少し前にコメント欄でもふれたのですが、面白い静音PCを見つけたので、早速に注文してみました。
中国製のオーディオ機器を扱っている「p41audio」という会社の 「ピュアオーディオPC Purity ECO MCシリーズ」(以下、「Purity ECO」)です。
何が面白いのかというと、「VortexBox」をインストールして使うのにはピッタリだと思ったからです。
「BTO製品のため、ご注文・ご決済確定から約1週間~10日程度の納期が掛かります。」と書いていたのですが、思いのほか早く手元に届きました。
これが、その現物です。価格は39、990円です。
想像していたよりは少し大きくて、エソテリックのDACと比べるとこんな感じです。
もちろん、「VortexBox」には、既にプリインストールされたPCも販売されています。
Priceは$429ですから、昨今の円高を考えれば価格的にはこの方が有利かもしれません。ただし、全てお仕着せというのは「趣味」としてはあまり面白くないという面もありますし、それ以上に、「Purity ECOには」機能的に興味がひかれる部分が多くて、「VortexBox」をインストールして使うPCとしてはいろいろな可能性が感じられたからです。
まずは、その興味をひかれたスペックをざっと紹介してみると、こうなります。
- CPU インテルR Dual-Core Atom プロセッサ D2700 (2.13 GHz)
- メモリー 標準 4GB DDR3
- HDD/SSD 60GB SSD または 500GB HDD (変更可・増設不可)
- 光学ドライブ スリムラインBlu-rayコンボドライブ,スロットインローディング式
- 書き込み DVD±R(x8、CLV), DVD±R DL(x4,ZCLV),
- DVD-RAM(x5,ZCLV)(※2)CD-R(x16) CD-RW(x10)
- 読み出し BD-ROM(x2), CD-ROM(x24), DVD-ROM(x8)
- 有線LAN 10BASE-T,100BASE-TX,1000BASE-T LAN
- 前面 I/O USB 2.0 2
- 背面 I/O USB 2.0 4
- USB 3.0 2
- 映像出力 複数グラフィック出力対応 : DVI-D, D-Sub, HDMI
「VortexBox」は使い古しのPCを再利用できるという話で紹介されているのですが、実際に使ってみると、ある程度のスペックがあった方が快適に操作できます。ましてや、リッピングサーバーとしても使いたいとなると、古い低スペックのPCでは上手く動作しないことも報告されています。
ただし、ファンをガンガン回さないと故障してしまうようなCPUでは困りますので、いわゆる静音PCとしての最低限の資質は持ちながら、それでも実用上ストレスを感じないほどには快適に動作するという条件を満たすPCとして、「Dual-Core Atom」とメモリ4GBというのは、なかなか絶妙な組み合わせではないでしょうか。
さらに、「Blu-ray」に対応した光学ドライブに、USB 3.0の端子が二つ、さらにはHDMI端子もついているというのは、映像関係も含めたいろいろなチャレンジが楽しめそうです。
そして、最後につけ加えれば、パッと見た感じが一昔前のシステムコンポのプレーヤーみたいな感じで、オーディオ機器と並べても違和感がないというのも評価ポイントです。
ケースにはかなり肉厚のアルミが使われていますし、結構しっかりとしたインシュレーターも使われていて設置した感じは悪くはありません。ただし、中国製と言うことなので、細かく見れば仕上げの安っぽさは否めませんが、4万円を切る価格を考えれば立派なものです。
しかしながら、一番の問題は、それでもCPUはAtomなので、果たして「VortexBox」の2.1がすんなりとインストールできるか否かです。
もちろん、2.1がすんなりインストールできなくても、1.10をインストールしてからアップグレードするという手は使えますが、煩わしいことこの上なしです。できれば、最新ヴァージョンがすんなりインストールできるにこしたことはありません。
ネット上の情報では、Atom機でもすんなりと最新ヴァージョンがインストールできたという報告もあるので、Atom機だから駄目と言うことはないようなのですが、それではどういう環境なら最新ヴァージョンに対応しているのかがいまいちよく分かりません。現状は、個々の具体例を積み上げていくしかないようです。
と言うことで、この「Purity ECO」に「VortexBox2.1」をインストールしてみたのですが、実にあっさりと、何の問題もなくインストールが完了しました。
さらに言えば、「Change Log」に「MPD now has DSD playback support」と書かれているように、何もしなくても、最初からDSDに対応していました。これで、DSDネイティブに対応しているUSB-DACを持っていれば、インストールしてつなぐだけでDSDのネイティブ再生が可能になります。
おそらく、現時点では、最も簡単にDSDのネイティブ再生を可能にするシステムだと思います。もちろん、ネイティブ再生に対応したUSB-DACを持っていない人は(それが大部分かと思いますが)、前回紹介したように
#vi /opt/vortexbox/mpd_config.php
として、
$configcontent.=’ dsd_usb “yes”‘.”\n”;
↓
$configcontent.=’ dsd_usb “no“‘.”\n”;
と編集して再起動すれば「DSD→PCM」変換が行われるので、取りあえずはDSD再生が可能になります。
今後は、これを使って、映像があった方が楽しめるオペラやバレエの再生に取り組んでみたいと思います。
yung さん、ミミガーさん、こんにちは
電源がスイッチングレギュレータである場合に、ノイズまみれで音質的に問題があり得るのは、ミミガーさんがいう通りだと思います。 その場合、ちょっと聞きにはいいけれど、なんだか疲れるとか、安定しない(他の機器のノイズとの関係?)視聴結果になると思います。
このような場合には、アナログ電源を作成するか、絶縁トランス等でノイズを遮断してしまうといった対策を取ればよいと思います。
おもしろいマシンをおしえてくださった yung さんに、感謝です。同様のマシンもいろいろ出ているようなので、検討してみたいと思います。
>アナログ電源を作成するか、絶縁トランス等でノイズを遮断してしまうといった対策を取ればよいと思います。
オーでょマニアであれば、まさか、この手のPCをスイッチング電源のままで使う人はいないと思うのですが(^^;
「PCオーディオの都市伝説(1)~「PCの電源で音が変わる」
問題は、市販のアナログ電源で「12V 5A」のものって、なかなか手頃なものがないことですね。
ただ、スイッチング電源であっても、結構ノイズも込みの「ナローレンジの美」が味わえますよ。
ハードは、熱制御、制振が効くと思います。
ソフトは、軽量化が効くと思います。
でも、PCオーディオシステム全体の支配力は、ハードやソフトより電源やEMCにあり、というのはどうも事実のようです。
ミミガーさんのコメントは、相当きつい表現ですが、事実だと思います。でもPC用電源の試行経験のない人にそれを話しかけても、なぐりこみ諷になってしまうので、話しが良い方向には発展しないと思います。
PC用電源の試行経験とは、良質アイソレーショントランス、良質整流回路、良質コンデンサー、良質レギュレーター、良質コンディショナーなどなどの経験です。
ベースとして、「自分がやってみて効果があったと思えるので、他の方にも同じメリットを享受して欲しい」という姿勢が欠けたコメントは、単なる自己満足、知識自慢、若しくは荒らしでしょう。
yungさんは恐らくこの思いで様々な記事を書かれているんでしょうし、この思いがあれば自ずと文面にその気持ちが現れてくると思います。
世の中のPCは全てスイッチングレギュレーター(ACアダプターでなくてもPC内臓の電源はみなスイッチングレギュレーターです)使っているんだから、なんか揚げ足取りのような気がするな。(AC電源に変えも良くならないとはいいませんよ。ならトランス式に替えればもっと良くなるのではとか建設的な意見の述べ方があるように思います)
それに電源をトランス式に変えたところで、PCの中にはDC-DCコンバーターが多用されているわけで。そのあたりのノイズはどう考えるのかコメントいただけませんか?そうでなければ、PCでオーディオをやるのは無駄という結論しか出ないと思います。(もちろんACアダプターをトランスにすれば程度の問題で改善が見られるというのは有りかと思いますが)
こういう製品でPCの方はなんとかなりますが、問題はDACの方ですね。
このあたり日本より海外の製品の方が進んでいるのが気になります。というか、日本のオーディオメーカーの凋落を見ているようで残念です。このままでは、高級品はヨーロッパ、低~中価格品は中韓に席巻されてしまうのではないでしょうか?
wavからDSDへのリアルタイムの変換機構を持った製品など、できることはたくさんあると思うのですが。個人的にはAVアンプにパワーアップレスになったような製品を安価(5万円以下)に欲しいのですが、なかなかないんですよね。
yung様
初めまして。
その後、この静音PCはどのようにご進展でしょうか。私としても、外部電源PCに興味がありまして、ACアダプターを代えたり、ノイズフィルター等をかました時の改善状況等をお聞かせ願えれば大変うれしく思います。究極的にはバッテリー駆動もありますし。
私の方は、昨年からPCオーディオを始めたばかりで、右も左もわからない状況ですが、今回アンプを「TP21」から同じチャイナアンプでLM3886搭載の「GUANZO」に代えて、音質の大幅な改善に驚いています。
さすが、3倍の値段だけの価値はあると。(笑
基本的にはこの静音PCは、できる限り普段使いで使える候補としてあげてみたものです。もちろん本気で使おうと思えばそれなりにも使えるクオリティは持っていそうですが、そうなると悩ましいのが電源ですね。
いろいろ調べてみたのですが、自作しない限りはなかなかピッタリのものがないようですね。
やはり、現時点で本気で取り組むなら「Voyage MPD Starter Kit」+アナログ電源(例えばエルサウンドのものが使えます)という組み合わせかと思います。
現時点で、あの静音PCは、長く聞かずに放置してあるCDのリッピングサーバーとして大活躍しています。
まあ、それでも39900円の価値は十分あったかと思っています。
それともう少し暇と意欲が出てきたら映像の方もチャレンジしてみたいとは思っているのですが、いつのことになるのかめどは立っていません。
静音PCのコメントありがとうございます。
私はPCに関しては自作派ですので、外部電源のケースにMini-ITXを
組み込んだものを作ってみようかと思っています。
エルサウンドの電源だとPC本体より高そうですね(笑
まずは、外部電源はコンデンサーを追加したもので始めようかと
思ってます。
コンデンサーもデカければ、突入防止回路は必要だし、トロイダル
トランスにもしたくなるだろうし、整流器はショットキーダイオード
等々キリが無そうですが。。。
Yung様
Hiroと申します。初めてメールをさせてもらいます。
PCオーディオに興味はありますが、まだ手が出せていません。色々なサイトでかなりのレベルまで来ていることは分かって、何とかトライをしたいと思っています。そこで全くシロートの質問で申し訳ありませんがお教え頂ければ幸いです。
1.VortexBoxがプリインストールされたPCとDSDネイティブに対応しているUSB-DACを持っていればDSDネイティブの再生が可能と書かれていますが、VortexBox Automatic CD Ripping NASなる製品とラステームのUSB-DAC「UDAC32RD」なる製品を買えば、DSDネイティブ再生が出来るということになりそうですが、どうもまだしっくりときません。
2.CDをRippingしてもDSDで取り込める訳ではないと思います。CDからRippingしたものはUSB-DACに繋いでもDSDネイティブではない音を再生するだけ(それでもCDからの直接再生よりは良い音のようですが)のように思いますが間違っていますか。
3.ネットワークからDSD音源をPCにダウンロードすればDSD音源は確保出来ると思いますが、このVortexBox Automatic CD Ripping NASなる製品は直接インターネットからダウンロード可能でしょうか。それともPCからVortexBox Automatic CD Ripping NASにUSB接続をしてDACを通せばDSDネイティブの再生が出来るのでしょうか。
4.また、SACDからこのVortexBox Automatic CD Ripping NASにRippingしてもいわゆるCD層の音を取り込んだだけでDSDの音源にはならないと思いますが。どのようにすればVortexBox Automatic CD Ripping NASにDSDの音源を取り込むことが出来るのかお教え下さい。
全くのシロートで何を聞かんとしているかが不明確で申し訳ありません。
HIROさん
私はVortexBoxが聴けるようになって半年の、本当の素人です。
でもHIROさんは本当は従来型オーディオのプロで、PCオーディオを始めるには現在巷で最高のレベルといわれるDSDからでないと意味がないというのでしょうか。
でも、やはりまずPC+DAC+オーディオを試して、段階的にこの世界の状況(ハードとソフト)を知った方が面白いと思います。
HIROさんの質問に答えるには、yungさんのサイトを初めから読めば良いのではとも思います。
Old boy様
コメントありがとうございました。確かにPCオーディオをやるなら最高の音をという気があるのは確かです。しかし、何でもそうでしょうが基礎から始めないと道は究めることが出来ないですね。参考になりました。色々と勉強してみます。
とても不親切な回答になってしまうので申し訳ないのですが、「VortexBox Automatic CD Ripping NASなる製品」云々に関するご質問に関しては使ったこともなければ見たこともないのでお答えのしようがありません。
この手の質問は、「VortexBox Automatic CD Ripping NASなる製品」を制作して販売しているメーカーサイドに問い合わせるのがベストです。
真面目なメーカーであればユーザーサイドからの真っ当な問い合わせに対してはキチンと回答を寄せてくれるものです。
もしも、真面目に回答をよこさないようであれば、そう言うメーカーの商品は購入しないことです。
これは鉄則だと思います。
ただし、「VortexBoxが(プリ)インストールされたPCとDSDネイティブに対応しているUSB-DACを持っていればDSDネイティブの再生が可能」な事は事実です。
「どうもまだしっくりと」こないいようですが、事実は事実です。
ただ、失礼な言い方になるかもしれませんが、その以降の文面を拝見すると、CD規格の音源とDSD音源との違いをまだ十分に理解されていないように見受けられます。この二つは全く異なる理屈で成り立っているデジタル音源ですから、まずはそのあたりの「そもそも論」をざっとでもいいので目を通されれば幸せになれるのではないでしょうか。
とりあえずは、
http://ja.wikipedia.org/wiki/Direct_Stream_Digital
あたりでも目を通されては如何でしょうか。
>2.CDをRippingしてもDSDで取り込める訳ではないと思います。
その通りです。
CDのサンプリング周波数は16bit、44.1KHz、それに対してDSDは1bit、2.8224MHz(最近は5.6448MHzという音源も出回っています)ですから、CDを取り込んでDSD音源になればビックリです。
ただし、たとえばソニーのVAIOなどにはソフト的にCD音源をDSD音源に変換する機能がついていたりします。また、一部のDACにはPCM音源をDSD音源に変換する機能がついているものもあります。
もっとも、そんなことをやって音質的なメリットがあるのかは疑問です。
私が使っているエソテリックのDACにもDSD音源に変換する機能がついていますが、最初のお試し以外には使ったことがありません。
やはり、もとからDSD音源として録音されたものでないと、その本領は発揮しないと思うのですが、その手の音源で音楽的に「聞いてみたい」と思えるものが「皆無」に近いのが悩みの種です。
>どのようにすればVortexBox Automatic CD Ripping NASにDSDの音源を取り込むことが出来るのかお教え下さい。
絶対に不可能です。
もしもSACDからリッピングしてDSD音源を入手したいのならば、たとえば初期型のPS3などを手に入れる必要があります。
詳細は
http://asoyaji.blogspot.jp/2011/07/sacd.html
あたりでもご覧ください。
あまりお役に立てず申し訳ないです。
Yung様
早速のとても丁寧なご説明をありがとうございました。参考にさせてもらいます。PCオーディオがこれからの主流になることは良く分かりますが、数多くのソフトが出回っていて、どれが良いのか、そのインストール方法も難しそうでなかなかとっつきにくい感じを持っています。ご説明の参考資料を良く勉強して先ずは、簡単なところから手を付けてみようと思います。また分からないことがありましたらよろしくお願いします。