PCオーディオにおける電磁波ノイズ対策は最も旬な話題になってきていますね。基本的には、いくらやってもやりすぎると言うことはないように思います。
今までやってきたことを振り返って見ると、以下のような項目がありました。。
- 再生用のPCを極限までシンプル化する
- 電源対策(ごく一部ですが・・・)
- 電磁波吸収材の使用
- USBケーブルをデータ専用にして電源部分は持ち込まない
- ハブをEMI規格のVCCI ClassB 取得のモノに変更
- LANアイソレーターを使用する
- LANケーブルをカテゴリ7に変更
最初は「ノイズ対策」というはっきりとした目的があったわけではありません。
「音が良くなる」ための試行錯誤の軌跡を振り返ってみれば、結果として「ノイズ対策」だったということです。
ですから、上記のリンクをたどって内容を確認してもらっても、明確にノイズ対策という視点でまとめられていないので、いまいち分かりにくいというページもあります。
この一年ほど、あれこれやってみて分かったことは、「再生システムの中に組み込む機器のノイズを徹底的に抑え込む」ことが重要だと言うことです。
特にノイズ源となりやすいのが、PC本体、ハブ、NAS、ルーターです。
これらを「ノイズ四天王」で呼びましょう。
盛大にノイズをまき散らすこれらの機器を再生システムの中に組み込まざるを得ないという事に、PCオーディオ最大の問題点があります。
それだったら、そんなモノを持ち込まずに、従来通りの再生システムで音楽を聴いていればいいのに・・・と、言われそうですが、この「そもそも論」については既に決着がついていると言うことで(^^;、話を進めましょう。
これら「四天王」は、オーディオ目的に存在するモノではありませんので、何を選択しても不満は残ります。しかし、この数年の試行錯誤の積み重ねでいくつかの原則は見えてきたように思います。
PCに関してはできる限りシンプルな構成のものを再生用に使う、現時点では一枚基盤の「ALIX3D2」のようなものがベストに近いと言うことは言い切れそうです。
ハブとルーターに関しても同じようにシンプル構成のモノがいいのでしょうが、通信速度が「10BASE-T」のものだとハイレゾ音源の再生では厳しいという問題が発生します。そうなると、最低でも「100BASE-T」は必要ですから、敢えて古い機器を選択する意味は希薄です。それよりは、EMI規格の「VCCI ClassB(可能であればFCC ClassB)」を取得しているかどうかの方が重要になると思います。
ただし、ハブやルーターの選択は再生用のPCの選択のほどにはシビアではないと思われます。
なお、ルーターに関しては今までふれてこなかったのですが、自宅でサーバーを稼働させてサイト運営をしている関係上、セキュリティの問題がありますので詳しくふれることは控えておきます。
NASに関しても基本はノイズ対策がされていることが必須条件だと言えそうです。ただし、国内製品で「VCCI ClassB」や「FCC ClassB」を取得している機器は皆無に近いようです。台湾製のQNAPが「音のいいNAS」と言われるのですが、調べてみると、ここは全て「VCCI ClassB」を取得しています。
ですから、私も近いうちにQNAPのNASを導入したいと思っています。
次に、四天王をできる範囲で抑え込んでから、周辺アクセサリでノイズの低減を図ると言うことになります。
最近は、オーディオグレードを名乗る雑多な周辺アクセサリが出回ってきていますが、「四天王」を抑え込むという基本を忘れてアクセサリに頼っても思うような効果は得られないと思われます。
このアクセサリ類についてもいろいろやってきましたが、その効果が認められたのは以下の3点です。
詳しくはふれませんが、どの場合も透明度や音の瞬発力が改善され、特に低域方向の改善が著しいように思われました。
LANケーブルをシールドタイプのカテゴリ7に変更することは、個人的には効果があるように思うのですが、「接地」に関わる問題がクリアになっていないので、しばらくは様子を見たいと思います。
フェライトコア
さて、前置きが凄く長くなったのですが、今回はフェライトコアについて紹介しておきます。
フェライトコアというのは、昔からノイズ対策のアクセサリとして一般的なグッズでした。しかし、最近はあまり見かけないようになったので、あれって「眉唾」モノの商品だったのかなと思っていました。
しかし、調べてみると、このフェライトコアというのはきちんとした「裏付け」のあるしっかりとしたノイズ対策グッズだったのです。
詳しくは、フェライトコアが使われる理由やフェライトコアの選定方法あたりをご覧ください。両方とも「村田製作所」のサイトです。
ここで分かったことは、
- ノイズ対策は基本的には基盤などにコモンモードチョークコイル等を組み込んで行うのが基本だが、それでも最終段階で対策しきれない場面があれば、フェライトコアなどを使用する。
- 高周波領域のノイズへの対策に関しては巻数が少ない方がいいらしい。
- 高周波領域のノイズへの対策に関しては素材による差はほとんどないらしい。
- 効果は「内径」「長さ」「外形」の順なので、内径が極力小さいものを選択する事が最重要らしい。
ということです。
よく分からないところもあるのですが、オーディオ的に言えば基盤で施されたノイズ対策だけでは明らかに不十分な場面が多いのですから、フェライトコアによる対策は意味があるように思います。
そして、フェライトコアで対策をするときは、素材云々よりは、まず何よりも内径が小さいモノを選ぶことが重要らしいのです。
安い対策グッズですが、いろいろ調べてみると、これまたカテゴリ7のLANケーブルが一番安かった「ケーブルダイレクト」が一番安いことが分かりました。
カテゴリ7のLANケーブルは直径が5ミリですから、内径の一番小さい「FC-A」がピッタリです。1個90円ですから、ドーンと10個注文してみました。(^^;
さて、その効果のほどですが、まずは、ハブ-Voyage MPDの間に挟み込んでみました。(フェライトコア→(F))
ハブ-(F)-LANケーブル-(F)-Voyage MPD
確かに、音の雰囲気が少し変わります。少しまったりしたような感じが加わったように思うのですが、透明度や低域のしまり具合は改善されているように思います。
なので、まだ8個余っていますので、さらに、NASとハブの間に2個追加しました。
NAS-(F)-LANケーブル-(F)-ハブ-(F)-LANケーブル-(F)-Voyage MPD
2個遣いの時に感じた方向性がさらにはっきりしたように思われます。
なので、さらにVoyage MPDとUSB-DDCの間のデータ専用USBケーブルにも2個のフェライトコアを噛ませてみました。
NAS-(F)-LANケーブル-(F)-ハブ-(F)-LANケーブル-(F)-Voyage MPD-(F)-データ専用USBケーブル-(F)-USB-DDC
弦楽器などにネットリとした飴のような音色が出てきていい感じです。
さらに調子に乗って、光ファイバの終端装置とルーターの間、ルーターとハブの間にも追加して10個を使い切りました。
個人的には悪影響は出ていないように思いますが、音の感触が少しばかり変化したようで、全体として「改善」と言えるかどうかは微妙なところです。ですから、アナログ時代の「音作り」みたいな雰囲気かもしれません。感触の変化が好ましく思えるならば、フェライトコアを追加した状態でOKだと言うことです。
個人的には、しばらくこの状態で聞き続けてみて、私の感性が(そんな大したものではありませんが^^;)受け入れるようならば使い続けたいと思います。もし、最終的に気に入らなければ外すしかないのですが、送料込みで1440円ですから、お遊びとしては充分に楽しめると思います。
はじめまして。
いつも参考にさせていただいております。
手持ちのフェライトコアがありましたので、
PCとオーディオインターフェイス(RME FF400)
間の1394ケーブル(CAT7LANを転用)に
使ってみました。
低域が豊かになり、ニュアンスも向上しました。
アドバイスありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
この辺り、判断が難しいですね。オーディオというのはどこをさわっても音の傾向は変わりますから、重要なことは、その変化が「改善」かどうかの見極めだと思います。
今のところは、私も「悪くない」とは思いますが、本当に「悪くない」のかどうかはもう少し使い込んでからの判断になるかと思っています。
CAT7 LANケーブルですが、コネクタの部分を、金属テープ(シルバーアルミテープやブロンズアルミテープ)でシールドすると、もっとPC上のコンテンツの音質や画質(動画等)が良好になる気がしました。
但し、金属テープは上手に巻き付けないとケーブル断線や手の擦過傷を惹起しそうなので危険ではあるのですが。
尚、フェライトコアはコンセントアダプタープラグの付け根近くと、ハブやUSBポート近くのそれぞれ2箇所に付けると、音質や画質の改善が著しく感じました。
更に、PCは、Apple MacBook Proですので、アース付電源ケーブルを用いてアースもしています。