがあったら、評価外です。そういうプロ意識がない演奏会があまりにも増えて、閉口しています。はっきりいうと、ミスタッチ(音が外れる)が多すぎる。AKB48のほうがまだよく練習しているといえるぐらい。口うるさい年寄りに私も加えられる(30歳台から?)のかもしれません。
私が言いたいことは、オーディオの衰退はハード面の接客だけではなく、ソフト面の満足度の低下もあるのではということです。今回、ハイレゾ音源をたくさん買って、がっかりあしました。手元のCDなら、10枚買えば 1~2枚は当たりがありました。今回は音質はともかく、音楽としての評価で言うと、全部ハズレです。
何時も楽しく読ませていただいております。私はphasemationを選択しましたので他機との比較が面白かったです。私も大阪在住で日本橋のオーデイオ店の感想120%同感です。貴方が言われる様に網の中に入って来る魚を待っているだけのスタイルです。これで商売が出来るなら世の中こんな楽な話しはありません。最近和歌山に有る、ステレオサウンドにも広告している店と取引する機会が有りましたが一生懸命で丁寧な対応でした。今後とも有益な情報の発信を期待しています。
後段のハイレゾ音源に対する評価・・・「今回は音質はともかく、音楽としての評価で言うと、全部ハズレです。」には120%同意したいです。
私は至る所で、「16bit 44.1KHzの世界」をシャブリ尽くしたいと書いていますが、その背景には、ハイレゾ音源には聞くべき音楽がない・・・という現状があるからです。そして、悲しいことに、最新の録音においても聞くべき音楽は極めて少ないのが現状です。
さらに付けくわえれば、こんなサイトをやっているおかげで、古い録音にはすっかり詳しくなりました。オーディオの世界は正直言って素人ですが、そちらに関しては少しは責任を持って発言ができます。「昔は良かった」という言葉が決して年寄りの繰り言ではないことだけは保障できます。
>オーディオの衰退はハード面の接客だけではなく、ソフト面の満足度の低下もあるのではということです。
ソフト面の低下については自分なりに言いたいこともあるので、暇を見つけてはポチポチと「書いては消し」を繰り返しています。
非常に重要な論点だと思っています。
>オーディオ機器は、あくまで道具であり手段です。これぞというコンサートに足を運んでは、あまりの下手さ加減に、自宅のCD で口直しをしています。
いやいや、手厳しいですね。(^^;
私の場合はこれに加えて観客のマナーの悪さにも辟易としていてコンサートから足が遠のいています。この数年は、会場に足を運ぶのはCDだけではどうしても満足できないオペラやバレエばかりになりました。
ただし、プロのオケといえども、その置かれている生活の厳しさも知っているだけに、あまりきついことも言えないなとの思いもあります。でも、プロなんだから、それでは困るというのも事実ですね。
業界としてはハイレゾ配信に期待していところでしょうけど、こちらも厳しいものがありそうですね。
私が所有するハイレゾ音源は両手の指の数にも満たないものですが、それもビル・エバンスやエラ・アンド・ルイだったりします(笑)。私見ですが、ジャンルを問わず20世紀の音楽のピークは世紀の半ば頃までで、ビートルズが出てきたあたりから質は低下していると感じています。映画も本当に質の高いものは「ローマの休日」あたりまでではないかと思っています。
この頃の指揮者や映画監督は文字通り専制君主のような存在だったわけですが、その後は経済原則やマネジメントがより優先されるようになり、作品もつまらなくなっていったように感じます。
わずかな音質差に血眼になってオーディオいじりを繰り返しても、聴いているのは音質の劣る音源が中心ですが、その収穫としてトスカニーニのような、自分にとっては永らく「伝説の指揮者」でしかなかったものが、最近ちゃんと聴けるような音質で再生できるようになりました。ジャズでいうと、全盛期のバド・パウエルなども本当に生き生きと再生されるようになりました。
それにしても、ハード・ソフトを問わず業界のこととなると何だか切ない話になってきますね(笑)
それにしても30万円のDACとは・・・2年ほど海外旅行を我慢しないと無理ですね(笑)
プアオーディオに浸っていた私も、こちらのサイトに刺激されて最近ようやくWolfson社製DACを搭載したオンキョー製品を導入しPCとデジタル接続して聴くようになりました。音の粒立ちや定位感がまるで違っているのには正直驚きました。ユング様のサイトのお陰で充実したPC内の16bit/44.1KHzの音楽データ(約90GB/11000曲)を当分シャブリ尽くしたいと思っています。この場を借りて御礼申し上げます。
「一見の客に対する対応が非常に悪いです」
「お店に入っていくといかにも「馴染み」と思われるお客と店員が車座になって話をしていて、そんなところへノコノコ入っていくとジロッと一瞥を投げかけられてこの上もなく居心地の悪い思いにさせられるお店もあります」
「不思議なのは、暇そうなのに、入ってくる客には実に無愛想です。普通に考えれば、これで潰れないのが不思議なのですが、これまた不思議なことに何十年も立派に店舗を構えています。今回久しぶりにそう言うお店に足を運んで分かったのは、そうやってふらりとお店に入ってくるような客は、基本的に「買ってくれない」のです。店員はそう言う事実を知り尽くしているので、無駄な営業努力はしないのです」
思い当たることばかりです。老舗と呼ばれた(そして全滅した)大阪の「レコード屋」も同じような雰囲気でした。「大阪の商売」の特徴なのでしょうか、九州から出てきたばかりの知人も同じようなことを言っていました。
「大阪の衰退」の根源は実はこんなところにあるのではないか、常々そう思っています。
全く同感です。
東京@秋葉原も同様でして、昔活況を呈したオーディオショップはほとんどが淘汰されています。
数少ない生き残りのショップに足を運んでも、相変わらずの状態で目を覆わんばかりです。
一方、秋月電子などの部品ショップは活況です。
自作アンプやDACを手がけるようになって、これらのショップに通うようになったのですが、本当に繁盛しています。
PCオーディオの時代になって、オーディオが電子回路になってきているために、
部品を求める一定の客層が増えているのではないかと想像します。
(私もその一人です)
また、仕事でオーディオ関係で有名な大企業の方と接する機会がありましたが、
彼の話は時代錯誤も甚だしく、昨今のオーディオ業界の凋落はメーカーの責任も大きいと感じました。
ONKYOやTEAC、オーディオテクニカなどオーディオ全盛期には2番手、3番手だったメーカーがいち早く生き残りの活路をデジタルオーディオに軸足をシフトした結果が今の現状を如実に物語っていると思います。
部品ショップの活況は、メーカーが本来カバーするべき領域の製品が充実していないことの表れで、自作でもある程度のクオリティが(それも低コストで)実現できるようになったからではないかと思えて仕方がないのです。
最近、トランス式USB-DACを製作するために、ラジーデパートの某トランス専門店に出かけたのですが、目的の商品(群)は、ほぼ完売状態でした。
また、最近はHARD OFFなどで掘り出し物を探すケースも増えているようですね。
私も近所のHARD OFFに良く出かけて物色しています。
ヘタに付加価値を評価した値付けをして売る店よりもよほどお買い得の製品が見つかりますし、とにかく安い!
いろんな意味で様変わりしている今日この頃です。