「Linux」の素生の良さ

LinuxとWindowsを聞き比べてみました。まだ、『じっくり』とまではいきませんが、結論からいうと「Linux」にはかなりの可能性を感じています。
しかし、現状では「Firewire」を認識してくれませんので、残念ながら「fireface400」を使って比較することはできません。仕事用のPCにつないでいるオンキヨーのインターフェイスは認識してくれたので、仕方がないので、前から一度試そうと思っていた、「ONKYO iPod Dock搭載デジタルメディアトランスポート ND-S1」を買い込んできてつないでみました。

nds1

予想通り、なんの問題もなく認識してくれました。(USB端子に接続するだけ・・・)

構成は以下の通りです。

「PC」-「ND-S1」-「DAC(BENCHMARK DAC1)」-「アンプ(プリはアキュフェーズの「C-200L」、パワーは高域にヤマハの「MX-1」、低域にアキュフェーズの「P-300L」)」-「スピーカー(Sonus faberの「エレクタ・アマトール」)」

これで、PCのOSを「Windows」と「Linux」に切り替えて聞いてみます。「Windows」の方はほぼ極限までチューニングして、音楽しか再生できないような状態になっていますが、それに比べると、「Linux(Vine5)」の方は何も手を加えていない「素の状態」です。
しかし、Windowsの再生ソフトは「ND-S1」がオンキヨーらしく(?)ASIOに対応していないので、いつも使っている「cPlay」が使えません。しかたがないので、代わりに「foobar」を再生ソフトに使っています。それに対して、Linuxの方は、付属で付いている「Rhythmbox」というiTunesそっくりのソフトで再生してみました。「foobar」もWindowsの世界では定番ソフトですから、決してLinuxの「Rhythmbox」に後れを取ることはないでしょう。

つまり、雰囲気的にはかなり「Windows」のほうが優遇されていて有利なように見える聞き比べです。
聞き比べに使ったのは、ボーカルは平原綾香の「ノクターン」、それから私の定番の天満敦子の『祈り」、そして、オーケストラ曲はバルビローリ&ハレ管のチャイコフスキーなんぞを聞いてみました。

当然といえば当然ですが、出力系の能力をあげれば、入力系の差がより歴然と現れます。
Windowsの音は一言でいえば、キンキンした感じのいやな感じの音になりますが、Linuxではしっとりと落ち着いた感じの音になります。音の芯というか、ボディ感というか、音の実体みたいなものがハッキリと感じとれる音です。背景の静かさみたいなものもかなりの差があります。
「Windows」-「ND-S1」の音と、「Windows」-「fireface400」の音を比べると、おそらく10対5ぐらいの差がありますが、「Linux」-「ND-S1」と「Windows」-「fireface400」なら10対7から10対8ぐらいには迫っているような気がします。
実は、「Linux」-「ND-S1」の音を聞いたときは、そのあまりの優秀さに一瞬焦って「Windows」-「fireface400」の音を聞きなおしたほどでした。そして、聞きなおしてみて音の実体感みたいなものはやはり「faireface400」の方が勝っているのを確認してホット胸をなでおろしたほどです。

しかし、ここで手を緩めているわけにはいきません。
まずは「ND-S1」に手を加えてみました。

「ND-S1」は価格からは信じられないほどのクオリティを持っていますが、作りそのものはプラスティックが使われるなどして、オーディオ機器には必須の振動対策などは目をつぶっています。価格を考えれば仕方のないことだと思いますので、足元にインシュレーターを敷き、上からは鉛で押さえ込んでみました。
その効能をより享受したのはこれもまた「Linux」の方でした。こんないい方をするとMSファンの方には叱られそうですが、OSの素生のよさがこういう対策の効能をストレートに反映してくれているような気がします。

こうなると、さらに、あれこれやってみたくなります。
「Windows」の方は徹底的にチューニングしているのですから、「Linux」の方もやれることはやっておこうというので、とりあえず止めても問題なさそうなサービスを停止し、さらには音楽再生関連のプロセスの優先度を「最高」にあげてみました。

その結果は、「Windows」-「fireface400」に対して10対9ぐらいまで迫っているような気がします。
これは、おそらく「Linux」の素生のよさと、「ND-S1」の価格を超越した性能の高さが貢献しているように思えます。そして、こうなると、PCオーディオの入門としては「Linux」+「ND-S1」+『手頃なDAコンバーター」、もしくは「Linux」+「手頃なUSB DAC」というのが有力な選択肢に入ってきそうな気がします。
「fireface400」を一台買うお金で、PCと「ND-S1」+『手頃なDAコンバーター」もしくは、「手頃なUSB DAC」を買ってお釣りがきそうで、クオリティ的には「聞くだけ」の人には「fireface400」と比べてそれほど遜色のない環境が手に入りそうです。

ただ、残念なことに、未だに「Vine5」で「fireface400」を認識させることができません。「Ubuntu」だと簡単に「Jack」が導入できて「fireface400」を認識させることができそうなので、どうしてもダメなときは「Ubuntu」に乗りかえようかと思っています。
ただし、これもまたネックなのは「Vine5」の64ビット版は簡単に導入できて安定しているのですが、「Ubuntu」の64ビット版はあれこれ問題が多そうなのです。できれば、カスタマイズしやすい64ビット版の「Vine5」で「fireface400」を認識させることができれば、間違いなくそれがベストでしょうから、今少し粘ってみようかと思います。

と言うことで、音楽再生用のOSとしての「Linux」の素生のよさは十分に確認できましたので、この間の試行錯誤などを次回からポチポチと報告していきたいと思います。


4 comments for “「Linux」の素生の良さ

  1. misuzukaru
    2010年5月10日 at 8:26 AM

    Linux OSの第2段お待ちしておりました。
    今後購入するオーディオインターフェイスはドライバーがLinux用もあるのか検討が必要になってきましたね。
    早速、各種検討中の製品のドライバーのUPDATE欄を見てしまいました。

    onkyo-music 24-96も聴いているのでWindowsとのデュアルブートの方法も
    公開をお願いできればと思います。少々手こずったとのことですので。

    ND-S1の電源を変えるとfireface 400の時の様な改善が見込める可能性もありますね。もう既にご存知とは思いますが、「PCオーディオfan」誌の208PにND-S1のACアダプタの記事があります。
    ただ、USBからの電源供給を断つ必要があるようで?、値段も本体より高いので試験的に購入されたのなら不要なものですね。

  2. seiji
    2010年5月11日 at 8:21 PM

    と言うことで、音楽再生用のOSとしての「Linux」の素生のよさは十分に確認できました、・・・・・・・・・
     この記述:貴方さまの検証は、・・・残念ながら私の推察通りでした。
     パソコンOSの肥大化=IBM大型機の衰微と同じ!、・・・
    ということを前から危惧していました。 
     <<<複雑なものは用に耐えない。>>>
     音楽再生という基本で、・・・
      OS肥大化が本質を誤る、・・・現象が露呈するなんて!
     でも逆説的に見ると「驚異的な挑戦が明日を開く」
     PCオーディオ元年にふさわしい、・・・素晴らしいレポートですね!。
     深謝&深謝&深謝 驚異の感動をいただきました。
     お願い 「御無理はなさらないで」 
     

  3. 2010年5月12日 at 8:40 AM

    肥大化はOSだけではなく、ハードもそうですよ。

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