Linuxで音楽再生

先日、管理人ブログの方で、読後報告?PCオ-ディオfan2なるものを報告したのですが、その中でこんな事を書きました。

「Mac、Windows、Linuxという3つのOSによる音質の違いを取り上げたページや、MSの技術者を招いてのWindows7の音声システムに関わるインタビューなどは興味深いものでしたが、内容的にはどちらも消化不十分な思いが残りました。」

しかし、消化不十分ではあったのですが、特に前者の記事はかなりビビッ!!ときました。

「おおっ、Linuxでも周辺のソフトやドライバーのサポートが進んでいるんだ」と思いましたね。
一般の人にはLinuxはかなり敷居が高いのでしょうが、私にとってサイト運営のために毎日さわっているOSですからそれほど違和感はありません。
それに、Windowsと比べると、圧倒的に軽いというのが素敵ですね。とにかく、PCへの負荷を出来るかぎり低くすることが「いい音」を手に入れるための必須条件なのですが、やはりWindowsでは限界があります。それに、その「限界」を極めるにはかなりの気合いと根性が求められます。
それに対して、おそらくインストールの時に熟考して、不要なソフトを入れないようにすれば、おそらく「素の状態」でも「限界極めたWindows」より軽いのではないかと思われます。このあたりは、OSの基本的な仕組みが違いますので、「軽さ」という点ではWindowsは絶対にLinuxに勝てないと思います。

そこへめぐってきたのがゴールデンウィークです。
婆さん二人かかえた「介護生活」では基本は「インドア生活」ですから、これは絶好のチャンスです。

そこで、あれこれ調べてみました。
まず、専用PCの方は「fireface400」を認識させないと行けないのですが、これはかなり難しそうです。Linuxでfirewireドライバーを認識させるには「Jack」というシステムを導入させる必要があるようなのですが、これがかなりの難物らしいのです。
よって、取りあえず、Linuxで音楽再生したときの雰囲気をつかむために、仕事用のPCにつないでいるオンキョーの「SE-U55GX」という年代物のインターフェイスで確かめてみるととにしました。
こちらは、USB接続なので、Linuxから認識させるのは何とかなりそうです。

さて、ここで問題はLinuxというのはいろいろなディストリビューションがあると言うことです。一昔前は「RedHat」とか「Turbo」なんかが有名だったのですが、最近は「Ubuntu」ですね。
でも、今回はあえて「Ubuntu」は選ばずに、純国産の「Vine」を選びました。
これは、軽さがウリのはずだったのにどんどん肥大化していく「Ubuntu」系列よりは、1CDに収まることを大事にしているシンプルな「Vine」の方が音楽再生には向いているのではないかと考えたからです。

最新バージョンの「Vine Linux 5.1」をダウンロードしてきて、CDに焼きます。
次に、仕事用のPCにインストールするので、当然のことながらWindowsとデュアルブートできるようにしないといけません。そのために、「EASEUS Partition Master」みたいなソフトを落としてきて、HDの中にLinuxをインストールするための隙間を40Gbほど作りました。インストールしてから確認すると、USB接続の外付けのHDも問題なく認識していて、そこに保存してある音楽ファイルを読み込んで再生できる事が分かったので、こんなにも「隙間」を作る必要はなかったなと思ったのですが、今さらもう一度切り分けてインストールしなおすのも億劫なので、まあこれで良しと言うことにしました。

まあ、このあたりのインストールに関する詳しい報告が欲しいという声がありましたら、回をあらためて書いてみたいと思います。
しかし、こう書くといとも容易かったように思われるかもしれませんが、HDの切り分けにミスってWindowsが起動しなくなったり、デュアルブートが上手くいかずにこれまたWindowsが起動しなくなったりして、かなり手こずりました。
しかし、5月1日の夕方から格闘を始めて翌日の昼前には音を出すことに成功しました。

まず驚いたのは、何と素の状態で「SE-U55GX」が認識されていたことです。
インストールが完了して起動させ、「さて、オーディオ関係の設定はどうなっているのかな?」と設定画面を探して回り、「おお、ここだ、ここだ!」という感じで開いてみると、なんと「出力」「入力」ともに「SE-U55GX」が表示されてチェックまで入っているではないですか!

「それじゃ、再生ソフトは?」と思って探してみると、「Rhythmbox」と言うソフトが標準でインストールされています。
起動させてみると、これが外観も使い勝手も「iTunes」によく似ているので、ほとんど直感的に使えます。

rhythmbox

さて、肝腎の「音」の方ですが・・・、「うーん、これはまいったなぁ・・・!!」です。
仕事用のPCにつないでいるのは、今は使われることもなくなった古ーい機材ばかりです。
オンキョーの「SE-U55GX」からPARASOUNDの「D/AC-800」という古いDAコンバーターを経由してヤマハのAVアンプ「AVX-2200DSP」、そして四半世紀も前にサブ用に買いこんだ「polk audio」のとんでもなく古いスピーカーから音を出しています。
1軍は、専用PCにつながれてリスニングルームに鎮座、二軍は寝室のテレビとCDプレーヤーと、DVD/HDレコーダーにつながれていますから、彼らはまさに3軍です。

ところが、この3軍から、未だ聞いたこともないような素晴らしい音が流れてきたのです。
特に、「polk audio」のとんでもなく古いスピーカーは何度も粗大ゴミとして出そうかと思った代物なのですが、彼(もしくは彼女)がこんなにも機嫌良く歌ったのははじめて聞いたように思いました。

まず、最初に感じたのは、音楽が鳴り響いている背景の静けさです。それとビシッと決まる定位の良さも印象的です。イーレン・ペイジのボーカルなどは、まさに眼前にお姿が浮かび上がるようです。(もちろん、ミニチュアではありますが)
そして、エコーがかかっているような録音はそれははっきりと分かります。
確実に情報量が増えていることが感じ取れます。

確かに、Windowsの方は仕事用で使っているPCなので、専用PCほどファナティックにはチューニングはしていません。セキュリティ関連のソフトもオフには出来ませんし、explorer.exeも走っていますからハンディはあります。しかし、この機器の構成を考えると、おそらくこの3軍を専用PCにつないでもこれだけの音はしないと思います。
と言うことは、

「ファナティックにまでチューニングしたWindows」でさえ、「素の状態のLinux」よりも「重い」ように見えるのです。

これは、いささか驚かされる結果でした。
もちろん、これはただ単に重い・軽いだけではなくて、それぞれのOSにおける音声システムも絡む問題なので、あまり単純化してはいけないと思いますが、それでも音楽再生におけるLinuxの可能性は充分に感じ取れました。

それと、もう一つ、そう言う「良し悪し」だけでなく、明らかに音のテイストWindowsとは異なるようにも感じました。こういう喩えが正しいのかどうかはいささか躊躇するのですが、倍音域での響きが豊かになるような風情があって、何となくアンプを真空管に変えたような雰囲気も感じました。
当然、オーディオ好きにとっては悪くない方向性です。

そこで、これは専用PCの方もLinux導入だとばかり、今日の昼過ぎから格闘しているところです。
ただし、現時点ではfirewire接続のfireface400を認識させるのはかなり敷居が高くて、未だ音が出るところまで入っていません。
しかし、可能性としては、挑戦に値する課題だと言えます。さらに言えば、時間のコストは膨大にかかってもお金のコストは全く不要ですので、貧乏PCオーディオ派にとってはチャレンジのし甲斐があります。

ほとんどの人にとってはあまり興味をひく話ではないかと思いますが、その試行錯誤の過程は時々に報告していきたいと思います。


7 comments for “Linuxで音楽再生

  1. 高木
    2010年5月4日 at 12:10 PM

    はじめまして

    「Vine Linux 5.1」の記事、興味深く読ませていただきました。
    「インストールに関する詳しい報告」をぜひお願いします。

    当方、fireface UC なので、もしかするとつながるのでは、と期待しているのです。

    高木

  2. seiji
    2010年5月5日 at 5:14 PM

    純国産の「Vine」を選びました。
    シンプルな方が音楽再生には向いている。、・・・システムエンジニアの名言ですね。

     あなた様の「果敢な比較検証」に驚喜しています。
     お時間が許すようでしたら、ご苦労されたの世界とその後のご感動を
    ご披露してくださいませんか。

     あなたの挑戦に元気をもらっている老爺がいます。

     私も、あなたの感動を体験したいと前々から考えていました。

     なぜなら、・・・・Windows・Macos、・・・etcは肥大化するのみ、・・・・
           過積載トラックと一緒です。
           ネット社会防衛の複雑な機能がゴミにみえます。
     、・・・・・・・つまらないことを申し上げました。 
     

  3. 2010年5月7日 at 8:45 AM

    初めまして、横浜のとど と申します。

    音とVINE Linxに興味があり、mixiからたどり着きました。

    記事に感動しました。やはりこのような取り込みをやって折られる方が世の中にはいらっしゃるのだと。

    半世紀前のレコード群を処分するのに、そのポテンシャルを再現可能にしておくデジタル化に、構想約15年。

    体調をくずして、仕事を長期に休み、いろいろと時間が出来て、やりたいことに力が入るようになってきて、とりあえず、たどり着いたひとつの山が、24bit、192khzでしたが、mixiに入り、渡りあるっていると、今まで見えていなかった世界が見えてきました。

    有難うございます。

    まずは御挨拶まで。

    とど

  4. 2010年5月8日 at 3:00 PM

    CD-R書き込みでは、Vine1.1のテキストモードを使い80486DX33というひどく古いPCで書き込みをしていますが、音楽再生では、P3-500MHz程度のPCでGeeXboXとPuppyという軽いLinuxを試した程度です。Linuxはあまり慣れないので、凝ったことがなかなかできず、PCでの再生はほどほどにしています(笑)。

    >倍音域での響きが豊かになるような風情があって
    情報量が倍増しているような感覚ですね。それ以外に、低域も高域もレンジが拡がっていると思います。さらに改善が進めば、音のスピードも早くなってより自然な感じになるかと思います。

    GUIでなく、テキストモードはさらに軽いので、上手に設定できてコマンドが嫌いでなければ(使い勝手の問題はありますが)、さらに良くなると思います。

    Linuxで嬉しいのは、カーネルミキサーバイパスにあまり気を使わなくてよさそうなところです。GeeXboxでもPuppyでも、S/PDIF出力のバイナリは標準のままで元と一致しました。他のLinuxは知らないですが・・。

  5. Gonzaemon
    2010年5月23日 at 9:26 AM

    こんにちは。当方もPCオーディオに勤しんでいます。

    Linuxでの音楽再生では Ubuntu Studioをお試しいただいてはいかがでしょうか。こちらはリアルタイムカーネルで動かすこともできますし、音楽系のソフトも充実していますので、なかなか面白いと思います。最新のUbuntu10.04ベースですし、当方はアナログレコードを24bit96KHzにてFLACファイル化するのに重宝しています。
    (なお、当方のLinux環境ではRhythmboxで24bit96KHzのFLACファイルが再生できず、模索が続いています。何か有用な情報ございましたら、よろしくお願いいたします)

    こちらのホームページではcPLAYに関する情報を参考とさせていただきました。大変有難うございました。Windowsは音楽再生にはやはり不向きな点は否めませんが、この様にチューニングするとかなりイケるので、多少の操作性は犠牲にしながらも、この環境で聴くことが多くなりました。

    最近はPCオーディオに関わる雑誌記事も多くなり、好ましい限りなのですが、まだまだ月並みな情報が多く、ハードウエア製品の紹介に留まっていることが多く感じます。いろいろと楽しみながら(?)実験を繰り返し、日々音質向上に苦労されている皆さんから貴重な情報が大変有用ですし、PCオーディオではハード以上にソフトウエア環境の整備が重要と考えておりますので、引き続き情報発信よろしくお願いいたします。

  6. ユング君
    2010年5月23日 at 7:05 PM

    >Linuxでの音楽再生では Ubuntu Studioをお試しいただいてはいかがでしょうか。こちらはリアルタイムカーネルで動かすこともできますし、音楽系のソフトも充実していますので、なかなか面白いと思います。

    そうですね、音楽再生するなら「Ubuntu Studio」は要チェックでしょうね。
    私の再生用PCはpcオーディオ派御用達の「Premium2」しか積んでいないので、DVDからしかインストールできない「Ubuntu Studio」は諦めていました。しかし、その後ネットで調べていると、通常の「Ubuntu」からネットでアップグレードできるというので、一週間ほど前に「Ubuntu」→「Ubuntu Studio」にしてみました。

    ただ、通常のカーネルとリアルタイムカーネルの違いがどの程度音質に影響を与えるのかはハッキリしませんでした。
    それともう一つ、「Ubuntu」系列は、どうしても外付けの「Premium2」を認識してくれません。雑誌にもそのようなことが書かれていたのですが、「Vine5」で問題なく認識できるものが「Ubuntu」で認識しないはずはないだろう!と思ってあれこれ試してみたのですが、結果は「惨敗」でした。
    内蔵している「Premium2」は問題なく認識するし、その他のUSB接続の機器は認識するのですから、実に不思議な話です。
    しかし、外付けの「Premium2」が認識しないというのは、私にとっては致命的です。

    それから、ついでながら、Linuxでfireface400を認識させるのは、現行では無理なことが分かりました。
    壁が高いなぁ!とは思ったのですが、Linuxで使えるfirewireのドライバではfireface400を認識できないことが分かりました。

    まあ、このあたりのあれこれのトライをポチポチと報告していきたいと思います。

  7. 中村 健一
    2010年7月11日 at 5:20 PM

    いつも有意義な情報ありがとうございます。楽しく読ませていただいています。私は66歳で、音楽大好きな年金生活者です。装置にはあまりこらないで音楽会には足しげく通っています。私の装置はつつましくEdirolの「UA?1ex」とスタックスのヘッドホンアンプの組み合わせです。またパソコンはceleronの1.8Ghzのノートパソコンですが、再生専用機にしています。
    さて、Linuxの記事がありましたので、いきなりUbuntu studioを試してみました。他のdistributionは試していませんが、結果はすばらしいです。いつまででも聞いていたいようなしごく上品な雰囲気の音でWindow上で聞くよりは自然で音楽的な感じがします。juubee さんが書いておられるように「情報量が倍増しているような感覚です」「それ以外に、低域も高域もレンジが拡がっていると思います。」
    再生ソフトは「audacious」を使っていますが「flac」も再生できます。大変満足しています。

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