年末年始と言っても、老犬一匹&婆さん二人に囲まれた「介護生活」では、「どこかに遊びに行く」というオプションは存在しません。ただし、基本的にインドアの人なのであまり苦になることもなく、暇を見つけてはリスニングルームにこもってゴソゴソやっております。
前回、「Unibrain」のFireWireケーブルの優秀さについて報告したのですが、セッティングの関係で20?のケーブルに関しては十分検討できませんでした。しかし、手元に20?のケーブルがあるにも関わらず50?のケーブルを使っているというのは理論的にも精神衛生的によろしくありません。
そこで、どこにも行けない「年末年始休暇」をリスニングルームの「大掃除」兼「セッティングの見直し」にあてることにしました。
PCとインターフェイスを見苦しくないように20?のケーブルでつなぐためには、小手先の手直しではダメなことはすでに分かっていましたので、十分に熟慮した上での全面的な見直しとなりました。そのついでに、夏休みに組み立てた「Y-08」(スピーカー)をもう少ししっかりと鳴らしてあげるために寝室のサブシステムも全面的に見直しましたので、それはそれは二日がかりの大仕事になりました。(こちらも、後日報告したいと思います。実にご機嫌に鳴り始めました。)
重たいアンプをあっちこち動かしたのですっかり腰が痛くなってしまいましたが(^^;、結果はまさに上々、はじめに頭で描いていたように実に無理なく20?のケーブルでPCとインターフェイスをつなぐことができました。一部では、「たとえインターフェイスを立ててでも20?のケーブルでつなぐべし!」と言う意見もあるのですが、PCもインターフェイスもしっかりとしたラックの上にセッティングできました。おかげで、セッティングの見苦しさによる精神的マイナスもなくなったので、落ち着いて聞き比べができました。
さて、音の方ですが、やはり20?のケーブルの方に軍配が上がりました。そして、その違いは、「少々の無理はしても20?のケーブルで結線できるようにセッティングを見直す価値は十分にある」と言い切れるレベルの違いです。
その違いをひと言で言えば、エネルギー感に関しては水道の蛇口が太くなったような雰囲気なのに、透明感や音場の広がりなども向上している、となります。
これは、ちょっと考えさせられる結果です。
というのは、何故にケーブルを短くすれば音質が向上するかと言えば、闇異人さんがコメント欄で書かれているように「PCとAudio I/Fの間はエラーが生じてもデータの再送を要求しない転送方式」だからです。
ちょっとこれだけでは、分かりにくいので、私なりに理解したことを補足しておきます。
PCで扱うデータは、たとえ1バイトでも欠落があればエラーが出ます。ですから、ファイルをコピーするとき等は元データとコピーデータを比較して、もしもエラーがあると両者が完全に一致するまで再送を要求します。PCの世界なら当たり前のことです。
しかしPCとインターフェイスの間ではその様な当たり前のエラーチェックも再送の要求もされない仕様なのです。そして、ケーブルの素性によってこれだけも音質が変化するというのは、どうやらPCとインターフェイスの間ではかなりのデータが欠落している・・・と判断せざるを得ないようなのです。
どの程度欠落しているのか正確なデータはありませんが、この音質の変化から判断すると、その欠落の程度は無視できる範囲におさまらないことを示唆しています。
ああ、デジタルは何度コピーしても音質は劣化しないといったのはどこのどいつだ!!劣化しないどころか、データを転送するたびに間違いなくデータが欠落しているじゃないか!!
と、言うことは、デジタルデータを転送する部分がPCオーディオの重要なボトルネックになっているというまとめができるかもしれません。
このボトルネックを数え上げていくと、
(1)CDからデジタルデータを読み出すとき。
(2)音楽ファイルをハードディスクから読み出してメモリに展開するとき。
(3)PCからインターフェイスにデジタルデータを送り出すとき。
(4)インターフェイスからDAコンバーターにデジタルデータを送り出すとき。
の4カ所でしょうか。
ただし、これを見て「だから普通のCDプレーヤーを使った方がいい」と思えば大間違いです。
一つのケースにおさめられたCDプレーヤーでも、そのケースの中に同じ数だけのボトルネックが存在します。さらにそれらがブラックボックスのように箱の中におさめられているので素人には手が出ないという意味では逆に困った存在なのです。
PCオーディオの場合は、それぞれがバラバラに存在しますから、素人でも工夫次第では改善が可能であり、そこにPCオーディオの趣味性があるとも言えます。
長くなってきたので、今日はここまで、次回からは上記のボトルネックについて一つずつ検討していきたいと思います。
次のような「長距離ネットワーク伝送」をやってみてください。
1.
無圧縮の音楽ファイルを生データのままWEBサーバ等のオンラインストレージへアップロードする。
2.
アップロードした音楽ファイルをダウンロードする。
元ファイルをA、ダウンロードしたファイルをBとします。
この2つが同じハードディスク上にあるようにしてください。
AとBはネットワーク経由のコピーですからエラー訂正がされます。バイナリは完全に一致します。データの欠落はありません。
しかし、あきらかに音が違います。
「同一ハードディスク上のバイナリが完全に一致した2つの音楽ファイル」の音が違うのは、データ欠落では説明できません。
理由は私にも分かりません。
でも、PCオーディオの一番重要な問題がそこにあるような気がしています。