PCオーディオとはハイレゾ再生のための器なのか?
ソニーを先頭としてハイレゾ対応機器の展開がここへきて急ピッチで進み始めています。特にソニーは「2013年10月~14年3月のオーディオ機器の売上げのうち、ハイレゾリューション対応の新製品で約2割を占める計画」らしくて、この10月からハイレゾ対応をうたった6機種を発売するそうです。
面白いのは、その6機種の中にハイレゾ対応(?)のスピーカーが2機種含まれていることです。
そう言えば、今から30年ほど前にCDが登場したときにも「CD対応スピーカー」なんてのが店頭に並んでいたのを思い出しました。そろいもそろって真四角なスピーカーに3ウェイ、価格も59800円で横並びという代物でした。
あれはもう、本当に酷い音がしたものでした。
はてさて、今回のハイレゾ対応のスピーカーなるものとはどんなものかとのぞいてみれば「広指向性のWDスーパートゥイーターを前面と上面の2箇所に搭載するブックシェルフスピーカー。左右、上方向にも指向性が拡大し、聴く位置や高さが変化しても音色の変化が少なく、広いエリアでハイレゾ音源など高音質の音楽をそのままの自然な音で楽しめる。」ものらしいです。
「SS-AR1」や「SS-AR2」を開発してきた連中はきっと泣いているでしょうね。
しかし、ハイレゾ対応を進めるオーディオメーカーへの嫌みを言うことが目的ではありません。私がこんなところで嫌みを言わなくたってハイレゾに未来がないことは分かり切ったことです。(ハイレゾの未来云々についてはいろいろ意見はあるでしょうが、少なくとも私はそう思っています。)
私が嫌みの一つも言いたくなったのは、そう言うハイレゾ対応が前面に出てきたためか、
「PCオーディオというのは、結局はハイレゾ再生に対応する器を用意するためのものです」
という評論家があちこちに現れてきた事に対してです。
まあひと言で言えば、
「ふざけんなよ!!」
です。
PCオーディオとは失われたオーディオの趣味性を取り戻すための最後の砦です。そこにこそ、最大の存在意義があります。
それを、「ハイレゾ再生に対応する器」というレベルにまで矮小化されたのではたまりません。
何を考えてんだ!!と怒りがわき上がっていたところに、「小島康×麻倉怜士:PCオーディオ初心者が知っておきたいノウハウを紹介」という記事が目に飛び込みました。また、馬鹿なことを書いているのではないかと思って目を通してみたのですが、これはPCオーディオを「ハイレゾ再生に対応する器」と恥ずかしげもなく主張する連中とは大違いでした。
いや、大違いどころか、私がこの数年、PCオーディオに取り組んできた中で感じてきたことを実に分かりやすくまとめてくれている内容でした。
「私はよく雑誌にPCオーディオは音がいいと書いてますけど、実際ははじめてみるとものすごく音が悪いんですよ(笑)。ところが変更できる部分を1個1個変えていくと、あるところで急に音がよくなります。そこからのよくなり方が大きいんですよね。だからこれは新しいオーディオ趣味になるなと感じました。入りやすいし、入ってから長く楽しめます。」
これは私としては120%同意したいですね。
そして、この前段で次のように述べていることに対しても完全に同意します。
「アナログ時代のオーディオは自作することも多かったんですが、デジタルになってからオーディオがブラックボックス化して、出来合のものを買うという流れになってしまっていました。」
「(デジタルは)中身に入り込むことが難しかったんですけど、PCオーディオは入れるものです。自分の中でこういう音を目指すという信念があれば、ハード的にもソフト的にもものすごく追求できます。」
つまり、麻倉氏はPCオーディオの中にアナログ時代の趣味性の復権を見ているわけで、それこそがPCオーディオの最大の魅力だと述べているのです。
その後の下りに関しては同意できない部分も数多くあります。例えば、「IT系のメーカーは中国などから部品を集めて簡単に製品を作ってしまうところもあり、そうした製品の音とラックスマンの音などは100倍は違うなと思います。」というのは聞き手の小倉氏(ラックスマン株式会社商品企画室)におもねりすぎです。(^^;
それでもPCオーディオの本質を「趣味性」というキーワードでとらえておられることには敬意を表したと思いました。
特に、「変更できる部分を1個1個変えていくと、あるところで急に音がよくなります」と言う部分は、本当に手を動かしてチャレンジした人だけが実感できるものです。
そこで、はたと一つのコーナーが閃きました!!
自分なりの経験をもとに「変更できる部分の1個1個」をもう一度総まとめをしてみよう!!・・・と思い立ったのです。
もちろん、私なんかよりは、もっともっと熱意を持ってPCオーディオに取り組んでおられる方はたくさんいます。そう言う方から見れば私の取り組みなどは「取るに足りない一個一個」です。しかし、そういう「取るに足りない一個一個」であっても、それらを「総まとめ」しているページは意外なほどに少ないことに気づきました。
ならば、私なりの拙い取り組みであってもそれらをトータルに概観できるようにしておくことは意味があるでしょう。(^^;
特に、これから本気でPCオーディオに取り組もうと考えておられる方にとっては多少は参考になるかもしれません。
これが現時点(2013年10月)の私のメインシステムのブロック図です。
進め方としては、このブロック図にそって、音の最上流から順次どのような配慮を払ってきたのかを報告していきたいと思います。
第1回は、当然のことながらCDのリッピングです。
リッピングの仕方で音は変わる
オーディオにそれなりに関心を持っておられる方の大部分は、オーディオは目的ではなく手段だろうと思います。
目的は言うまでもなく「音楽を聴く」事です。
ですから、そう言うオーディオマニアにとって音源は基本的にアナログレコードかCDです。最近になってオーディオメーカーが力を入れ始めたハイレゾ音源には聞くに値する音楽はほとんどありません。SACDも日本を除けばほとんど絶滅しています。
ですから、音源は基本的にアナログレコードかCDです。
アナログレコードに関しては、それをDSD録音して聞くというマニアックな人がいます。しかし、それは上級編の話ですから、PCオーディオにおいては基本的な音源はCDと言うことになります。
ですから、PCオーディオの最上流はCDのリッピングから始まります。
まず、確認しておきたいことは、リッピングの仕方で音は変わります。
オカルトと言われようが何と言われようが、言い切っちゃいます。
リッピングの仕方で音は変わります。
ですから、この部分から早くも適切な配慮の一つ一つを積み上げていく必要があります。
配慮すべき点は以下の4点です。
- 然るべき高性能のドライブでリッピングした方が音が良い。
- リッピングソフトは「dBpoweramp(有料)」がベスト。
- リッピングしたファイルはNASに格納するのが総合的に見ればベター。
- NASは「QNAP」か「Synology」の製品を選ぶべし。
かなり断定的な言い方になってしまいました。しかし、いろいろな見解に配慮して全方位的に記述すると、結局は何が言いたいのか分からなくなってしまいます。
このコーナーは、あくまでも「これから本気でPCオーディオに取り組もう」と思った人のための内容にしたいと思いますので、配慮すべき事が明確になるように、これ以後も「断定的な文体」で書いていきたいと思います。
然るべき高性能のドライブでリッピングした方が音が良い
CDのリッピングと言えば、一般的にはPCに付属しているDVDドライブにCDを放り込んでiTunesで自動的にリッピングするというのが一般的なスタイルです。しかし、本気で「PCオーディオに取り組もう」と思うならば、まずはそこから変えなければなりません。
まずは、PCに最初から付属してるドライブでリッピングするのはやめましょう。微妙な違いなのですが、PCに内蔵のドライブでリッピングするのと、然るべき外付けのドライブでリッピングするのとでは音質に差が出ます。考えてみればすぐに分かることですが、この時点で音質的に劣る状態でリッピングされてしまうと、これより下流の部分でどれだけの「配慮」を積み重ねても虚しいだけです。
本気で「PCオーディオに取り組もう」と思うならば、その一番の入り口とも言うべきCDのリッピングは「極上」の状態で実行されなければいけません。
ですから、リッピングに使うドライブは性能的に優れたドライブを使うべきです。
私は、ブロック図を見てもらえば分かるように、USB接続のCD-RWドライブ「Premium2」を使っています。
おそらく、今もって「Premium2」はCDのリッピング用ドライブとしては最強でしょう。困るのは、販売が中止になってしまって、どこに探しても売っていないことです。
私はUSB接続による外付けの「Premium2」を1台、内蔵型の「Premium2」を2台持っています。外付けと内蔵型では音質面での差はほとんどないように思うのですが、それでもPCが発する数々のノイズから逃れられるので、精神衛生上の問題として外付けの「Premium2」をメインとして使っています。
もしも、これが壊れれば、新しい外付けのドライブを使うのではなく内蔵型の「Premium2」を使うつもりです。
それくらい、「Premium2」への信頼は厚いものがあります。
しかし、現時点では「Premium2」の入手は不可能ですから、それに変わるものを用意しなければいけません。
個人的にはパイオニアのドライブを推奨します。(言い切っちゃいます^^;)
なお、外付けの「Premium2」とPCの接続にはエルサウンドの「データ専用USBケーブル」を使っています。
「データ専用USBケーブル」の詳細についてはこちらをご覧ください。
また、近いうちに、「Premium2」の電源をアナログ電源に強化する予定です。
このあたりも、気を使いすぎるくらい使っても不十分と言うことはないと思います。なぜなら、ここで「駄目」な要素が発生すれば、それはその下流においてリカバリが不可能だからです。
リッピングソフトは「dBpoweramp(有料)」がベスト
ですから、リッピングソフトに関しても「何を使っても音質は基本的に変わりません」などと暢気なことを言っていてはいけません。
もちろん、そんなことを言うとかならず親切に「どんなリッピングソフトを使おうとファイルのバイナリは一致しますから音の差など出るわけありませんよ」とアドバイスをくれる人が現れます。
まあ「ありがとうございます」とでも言っておきましょう。
聞いてみれば、リッピングソフトによって明らかに音質的な差があります。
ならば、ここでも躊躇わずにベストのリッピングソフトを使うべきです。
有料のソフトですが、私がお勧めするのが「dBpoweramp(有料)」です。お勧めしているのは私だけでなく、ハイエンドオーディオ御用達のLINNのDSシステムでも推奨されているリッピングソフトです。
もちろん、無料の定番リッピングソフトである「EAC」も悪いソフトではありませんが、「dBpoweramp(有料)」にはそれを上回る機能と使い勝手の良さを持っています。
「dBpoweramp(有料)」の詳しい内容についてはこちらに紹介してありますので参考にしてください。
リッピングしたファイルはNASに格納するのが総合的に見ればベター
これについては諸説あります。
eSATA接続の外付けHDDにファイルを格納した方が音が良いという意見もあります。再生用PCに「Cubox」を使うのならばeSATA接続の端子がありますので、これも有力な選択肢です。
しかし、私個人としては音質面でもNASに軍配を上げたい気がします。しかし、このあたりは様々な条件が影響を及ぼしますので、最終的には自分の聴覚を頼りに選択する必要があると思います。
しかし、使い勝手の良さと管理のしやすさも加味すると、総合的にはNASがベターだと判断しています。特に、メインシステム以外にサブシステムも常用しているとなると選択肢はNASしかありません。
私の場合はサブシステムは以下の3系統です。
つまり再生の系統がメイン+サブで4系統あるわけなのですが、この複雑なシステムに何の問題もなく音源としてのファイルを供給できるのはNAだけです。
eSATA接続のHDDならばこういうわけにはいきません。
NASは「QNAP」か「Synology」の製品を選ぶべし
NASで音が変わるのか?と思われるかもしれませんが、これはそう言うことよりは「壊れない安心」を担保するためです。
残念ながら、日本製のNASは簡単に壊れます。それに対して、業務用の世界で実績のある「QNAP」や「Synology」の製品は非常に壊れにくいです。
この差は大きいです。
さらに言えば、日本製のNASでEMI規格の「クラスB」に対応した製品はほとんど見あたりません。
とは言っても、いきなり「クラスB」と言われても何のことか分からない方が大部分だと思いますので、そう言う方はこちらをご覧ください。
電磁波ノイズへの対策こそがPCオーディオにおける一つの大きなテーマになりますので、ファイル置き場の大本であるNASが「クラスB」に対応してるか否かは大きなポイントになります。言うまでもないことですが、選択するNASはEMI規格の「クラスB」に対応していることが必須条件です。
そう言う意味では、現状での現実的な選択肢としては「QNAP」か「Synology」しかないと言えます。
リッピングのまとめ
もちろん、PCオーディオの入り口において、これら全ての対策を施さないと意味がないと言っているのではありません。基本的にはできるところから一つずつ積み上げていけばいいのだと思います。そのスタンスは、これから順次述べていく下流部分でも同じ事です。
大切なのは、気長に一つ一つ対策を施していくことです。
ですから、例えばリッピングソフトを「dBpoweramp(有料)」に変えたからと言って、それ一つだけで大化けするようなことはありません。同じように、リッピング用のドライブをそれなりのものに変えたからと言って、それだけですぐに満足がいくような結果が出るわけでもありません。
大切なのは、そう言う一つ一つの対策を地道に積み重ねていくことで、そう言う積み重ねがある時点をこえた瞬間に大化けします。この積み重ねの中で「音が良くなる」醍醐味こそがPCオーディオが持つ最大に楽しみであり趣味性だと言えます。
と言うことで、次回はCDリッピングのすぐ下流である「再生ソフト」について考えます。
ユングさん、始めまして。ぽこぴーと申します。
書き込むことは初めてですが、何年も前からユングさんのサイトは拝見しており、ずっと参考にさせて頂いて来ました。いつも新しい事にチャレンジし私のような知識の無いものに色々教えてくれる事、常々感謝しております。本当に有難うございます。
今回のテーマであるリッピングは自分も現在非常に悩んでおり、先人であるユングさんに何とかアドバイスを頂けないかと思い始めての書き込みをさせて頂きました。
悩んでいることを箇条書きにします。
①リッピングをする際に使うPCはどのようなものが良いのか?
②外付け光学ドライブへの制振はリッピングでも効果は有るのか?
③リッピングに際しCDのクリーニング、コーティング剤、消磁は効果があるのか?
④PCと光学ドライブの間に使うケーブルの質は音質に影響するのか?
⑤リッピング済みのデータを違うドライブに移動する時データは劣化するのか?
いくつかは以前の記事で結果が出ていたものもありますが……。
質問ばかりになってしまい申し訳ありません。ですがリッピングと言うものはどうしても手間がかかり機器を入れ替えるたびに全てリッピングし直す訳にも行かず、かといって効くか分からない物を買い捲るほどに裕福でもなく、しかしそれをやらなければ気軽にCDも買えず……。
その悩みを解消するために先人の苦労をただで貰おうと言うのも虫のいい話ではありますが、何とかアドバイスをいただけたら有り難いです……。
どのようにリッピングするかと言うことは、きっと最後まで大きな「課題」として残るのだろうと思います。ですから、現時点で「これが正解」だと言いきれるものは少ないと思います。
上記で述べたことは異論はあるかもしれませんが、私なりにこれくらいは正解と言えるだろう・・・と思えるものだけをピックアップしました。
ですから、以下述べることは、私としても100%自信があるわけではありません。
①リッピングをする際に使うPCはどのようなものが良いのか?
「VortexBox」を使ったリッピングサーバーを作ったことがあります。しかし、結果はWinPCを使った上記のシステムでリッピングしたファイルの方が有利でした。おそらく、Linux系のOSを使った方が基本的には有利だと思うのですが、リッピングに使うドライブ、ソフトなど様々な要素が絡んでくるので、現状では選択肢の広いWinPCの方が有利な面が大きいと言えそうです。
この辺りはまだまだ開拓すべき部分が残っていると思います。
個人的には、Linuxベースのリッピングサーバーを何とかしたいという思いは持っています。
②外付け光学ドライブへの制振はリッピングでも効果は有るのか?
これは効果があると信じています。ただし、本当に効果があるのかと面と向かって聞かれると客観的なデータは示せませんし、聴感上の違いもあまりはっきりはしません。
ただし、精神衛生上、何らかの制震対策をしないと気分が悪いです。よって、それなりのインシュレーターをはかせ、上から布に来るんだ5キログラムの鉛で押さえつけています。
③リッピングに際しCDのクリーニング、コーティング剤、消磁は効果があるのか?
リッピングして一番状態がいいのは新品のCDです。これは間違いありません。
図書館で借りてきたようなCDは表面がかなり痛んでいるので、どんなに気をつけてリッピングしても状態が良くなることはありません。ですから、しっかりクリーニングすることはそれなりの効果があるとは思いますが、基本は新品のCDをリッピングすることだと思います。
④PCと光学ドライブの間に使うケーブルの質は音質に影響するのか?
上でも述べたように、私はデータ専用のUSBケーブルを使っています。ノイズまみれの電源とデータが一本のケーブルの中で同居してPCに運ばれてくると思うだけでゾッとします。
そして、これが非常に重要な事だと思うのですが、そのような対策一つでは大した変化を引き起こさないのですが、それらを積み重ねることでトータルとして大きな効果を生み出すと言うことです。一見すると、「そこまでやらなくていいだろう」と思えるような対策でも、一つずつ積み重ねることが大切なのだと思います。
⑤リッピング済みのデータを違うドライブに移動する時データは劣化するのか?
これは微妙です。ただし、プロの録音現場で働いている連中は「変わる」と言っています。ですから、一番最初に録音したものをマスター、それをコピーしたものは第2世代、そこからまたコピーしたものは第3世代というように世代管理をするのが「常識」となっているようです。
デジタルの常識から言えばそんなことは「有り得ない」のですが、それでも、そのような「有り得ない」事が、実は「あり得ること」であったというのもデジタル技術の歴史です。
ですから、私の場合はリッピングしたデータは「壊れにくい」という定評のある「Synology」のNASにおいています。(「QNAP」でもいいと思います)
もちろん、別のHDDにバックアップをとっていますが、それは上の言い方をするなら第2世代となります。ですから、NASが壊れないことを心から祈っています。
ちなみに、NASは電源のオン・オフの時にもっとも負荷がかかります。ですから、電源は入れっぱなしの状態がもっとも壊れにくいと言われています。ですので、私は電源は常にオンの状態で使用しています。
以上、あくまでも私見として受け止めてください。
リッピングのやり方で音が変わる。
わたくしも賛同しますし、それを訴える人が少ないのも気になっていました。ドライブを選び、接続ケーブルを選び、取り込みソフトを選び、保存場所を選ぶ。試行錯誤しながら、同じ音源を20回も30回も取り込み直し、その時点で最高のものを楽しむ。隘路にはまると苦しいですが、これを経験したことのない方は、まず「条件次第で結果が変わる」ことを体験していただきたいものです。
昨日書き込みましたぽこぴーです。
ユングさん、①~⑤までとても丁寧に答えていただき有難うございます。疑問もだいぶ氷解しました。
ですがユングさんのお答えを読んで新たに疑問がいくつか出てきたので、追加で質問させてください。何度もすみません。
①リッピングに使うPCは何の対策もとられていないPCより、オーディオ用の対策を取られた物の方が良いのでしょうか?
②パイオニアのような再読み取り機能があるドライブを使用しても、やはり少しでも傷のないCDの方が音がいいのでしょうか?(試された事があるならば)消磁に効果があるかも教えてください。
此処からは前日の質問とはまったくの別件ですが、
③ユングさんは「dBpoweramp」の設定はどうなさっていますか?自分も以前使っていて(いつの間にアンインストールしてしまっていたので買いなおさなきゃなりませんが)英語な上、項目が多くて苦労した覚えがあります。オススメ設定があればぜひ教えて頂きたいです。
④パイオニアのドライブの購入を検討しているのですが、ドライブと「dBpoweramp」両方にエラー時再読み込み機能があって、どちらを優先させたらいいか困っています。使用したことのないドライブのことを聞かれても困るかもしれませんが、一般論でいいので教えていただけないでしょうか……。
⑤質問と言うよりお勧め品ですけれど、「LS421D0402P」というNASについてご存知でしょうか?DSD対応NASでオーディオ用に開発されたものらしいです。DSDの事を抜きにしても品質の良いものではないかと想像しているのですが……。
本当に何度もすみません。よろしくお願いします。
リッピングに限らず、再生においても重要なことはPCの安定性を高めることです。これは断言できます。
その意味では、PCへの対策よりも、リッピングしているときには何もしない・・・と言うことがまず大切だと思います。
ネットであちこちページを見ながらリッピングなんてのは駄目でし、マウスもキーボードも一切さわらない、とにかく作業が終わるまでPCには一切手を触れない・・・が原則ですね。
この大前提をふまえれば、PCの安定性を高めるために一定のチューニングを施した方がリッピングにおいても有利だとは思います。しかし、これもまた再生系と同じ話で、WinPCでそこまで気を使うならLinuxにしましょうと言うことになります。
ただし、Linux系では使えるソフトが限られるので、現状ではそのあたりがバーター関係になり悩ましいところです。
それから、今さら言うまでもないことだと思うのですが、Windowsの場合は、不必要なプロセスを削っていくと全体的な負荷は下がりますが、逆に安定性を損なう事もあります。
そのあたりのさじ加減は個々の環境で変わってきますので、見極めは非常に難しいです。
②に関してはその通りです。これは確言できます。消磁に関してはやったことがないので何とも言えません。
それから、「dBpoweramp」の設定ですが、ほとんど弄っていません。
ただ、好みの問題で、Namingの項目だけ「[album]\[title]」にしています。
私も英語は苦手ですが、慣れれば全く気になりません。今回も指摘されてみて、「そう言えば全部英語だったんだ」と思ったほどです。
(ちなみに、私に英語力は常に欠点すれすれのていたらくでした^^;)
パイオニアのドライブに関しては申し訳ないですが、自己責任でお願いします。
NASに関しても同様です。
ただ、NASに関して言えば、あらゆる条件の中で最優先すべき項目は「壊れにくい」事です。その意味で、私は国内メーカーのNASは信用していません。
何故なら、職場で押しつけられているNASは国内メーカーのもので、ちょっとしたこと(落雷による突然の停電など)で壊れます。
NASが始めて導入されたときはまさかそんな簡単に壊れるとは思っていなかったので3ヶ月に一回程度しかバックアップをとっていませんでした。今から思えばアホです。
おかげで、本当に酷い目にあいました。最近は週末に必ずバックアップをとるようにしています。
そして、悲しいことに、それ以後も何度も壊れました。メーカーの担当も残念ながら良くあることだと言っていました。
ですから、EMI規格でクラスBを取得していること、安定性に定評があることが私の中での選択基準になっています。
もちろん、最後は自己責任で(^^;で、お願いします。
ユングさんご無沙汰しております。knkn59といいます。NASのEMI規格ですが、NetgearのReadyNASもマニュアルにはVCCI Bクラスと記載されていますので、ノイズ対策は大丈夫だと思います。私もQNAP2台とReadyNAS3台使っていますがいずれも動作も安定しており、故障したこともありません。ただし、ReadyNASは若干ファンの音が大きいのが欠点です。それとQNAPは多機能になりすぎた気がするので、音楽用はシンプルなReadyNASを主に使用しています。
>音楽用はシンプルなReadyNASを主に使用しています。
ReadyNASは恥ずかしながら始めて聞いた名前だっtのですが、調べてみると「中小企業と家庭向けのネットワークソリューションに特化」した製品を作っているようですね。
こちらに詳しいですね。
http://www.watch.impress.co.jp/netgear/review10/
少し笑ったのは、このメーカーの製品をネットで調べてみるとこんな記述を発見したことでした。
「我が家のメインNASであるAcer ASPIRE easyStore H340の調子がすこぶる悪く、勝手に再起動したり、データが徐々に壊れるということで、NASを移行しようと考えていました。」
そうそう、こんな風になってくるとホントに泣きたくなってきますが、とにかくデータをバックアップしてから即交換するしかないですね。でも笑ったのは次の下りです。
新しいNASを導入したのはそれ以外にこんな目的もあったというのです。
「このメインNASの他に、BuffaloのNASがあるんですが、これを排除するのも目的です。
これはRAID1で動作しているんですが、センドバックで修理すると無償だけどデータが保全されないという、なんのためのRAID1か分からないという素晴らしいサポートの製品というのが問題でした。 」
だから私も国内メーカーの製品は使いたくないのです。
dBPowerAMPについてのお話ですが、いつごろか忘れましたがflacのオプションでLossless Uncompressedというのが追加されています。flacのコンテナにwaveが入っていると考えていいと思います。音質的にはwaveがいいのですが、waveではmeta dataが保存できません。これはflacとwaveのいいとこどりということで一番良いのではと思っていますが、ほかのRipping softではサポートされているのを見たことがありません。一度お試しあれ。
dBPowerAMPの利点の一つはwaveファイルにタグが埋め込まれることです。
これもかなり大きなアドバンテージだと思います。
ユングさんおはようございます。
dBPowerAMPのwaveにタグが埋め込まれているのは気づいていませんでした。
以前書き込みましたぽこぴーです。
ユングさん、遅くなってしまいましたが、お答えして頂き有難うございました。
とても参考になりました。教えていただいた事に基づいて頑張ってみます。
リッピングには良いドライブを使えとの事ですが、理屈はその通りでも定番の”Premium2”が
生産終了し買えなくなった時点で、高音質なPCオーディオは基本部分で破綻していると思います。
Premium2を持たない人は、持っていれば得られたはずの音質でリッピング出来ない訳ですから。
他のドライブでもそこそこの音にはなるでしょうが、高音質なPCオーディオとはならない矛盾が
出てきます。
リッピングに適したドライブが発売されない現実が、リッピングを主体とするPCオーディオの弱点で、
こればかりはユーザーにはどうにもならない事です。
リッピングに必要なドライブの能力は、「正確にCDに記録されたバイナリ―を正確に読みだす」ことだけです。通常のドライブであれば、「dBpowerampでSecureモードを使用する」など、リッピングソフトを選べば問題なく読み取れます。
バイナリが一致すれば、読み取りに使用したドライブやケーブルは音に関係ないと言うことが、PCオーディオの常識になってほしいものです。デジタルでは音が変わらないという神話が、CDプレーヤが発売されるとすぐに崩壊したように。
PCオーディオが正常進化し、オカルトまがいのデマに踊らされることなく大人の趣味として楽しめるようになることを祈ります。
リッパーさん
http://www.yung.jp/bony/?p=1995
に戻って、ninoさんのコメントなど読んでみられたら如何ですか。
こんばんは。
ninoさんのコメント拝読させていただきました。
ドライブやケーブルについて触れられていないのは残念です。どういう理由で音が違うと考えておられるのか知りたいです。
リッピングでバイナリ一致したファイルで音が違う件、WAVファイルの構造を知っていればありえないことだとわかるはずですが・・・。再生に関するのは、サンプリングレート等のDACに転送する際の条件とDACに転送するバイナリそのものだけです。その他のタグ情報など再生には関係しません。ファイルサイズが違うから音が違うというのはあまりに乱暴な気がします。
実験室なのですから、測定する側(人の感覚も含めて)のキャリブレーションも必要でしょう。バイナリ一致するファイルに関してドライバ、ケーブル、リッピングソフトで音質が変わると感じるのは、キャリブレーションが必要かと思います。
yungさんが心の広い方で、アンチのような私の投稿も掲載してくださることに感謝します。
リッパーさん
私もyungさんと同じで、「バイナリが同じでもリッピングの仕方で音は変わる」派です。原理的なことはたぶん現時点では誰も解明している人はいないと思います。
ですが、
この話題で、リッパーさんのような意見が出てくるのは健全な証拠だと思います。もっと多数の人がそう言っても不思議ではありません。推測ですが、実際に音を聴いて「バイナリが同じでもリッピングの仕方で音は変わる」と感じる人は2割にも満たないのではないかと思います。少なくとも万人向けの話題ではないと思います。
むしろ、
現在のPCオーディオではリッピングに関連した誤解が多いので、音が変わることを言う前に、「リッピングの仕方を変えても、バイナリに変わりはないこと」、「CD再生にデータの取りこぼしはないこと」、を強調したいところです。
これらの事実も簡単な確認方法も知らずに、「ドライブを変えると音が良くなる」と思い込んで、紹介されたドライブを購入し、実際には音の比較さえしない人達が多くいる状況は、とても危ういと思います。
リッパーさん。
バイナリ一致うんぬんについては、old boyさんのフォローがあるので、
気になったCDプレーヤーの件を。
CDプレーヤーについては、時代錯誤による誤解があります。
当時たしかに”CDはデジタルだから何処も音は同じになる”と、マスコミが書いていたと
記憶しています。
これは、”デジタル信号は変わらない”としたメーカーの言い分を、音楽に聞こえる様にする
アナログ回路を考えずに早とちりした、お馬鹿なマスコミが招いた事だと思います。
変わらないとされたデジタル信号は、そのまま聞いてもただの雑音です。
設計はメーカーで違いますから、一斉に発売された時に出てきた音がそれぞれ違った
のは当然の事。
マスコミの馬鹿さかげんが露呈したまでのことです。
例えとしては的外れ、且つバイナリ一致で音は変わらないとする主張とは矛盾している
事例と思います。
こんばんは。(ちょっと眠いです)
ええーと、わかりにくい書き方をしてしまいました。すみません。
「CDはデジタルだから何処も音は同じになる」がデジタル(CD)オーディオ黎明期の神話であるのと同様、「リッピングでバイナリ一致しても音は変わる」がPCオーディオ黎明期の神話であると。やっぱりわかりにくいですか・・・。
おっしゃるようにCDプレーヤの場合はアナログ回路でも音の違いが出ました。今回のリッピングしたファイルの再生の話の場合は再生時のアナログ回路やDACは同じわけですから、音は変わらなということです。
この問題を誰でも理解できるように説明するとなると、専門家に一冊の本を書いてもらうしかないでしょう。簡単に説明することはできませんが、とりあえず、「バイナリが一致していれば音も同じになる」という考えが正しいかどうかに限定して説明してみます。
まず、デジタルオーディオの根本原理であるサンプリング定理で必ず出てくるグラフを思い出してください。サンプリング定理では、縦軸の振幅と横軸の時間軸によって音が再現されます。音が一致するには、この横軸と縦軸が正確に一致している必用があります。しかし、バイナリデータによって表されるのは、量子化された振幅(つまり縦軸)だけあって、時間軸(横軸)はバイナリデータとは関係ありません。バイナリが一致することによって保証されるのは振幅が一致することだけであり、したがって音が一致することの保証にはなりません。
デジタルオーディオを理解するには、まず、バイナリが一致しても音が一致するわけではないということから理解する必要があります。でないと理解が先に進みません。静的な再現であるWordやExcelの場合と、動的な再現であるデジタルオーディオとでは、根本的に異なっているのですが、多くの人が混同しています。
サンプリング定理は理論の世界ですから、時間軸は一定不変であるという前提になっていますが、現実のオーディオ再生でこの時間軸を一定不変にすることは不可能であり、あらゆる要因により常に揺れ動いています。この問題がよくご存知のジッターですね。
これがデジタルオーディオにおけるあらゆる音の違いの原因となっていますが、ジッターについて深く理解するには、デジタルの仕組みやハードウェアなどについてかなり専門的な知識が必要となります。クロックを高性能なものに取り替えれば済むような単純な問題ではありません。
たとえば、バイナリデータ(デジタルデータ)とはいっても、ハードディスクに0と1が記録されているわけではありません。ハードディスクに記録されているのは磁気であって、磁気の向きによって0と1が表され、これが読み取られて、電圧の変化を伴う電流となって伝達されます。
ケーブルの中も0と1が流れているわけではありません。電流が流れているだけです。この電流(電圧)の変化というアナログ情報によってデータが伝達されるのであって、デジタルデータといってもその実態は実はアナログです。バイナリに復元されると同じになるというだけであって、その元になるデータ波形(楽音の波形ではありませんよ)はすべて異なっています。デジタルオーディオ(=ジッター)ではバイナリの違いではなく、その波形の違いさえも問題となります。
これだけでは、まだリッピングによる音の違いの説明にはなっていませんが、すでにかなり長くなってしまいました。ケーブルによる音の違いなども、すべて突き詰めれば同じ問題です。
こういった知識と理解を積み重ねていくと、デジタルで音が変わることの理由がよく理解できるようなります。専門家であればその理由も理解していますが、一般には現象として音の違いがあることは認めても、その理由はよく分からないというのが現状であるため、オカルトだとか神話だとかいう議論にもなります。
デジタルについて理解を深めるのであれば、まずは、デジタル化するとなぜありがたいかがわかってくる講座あたりで、わかっているつもりでも実はわかっていないデジタルの基本から勉強されてはいかがでしょうか。
基本知識を元に、
Beyond bit-perfect、
楽曲をコピーするたびに音質が変わるのはなぜですか
ケーブルのヘソと音質調整理論編 振動が時間軸を揺らす?
などを読んで理解できるようになれば、デジタル機器が実際にどのように動作しており、またリッピングやケーブルによって音が変わる理由なども見えてくるようになると思います。そうなれば、音質向上のポイントも理解できるようになります。
そして、これがPCオーディオの正常進化の道だと思います。
私は化学が専門で、電子の理論的世界はよく分かりませんが、この10年ほど、化学、物理学、生物学が関係する環境関係論文の抄録を作る仕事をしています。そのためか異分野の論文でもある程度著者の述べていることが理解できるようになりました。その観点ではninoさんの説明はよく分かります。またこの趣味の世界でも、yungさんのおっしゃるように、ソフトとハードによって音が違ってくることを実感しています。また、バイナリが同じなら音が同じといいきるヒトがいることも理解できます。やはりヒトそれぞれの感性に違いがあるためでしょう。
こんばんは。
ninoさんの2013年10月24日 at 5:19 PM のコメント(下)に返信ができないので、ここに返信と言う形で書かせていただきます。
一言でいうと困ったな、リッピングと再生・デジタル化とアナログ化を混同されているようです。
ジッターですが、再生時jDACへの伝送時に発生します。どのようにリッピングしたファイルでも、再生時は同じジッターが発生するわけです。横軸の時間軸の揺れはファイルによらす共通なわけですね。バイナリ一致していますから、縦軸の振幅も一致します。よって音は変わりません。
ハードディスクに関しても同じです。同じハードディスクを使用しているのですから、アナログ的な変化もファイルによらす共通なわけです。ですので、音は変わりません。
まとめますと、リッピングでバイナリ一致するということで、リッピング時のアナログ的な揺らぎは、排除されています(デジタル化時)。
再生時のアナログ的な揺らぎは、共通です(アナログ化時)。
ですので、音が変わる要因にはなりません。同じ音になります。
お分かりいただけたでしょうか。
リッパーさん
時間が経ちましたが、コメントを見ていてリッパーさんが
リッピングについて勘違いをされているのに気づきました。
リッパーさんは再生時は同じ条件だから音は変わらない
と云われました。
再生時は確かにその通りですが、ドライブで音が変わると
したのは、リッピング条件の違いで記録したデータが
変わるということです。
記録データが異なるので再生条件が同じでも音が違って
聞こえます。
どの様な理屈かは分かりませんが、バイナリ一致では説明
できないので、例えバイナリを比較しても意味がありません。
某オーディオの××でも、読み取りでエラーは無いとのデータ
検証をした方が居るらしいので、バイナリは一致して
当たり前で、検証データとしては既に余り役に立たないと
思います。
役に立つのは、傷があるCDのリッピング比較くらいかと。
YungさんがPremium2の電源を変える予定らしいので、
そのうち音が変わると言う投稿をされると思います。(予想)
HSさん
>リッピング条件の違いで記録したデータが変わるということです。
ここは誤解を生みやすいところですね。デジタルオーディオを正しく理解するには、デジタルの世界(縦軸:データ)とアナログの世界(横軸:時間軸、ジッター、ハードウェアの振る舞い)が混在していることを踏まえて、正しく理解する必要があります。
リッパーさんの言葉を借りるなら、
>リッピング時のアナログ的な揺らぎは、排除されています(デジタル化時)。
まったくその通りです。そうでなければデジタルオーディオ自体が成立しません。
>再生時のアナログ的な揺らぎは、共通です(アナログ化時)。
現実にはこれが共通にならない状況が発生する場合があるようです。そしてそれがデジタルデータに内在するアナログ的要素に起因する場合もありうることを、金井氏は指摘しています。
2つの異なるドライブでCDをリッピングした場合を考えてみると、ドライブが異なれば当然その出力波形も異なります。この波形は、本来は垂直に立ち上がり垂直に立ち下がる波形でなければなりません。しかし、実際に電圧が遷移時間0で変化することはありえないので、斜めになったグニャグニャの線となり、2つのファイル間で異なります。
ハードディスクに記録されたデータを読み出すときに、しきい値により、一定の電圧以下が0、一定の電圧以上が1と判別されるのですが、元の波形のエッジの傾きや波形の乱れ具合により、この0と1の反転タイミング(波形としきい値レベルの交点)は、横軸でみると前後にふらふらと揺れます。その揺れ具合も2つのファイル間で当然異なりますが、バイナリデータとしては何の問題もなくまったく同じものに変換されます。
この段階では、ドライブからの出力波形の違いに起因するアナログ的な違いは、まったく問題にならないということに注意が必要です。この段階で音が変わる要素はまったくありません。
次に、実際の機器の動作を見ていくと、0から1に反転するタイミングで電源がオンになります(0に反転するタイミングでオフになります)。そしてこの時点で強烈なノイズが発生します。これがデジタルノイズといわれるものですが、これ自体が強力なエネルギーを持っているためなかなか減衰せず、基板上で複雑に反射して予期しない影響を及ぼし、しばしば電源ラインを経由して他の機器にまで回りこんで悪さをすることが知られています。
波形が異なれば、当然反転タイミングも異なりますから、ノイズの発生タイミングも2つのファイル間で異なることになります。このノイズがもしDACなどの電源ラインに回りこんでクロックを揺すってしまうと、ノイズパターンの違いがそのままジッターパターンの違いとなり、音の違いとなって認識されます。波形の崩れが大きいとノイズの揺れも大きくなり、結果として音質も劣化します。
以上が、金井氏のファイルをコピーした場合の説明を、肉付けしながらそのままリッピングの場合に置き換えたものです。金井氏の説も実証されたわけではなく、また音が変わる要因はこれだけではない可能性もあります。
しかし、デジタルオーディオのこのような背景を理解すれば、金井氏の説が正しいかどうか、また違いを実際に聴き取ることができるかどうかに関係なく、音楽再生を前提としたデータの場合、時間軸というアナログ要素の問題を現実の再生環境では完全に排除できない以上、バイナリが一致したとしても、同じデータであるとはいえないということが理解できると思います。また、マスタリングの現場でマスターの厳密な世代管理が行われているというのも、至極当然のこととして理解できます。
また、金井氏は同じページでLANや公衆回線を利用したデータのリフレッシュ方法など、いろいろと興味深い知見を披露しています。氏の説が正しいのかどうかは別にして、このようなデジタルの性質を別の視点から見ると、マスタリングエンジニアでもない一般ユーザーからすると、「縦軸(振幅)は必ず維持されるのだから、横軸(時間軸)の問題だけ後から手当してやればいいのではないか」という考え方もできることに気付きます。
リッピングについて考えるなら、「ここで「駄目」な要素が発生すれば、それはその下流においてリカバリが不可能」という、一般にPCオーディオの世界で常識と考えられていることが、ひっくり返ってしまうことになります。どんでん返しで「リッピングなんてバイナリさえ一致すれば、後で何とかなるだろう」という思い切った割り切りもまた可能になります。
この背景には、もともとリッピングドライブによる音質差などは、あったとしてもそんなに大きいものではないということと、何よりもハードディスクの寿命が短いという現実があります。渾身のリッピングファイルも実はディスクと共に消え去ってしまうということになると、こだわる意義も薄れます。それよりも、ノイズが回り込まないような対策をとるとか、金井氏のいうファイルの公衆回線への飛ばしを試してみるとかのほうが、個人的には現実的であるような気もします。
一部訂正です。
>この段階では、ドライブからの出力波形の違いに起因するアナログ的な違いは、まったく問題にならないということに注意が必要です。
↓
ドライブからの出力波形の違いに起因するアナログ的な違いが、データの違いとして現れることはあり得ないということに注意が必要です。
こう書いたほうがより明確ですね。ノイズの影響を受けてデータが化けるとか考える人がよくいますが、デジタルの場合そんなことは絶対にありません。
HSさん
どこの返信ボタンを押せばいいのかわけがわからなくなってきました。
>音楽は読み出し時のアナログ的な記録信号の違い
(この場合はS/N比)が元のジッターに変換されて音に影響する
のではとの見方です。
このあたりは、私もハードディスクの動作の細かいところまでは知らないのでよくわからないところがありますが、記録信号のアナログ的な違いが直接ジッターに変換されるとは思えませんが。このあたりまでくると素人ではとても手に負えない議論になりますね。
ドライブでもそんなに違いがありますか。私の場合はPremium U2とPioneerの内蔵ドライブで、音の違いがわからなかったので、そんなものだと思っていました。
ただ、リッピングファイルは直接ハブを経由して直接NASのハードドライブに置くようにしています。こうすることで、ドライブへの書き込み時にはNAS側のクロックでデータが新たに書き込まれるため、相対的にドライブの違いによる音質差が出にくくなっています。
また、NASにもトランス式電源を使用し、LAN回線には光メディアコンバータを使用しています。これはアイソレーションを意識したもので、ループをできるだけ遮断してノイズが他の機器に回り込まないように工夫しています。そういったことで、自分の環境ではドライブによる音質差が出にくい環境になっていることは事実です。
このサイトでの話題にはそぐわないことをお許しください。
ただこのサイトをいつも参考にしていて、他の多くの方も見ていられるようなので相談します。
私はVortexBoxと、Windowsで(禁断の)Bugheadを使っています。
教えて頂いたdBPowerAMPでリッピングしたWAVEは確かにEACに比べて優れていることを確認でき、喜んでいます。
しかし、dBPowerAMPでリッピングしたWAVEの一部がBugheadで読み込めないことがあります(file name errorで)。
このような経験のある方がおられましたら、対処法を教えてください。
dBpoweramp でリッピングすると、クラシックのCDの場合、ファイル名にフランス語やドイツ語でしか使われない文字が使われる場合がしばしばあります。文字コードの問題だと思うのですが、Bughead 対応コードに制限があるようで、そのようなファイルはエラーとなって読み込まれません。
私の場合は、面倒ですがその文字だけ通常の英文字に修正しています。
ninoさん、早速教えていただきありがとうございます。
文字コードに制限があるのですか。
さすがにfoober2000は問題なしで、VortexBoxにコピーしても問題はありません。
それにしても、Bugheadではwhite×2くらいでも安定した良い音がしています(i5、3GhzのPCで)。
文字コードの問題は、ありとあらゆる分野で悩ましい問題です。
ですから、私は「dBpoweramp」でリッピングするときは、自分なりのルールを決めてアルファベットで全て入力しています。日本語は使いません。
これは、どこかで紹介したことがあるのですが、例えばセル&クリーブランド管で1962年に録音されたベートーベンの交響曲第6番の第1楽章ならば、
Beethoven_sym6_1_Szell_62
というように入力します。
第2楽章ならば
Beethoven_sym6_2_Szell_62
となります。
ネット上から自動的にひっぱてこれるメタデータは使いません。
さらに、フォルダ構成も
作曲家-ジャンル-作品名
としています。
ですから、上記の例ならば
Beethoven – Symphony – Beethoven_sym6_Szell_62
という構成になっていて、最後の「Beethoven_sym6_Szell_62」というフォルダの中にファイルが入るようにしています。
ただし、dBpowerampの場合は「Album」を「Beethoven_sym6_Szell_62」、パスを「J:\Beethoven\Symphony\」と設定してリッピングすれば、自動的にフォルダが生成されて然るべき場所にファイルが格納されますね。
そして、こういう風に自分なりにルールを決めてキチンと格納していけば、再生するときも目的の録音が簡単に見つかるというメリットもあります。
参考になれば幸いです。
yungさん
いつも丁寧に教えていただきありがとうございます。
それにしても皆さんの整理と実行の正確さには感心しています。
私はこのサイト等で知ったソフトなどをインストールして、いい音が出れば満足といった程度で、
データを探すのにいつも苦労しています(3台のPCとNASから)。
それでも次から次へと技術が進歩し、データがあふれ、この先が思いやられます。
nnoさん、詳細な解説ありがとうございます。
ただ、私なんかは、経験的に「変わる」事を実感しているので、いくら「変わりませんよ」と言われてもほとんど気にせずに突撃を繰り返してきました。(^^;
できれば、キチンと方向性を把握した上で突撃を繰り返せば、時間的、精神的、さらには金銭的浪費を招かずに試行錯誤ができるのに・・・とも思うのですが、まあ無手勝流の試行錯誤もまた楽しからずやです。
ただ、一つだけふれておきたいのは音質比較の方法に関わる問題です。
音質比較は、対策前と対策後の音をスポット的に聞き比べてその良し悪しを判断するのが一般的です。オーディオ機器の聞き比べならば、次から次へと同じCDを再生させて「あれがいい」とか「これがいい」とか判断するのが普通のやり方です。
しかし、最近になって、そう言うスポット的な比較では本当のところは分からないのではないかと思うようになってきました。
結論だけ言えば、音質の比較は長いスタンスで判断しないと、本当の事は何も分からないだろうと思うようになってきたのです。
図式的に言えばこんな感じです。
<上手くいったとき>
<駄目なとき>
極めて図式的ですが、肝は、あれこれ対策を積み上げて音が良くなったと感じることができただけでは不十分で、さらには一定の時間が経過してもその良さが感じ取れたときだけ、その対策を「良し」とするスタンスです。逆に、聞き続けているうちに、「なんだか違うな」と思うようなら、それは駄目だと言うことです。
もっと分かりやすく表現すると、うまくいったときは音楽を聴くのが楽しくなるので知らず知らずのうちに音楽を聴く時間が長くなっていることに気づき、逆に「そう言えば最近音楽を聴く時間が減ってるな」なんて時は駄目だと言うことです。
極めてファジーでいい加減な比較法なのですが、個人的にはこの「感覚」による判断が一番正確だったような気がしています。
時間的にも空間的に、さらには音楽と向き合う気分面においても極めて限定された状況の中でスポット的に聞き比べても、その良し悪しの判断はできないと思います。
確かに、オーディオ評論家などは、仕事ですから、そう言う限定された状況下でのスポット的聞き比べで一定の評価を下さないといけないのでしょう。しかし、私たちアマチュアがどうしてそれと同じようなやり方で比較をしないといけないのでしょうか。
アマチュアにはアマチュアの特権があります。
長い時間と自由な環境を生かして、最後は音楽を楽しく聴けているかどうかと言う己の感覚を信じて自分なりの判定を下せばいいのではないでしょうか。
最近、そう思うようになってきました。
<追記>
上とは全く関係ない話ですが、とても大切なことを書くのを忘れていました。
NASを選ぶときに、2.5インチのHDDを使っているものは絶対に選んでは駄目です。本当に酷い音がします。これだけは100%保障できます。
Yungさん。
体験から云わせていただくと、音の判断に時間を掛けた方が良いのは、
短時間では耳の疲労が音の判断に影響するからです。
好きな音楽と言えども、耳にとっては大音量で異常な環境に変わりなく、
時間と共に疲労が進んで音の感度が悪くなります。
この状態になると微妙な音の違いを聞き分けられず、条件を変えても
同じ様な音にしか聞こえなくなります。
朝起きた時に、TVの音量がいやに大きいと感じたことはありませんか。
これは睡眠によって疲労が取れ、耳の感度が一時的に良くなったからです。
日を改めて音を聴くと、耳の疲労問題を回避できる確率が高くなるので、
前の判断が正しかったが分かり易くなります。
音の変化が良い方向かどうかを判断する場合は、耳の状態を意識している
必要があり、耳の事を考えると判断を急ぐのは禁物です。
急いで判断すると大抵は失敗してやり直す羽目になります。
一応、耳の疲労として説明していますが、生理的には脳の疲労かも
知れません。
リッパーさんの2013年10月24日 at 9:20 PM のコメントについて返信させていただきます。
「リッピングによって音が変わるか」という問題は、実は前回の参照先の「コピーすると音が変わるか」(クリックしても別のページが表示されるので、左側のメニューを再度クリックする必要があります)という問題と同じものです。リッピングするということはデータの読み取りと書き込みを行うことですから、つまりはコピーすることです。
サンプリング定理では、音の入り口から出口までどの局面でも常に一定不変の(同一の)クロックが使われることが暗黙の前提となっていますが、現実のリッピング環境では、さまざまな条件(ローカル、ネットワーク経由、USB経由、ドライブの種類、ストレージの種類、データの経路など)によって、データの読み取りや書き込みでいくつかの異なるクロックが使用され、ソフトウェアによってはハードウェアの振る舞いも異なります。クロックの違いやその他さまざまな要因により、記録されるデータに一種の癖のようなものが痕跡として残りますから、これがデータ(バイナリではありません)の違いとなり、再生時にジッターの発生パターンの違いとなります。
これを理解するには、デジタルデータの実体がアナログデータであることを理解したうえで、実際の機器の動作まで理解する必要があます。バイナリという概念的なレベルでの理解とは土俵が違いますから、バイナリベースで議論されても平行線のままとなります。
マスタリングの現場では、マスターの世代管理が厳密に行われているし、音が意図しないところで変わってしまうという理由でインターネット配信を行わず、メディアによる配布にこだわっているところもあります。これらのことは、すべてコピーやインターネット回線を通すことにより、音が変わってしまうことが知られているからです。
しかし、一般には「デジタルであってもコピーすれば音が変わる」といっても到底受入れられないでしょう。実際にそれで音がどの程度変わるのかといえば、ほとんどわからないか、少なくとも音楽を楽しむという観点からは問題にならないくらい微小なものですから、「デジタルだから音は変わらない」ということで済ましておいたほうが、世の中平和であるというのが実情でしょう。
とても参考になるのですが英文なので紹介しなかった文献では、「charlatan(ペテン師)」とか「snake oil(でたらめな話)」という言葉がでてきますから、どこの国であっても、こんな話が一般に理解されるなどとは期待しないほうが無難ですね。
実をいうと、私自身は音楽を聴くときはリッピングの方法にはあまりこだわっていないし、コピーやダウンロードによる音の違いなんて実際にはまったく気にしていません。USBケーブルは500円のものに防振対策を施したもので満足しています。プレクスターのPremium U2も持っていたのですがさっさと売却しました。重箱の隅をつつくようなことをこといちいち気にしていては、音楽を楽しむことなどできないからです。自分にとってオーディオはあくまで音楽を楽しむための道具であり、理論を実証するためのツールではありませんから。
ここで書いていることはあくまで理論上のことを突き詰めているだけであって、実際に音楽を聴くときには現実的に対応しています。むしろ、かなりいい加減です。ただ、こういう議論をするときは、実際に聴いてどの程度の違いがあるのかという問題と理論的なことは明確に区別してから話を進めないと、収拾がつかなくなります。
最後に、yungさんのコメントについてですが、
>長い時間と自由な環境を生かして、最後は音楽を楽しく聴けているかどうかと言う己の感覚を信じて自分なりの判定を下せばいいのではないでしょうか。
まったくそのとおりだと思います。1、2か月かけてじっくり聴きこんだうえで自然と手が伸びるやり方が自分にとっての正解であって、スポット的な聴き方であれこれ判断するのはむしろ危険だと思います。オーディオ雑誌などは読み過ぎないほうがいいでしょう。理論は理論として理解したうえで、後は個人の趣味に応じて現実的なレベルで参考にしていけばいいことだと思います。
私自身は音質比較の方法などはあまり考えたことはありません。自分の環境で普通に判断して、無視できるようなことは無視してかかったほうが幸せになれますね。
ただ、私の場合「バイナリが一致すれば音も同じになる」とか「デジタルだから音は変わらない」とか言われると、ついつい過剰に反応してしまうんですよね。これもまたある種の(変態)趣味ですね。もっとも、私も数年前まではUSBケーブルやLANケーブルで音が変わるときけば、「デタラメ抜かすな」と思ってましたけどね。
適切な返信場所がないのでこちらでコメントします。
リッパーさん
ninoさん
ドライブの問題を提起したつもりが、バイナリ一致で音が変わるか否かの論点に
なってきたので、ninoさんとヤマハの説明をヒントに、ドライブのリッピング速度
による音の違いを考えてみました。
大雑把ですが、ドライブで音が変わる理屈はこの様な感じではないかと。たぶん。
ドライブのリッピング速度は、良い物で4倍速、他は8倍速以上かと思います。
4倍速と8倍速で単純比較した場合、8倍速は読み出し時間が半分です。
8倍速は相対速度が早く読み取り時間が短くなることから、読み出し信号が
4倍速より相対的に弱くなると考えられます。
このため、アナログではS/N比が低下し、デジタルではジッターが増加する
現象が起きることになります。
S/N比やジッターは音質に直結すると考えられるため、8倍速リッピングは
4倍速より音質が悪化します。
4倍速と8倍速のバイナリは一致するはずですから、その結果バイナリの一致は
音質を保証しない事になります。
ポイントは、読み出し信号の強弱(鮮明か不鮮明か)が音質に影響することです。
等倍速リッピングが最も音質が良いとされる事と整合しています。
ヤマハの説明とは、オーディオマスターの優位性を説明するために、
オーディオマスターモードと従来方式で記録した音楽CDRの再生信号を、
オシロの写真(アナログの波形パターン)を元に比較したものです。
説明では、
オーディオマスターは波形パターンが鮮明で、従来方式は波形パターンが
あまりハッキリしない。
波形パターンがはっきり見える方が品位が高くジッターが少ないとしています。
この説明を別の見方で考えると、ピットとランドが長いオーディオマスターは
相対的に読み取り時間が長い低速リッピング、従来方式は読み取り時間が短い
高速リッピングに相当し、ヤマハは図らずもリッピング速度による音の違いの
根拠になる写真を提示していたのではと思います。
尚、一般人にはジッターが音質に与える影響度合いを確認出来ないことから、
個人的にはアナログのS/N比の影響が大きいのではと感じています。
こんにちは。(遅くなってのコメントですみません)
ninoさん自身が示してくださったリンクの「かないまる」さんのサイトに記載されているように、コピーしても変わりません。
「コピーすると音が変わるか」は、前回のコメントをいただいたときに読んで爆笑しました。
たとえば、「一般的にデジタルデータが音質がよいのは、CDからのリッピングでは読み出した直後です。ドライブを回すときに指令用に使った元気で綺麗なクロックでHDDにも力強く記録されるからです。」
クロックが共通だとでも思ってるのでしょうかね。”元気な”ねえ。
ネットにはいろいろな情報が流れていますから無条件に信じない方がいいです。
>サンプリング定理では、音の入り口から出口までどの局面でも常に一定不変の(同一の)クロックが使われることが暗黙の前提となっていますが
なってません。AD変換・DA変換時だけのお約束です。基本的なところを理解してください。
リッピング時いろいろなクロックが非同期で使われるのは、サンプリング定理とは無関係です。ここをちゃんと押さえておきましょう。
>記録されるデータに一種の癖のようなものが痕跡として残りますから、これがデータ(バイナリではありません)の違いとなり、再生時にジッターの発生パターンの違いとなります。
ninoさんも書かれていたように、WAVファイルには振幅しか記録されていませんから、ジッターフリーになっています。
リッピング時のドライブ・ケーブルの影響が問題なるのでしたら、リッピングしたファイルをHD上でコピーしてください。
「記録されるデータに一種の癖のようなものが痕跡として残ります」そのような痕跡(あるとすれば)は、消えてなくなります。ninoさん流にいえば、ストレージの癖だけが残ります。リッピングに使用したドライブやケーブルの違いはなくなりますね。
デジタルの基礎と実際の機器の動作を理解していないとわからないかもしれません。
リッピングに話しを戻せば、は正確にバイナリを取り出すことがすべてです。
そのために dBPowerAMP の様なソフトを利用するのはいいですね。利便性も高いですし。
リッパーさん
リッパーさんのおしゃってることは理論的には完璧だと思うのですが、実際の音楽を聴く場合のハードウェア環境という視点が欠落しているように思います。音を出すのはハードウェアの仕事であって、ハードウェアの挙動を想定しない議論は無意味だと思います。
私も端折って書いているのですが、例の金井氏の説は、一読するとデータの癖が直接ジッターに影響するというように読めますが、実はそうではないとはっきり明言しています。
「…グラグラと時間的に前後に揺れます。揺れても読み出すタイミングまでには必ず安定しますので(そうなるようにサーボ系が動作しています)やはり数字は間違いません。」
つまりそんなことで音は変わらないとはっきり明言しており、ここまでの認識は結果として金井氏とリッパーさんの間に違いはないと思います。
では何が原因として考えられるのかというと、波形の違いによる反転タイミングのズレによって、結果として発生するスパイクノイズの発生タイミング(パターン)の違いとそのDACなど他の機器への伝播の可能性を指摘しています。つまり問題にしているのは派生的に発生するノイズであって、データのことではありません。
理論上ありえないことが実際に起ってしまう場合、よくあるのが当初想定していなかったことがハードウェア上で起こっているというものです。現実の環境では、ネットワーク経由のPCオーディオの場合だと、NASからスピーカーまで少なからぬ数の機器が存在し、電源ラインと信号ラインによって相互に接続されて、複雑なループを形成しています。当然ノイズまたもそれぞれの間を伝播していきます。
金井氏の説は、ハードウェア技術者としての観点からの見解であると私は理解しています。もちろん、金井氏の説も仮説の段階であって、ノイズの問題を実証するのは困難です。しかし、機器間のアイソレーションを徹底することで、音の変化が小さくなるということは実際に自分でも経験しています。
リッピングはバイナリが一致すれば後は同じということであれば、現実にiTunesが生成したWAVファイルとdBPowerampが生成したWAVファイルの間に無視できない音質差があるのは、どのように理解すればいいのでしょうか。自分には同じに聴こえると言われては元も子もありませんが。
こんばんは。
リッピング時の話と再生時の話を混同されていませんか?
バイナリデータが一致しても再生時に音が変わるのは当然ですね。CDプレーヤ発売時からわかっていることです。
リッピングでバイナリ一致すれば、同じ再生環境では同じ音になります。ハードウェアどのドライブやケーブルでリッピングしたかなぞ、区別はつきませんからね。
「波形の違いによる反転タイミングのズレによって、結果として発生するスパイクノイズの発生タイミング(パターン)の違いとそのDACなど他の機器への伝播の可能性を指摘しています。つまり問題にしているのは派生的に発生するノイズ」も同じです。同じソフト・ハードウェアで再生すればです。
なお、自分もdBPowerampを使ってます。バイナリ一致をデータベース比較で一致すれば高速です。自分の場合、マイナーなCDが多いせいかデータベースにデータがない場合も多いですが、その時もドライブの速度を変えて正確なリッピングをしてくれます。エラー補正を検出するのもいいですね。時間はかかりますが、Burstモ-ドで使用してはせっかくの機能が生かせません。
iTunesは初期のMP3のエンコーダがタコで音が悪かった頃の影響で、WAVEでも音が悪いと思われているようです。
>無視できない音質差があるのは、どのように理解すればいいのでしょうか。
完全なブラインドテストをして聴き分けることのできる人は、絶対にいません。断言できます。
でも、CDドライブ等ののブランドにこだわるとかいうのも楽しみのうちでしょう。変わらないとわかっていても念のため良いものをと言うことを自分もやってしまいます。
yungさんをはじめPCオーディオをエンジョイされている方々に、不愉快な思いをさせてしまって、申し訳ありません。
ついでにいえば、ハイレゾ音源もPCオーディオの楽しみの一つにしたいです。
これから、セル&クリーヴランド管弦楽団 ベートーヴェン:交響曲全集&序曲集 24ビット/88.2KHzリマスター を聴こうと思ってます。96KHzや192KHzというCDには不合理なサンプリングレートでなく、88.2KHzというところがうれしい。
96/192KHzか88.2KHzか、どちらを使っても自分には聴き分けられないと思いますが、ちょっとこだわりたいんです(苦笑)。
リッパーさん
>リッピング時の話と再生時の話を混同されていませんか?
混同も何も再生してみなければ音の違いなどわからないわけで。。。たとえば、リッピング方法の違う2つのバイナリ一致ファイルを同じハードウェア環境で再生したとして、仮にですが、ノイズの発生パターンの違いにより音の違いが出たとすれば、それはリッピング方法による音の違いであると理解することは間違いでしょうか。
★ninoさん
リッピング条件の違いから発生したジッターが記録状態のアナログ的違いを生み出し、HDDからのデジタル信号出力にジッターの違いを与える、という考えは私も同じです。
しかし、これを、リッパーさんのような方にわかってもらうのは説明だけでは難しいと思います。HDDからのデジタル信号出力を解析して違いを示す必要があるのではないかと思います。我々一般ユーザーではとてもできませんが・・。
★リッパーさん
測定と試聴で因果関係を示すことができればいいんでしょうが、現在のところ、HDDやメモリーでは見たことがありません。
CD-Rでは、同じメディアであっても、書き込み条件の違いでデジタル出力に違いがある資料があります。例えば、だいぶ古いですがefuさんの測定です。http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/media/media.html
一旦メディアに記録すればリッピング時のジッターとは縁が切れるとお考えの方は沢山いらっしゃいますが、こう考えてみたらいかがでしょうか。
再生も、直接再生されるのではなく、バッファーなどを経由して再生されますよね。どこにどのようなバッファーなどが存在するのかよくわかりませんが、一旦記録されてから読みだされるのはHDDと似たようなものではないかと思います。
もっとも、これは信号系の話で、再生時には電源系の話もありますが・・w
★全般的に
同じスレの中で、本来ダメージ・ディスクのための機能であるPureReadが、使うと音が良くなるみたいなニュアンスで書かれているので、ごちゃごちゃになってしまっています。
やはり、音が変わることを言う前に、「リッピング方法が違っても、バイナリは同じ」ことを、もっと強調して、よくわかっていただく必要があると思います。
適切な返信場所が無いのでここでします。
ninoさん
丁寧な説明をして頂きありがとうございます。
書き方が適切でなかったので、改めて書きます。
>リッピング条件の違いで記録したデータが変わるということです。
これは、ハードディスクに記録したデータの状態が異なると言う
ニュアンスで、バイナリが変わるという意味ではありません。
再生時の音が異なる原因は、再生側ではなく記録信号自体に
有るとの見方をしないと音の再現性に疑義が生じ、同一ドライブ
でのリッピング速度による音の違いを説明できません。
理論とは異なるかも知れませんが、リッピングによる違い
(この場合はジッター)は完全には排除されず、ハードディスクに
記録される。
文書では0と1の並びがあっていれば問題になりませんが、
音楽は読み出し時のアナログ的な記録信号の違い
(この場合はS/N比)が元のジッターに変換されて音に影響する
のではとの見方です。
ハードディスクは問題だらけの機器で、信号の劣化現象を問題視
すると、とてもAV用には使えない事が調べれば分かってきます。
例えば電源もそのひとつで、変えれば音に影響するのは既知です。
現実はそれを無視して、利便性から使われているだけだと思います。
コピーで音が劣化する現象は前から確認しています。
ただ、劣化の度合いは小さく、一般には一回のコピー位は無視できる
かなと言う現状。
キャッシュメモリの影響にしては小さく感じ、何が原因かはサッパリです。
リッピングドライブの音質の差は無視できないほど違いがでます。
どの様に捉えるかは個人差が大きいので、基本的にはお任せですが、
意見の相違から製品の評価に違いが出ます。
拘らないと投資する意味が無くなり、PCオーディオのイメージが破綻
するのではありませんか。
PCオーディオも所詮は既存オーディオと同じで、投資がかさむ趣味と
いう現実が見えてきた感じです。
リッピングドライブで実際に音が変わるかについて、HSさんのようにかなりの違いがあるという人もいますが、個人的には経験上ほとんど違いは聴き取れない程度の差ではないかと思っていたのですが、1つ重要なことを忘れていました。
私のDACはクロックを交換しているのですが、そのときに自作のクロック用電源が使い物にならず、窮余の策としてクロックの電源をバッテリーから取るようにしています。結果としてDACクロックの電源がラインから浮いており、そもそもクロックの電源にノイズが回り込まないようになっているため、ドライブの違いによる音の違いが聴き取れないということだと思います。
あれやこれやを考えてみると、デジタルなのに音が変わる理由(リッピング、コピー、電源などなど)とその対策がある程度見えてくるような気がします。
たとえば、NASの電源を付属のスイッチングACアダプターからトランス式電源に変えた場合を考えてみると、まず、ACアダプター自体が発するノイズがなくなることはもちろん、電源トランス自体にアイソレーション効果がありますから、高周波でなければノイズを遮断する効果があります。したがって、NASの電源の変更によって音が変わるとすれば、それは電源の性能の違いによるものというより、むしろノイズ特性の違いによって、最終的にDACのクロックが受けるノイズの影響が変わってくると考えるのは間違いでないような気がします。
電源ラインで有効なノイズ対策としては、高周波までの対策が施されたアイソレーショントランスの導入が効果的なはずで、今後の検討課題にしようと思います。機器でノイズが発生することは避けられませんが、それが他の機器に伝播しないようにすれば、大きな問題とはならないはずです。
電源ラインのアイソレーションがきちんと行われていれば、リッピングも含めて音が変わるという現象はかなり軽減されるはずです。音が変わるから面白いというマニア心理ももっともですが、原因もわからず闇雲に対策をとって泥沼にはまり混むのも避けたいところです。音が変わる変わらないで喧々諤々の議論をしてきましたが、理屈は理屈として、実際にはリッピングは作業が大変なので、音が変わらないようになればそれに越したことはないというのが本音ですね。
yungさん
久しぶりに拝見しましたが、今回のタグには色々な意見が有って賑やかですね・・・・
自分も、PCオーディオを始めると決めた時に、一番最初に気になったのはリッピングの事です。
真っ先にパイオニアのピュアリードの機能の付いている外付けのブルーレイライター(BDR-XD04)と言うのを買いました。
直ぐにリッピングをして、過去の物と比べてみましたが、自分としては、歪感が減って、音のフォーカスがしっかりしたと感じました。
リッピングソフトについては、此処数ヶ月色々と試してみましたが、最終的にはyungさんのお勧めのdBPowerampを使用しております。
リッピングソフトによる音の違いについては、BDR-XD04を使っている限りでは余り感じておりませんが、dBPowerampの使い勝手の良さで決めてしまいました。
今、自分もブログにPCオーディオを始めた頃からCuBox導入~現在の状態まで、整理して書き始めております。
何分、思い出しながらですので、時間も前後しております。
また、書くのが苦手なので、なかなかUPしておりませんが、ぼちぼちと書いております。
宜しかったら、暇つぶしに覘いてみてください。
>真っ先にパイオニアのピュアリードの機能の付いている外付けのブルーレイライター(BDR-XD04)と言うのを買いました。
私も現状ではパイオニアのドライブが一番性能がいいと思います。
確かに、バイナリが一致するんだから、それで音が変わっては困ります。しかし、そう言う「困ったこと」が次々とおこってきたのがデジタルの世界なので、今では試行錯誤の結果のみを信頼することにしています。
その内、「変わる」理屈は誰かが見つけてくれるでしょう。
ちなみに、「読み取り」機能についてはパイオニアのドライブは「Premium2」に負けていないと思います。決定的に違うのが「書き込み」機能です。ですから、リッピング用として使うだけなら、充分な性能を持っていると思います。
>今、自分もブログにPCオーディオを始めた頃からCuBox導入~現在の状態まで、整理して書き始めております。
読ませていただきました。先は長そうですが、頑張ってください。
>PCオーディオも所詮は既存オーディオと同じで、投資がかさむ趣味という現実が見えてきた感じです。
それはその通り、金がかかるのです。(^^;
それは実感しています。
ただし、既存のオーディオと根本的に違うのは「弄れる」ポイントが比べものにならないほど多い事です。
ですから、「アナログ時代の趣味性が復権するPCオーディオ」と題したわけです。
「意外と安くて簡単! PCオーディオに挑戦」なんてのは、入口の話としてならそれでもいいのでしょうが、それがPCオーディオの本質だというなら「私は何も分かっていません」と言っているのと同じです。
PCオーディオの本質は途轍もなく複雑な泥沼と金食い虫の世界なのだと実感する今日この頃です。もちろん、それでこそ「趣味」としての意味があるわけなので、私としては決して悪い話だとは思っていません。
yungさん
興味深く読ませていただいています。
そこで、ちょっと気になったのが、バイナリーが同じなら音が変わらない、変わるの意見です。小生が識別できる耳かどうかはわかりませんが。変わる可能性があると思います。
PCオーディオを始めようとしている初心者です。アナログオーディオは30数年ですが、デジタルオーディオはこれからです。ただ、仕事がら(広域デジタルネットワークでデータ/映像/音声の伝送システム構築)デジタル伝送や品質には非常に苦労しました。デジタル機器をいくつも経由すれば、ジッターやワンダーが増えていきます。したがって、厳密に言えばデジタルだから音は変わらないとは言えません(デジタル符号パターンが同じでも)。また、ビット誤りは全くないとは言えません。実際、光ケーブルで伝送した場合、基準は、1リンクでは符号誤り率(BER)が10の-12乗以下になりますが、多段リンクでは劣化します。そのため海底ケーブルなどの長距離伝送では、クロック同期でリタイミングして極力劣化を防ぐ手段を講じています。また、セシュウム原子発信器を利用したクロック同期、かつ頭出し同期を実施しています。一般家庭では到底無理ですが。
オーディオ機器では、信号から取り出したクロックか、機器の内部クロックで信号を再生しているため、振幅が同じでも時間軸が異なる可能性があり、アナログに戻す際に音の変化に現れると思います。
PCやオーディオ機器でデジタル符号のままでコピーなどを繰り返した場合、劣化することは十分予測されます。劣化の程度はわかりませんが。個人的には、デジタルオーディオも同期技術が重要になると考えています。
ただ、アナログ回路はもっと問題が多く複雑だと思いますが。
アナログのオーディオでもまだまだやることがたくさん残っており、
デジタルにもはまりそうで、楽しみです。
これからもよろしくお願いいたします。
貴重なコメントありがとうございます。
恥ずかしながら、ジッターという言葉には嫌になるほど馴染みがあるのですが(^^;、「ワンダー」という言葉は始めてみました。
なので、早速にGoogle先生に聞いてみると、
「パルスを伝送するときに起こる揺らぎは,大きく分けて2種類あります。揺らぎの周期が短いものを「ジッター」,周期が長くてゆっくり揺らぐものを「ワンダー」と呼んで区別しています。」
と言うことですね。
さらに調べてみると、「一般的には10Hz 以上の揺らぎをジッタ,10Hzより小さい揺らぎをワンダと定義しています」らしいですね。
そして、「発振器を使って正確なタイミング信号にする方法でジッターは十分小さくできますが,ワンダーはなかなか取り除けないのでやっかいです。」とか、「一般に,周期がきわめて長いゆったりとしたワンダーはそれほど品質に悪影響を与えないので,周期が比較的短いワンダーを除去すれば十分です。」とかいう意見もあるようですね。
この辺りになると、私の頭では理解の限界を超えているのですが(^^;、それでも汲み尽くせないデジタルの世界の奥深さは実感できそうな気がします。